2026年版・8-11

財務諸表の応用とキャッシュ・フロー分析の一問一答

証券外務員二種「関連科目」から、財務諸表の応用とキャッシュ・フロー分析に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問18-11

ある会社の当期のキャッシュ・フロー計算書の数値は次のとおりであった。営業活動によるキャッシュ・フロー1,850万円、投資活動によるキャッシュ・フロー△1,100万円、財務活動によるキャッシュ・フロー△400万円。このとき、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計として求めるフリー・キャッシュ・フローはいくらか。なお、△は資金の減少を表すものとし、税金および手数料は考慮しない。

  • ①2,950万円
  • ②1,850万円
  • ③750万円
  • ④△750万円
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正解 ③750万円
解説
フリー・キャッシュ・フローは、会社が本業で稼いだ現金のうち、事業を続けるために必要な設備などへの投資を済ませたあとに、自由に使える形で残った現金を表します。借入れの返済に充てるのか、配当として株主に回すのか、手元に積んでおくのかを選べる部分なので、企業の体力をみるうえで重視されます。求め方としては、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加える方法が広く用いられます。投資活動によるキャッシュ・フローは通常マイナスになるため、実際には営業活動で得た現金から投資に出ていった現金を差し引くことになります。財務活動によるキャッシュ・フローは資金の調達と返済を表す区分であり、この計算には含めません。

計算過程
フリー・キャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー
=1,850万円+(△1,100万円)
=1,850万円-1,100万円
=750万円

他の選択肢が不適切な理由
「2,950万円」は、投資活動によるキャッシュ・フローのマイナス符号を無視して足し合わせた数値です(1,850+1,100)。投資で現金が出ていった事実が反映されていません。
「1,850万円」は、営業活動によるキャッシュ・フローをそのままフリー・キャッシュ・フローとした数値です。投資の分を差し引いていないため、自由に使える現金を過大に示してしまいます。
「△750万円」は、営業と投資を引く向きを逆にした数値です(1,100-1,850)。どちらから差し引くのかを取り違えると符号が反対になります。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、財務活動によるキャッシュ・フローまで足してしまうことです。財務活動は借入れや配当という「稼いだあとの使い道」を表す区分なので、自由に使える金額を測る計算には入りません。「本業で稼いだ分から、続けるための投資を引く」という順序で覚えてください。
問28-11

ある会社の当期のキャッシュ・フロー計算書の数値は次のとおりであった。現金及び現金同等物の期首残高620万円、営業活動によるキャッシュ・フロー1,480万円、投資活動によるキャッシュ・フロー△900万円、財務活動によるキャッシュ・フロー△350万円。このとき、現金及び現金同等物の期末残高はいくらか。なお、△は資金の減少を表すものとし、為替変動の影響、税金および手数料は考慮しない。

  • ①850万円
  • ②230万円
  • ③1,550万円
  • ④3,350万円
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正解 ①850万円
解説
キャッシュ・フロー計算書は、営業活動・投資活動・財務活動の三つの区分に分けて一会計期間の現金の動きを示し、最後に期首の残高と結び付けて期末の残高に至る形で作られます(企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」)。三つの区分の金額を合計したものが現金及び現金同等物の増減額であり、これに期首残高を加えると期末残高になります。損益計算書は「もうけ」を、貸借対照表は「ある時点の財産の状態」を示しますが、キャッシュ・フロー計算書は「現金が実際にどこから入りどこへ出たか」を示します。三つの区分の合計と残高の増減が必ず一致するため、計算のつじつまが合うかを確かめやすい書類でもあります。

計算過程
現金及び現金同等物の増減額=営業活動+投資活動+財務活動
=1,480万円+(△900万円)+(△350万円)
=1,480万円-900万円-350万円
=230万円
期末残高=期首残高+増減額
=620万円+230万円
=850万円

他の選択肢が不適切な理由
「230万円」は、期中の増減額を求めたところで止めてしまった数値です。期首残高620万円を加えていないため、残高ではなく増えた分だけを答えたことになります。
「1,550万円」は、財務活動によるキャッシュ・フロー△350万円をプラスとして扱った数値です(620+1,480-900+350)。返済や配当で現金が出ていった事実が逆に計上されています。
「3,350万円」は、マイナスの区分をすべてプラスとして足し合わせた数値です(620+1,480+900+350)。符号を確認せずに合計すると、この種の大きすぎる数値になります。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、増減額と期末残高を混同することです。設問が「残高」を聞いているなら、必ず最後に期首残高を足す一手間が残っています。三つの区分を合計した段階で答えを選ばないよう、「合計+期首=期末」と最後まで書き切る習慣をつけてください。
問38-11

ある会社の当期の資料は次のとおりであった。税金等調整前当期純利益900万円、減価償却費400万円、売上債権の増加額250万円、棚卸資産の減少額120万円、仕入債務の増加額80万円。このとき、間接法によって求めた営業活動によるキャッシュ・フローはいくらか。なお、これ以外の調整項目、法人税等の支払額、税金および手数料は考慮しない。

  • ①1,750万円
  • ②1,250万円
  • ③1,350万円
  • ④450万円
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正解 ②1,250万円
解説
間接法は、税金等調整前当期純利益を出発点として、現金の動きを伴わない損益や、営業に関する資産・負債の増減を加減することで営業活動によるキャッシュ・フローを求める方法です(企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」)。加減の向きは、現金が実際に増えたか減ったかで決まります。減価償却費は費用として利益を減らしていますが現金は出ていかないので足し戻します。売上債権が増えたのは売上のうち代金を受け取っていない分が増えたということなので差し引きます。棚卸資産が減ったのは在庫が現金に変わったということなので足します。仕入債務が増えたのは支払を先延ばしにしている分が増えたということなので足します。

計算過程
営業活動によるキャッシュ・フロー=税金等調整前当期純利益+減価償却費-売上債権の増加額+棚卸資産の減少額+仕入債務の増加額
=900万円+400万円-250万円+120万円+80万円
=1,300万円-250万円+200万円
=1,250万円

他の選択肢が不適切な理由
「1,750万円」は、売上債権の増加額250万円を差し引かずに足してしまった数値です(900+400+250+120+80)。売掛金が増えた分は現金として入っていないので、必ず差し引きます。
「1,350万円」は、資産・負債の増減の符号をすべて逆にした数値です(900+400+250-120-80)。増えたのが資産か負債かで向きが変わる点を取り違えた形です。
「450万円」は、減価償却費400万円を足し戻さずに差し引いた数値です(900-400-250+120+80)。現金支出のない費用を二重に引いてしまっています。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、加減の向きです。「資産が増えたら現金は減る、負債が増えたら現金は残る」と覚えると迷いません。売上債権や棚卸資産は資産なので増えたら差し引き、仕入債務は負債なので増えたら足します。減価償却費は「現金が出ない費用だから足し戻す」と理由ごと覚えてください。
問48-11

ある会社が期首に取得原価1,000万円の機械装置を取得し、定率法(償却率0.2)によって減価償却を行っている場合、取得から3年が経過した時点(3年分の減価償却を行った後)の帳簿価額はいくらか。なお、減損および資本的支出は生じていないものとし、期首取得のため初年度も1年分を償却する。また税金および手数料は考慮しない。

  • ①640万円
  • ②488万円
  • ③400万円
  • ④512万円
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正解 ④512万円
解説
定率法は、期首の帳簿価額(未償却の残高)に一定の償却率を掛けて各期の減価償却費を計算する方法です。毎期同じ金額を計上する定額法と違い、初めのうちは償却費が大きく、年が経つにつれて小さくなっていきます。使い始めた直後のほうが価値の減り方が大きい資産の実態に合わせた方法で、機械装置などで用いられます。計算では、各年の期首の帳簿価額に償却率を掛けた額を差し引いていきます。言い換えると、1年経つごとに帳簿価額が(1-償却率)倍になっていくため、償却率0.2なら毎年0.8倍になります。

計算過程
1年目の減価償却費=1,000万円×0.2=200万円
1年後の帳簿価額=1,000万円-200万円=800万円
2年目の減価償却費=800万円×0.2=160万円
2年後の帳簿価額=800万円-160万円=640万円
3年目の減価償却費=640万円×0.2=128万円
3年後の帳簿価額=640万円-128万円=512万円
(1,000万円×0.8×0.8×0.8=512万円)

他の選択肢が不適切な理由
「640万円」は、2年分しか償却していない場合の帳簿価額です。3年分を求める問題なので、あと1年分(128万円)を差し引く必要があります。
「488万円」は、3年間の減価償却費の累計額(200+160+128=488万円)です。累計額と帳簿価額はちょうど足して取得原価になる関係にあり、両者を取り違えると答えが入れ替わります。
「400万円」は、定額法で計算した場合の帳簿価額です(1,000万円-1,000万円×0.2×3年)。定率法では2年目以降の償却費が小さくなるため、定額法より帳簿価額は大きく残ります。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、償却率を毎年「取得原価」に掛けてしまうことです。定率法で掛ける相手は取得原価ではなく期首の帳簿価額です。3年分なら(1-0.2)を3回掛けると一度に求められる、と押さえておくと計算も速く、掛ける相手の取り違えも防げます。
問58-11

ある会社の当期の商品の受払いは次のとおりであった。期首棚卸高100個(1個当たり200円)、当期仕入は1回目が300個(1個当たり230円)、2回目が200個(1個当たり250円)で、当期の販売数量は450個であった。このとき、先入先出法によって計算した期末の棚卸資産の金額はいくらか。なお、棚卸減耗および収益性の低下による簿価の切下げは生じていないものとし、税金および手数料は考慮しない。

  • ①37,500円
  • ②30,000円
  • ③34,500円
  • ④34,750円
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正解 ①37,500円
解説
先入先出法は、先に仕入れた商品から先に販売されていくと仮定して払い出す単価を決める方法です(企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」)。この仮定に立つと、期末に残っているのは最も新しく仕入れた分になるため、期末の棚卸資産は直近の仕入単価で評価されます。まず数量を押さえます。期首100個に仕入500個を加えた600個のうち450個が売れたので、期末に残るのは150個です。この150個は2回目の仕入(200個、1個当たり250円)の一部として残っていると考えます。なお、現在の会計基準で認められている評価方法は個別法・先入先出法・平均原価法・売価還元法であり、後入先出法は2008年の改正で廃止されています。

計算過程
期末の数量=100個+300個+200個-450個=150個
先入先出法では期末在庫は最も新しい仕入分から構成される
2回目の仕入は200個(1個当たり250円)で、150個はこの範囲内に収まる
期末の棚卸資産=150個×250円=37,500円
(検算:期首と仕入の合計金額139,000円-37,500円=売上原価101,500円)

他の選択肢が不適切な理由
「30,000円」は、期末在庫を最も古い単価200円で評価した数値です(150個×200円)。これは後に仕入れた分から先に売れると仮定する考え方で、先入先出法とは逆の結果になります。
「34,500円」は、1回目の仕入単価230円で評価した数値です(150個×230円)。期末在庫が新しい方から残るという前提を使い切れていません。
「34,750円」は、期首と仕入の合計金額139,000円を総数量600個で割った平均単価231.66…円で評価した数値です。これは平均原価法による金額であり、先入先出法の答えではありません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、期末在庫を古い単価で評価してしまうことです。先入先出法は「古いものから出ていく」方法なので、残るのは新しいものであり、期末の評価に使うのは新しい単価です。値上がり局面では先入先出法のほうが期末棚卸資産が大きくなり、売上原価が小さくなるため利益が大きく出る、という関係もあわせて押さえてください。
問68-11

キャッシュ・フロー計算書における営業活動によるキャッシュ・フローの表示方法に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①間接法は、税金等調整前当期純利益に非資金項目を加減する方法である
  • ②直接法は、主要な取引ごとに収入と支出を総額で表示する方法である
  • ③営業活動の区分は、直接法と間接法のいずれかを選択して表示できる
  • ④法人税等の支払額は、財務活動によるキャッシュ・フローに記載する
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正解 ④法人税等の支払額は、財務活動によるキャッシュ・フローに記載する
解説
営業活動によるキャッシュ・フローの区分には、直接法と間接法という二つの表示方法があり、作成する会社がいずれかを選ぶことができます(企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」)。直接法は営業収入や仕入支出などを主要な取引ごとに総額で並べる方法で、現金の出入りがそのまま見える利点があります。間接法は税金等調整前当期純利益から出発し、減価償却費のように現金の動きを伴わない項目や、売上債権・棚卸資産などの増減を加減していく方法で、利益と現金のずれの原因が分かる利点があります。なお法人税等の支払額は、営業活動によるキャッシュ・フローの区分に記載することとされています。

他の選択肢が不適切な理由
「間接法は、税金等調整前当期純利益に非資金項目を加減する方法である」は正しい説明です。利益を出発点とする点が間接法の特徴です。
「直接法は、主要な取引ごとに収入と支出を総額で表示する方法である」も正しい記述で、営業収入・仕入支出・人件費支出などを並べて表示します。
「営業活動の区分は、直接法と間接法のいずれかを選択して表示できる」も正しく、基準はどちらか一方を強制していません。実務では間接法が多く用いられています。
これに対し「法人税等の支払額は、財務活動によるキャッシュ・フローに記載する」は誤りです。法人税等に係るキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローの区分に記載します。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、税金の支払を財務活動だと思い込むことです。財務活動の区分に入るのは、借入れ・返済・株式の発行・配当の支払といった「資金の調達と返済」に関する取引です。税金は事業活動から生じるものなので営業活動に入る、と理由から押さえてください。
問78-11

キャッシュ・フロー計算書における利息および配当金の表示に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①受取利息を営業活動によるキャッシュ・フローに記載する方法がある
  • ②支払利息は、いずれの方法によっても投資活動の区分に記載する
  • ③受取配当金を投資活動によるキャッシュ・フローに記載してもよい
  • ④支払配当金は、いずれの方法でも財務活動の区分に記載される
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正解 ②支払利息は、いずれの方法によっても投資活動の区分に記載する
解説
利息および配当金の表示については、二つの方法のいずれかを選ぶことが認められています(企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」)。1つ目は、受取利息・受取配当金・支払利息を営業活動によるキャッシュ・フローの区分に記載し、支払配当金だけを財務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する方法です。2つ目は、受取利息・受取配当金を投資活動によるキャッシュ・フローの区分に記載し、支払利息・支払配当金を財務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する方法です。前者は損益計算書との対応を重視し、後者は運用から生じる収入と調達に伴う支出という性質を重視した整理といえます。どちらの方法でも、支払配当金は財務活動の区分に記載されます。

他の選択肢が不適切な理由
「受取利息を営業活動によるキャッシュ・フローに記載する方法がある」は正しい記述です。1つ目の方法では、受取利息は営業活動の区分に記載されます。
「受取配当金を投資活動によるキャッシュ・フローに記載してもよい」も正しく、2つ目の方法による扱いに当たります。
「支払配当金は、いずれの方法でも財務活動の区分に記載される」も正しい記述です。株主への分配は資金の返還に当たるため、どちらの方法でも財務活動に入ります。
これに対し「支払利息は、いずれの方法によっても投資活動の区分に記載する」は誤りです。支払利息が入るのは営業活動の区分または財務活動の区分であり、投資活動の区分に記載する扱いは認められていません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、支払利息の置き場所です。投資活動は固定資産や有価証券の取得・売却を記載する区分なので、借入れの利息はここには入りません。「受け取る側は営業か投資、支払う側は営業か財務」と、受払いの向きで入りうる区分をセットにして覚えてください。
問88-11

キャッシュ・フロー計算書が対象とする資金、すなわち現金及び現金同等物の範囲に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①取得日から満期日までの期間が1年以内の定期預金も現金同等物である
  • ②価格の変動が大きい上場株式であっても、現金同等物に含まれる
  • ③取得日から3か月以内に満期が到来する定期預金は現金同等物である
  • ④普通預金は要求払預金であるが、現金の範囲には含まれていない
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正解 ③取得日から3か月以内に満期が到来する定期預金は現金同等物である
解説
キャッシュ・フロー計算書が対象とする資金は「現金及び現金同等物」です(企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」)。ここでいう現金とは、手元にある現金と、当座預金・普通預金・通知預金のようにいつでも引き出せる預金(要求払預金)を指します。現金同等物とは、容易に換金することができ、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資をいい、具体例として取得日から満期日または償還日までの期間が3か月以内の定期預金、譲渡性預金、コマーシャル・ペーパーなどが挙げられています。値動きの大きいものを含めてしまうと「現金がいくらあるか」という数字が相場によって揺れてしまうため、価値が安定していることが条件になっています。

他の選択肢が不適切な理由
「取得日から満期日までの期間が1年以内の定期預金も現金同等物である」は期間の誤りです。基準が示す目安は3か月以内であり、1年以内のものまで含めると短期投資の範囲が広がりすぎます。
「価格の変動が大きい上場株式であっても、現金同等物に含まれる」は誤りです。現金同等物の条件には価値の変動リスクが僅少であることが含まれるため、値動きの大きい株式は該当しません。
「普通預金は要求払預金であるが、現金の範囲には含まれていない」も誤りです。要求払預金は現金の範囲に含まれ、当座預金・普通預金・通知預金がその例として挙げられています。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、3か月と1年の取り違えです。貸借対照表の流動・固定の区分では1年という基準(一年基準)を使うため、その数字を持ち込んでしまいがちです。現金同等物は「3か月以内」で、貸借対照表の区分の「1年」とは別の基準だと切り分けて覚えてください。
問98-11

当期純利益と営業活動によるキャッシュ・フローが一致しない理由に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①減価償却費は費用になるが現金の支出を伴わないためずれが生じる
  • ②売掛金が増えると、利益より先に現金が入ってくるためずれが生じる
  • ③棚卸資産が増えても、現金の支出は生じないためずれは生じない
  • ④仕入債務が増えると、支払が済んだことになるため現金は減っている
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正解 ①減価償却費は費用になるが現金の支出を伴わないためずれが生じる
解説
損益計算書の利益は、現金の受払いの時期とは切り離して、収益と費用が発生した期間に割り当てて計算されます。そのため利益と手元の現金の増減は一致せず、黒字なのに資金が足りない、あるいは赤字でも現金が増えるという状況が起こります。ずれを生む代表例が減価償却費です。取得したときに現金を支払い済みの設備について、その後の各期に費用として配分するものなので、費用にはなるものの当期に現金は出ていきません。ほかにも、売上を計上したが代金が未回収の場合(売上債権の増加)は利益だけが先に増え、仕入代金の支払を先延ばしにしている場合(仕入債務の増加)は費用が先に立って現金はまだ残っています。この構造を示すのがキャッシュ・フロー計算書の役割です。

他の選択肢が不適切な理由
「売掛金が増えると、利益より先に現金が入ってくるためずれが生じる」は順序が逆です。売掛金が増えたのは代金を受け取っていない売上が増えたということなので、利益が先に立ち、現金の入りは後になります。
「棚卸資産が増えても、現金の支出は生じないためずれは生じない」も誤りです。在庫を増やすには仕入代金の支払や製造のための支出が必要で、その分の費用は売れるまで計上されないため、利益と現金のずれが生じます。
「仕入債務が増えると、支払が済んだことになるため現金は減っている」も誤りです。仕入債務が増えたのは支払が済んでいない分が増えたということなので、現金はまだ手元に残っています。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、債権と債務の増加を現金の動きと逆に読むことです。「売掛金が増えた=まだもらっていない」「買掛金が増えた=まだ払っていない」と、増えた分は必ず「未」の状態だと言い換えて確認してください。黒字倒産という言葉があるのも、利益と現金が別物だからです。
問108-11

連結財務諸表におけるのれん、非支配株主持分および持分法の取扱いに関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①のれんは、20年以内の期間にわたって規則的に償却されている
  • ②非支配株主持分は、連結貸借対照表の純資産の部に表示される
  • ③持分法は、投資の金額を持分に応じて修正していく方法である
  • ④のれんは、償却を行わず減損の判定のみを毎期行うものとされる
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正解 ④のれんは、償却を行わず減損の判定のみを毎期行うものとされる
解説
のれんは、子会社を取得したときに支払った金額が、受け入れた資産と負債の時価による純額を上回る部分をいい、ブランドや顧客との関係のように帳簿には表れない価値に対して支払った超過額を表します。わが国の会計基準では、のれんは20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって定額法などの合理的な方法により規則的に償却し、あわせて価値が大きく下がったときには減損の処理を行います(企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」)。子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分は非支配株主持分と呼ばれ、連結貸借対照表の純資産の部に表示されます。また、子会社ほどの支配はないものの重要な影響を与えられる関連会社には持分法が適用され、投資の金額を持分に応じて毎期修正していきます。

他の選択肢が不適切な理由
「のれんは、20年以内の期間にわたって規則的に償却されている」は正しい記述です。買収の成果が費用として毎期の損益に反映される仕組みになっています。
「非支配株主持分は、連結貸借対照表の純資産の部に表示される」も正しく、以前は少数株主持分と呼ばれていた項目です。
「持分法は、投資の金額を持分に応じて修正していく方法である」も正しい記述です。資産や負債を項目ごとに合算するのではなく投資の金額だけを修正するため、一行連結とも呼ばれます。
これに対し「のれんは、償却を行わず減損の判定のみを毎期行うものとされる」は誤りです。これは国際的な会計基準における扱いであり、わが国の基準では規則的な償却と減損の両方を行います。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、のれんを償却しないという国際的な扱いをわが国の基準と混同することです。わが国では「20年以内に償却し、加えて減損もみる」と二段構えで押さえてください。持分法と全部連結の違いも、「持分法は投資の一行だけを直す、連結は資産と負債を丸ごと合算する」と対比して覚えると混同しません。

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