2026年版・4-6

協会員の内部管理体制と法令遵守の一問一答

証券外務員二種「協会定款・諸規則/取引所定款・諸規則」から、協会員の内部管理体制と法令遵守に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-6

協会員に内部管理体制の整備が求められている理由について、正しいものはどれか。

  • ①顧客からの苦情の件数を減らし、協会への報告の手間を省くためである
  • ②他の協会員より有利な条件で取引を行い、収益を確保するためである
  • ③法令や諸規則の遵守を徹底させ、適正な営業活動を確保するためである
  • ④監督官庁による検査を免除してもらう前提の条件を満たすためである
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正解 ③法令や諸規則の遵守を徹底させ、適正な営業活動を確保するためである
解説
証券会社などの協会員は、顧客のお金や有価証券を預かって売買を取り次ぐ立場にあります。担当者一人の判断で不適切な勧誘や事務処理が行われると、顧客が損害を受け、証券市場そのものへの信頼が失われてしまいます。そこで日本証券業協会は「協会員の内部管理責任者等に関する規則」を定め、法令や諸規則を遵守させる業務に従事する役員・従業員の配置、その資格要件、責務などを決めています。同規則の目的も、協会員の内部管理態勢を強化し、適正な営業活動の遂行に資することだと明記されています。つまり内部管理体制は、会社の中に「ブレーキ役」をあらかじめ組み込んでおくための仕組みです。

他の選択肢が不適切な理由
「顧客からの苦情の件数を減らし、協会への報告の手間を省くためである」は誤りです。苦情が減るのは結果にすぎず、目的は事務負担の軽減ではありません。苦情や事故は隠さず報告し、原因を調べて再発を防ぐことが求められます。
「他の協会員より有利な条件で取引を行い、収益を確保するためである」も誤りです。内部管理体制は自社の収益を伸ばすための仕組みではなく、投資者の保護と市場の信頼の確保を目的としています。
「監督官庁による検査を免除してもらう前提の条件を満たすためである」も誤りです。内部管理体制を整えても金融庁・財務局による検査や監督が免除されることはなく、自主規制と行政による監督は並行して行われます。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、内部管理体制を「会社を守るための仕組み」と読んでしまう点です。守る対象は会社ではなく投資者と市場の信頼であり、そのために会社の営業活動に社内から歯止めをかけるのが内部管理体制だと押さえておきましょう。
問24-6

協会員が置く内部管理統括責任者について、正しいものはどれか。

  • ①役職員に法令等の遵守を徹底させ、内部管理態勢を整備する責務を負う
  • ②支店ごとに一名ずつ置き、その支店の営業成績を管理する責務を負う
  • ③営業部門の最高責任者が兼務し、営業目標の達成を統括する立場にある
  • ④社外の公認会計士に委嘱することとされ、社内の役員は就任できない
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正解 ①役職員に法令等の遵守を徹底させ、内部管理態勢を整備する責務を負う
解説
内部管理統括責任者は、協会員が一名を定めて協会に登録する役職で、会社全体の法令遵守の司令塔にあたります。「協会員の内部管理責任者等に関する規則」では、役員および従業員に法令等の遵守を徹底させ、営業活動が適正に行われるよう内部管理態勢を整備することと、法令等の違反があった場合にこれを適正に処理することが、その責務とされています。経営のトップに対しても法令遵守の観点から意見が言えるように、原則として社長に次ぐ高い地位の役員が就くことになっています。営業の成績を伸ばす立場ではなく、営業にブレーキをかけられる立場である点が制度の要点です。

他の選択肢が不適切な理由
「支店ごとに一名ずつ置き、その支店の営業成績を管理する責務を負う」は誤りです。会社に一名を定めるのが内部管理統括責任者で、支店や部署ごとに置かれて営業活動の適正さを管理するのは内部管理責任者です。また、いずれも営業成績を管理する役職ではありません。
「営業部門の最高責任者が兼務し、営業目標の達成を統括する立場にある」も誤りです。営業の責任者が兼務すると、売りたい気持ちと歯止めをかける役割が同じ人の中で衝突してしまい、内部管理が働きません。
「社外の公認会計士に委嘱することとされ、社内の役員は就任できない」も誤りです。社内の高位の役員が就任するもので、社外の専門家への委嘱ではありません。公認会計士が関わるのは分別管理の監査などの場面です。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、内部管理統括責任者と内部管理責任者の取り違えです。「統括」が付く方は会社全体に一名、付かない方は支店や部署ごと、と数と範囲で区別すると混乱しません。
問34-6

内部管理責任者と営業責任者の役割の違いについて、正しいものはどれか。

  • ①内部管理責任者は営業単位の売上を管理し、営業責任者は苦情を処理する
  • ②いずれも営業部門に属し、営業目標の達成度だけを管理する役職である
  • ③営業責任者は本店に一名だけ置かれ、内部管理責任者は各支店に置かれる
  • ④内部管理責任者は非営業の立場から、営業活動の適正さを管理している
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正解 ④内部管理責任者は非営業の立場から、営業活動の適正さを管理している
解説
「協会員の内部管理責任者等に関する規則」では、営業の現場に二つの役職を置くことにしています。一つは営業責任者で、営業単位ごとに配置され、その単位の営業活動が適正に行われるよう現場の第一線で管理します。もう一つは内部管理責任者で、支店や部署の営業活動等が適正に遂行されているかを、営業に携わらない立場(非営業職)から管理します。営業を担う人と、それを外から点検する人を分けておくことで、売りたいという動機が点検の目を曇らせないようにしているのです。どちらも協会が実施する内部管理責任者資格試験に合格していることなどが任命の要件とされ、資質の確保が図られています。

他の選択肢が不適切な理由
「内部管理責任者は営業単位の売上を管理し、営業責任者は苦情を処理する」は誤りです。役割が入れ替わっているうえ、内部管理責任者が管理するのは売上ではなく営業活動の適正さです。
「いずれも営業部門に属し、営業目標の達成度だけを管理する役職である」も誤りです。内部管理責任者は非営業職の管理職が就く役職で、営業目標の達成度を管理するために置かれているわけではありません。
「営業責任者は本店に一名だけ置かれ、内部管理責任者は各支店に置かれる」も誤りです。営業責任者は営業単位ごとに配置されるもので、本店に一名だけという定めはありません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、二つの役職をどちらも「営業の人」と考えてしまう点です。内部管理責任者は非営業職である、という一点を覚えておけば、営業成績や営業目標を管理するという選択肢はすべて外せます。
問44-6

協会員における法令遵守(コンプライアンス)の考え方として、誤っているものはどれか。

  • ①法令だけでなく、協会の諸規則や社内規則の遵守も含まれる考え方である
  • ②法令に明文の規定がない事柄については、社内規則を定める必要はない
  • ③役職員への研修を継続して行い、遵守の意識を高めることが求められる
  • ④違反が起きた場合には、原因を調べて再発の防止策を講じる必要がある
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正解 ②法令に明文の規定がない事柄については、社内規則を定める必要はない
解説
法令遵守(コンプライアンス)とは、法律の条文に触れないようにすることだけを指す言葉ではありません。協会員が守るべきものには、金融商品取引法などの法令、日本証券業協会や取引所の諸規則、そして自社が定めた社内規則が含まれます。「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」でも、協会員は業務の遂行にあたって常に投資者の信頼の確保を第一義とし、法令その他の法令諸規則等を遵守し、投資者本位の事業活動に徹しなければならないと定められています。法令に細かい定めがない場面ほど担当者の判断に委ねられて事故が起きやすいので、そこを埋めるために社内規則を整備することが、むしろ内部管理体制の中心的な仕事になります。したがって「法令に明文の規定がない事柄については、社内規則を定める必要はない」という記述が誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「法令だけでなく、協会の諸規則や社内規則の遵守も含まれる考え方である」は正しい記述です。守る対象は三層になっており、自主規制規則や社内規則の違反も、協会からの処分の対象になりえます。
「役職員への研修を継続して行い、遵守の意識を高めることが求められる」も正しい記述です。制度は作るだけでは動かず、繰り返し伝えて初めて現場に定着します。
「違反が起きた場合には、原因を調べて再発の防止策を講じる必要がある」も正しい記述です。内部管理統括責任者の責務には、法令等の違反があった場合にこれを適正に処理することが含まれています。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、「法令に書いていないなら自由」と読み替えてしまう点です。この試験では、法令に書いていない部分を社内規則で補うことが求められる、という方向で覚えておくと判断を誤りません。
問54-6

協会員における法人関係情報の管理について、正しいものはどれか。

  • ①引受部門が取得した情報が営業部門へ流れない仕組みを設けている
  • ②公表前の情報であっても、顧客の利益になるなら提供して勧誘できる
  • ③管理の対象は上場会社の決算の情報に限られ、他の情報は含まれない
  • ④情報を得た部門は、その内容を社内の全部門へ速やかに周知させる
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正解 ①引受部門が取得した情報が営業部門へ流れない仕組みを設けている
解説
法人関係情報とは、上場会社等の運営、業務または財産に関する公表されていない重要な情報であって、顧客の投資判断に影響を及ぼすと認められるものをいいます(金融商品取引業等に関する内閣府令一条四項)。証券会社は増資や公開買付けの引受けなどの仕事を通じて、こうした情報を公表前に知る立場に立ちます。この情報が営業の現場に流れると、それを使った売買や勧誘によって不公正な取引が生まれてしまいます。そこで日本証券業協会の「協会員における法人関係情報の管理態勢の整備に関する規則」は、社内規則の制定その他の必要な措置を求めており、実務では部門と部門の間で情報を遮る壁(情報隔壁。チャイニーズ・ウォールとも呼ばれます)を設け、必要のない部門に情報が伝わらないようにしています。

他の選択肢が不適切な理由
「公表前の情報であっても、顧客の利益になるなら提供して勧誘できる」は誤りです。法人関係情報を提供して勧誘する行為は禁止されており、顧客の利益になるかどうかで例外は認められません。情報を知らない他の投資者との間に不公平が生じるからです。
「管理の対象は上場会社の決算の情報に限られ、他の情報は含まれない」も誤りです。合併や公開買付け、新製品の開発など、投資判断に影響する未公表の重要な情報が広く対象になります。
「情報を得た部門は、その内容を社内の全部門へ速やかに周知させる」も誤りです。管理の考え方は逆で、知る人をできるだけ少なくとどめることが求められます。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、情報の共有をよいことだと考えてしまう点です。法人関係情報については「広く伝える」ではなく「必要な人だけに閉じる」が正解の向きだと覚えておきましょう。
問64-6

法人関係情報を用いた売買および勧誘の規制について、誤っているものはどれか。

  • ①法人関係情報を提供して有価証券の売買を勧誘することは禁止される
  • ②法人関係情報に基づいて自己の計算で売買を行うことは禁止される
  • ③法人関係情報が公表される前でも、社内の承認があれば売買できる
  • ④法人関係情報とは、顧客の投資判断に影響を及ぼす未公表の情報である
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正解 ③法人関係情報が公表される前でも、社内の承認があれば売買できる
解説
法人関係情報については、金融商品取引業等に関する内閣府令が二つの行為をはっきり禁じています。一つは、法人関係情報を提供して有価証券の売買その他の取引等を勧誘する行為、もう一つは、法人関係情報に基づいて自己の計算において有価証券の売買等を行う行為です。これらは、情報を知る立場にある者だけが得をし、知らない一般の投資者が不利になる状況を防ぐための規制です。社内の承認は会社の内部の手続にすぎず、外部の投資者との不公平を解消するものではありませんから、承認があれば公表前に売買してよいという扱いは認められません。したがって「法人関係情報が公表される前でも、社内の承認があれば売買できる」が誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「法人関係情報を提供して有価証券の売買を勧誘することは禁止される」は正しい記述です。顧客の利益になると思って伝えた場合でも禁止されます。
「法人関係情報に基づいて自己の計算で売買を行うことは禁止される」も正しい記述です。会社自身の資金で売買する自己売買も、当然この規制の対象になります。
「法人関係情報とは、顧客の投資判断に影響を及ぼす未公表の情報である」も正しい記述です。正確には、上場会社等の運営、業務または財産に関する公表されていない重要な情報で、顧客の投資判断に影響を及ぼすと認められるものをいいます。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、社内で承認を取れば例外になる、という筋道です。公表されるまでは動けない、というのがこの規制の骨格で、社内手続で公表の代わりにはできないと覚えておきましょう。
問74-6

顧客との紛争の処理と損失補てんの禁止について、正しいものはどれか。

  • ①顧客との紛争は当事者間の問題であり、協会員は関与しなくてもよい
  • ②相場の下落で顧客に損失が出た場合は、その一部を補って支払える
  • ③顧客の苦情はすべて訴訟で解決し、協会の相談窓口は利用できない
  • ④業者側の違法または不当な行為による損失は、事故として賠償できる
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正解 ④業者側の違法または不当な行為による損失は、事故として賠償できる
解説
金融商品取引法は、顧客に生じた損失を補うことを約束したり実際に補ったりする行為(損失補てん)を原則として禁止しています(同法三十九条)。損失を埋めてもらえるとわかっていれば投資者は価格変動の危険を真剣に考えなくなり、自己責任で投資するという市場の前提が崩れてしまうからです。ただし例外があり、損失が「事故」に起因する場合は賠償することができます。ここでいう事故とは、注文内容の確認を怠った、誤った説明で勧誘した、事務処理を誤った、システム障害を起こしたなど、金融商品取引業者等の違法または不当な行為によって顧客に損失を及ぼしたものを指します。これは損失の穴埋めではなく、業者自身のミスに対する賠償なので、禁止の対象から外されているのです。

他の選択肢が不適切な理由
「顧客との紛争は当事者間の問題であり、協会員は関与しなくてもよい」は誤りです。協会員は苦情や紛争を速やかに処理する態勢を整えることが求められており、放置は許されません。
「相場の下落で顧客に損失が出た場合は、その一部を補って支払える」も誤りです。相場の変動による損失は投資者が負うものであり、これを補うことはまさに禁止されている損失補てんに当たります。
「顧客の苦情はすべて訴訟で解決し、協会の相談窓口は利用できない」も誤りです。証券・金融商品あっせん相談センターのような裁判外の紛争解決の道が用意されており、訴訟だけが手段ではありません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、相場の下落による損失と、業者のミスによる損失を同じに扱ってしまう点です。相場の損は補えない、業者のミスの損は賠償できる、という二本立てで覚えると迷いません。
問84-6

協会員が反社会的勢力との関係を遮断するための取組みについて、誤っているものはどれか。

  • ①口座開設の申込みを受けた段階で、反社会的勢力でないことを確認する
  • ②取引の開始後に反社会的勢力と判明した場合でも、関係を続けてよい
  • ③内部管理を担当する部門が中心となり、対応の方針を社内で共有する
  • ④判明した場合は、速やかに取引を解消できるよう契約に定めておく
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正解 ②取引の開始後に反社会的勢力と判明した場合でも、関係を続けてよい
解説
反社会的勢力との取引は、資金の提供を通じてその活動を助けてしまうため、証券会社にとって断ち切るべき対象です。金融庁の監督指針でも、取引の入口で相手方を確認すること(入口の遮断)と、取引が始まった後に判明した場合に関係を解消すること(出口の遮断)の両方が求められています。取引の開始後に判明した場合、契約期間中だからといって関係を続けてよいことにはならず、速やかに解消へ向けて動く必要があります。そのために、あらかじめ契約書や約款の中に、反社会的勢力であることが判明したときは取引を解消できる旨の条項(いわゆる暴力団排除条項)を入れておくのが実務の基本です。したがって「取引の開始後に反社会的勢力と判明した場合でも、関係を続けてよい」が誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「口座開設の申込みを受けた段階で、反社会的勢力でないことを確認する」は正しい記述です。入口で確認することが、最も負担が小さく確実な遮断の方法です。
「内部管理を担当する部門が中心となり、対応の方針を社内で共有する」も正しい記述です。営業の担当者一人に判断や交渉を任せると、担当者自身が危険にさらされます。組織として対応することが求められます。
「判明した場合は、速やかに取引を解消できるよう契約に定めておく」も正しい記述です。契約に根拠がないと、解消を申し入れても争いになりやすいためです。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、確認は口座開設のときだけで足りると考えてしまう点です。入口と出口の両方を塞ぐ、という二段構えで覚えておきましょう。
問94-6

日本証券業協会が協会員に対して行う処分について、正しいものはどれか。

  • ①処分の種類は過怠金の賦課に限られ、他の手段は用意されていない
  • ②会員権の停止の処分を受けた期間中は、会員としての義務も免れる
  • ③譴責、過怠金の賦課、会員権の停止または除名の処分が定められる
  • ④処分を行うときは、対象となる協会員に弁明の機会を与えなくてよい
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正解 ③譴責、過怠金の賦課、会員権の停止または除名の処分が定められる
解説
日本証券業協会は法令に基づく自主規制機関であり、協会員が法令や協会の規則などに違反したときは、自らの手で制裁を加えることができます。これを自主制裁と呼びます。協会の定款二十八条は、処分の種類として譴責(けんせき。文書で厳しく注意すること)、過怠金の賦課、会員権の停止もしくは制限、除名の四つを定めています。軽い注意から会員の資格そのものを失わせる除名まで段階が用意されており、違反の重さに応じて選べる仕組みです。なお、会員権の停止または制限をする期間は六か月以内とされ、過怠金の賦課と併せて課すこともできます。処分を行おうとするときは、対象となる協会員に弁明の手続を行うこととされています。

他の選択肢が不適切な理由
「処分の種類は過怠金の賦課に限られ、他の手段は用意されていない」は誤りです。譴責、会員権の停止もしくは制限、除名も定められており、過怠金だけではありません。
「会員権の停止の処分を受けた期間中は、会員としての義務も免れる」も誤りです。停止または制限を受けた会員も、その期間中の会員としての義務はすべて履行しなければなりません。義務まで止まるなら制裁になりません。
「処分を行うときは、対象となる協会員に弁明の機会を与えなくてよい」も誤りです。処分を行おうとするときは弁明の手続を行うものとされており、言い分を聞かずに決めることはできません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、会員権の停止を受けたら義務も止まると考えてしまう点です。止まるのは権利だけで、義務は残る、と対にして覚えておきましょう。
問104-6

法令や規則に違反した外務員に対する処分の内容について、正しいものはどれか。

  • ①処分は所属する協会員が独自に決め、協会が関与することはない
  • ②職務の停止は最長で6か月とされ、それを超える停止はできない
  • ③登録を取り消された者も、翌日から改めて登録を受けられる
  • ④登録の取消しと、2年以内の期間を定める職務の停止がある
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正解 ④登録の取消しと、2年以内の期間を定める職務の停止がある
解説
外務員が法令や規則に違反した場合の処分は、金融商品取引法六十四条の五に定められています。内容は二種類で、外務員の登録を取り消すことと、二年以内の期間を定めて外務員の職務の停止を命ずることです。これは内閣総理大臣(金融庁長官)の権限による行政処分ですが、同法六十四条の七により登録に関する事務が日本証券業協会に委任されているため、実際の手続は協会が行っています。外務員は顧客と直接向き合って勧誘や受注を行う立場なので、その資格を一定期間または永久に取り上げることが、投資者を守るうえで最も直接的な手段になるのです。なお、登録を取り消された者については、その決定を受けた日から五年間、協会員はその者に外務員の職務を行わせてはならないとされています。

他の選択肢が不適切な理由
「処分は所属する協会員が独自に決め、協会が関与することはない」は誤りです。登録の取消しと職務の停止は法律に基づく処分で、協会が委任を受けて行います。会社が独自に決めるものではありません。
「職務の停止は最長で6か月とされ、それを超える停止はできない」も誤りです。六か月以内とされているのは、協会員(会社)に対する会員権の停止または制限の期間であり、外務員の職務の停止は二年以内です。
「登録を取り消された者も、翌日から改めて登録を受けられる」も誤りです。取消しの決定を受けた日から五年間は外務員の職務を行わせてはならないとされており、すぐに復帰することはできません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、会社に対する六か月と、外務員に対する二年を混ぜてしまう点です。会社の会員権停止は六か月以内、外務員の職務停止は二年以内、と対象ごとに分けて覚えましょう。

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