2026年版・4-7

顧客資産の分別管理と各種報告書の交付の一問一答

証券外務員二種「協会定款・諸規則/取引所定款・諸規則」から、顧客資産の分別管理と各種報告書の交付に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-7

金融商品取引業者に分別管理が義務づけられている理由について、正しいものはどれか。

  • ①顧客から預かった資産の運用成果を、業者の側で高めるためである
  • ②業者が破綻した場合でも、顧客の資産を返せるようにするためである
  • ③顧客の資産を、業者の借入れの担保として使いやすくするためである
  • ④相場の下落で顧客に生じた損失を、業者が補いやすくするためである
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正解 ②業者が破綻した場合でも、顧客の資産を返せるようにするためである
解説
証券会社は、顧客から有価証券や売買代金となる金銭を預かって業務を行っています。もし預かった資産が会社の自前の財産と混ざっていると、会社が経営に行き詰まって破綻したときに、どこまでが顧客のものかを区別できず、会社の債権者への支払いに充てられてしまうおそれがあります。そこで金融商品取引法四十三条の二は、顧客から預託を受けた有価証券などを自己の固有財産と分けて管理すること(同条一項)と、顧客の計算に属する金銭を顧客分別金として管理すること(同条二項)を義務づけています。これによって、業者が破綻しても顧客の資産は会社の財産と切り離されており、顧客に返還できる状態が保たれます。分別管理は、破綻という最悪の場面を想定して先に手を打っておく制度なのです。

他の選択肢が不適切な理由
「顧客から預かった資産の運用成果を、業者の側で高めるためである」は誤りです。分別管理は預かった資産を動かさずに区分して保全する制度であり、運用によって成果を高めるための仕組みではありません。
「顧客の資産を、業者の借入れの担保として使いやすくするためである」も誤りです。むしろ逆で、顧客の資産が業者の債務の引き当てにされないように分けておくことが目的です。
「相場の下落で顧客に生じた損失を、業者が補いやすくするためである」も誤りです。相場の変動による損失を業者が補うことは損失補てんとして禁止されており(金融商品取引法三十九条)、分別管理はこれとまったく別の制度です。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、分別管理を「損をしないようにしてくれる制度」と読んでしまう点です。守られるのは相場の損ではなく、業者が倒れたときに資産が戻ってくることだけ、と線を引いて覚えましょう。
問24-7

顧客の金銭についての分別管理の方法である顧客分別金信託について、正しいものはどれか。

  • ①預かった有価証券そのものを、信託銀行に預ける仕組みである
  • ②業者の自己資金の運用のために、信託銀行を利用する仕組みである
  • ③顧客の同意を得たときに限り、金銭を信託する仕組みとされている
  • ④顧客に返還すべき額の金銭を、信託会社等に信託する仕組みである
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正解 ④顧客に返還すべき額の金銭を、信託会社等に信託する仕組みである
解説
有価証券は現物や振替口座の記録として区分して保管できますが、金銭は性質上どうしても混ざりやすく、区分して置いておくだけでは保全が不十分です。そこで金融商品取引法四十三条の二第二項は、顧客の計算に属する金銭について、顧客分別金として信託会社等に信託することを義務づけています。この仕組みを顧客分別金信託といい、信託する金額は、業者が廃業や破綻をした場合に顧客に返還しなければならない額に相当する金銭です。信託にすると、その財産は信託銀行の名義で管理され、証券会社の倒産手続の対象から外れます。つまり金銭についても、破綻時に会社の債権者の手が届かない場所へ移しておくのが顧客分別金信託の役割です。

他の選択肢が不適切な理由
「預かった有価証券そのものを、信託銀行に預ける仕組みである」は誤りです。顧客分別金信託の対象は金銭です。有価証券については、自己の固有財産と区別して管理する方法(保管場所を分ける、振替口座簿の記載で区分するなど)がとられます。
「業者の自己資金の運用のために、信託銀行を利用する仕組みである」も誤りです。業者自身の資金運用のための制度ではなく、顧客の金銭を保全するための制度です。
「顧客の同意を得たときに限り、金銭を信託する仕組みとされている」も誤りです。分別管理は法律上の義務であり、顧客の同意があるかどうかで免除されることはありません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、金銭と有価証券で方法が違う点の取り違えです。金銭は信託会社等に信託、有価証券は自己の財産と区別して管理、と対応させて覚えると迷いません。
問34-7

顧客資産の分別管理の状況に対する監査について、誤っているものはどれか。

  • ①公認会計士または監査法人による監査を、定期的に受ける必要がある
  • ②社内の内部監査部門による点検を行えば、外部の監査は不要になる
  • ③分別管理の状況を外部の目で確かめる仕組みとして設けられている
  • ④顧客分別金信託による金銭の管理も、監査の対象に含まれている
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正解 ②社内の内部監査部門による点検を行えば、外部の監査は不要になる
解説
分別管理は「守られていて当然」という前提で成り立つ制度なので、本当に守られているかを外部の目で確かめる仕組みがなければ意味がありません。そこで金融商品取引法四十三条の二第三項は、金融商品取引業者等に対し、分別管理の状況について公認会計士または監査法人の監査を定期的に受けることを義務づけています。これを分別管理監査と呼び、日本証券業協会も分別管理監査に関する規則を定めています。社内の点検だけでは、経営がつまずいたときに都合の悪い事実が表に出ないおそれがあります。会社と利害関係のない外部の職業的専門家が確かめる形にしておくことで、制度の実効性が保たれているのです。したがって「社内の内部監査部門による点検を行えば、外部の監査は不要になる」が誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「公認会計士または監査法人による監査を、定期的に受ける必要がある」は正しい記述です。法律が定める義務であり、顧客からの請求の有無にかかわらず定期的に受けなければなりません。
「分別管理の状況を外部の目で確かめる仕組みとして設けられている」も正しい記述です。社内の点検では届かない部分を埋めるために外部の監査が置かれています。
「顧客分別金信託による金銭の管理も、監査の対象に含まれている」も正しい記述です。有価証券の保管だけでなく、金銭の管理も分別管理の一部として対象になります。むしろ金銭のほうが混ざりやすく、確認の必要が高い部分です。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、社内の監査部門による点検と公認会計士による監査を同じものとして扱ってしまう点です。この制度で求められているのは外部の監査であり、社内の点検では代えられないと押さえておきましょう。
問44-7

日本投資者保護基金による補償の内容について、正しいものはどれか。

  • ①補償の額に上限はなく、業者に預けていた資産の全額が補償の対象になる
  • ②相場の下落によって生じた損失も、補償の対象に含まれている
  • ③一般顧客1人につき、合計1,000万円を上限として金銭で補償する
  • ④適格機関投資家や国も、一般顧客と同じように補償の対象になる
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正解 ③一般顧客1人につき、合計1,000万円を上限として金銭で補償する
解説
分別管理が正しく行われていれば、業者が破綻しても顧客の資産は戻ってきます。しかし、万一分別管理の義務が守られておらず資産が返還されない場合に備えて、二重の安全網として用意されているのが日本投資者保護基金です。金融商品取引法七十九条の二十により、補償の対象となるのは「一般顧客」で、一人あたり合計1,000万円を上限として金銭で補償されます。複数の証券会社が破綻した場合は、破綻した会社ごとに一人1,000万円が上限となります。なお、顧客が業者に対して買付代金の立替えなどの債務を負っているときは、その額が補償額から差し引かれます。あくまで分別管理が破られたときの最後の受け皿であり、投資の損を埋める制度ではない点が重要です。

他の選択肢が不適切な理由
「補償の額に上限はなく、業者に預けていた資産の全額が補償の対象になる」は誤りです。一人あたり1,000万円という上限が定められています。
「相場の下落によって生じた損失も、補償の対象に含まれている」も誤りです。相場の値下がりによる損失は分別管理とまったく関係がないため、補償の対象外です。発行会社が破綻して元利金が支払われない場合も同じく対象外です。
「適格機関投資家や国も、一般顧客と同じように補償の対象になる」も誤りです。適格機関投資家、国、地方公共団体などのプロの投資家は一般顧客に当たらず、対象から除かれています。自ら破綻の危険を判断できる立場にあると考えられているためです。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、預金保険制度と混同して、この基金が投資の損失まで補ってくれると考えてしまう点です。補うのは「返ってこなかった資産」だけで、「値下がりした分」ではないと区別しましょう。
問54-7

日本投資者保護基金の補償の対象について、誤っているものはどれか。

  • ①業者が破綻し、分別管理の義務が守られていなかった場合に補償される
  • ②一般顧客であっても、仮名や借名で取引していた者は対象とならない
  • ③発行会社が破綻して債券の元利金が支払われない損失は対象外である
  • ④破綻した業者の役員が預けていた資産も、一般顧客として補償される
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正解 ④破綻した業者の役員が預けていた資産も、一般顧客として補償される
解説
日本投資者保護基金の補償は「一般顧客」に限られますが、形式のうえで顧客であればすべて対象になるわけではありません。破綻した金融商品取引業者の役員や親法人等が預けていた資産は、一般顧客から除かれています。会社の内情を知り、経営に影響を与えられる立場にある者を、一般の投資者と同じように守る必要はないからです。同じ考え方から、仮名や借名で取引していた者も対象から除かれます。名義を偽った取引を保護すると、資金の出所を隠す行為を後押ししてしまうためです。したがって「破綻した業者の役員が預けていた資産も、一般顧客として補償される」が誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「業者が破綻し、分別管理の義務が守られていなかった場合に補償される」は正しい記述です。これがまさに基金の出番となる場面です。分別管理が守られていれば、資産はそのまま返還されます。
「一般顧客であっても、仮名や借名で取引していた者は対象とならない」も正しい記述です。名義を偽っていた者は保護の対象外とされています。
「発行会社が破綻して債券の元利金が支払われない損失は対象外である」も正しい記述です。発行体の信用によって生じた損失は投資者が負うもので、分別管理の問題ではないため補償されません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、「一般顧客」を「個人であれば全員」と読み替えてしまう点です。破綻した会社の役員や親法人等、そして仮名・借名の取引者は外れる、という例外を先に押さえておきましょう。
問64-7

顧客の残高を通知する照合通知書の作成および交付について、正しいものはどれか。

  • ①作成は、検査、監査または管理を担当する部門において行われる
  • ②作成と交付は、その顧客を担当する営業の部門が行うことになる
  • ③顧客の勤務先に持参し、担当者が手渡すことが原則とされている
  • ④記載する内容は、有価証券の売買の履歴だけと定められている
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正解 ①作成は、検査、監査または管理を担当する部門において行われる
解説
照合通知書は、業者が把握している顧客の債権債務の残高を顧客に知らせ、顧客自身の記録と突き合わせてもらうための書面です。日本証券業協会の「有価証券の寄託の受入れ等に関する規則」(寄託規則)は、照合通知書の作成を、会員の検査、監査または管理を担当する部門において行うものと定めています。もし営業の担当者が作成や交付を行えば、不正な売買や資産の流用を隠したい担当者が、都合よく数字を書き換えたり通知そのものを届けないようにしたりできてしまいます。だからこそ、営業から独立した部門が作ることになっているのです。同じ趣旨から、記載内容に相違や疑義があるときの照会先も、担当営業員ではなく検査、監査または管理を担当する部門の責任者とすることが定められています。

他の選択肢が不適切な理由
「作成と交付は、その顧客を担当する営業の部門が行うことになる」は誤りです。営業部門に任せると、不正の当事者が自分に都合よく処理できるため、制度の意味がなくなります。
「顧客の勤務先に持参し、担当者が手渡すことが原則とされている」も誤りです。原則は、顧客の住所、事務所の所在地、または顧客が指定した場所への郵送です。店頭での直接交付などは例外的な取扱いです。
「記載する内容は、有価証券の売買の履歴だけと定められている」も誤りです。記載するのは残高であり、立替金や預り金の直近の残高、寄託を受けている有価証券の直近の残高、未決済勘定の直近の残高などが対象になります。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、照合通知書を「取引の明細を知らせる書面」と考えてしまう点です。知らせるのは明細ではなく残高であり、作るのは営業ではない部門、という二点で覚えておきましょう。
問74-7

照合通知書の交付の方法および顧客からの残高の照会について、誤っているものはどれか。

  • ①顧客の住所や、顧客が指定した場所に郵送する方法で交付する
  • ②内容に相違があるときの照会先は、担当の営業員とされている
  • ③交付した日と交付の方法を記録し、後から確認できるようにする
  • ④残高についての照会の受付けと回答は、営業以外の部門が行う
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正解 ②内容に相違があるときの照会先は、担当の営業員とされている
解説
照合通知書は、顧客に確実に届き、記載に納得できないときに営業とは別の窓口へ言えることが制度の生命線です。「有価証券の寄託の受入れ等に関する規則」(寄託規則)は、照合通知書に、受け取ったら記載内容を確認すること、内容に相違または疑義があるときは遅滞なく当該会員の検査、監査または管理を担当する部門の責任者に直接照会すること、そしてその連絡先を、見やすいように表示しなければならないと定めています。照会先が担当の営業員では、その営業員が不正の当事者だった場合に事実が表に出ないため、あえて営業から独立した部門を指定しているのです。したがって「内容に相違があるときの照会先は、担当の営業員とされている」が誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「顧客の住所や、顧客が指定した場所に郵送する方法で交付する」は正しい記述です。同規則は、顧客の住所、事務所の所在地、または顧客が指定した場所への郵送によることを原則としています。
「交付した日と交付の方法を記録し、後から確認できるようにする」も正しい記述です。交付日と交付方法を発信簿などの帳票に記録し、その事実が容易に確認できるようにしなければならないとされています。
「残高についての照会の受付けと回答は、営業以外の部門が行う」も正しい記述です。照会の受付けと回答も、検査、監査または管理を担当する部門において行うものとされています。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、顧客に何かを聞かれたら担当の営業員が答えるのが当然だと考えてしまう点です。残高の照合に関する限り、窓口はあえて営業の外に置かれている、と例外として覚えておきましょう。
問84-7

取引残高報告書と照合通知書の関係について、正しいものはどれか。

  • ①取引残高報告書を交付している場合でも、照合通知書は別に交付する
  • ②照合通知書を交付していれば、取引残高報告書の交付は不要になる
  • ③取引残高報告書に所定の記載があれば、照合通知書の報告は要しない
  • ④両者はいずれも、顧客から請求があったときにのみ交付すればよい
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正解 ③取引残高報告書に所定の記載があれば、照合通知書の報告は要しない
解説
取引残高報告書は、金融商品取引業等に関する内閣府令に基づいて交付される書面で、有価証券の売買等の取引がある顧客には原則として三か月に一回以上、取引はなく残高だけがある顧客には十二か月に一回以上交付されます。一方、照合通知書は日本証券業協会の「有価証券の寄託の受入れ等に関する規則」(寄託規則)に基づく残高の通知です。両者は目的が重なる部分が大きいため、同規則は、顧客に取引残高報告書を定期的に交付しており、その報告書に照合通知書へ記載すべき項目の記載がある場合には、照合通知書による報告を要しないと定めています。実務では、証券会社は取引残高報告書に照合通知書の記載事項を追加して一通で通知するのが一般的です。同じ内容の書面を二通送っても顧客の手間が増えるだけだからです。

他の選択肢が不適切な理由
「取引残高報告書を交付している場合でも、照合通知書は別に交付する」は誤りです。所定の記載があれば照合通知書による報告は不要になり、必ず別に交付しなければならないわけではありません。
「照合通知書を交付していれば、取引残高報告書の交付は不要になる」も誤りです。省略できる関係は逆向きです。取引残高報告書の交付は法令上の義務であり、自主規制規則に基づく照合通知書で代えることはできません。
「両者はいずれも、顧客から請求があったときにのみ交付すればよい」も誤りです。どちらも定められた頻度で業者の側から交付するものであり、請求を待って出す書面ではありません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、省略できる向きを逆に覚えてしまう点です。法令に基づく取引残高報告書が土台で、自主規制規則に基づく照合通知書のほうが省略される側、と上下関係で押さえておきましょう。
問94-7

取引の内容を顧客に知らせる契約締結時交付書面について、正しいものはどれか。

  • ①顧客との取引の勧誘に先立って、あらかじめ交付する書面である
  • ②交付するのは、はじめて口座を開設したときの1回だけである
  • ③上場株式の売買については、交付を省略できることとされている
  • ④有価証券の売買が成立したつど、その内容を記載して交付する
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正解 ④有価証券の売買が成立したつど、その内容を記載して交付する
解説
契約締結時交付書面は、取引が成立したその都度、銘柄、数量、単価、約定の日、手数料といった内容を記載して顧客に交付する書面です。顧客は、自分の注文した内容と実際に成立した取引が合っているかを、この書面で一件ごとに確かめることができます。もし注文と違う銘柄や数量で処理されていれば、すぐに気づいて申し出ることができるわけです。取引が終わった後に知らせる書面なので、勧誘の前に交付する契約締結前交付書面とは役割がはっきり違います。前者は「これから買う商品のリスクを知らせる」書面、後者は「実際にこう成立しました」と知らせる書面です。なお、作成と交付の手続については、照合通知書に関する寄託規則の定めが準用されています。法律上の位置づけも変わっています。令和6年11月施行の改正により、この書面にあたるものは金融商品取引法37条の4の「契約締結時等の情報の提供」として整理され、内閣府令では「契約締結時等交付書面」と呼ばれています。勧誘の前に渡すほうも、同法37条の3の「契約締結前の情報の提供」になりました。協会の規則や学習教材では、従来の「契約締結時交付書面」「契約締結前交付書面」という呼び方も引き続き使われています。

他の選択肢が不適切な理由
「顧客との取引の勧誘に先立って、あらかじめ交付する書面である」は誤りです。勧誘に先立って交付し、商品の内容や手数料、リスクを知らせるのは契約締結前交付書面です。名前が似ているので取り違えに注意が必要です。
「交付するのは、はじめて口座を開設したときの1回だけである」も誤りです。取引が成立するたびに交付されるものであり、口座開設時に一度きりではありません。
「上場株式の売買については、交付を省略できることとされている」も誤りです。上場株式の売買はまさにこの書面が交付される代表的な取引で、省略できる扱いにはなっていません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、契約締結前交付書面との取り違えです。「前」は買う前のリスク説明、「時」は成立したつどの内容の報告、と名前のとおりの時点で覚えておきましょう。
問104-7

保護預り契約を締結するときに必要となる手続として、正しいものはどれか。

  • ①保護預り約款に基づく契約を結び、口座設定申込書の提出を受ける
  • ②顧客から口頭で申込みがあれば、契約を結ばずに預かってよい
  • ③上場株式の株券を、顧客ごとに金庫に分けて保管する仕組みである
  • ④累積投資契約に基づく寄託についても、同じ手続が必要とされる
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正解 ①保護預り約款に基づく契約を結び、口座設定申込書の提出を受ける
解説
顧客から有価証券を預かるときは、預かる条件をあらかじめはっきりさせておかなければ、返還の方法や責任の範囲をめぐって後で争いになります。そこで「有価証券の寄託の受入れ等に関する規則」(寄託規則)は、単純な寄託契約または混合寄託契約により有価証券の寄託を受ける場合には、顧客と保護預り約款に基づく契約(保護預り契約)を締結しなければならないと定めています。さらに、契約を結ぶときは顧客から保護預り口座の設定を申し込む旨を記載した保護預り口座設定申込書の提出を受け、申込みを承諾したときは遅滞なく口座を設定して顧客に通知します。約款には、保管の方法と場所、混合保管等への同意、返還に関する事項、免責事項などを定めることとされています。

他の選択肢が不適切な理由
「顧客から口頭で申込みがあれば、契約を結ばずに預かってよい」は誤りです。保護預り契約の締結と口座設定申込書の提出が必要で、口頭の申込みだけで預かることはできません。
「上場株式の株券を、顧客ごとに金庫に分けて保管する仕組みである」も誤りです。上場株式は株式等振替制度のもとで振替口座簿の記録によって管理されており、株券を顧客ごとに現物で分けて保管しているわけではありません。
「累積投資契約に基づく寄託についても、同じ手続が必要とされる」も誤りです。累積投資契約および常任代理人契約に基づく有価証券の寄託には、保護預り契約に関する章の規定は適用されないこととされています。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、保護預りを「金庫で預かること」という言葉のイメージで理解してしまう点です。実際は振替口座簿の記録による管理であり、大切なのは約款に基づく契約と口座の設定という手続の側だと押さえましょう。

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