2026年版・4-8

特定賃貸借契約(サブリース契約)の内容・標準契約書の一問一答

賃貸不動産経営管理士試験「賃貸借契約」から、特定賃貸借契約(サブリース契約)の内容・標準契約書に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-8

いわゆるサブリース方式による賃貸住宅経営における契約構造に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①オーナーとサブリース業者間のマスターリース契約と、業者・入居者間の転貸借契約という二段階構造をとる。
  • ②オーナーと入居者との間に直接の賃貸借契約が成立し、サブリース業者は仲介的な立場にとどまる。
  • ③マスターリース契約が締結されると、オーナーと入居者との間にも当然に賃貸借契約関係が生じる。
  • ④サブリース業者は入居者との間で契約を締結せず、オーナーが自ら入居者と直接契約を締結する仕組みである。
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正解 ①オーナーとサブリース業者間のマスターリース契約と、業者・入居者間の転貸借契約という二段階構造をとる。
解説
サブリース方式では、オーナーがサブリース業者(特定転貸事業者)に賃貸住宅を一括して賃貸するマスターリース契約(原賃貸借契約)と、サブリース業者がその賃貸住宅を入居者に転貸する転貸借契約(サブリース契約)という、二段階の契約構造が形成される。オーナーと入居者との間には直接の契約関係は生じない。

他の選択肢が不適切な理由
「オーナーと入居者との間に直接の賃貸借契約が成立し、サブリース業者は仲介的な立場にとどまる」とする記述は、サブリース方式ではオーナーと入居者の間に直接の契約関係は生じない点を見誤っている。「マスターリース契約が締結されると、オーナーと入居者との間にも当然に賃貸借契約関係が生じる」とする記述は、マスターリース契約の締結のみをもってオーナーと入居者間に契約関係が生じるとする点で誤りである。「サブリース業者は入居者との間で契約を締結せず、オーナーが自ら入居者と直接契約を締結する仕組みである」とする記述は、サブリース業者が入居者と契約を締結しないとする点が、転貸借の仕組みと矛盾している。
問24-8

賃貸住宅管理業法における「特定賃貸借契約」の定義に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①賃貸住宅の賃貸人と、これを転貸する事業を営む者との間で締結される、転貸を目的とする賃貸借契約をいう。
  • ②賃貸住宅の賃貸人が、賃貸住宅管理業者に建物の維持保全のみを委託する契約を広く指す用語である。
  • ③賃貸住宅の賃借人と転借人との間で締結される転貸借契約そのものを指す用語として定義されている。
  • ④賃貸住宅の賃貸人が、宅地建物取引業者との間で賃貸借契約の媒介を依頼するだけの契約のことを指している。
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正解 ①賃貸住宅の賃貸人と、これを転貸する事業を営む者との間で締結される、転貸を目的とする賃貸借契約をいう。
解説
賃貸住宅管理業法2条4項は、特定賃貸借契約を「賃貸住宅の賃貸借契約(賃借人が人的関係、資本関係その他の関係において賃貸人と密接な関係を有する者として国土交通省令で定める者であるものを除く。)であって、賃借人が当該賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結されるもの」と定義している。すなわち、オーナーとサブリース業者との間で締結されるいわゆるマスターリース契約がこれに該当する。そして、この特定賃貸借契約に基づき賃借した賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営む者が「特定転貸事業者」(同条5項)である。

他の選択肢が不適切な理由
「賃貸住宅の賃貸人が、賃貸住宅管理業者に建物の維持保全のみを委託する契約を広く指す用語である」とする記述は、維持保全等を委託する管理受託契約と特定賃貸借契約を混同しており、後者は転貸を目的とする賃貸借契約である点で異なる。「賃貸住宅の賃借人と転借人との間で締結される転貸借契約そのものを指す用語として定義されている」とする記述は、特定賃貸借契約をサブリース業者と入居者との間の転貸借契約そのものと定義しているが、正しくはオーナーとサブリース業者間の契約を指す。「賃貸住宅の賃貸人が、宅地建物取引業者との間で賃貸借契約の媒介を依頼するだけの契約のことを指している」とする記述は、宅地建物取引業者への媒介依頼契約と特定賃貸借契約を混同している。
問34-8

国土交通省が公表する特定賃貸借標準契約書における家賃改定に関する条項の位置づけに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①家賃改定条項を置いたとしても、それによって借地借家法32条の借賃増減請求権の適用が排除されるわけではない。
  • ②家賃改定条項が定められている以上、当事者は、借地借家法32条の借賃増減請求権を行使することができなくなる。
  • ③家賃改定条項は、賃料を将来にわたり固定する趣旨の条項であり、増減額の余地を認めないものである。
  • ④家賃改定条項を定めることは賃貸住宅管理業法によって明文で禁止されており、標準契約書にも置かれていない。
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正解 ①家賃改定条項を置いたとしても、それによって借地借家法32条の借賃増減請求権の適用が排除されるわけではない。
解説
特定賃貸借標準契約書は、頭書(4)に家賃改定日を記載させたうえ、第5条3項で、租税その他の負担の増減、経済事情の変動、近傍同種の建物の家賃との比較により家賃が不相当となった場合には、当事者が協議の上で家賃を改定できると定めている。もっとも、同契約書の頭書(4)には、本契約には借地借家法32条1項(借賃増減請求権)が適用されるため、家賃改定日以外の日であっても借主であるサブリース業者から家賃の減額を請求することができる旨が明記されている。すなわち、家賃改定に関する合意があっても、借賃増減請求権の適用そのものが排除されるわけではない。

他の選択肢が不適切な理由
「家賃改定条項が定められている以上、当事者は、借地借家法32条の借賃増減請求権を行使することができなくなる」とする記述は、家賃改定条項の存在によって借賃増減請求権の行使が一切できなくなるとしているが、そのような排除効は認められていない。なお、借地借家法32条1項ただし書きにより一定の期間家賃を増額しない旨の特約は有効とされるが、減額請求権を封じる特約は効力を認められないと解されている。「家賃改定条項は、賃料を将来にわたり固定する趣旨の条項であり、増減額の余地を認めないものである」とする記述は、家賃改定条項を賃料固定の趣旨と説明しているが、標準契約書の条項はむしろ協議による見直しを予定するものである。「家賃改定条項を定めることは賃貸住宅管理業法によって明文で禁止されており、標準契約書にも置かれていない」とする記述は、家賃改定条項自体が法令上禁止されているとしているが、そのような禁止規定は存在せず、標準契約書にも条項が置かれている。
問44-8

マスターリース契約において賃料自動増額特約が付されている場合における、サブリース業者からの賃料減額請求の可否に関する次の記述のうち、最高裁判所の判断枠組みに照らして最も適切なものはどれか。

  • ①賃料自動増額特約があっても経済事情の変動次第では、借地借家法32条に基づく賃料減額請求が認められ得る。
  • ②賃料自動増額特約が付されている以上、サブリース業者からの賃料減額請求はもはや認められない。
  • ③賃料自動増額特約は公序良俗に反し当然に無効であるため、賃料はそもそも増額されることがない。
  • ④賃料減額請求権は個人の賃借人にのみ認められる権利であって、事業者であるサブリース業者には認められない。
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正解 ①賃料自動増額特約があっても経済事情の変動次第では、借地借家法32条に基づく賃料減額請求が認められ得る。
解説
最高裁判所は、賃料自動増額特約が付されたサブリース契約であっても、当該契約が借地借家法の適用のある建物の賃貸借契約に該当する限り、同法32条に基づく賃料減額請求権の行使が妨げられるものではないとの判断を示している(最判平成15年10月21日)。同判決は、特約の存在のみをもって同条の適用を一律に排除することはできないとする一方、賃料減額請求の当否や相当賃料額の判断に当たっては、当事者が賃料額決定の要素とした事情(賃料自動増額特約の存在を含む)その他諸般の事情を総合的に考慮すべきであるとしている。

他の選択肢が不適切な理由
「賃料自動増額特約が付されている以上、サブリース業者からの賃料減額請求はもはや認められない」とする記述は、賃料自動増額特約があれば減額請求が常に認められないとしているが、判例はそのような一律の排除を認めていない。「賃料自動増額特約は公序良俗に反し当然に無効であるため、賃料はそもそも増額されることがない」とする記述は、自動増額特約自体を当然無効としているが、判例は特約の効力自体を否定せず、借地借家法32条の適用の可否とその判断における考慮要素を問題としている。「賃料減額請求権は個人の賃借人にのみ認められる権利であって、事業者であるサブリース業者には認められない」とする記述は、借賃増減請求権の主体を個人に限定しているが、同条は賃借人が事業者であることを理由に適用が排除される規定ではない。
問54-8

マスターリース契約におけるサブリース業者の法的地位に関する次の記述のうち、借地借家法上の取扱いに照らして最も適切なものはどれか。

  • ①サブリース業者は、マスターリース契約においては借地借家法上の建物の賃借人としての地位に立つ。
  • ②サブリース業者は、マスターリース契約においてはオーナーの代理人としての地位に立つにすぎない。
  • ③サブリース業者は借地借家法の適用対象外であり、同法上の賃借人としての保護を受けない。
  • ④サブリース業者の地位は、宅地建物取引業法上の宅地建物取引業者としての地位と同一である。
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正解 ①サブリース業者は、マスターリース契約においては借地借家法上の建物の賃借人としての地位に立つ。
解説
マスターリース契約は、オーナーを賃貸人、サブリース業者を賃借人とする建物の賃貸借契約であるから、サブリース業者は借地借家法上、当該契約における賃借人としての地位に立つ。そのため、契約が事業として行われるものであっても、期間の定めのある契約の更新拒絶や解約の場面では、借地借家法上の賃借人保護の規律が及び得る。

他の選択肢が不適切な理由
「サブリース業者は、マスターリース契約においてはオーナーの代理人としての地位に立つにすぎない」とする記述は、マスターリース契約がサブリース業者自身を賃借人として当事者とする契約であり、代理人ではない点を見誤っている。「サブリース業者は借地借家法の適用対象外であり、同法上の賃借人としての保護を受けない」とする記述は、事業者であることのみを理由に同法の適用が排除されるものではない点で誤りである。「サブリース業者の地位は、宅地建物取引業法上の宅地建物取引業者としての地位と同一である」とする記述は、賃借人としての地位と宅地建物取引業者としての地位を同一視しており、両者は異なる法律関係に基づく地位である。
問64-8

オーナー甲がサブリース業者丙との間のマスターリース契約を期間満了に伴い更新拒絶しようとする場合に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①甲が更新を拒絶するには、自ら使用する必要性等、借地借家法上の正当事由が必要とされる場合がある。
  • ②マスターリース契約は事業用契約であるため、甲は特段の理由なく自由に更新を拒絶できる。
  • ③甲が更新拒絶をするには、丙の明示的な同意を得ることが法律上の絶対的な要件とされている。
  • ④マスターリース契約には更新拒絶に関する規律は存在せず、契約は、期間満了をもって当然に終了する。
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正解 ①甲が更新を拒絶するには、自ら使用する必要性等、借地借家法上の正当事由が必要とされる場合がある。
解説
マスターリース契約は借地借家法上の建物賃貸借契約としての性質を有するため、期間の定めがある契約について賃貸人であるオーナーが更新を拒絶するには、同法28条の定める正当の事由(自ら使用する必要性、建物の状況、立退料の提供その他諸般の事情)が必要とされる場合がある。特定賃貸借標準契約書第2条3項も、更新拒絶通知は契約期間満了の1年前から6か月前までの間にするものとしたうえ、そのただし書きで、貸主による更新拒絶通知は借地借家法28条に規定する正当の事由がなければすることができないと定めている。

他の選択肢が不適切な理由
「マスターリース契約は事業用契約であるため、甲は特段の理由なく自由に更新を拒絶できる」とする記述は、事業用契約であることのみを理由に正当事由なく自由に更新拒絶できるとしているが、借地借家法の適用がある限り正当事由が必要とされ得る。「甲が更新拒絶をするには、丙の明示的な同意を得ることが法律上の絶対的な要件とされている」とする記述は、更新拒絶に賃借人である丙の同意を絶対的要件としているが、そのような要件は借地借家法上定められていない。「マスターリース契約には更新拒絶に関する規律は存在せず、契約は、期間満了をもって当然に終了する」とする記述は、更新拒絶に関する規律が一切存在しないとしているが、借地借家法上の更新拒絶・正当事由の規律が及び得る。
問74-8

国土交通省が公表する特定賃貸借標準契約書における契約期間中の解約(期間内解約)の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①貸主からの期間内解約を特約で定める場合は、借地借家法の正当事由が必要とされている。
  • ②貸主からの期間内解約を特約で定めれば、正当事由がなくても直ちに解約できることになる。
  • ③借主からの期間内解約を認める特約を定めることは、賃貸住宅管理業法上禁止されている。
  • ④期間内解約に関する定めは、特約ではなく標準契約書の本文に置かれる条項である。
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正解 ①貸主からの期間内解約を特約で定める場合は、借地借家法の正当事由が必要とされている。
解説
特定賃貸借標準契約書の本文には、契約期間中に解約の申入れができる旨の条項(期間内解約条項)は置かれておらず、期間内解約を認める場合は第24条の特約条項として定めることが想定されている。同契約書の「作成にあたっての注意点」は、貸主から借主に対して解約の申入れをすることにより契約期間中に解約できることとする場合には、借地借家法28条の正当の事由が少なくとも必要である旨を記載する必要があるとしている。

また、借主(サブリース業者)からの期間内解約についても、貸主に与える影響が大きいことから、契約締結後、当事者の実情に応じて定めた期間が経過するまでは解約できないこととすることが望ましいとされ、解約権を留保しないことも含めて十分に協議することが望ましいとされている。あわせて、民法617条・618条により期間内解約の定めがある場合には解約申入れから3か月の経過で賃貸借が終了することを踏まえ、解約申入れ期間を6か月等とすることへの配慮も示されている。

他の選択肢が不適切な理由
「貸主からの期間内解約を特約で定めれば、正当事由がなくても直ちに解約できることになる」とする記述は、特約を置きさえすれば正当事由が不要になるとしているが、貸主からの解約には借地借家法28条の正当の事由が少なくとも必要とされる点で誤りである。「借主からの期間内解約を認める特約を定めることは、賃貸住宅管理業法上禁止されている」とする記述は、借主からの期間内解約の特約自体を禁止する規定は存在せず、注意点も一定の配慮を求めるにとどまる点で誤りである(もっとも、期間内解約の条項を設けながらこれを超える長期の一括借上げを保証するかのような広告は、同法28条が禁止する誇大広告等に当たるおそれがあるとされる)。「期間内解約に関する定めは、特約ではなく標準契約書の本文に置かれる条項である」とする記述は、標準契約書の本文に期間内解約の条項が置かれていない点で誤りである。
問84-8

特定賃貸借標準契約書に置かれる免責期間の趣旨に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①新築物件で、入居者募集に要する一定期間、サブリース業者の家賃支払義務を免除する趣旨で設けられる。
  • ②免責期間とは、オーナー自身が、修繕義務を免除される期間のことを指す条項のことである。
  • ③免責期間とは、入居者自身が賃料の支払義務を一定期間免除される制度のことを指している。
  • ④免責期間は、物件の引渡日ではなく賃貸借契約が終了する日を起算点として設定される期間のことである。
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正解 ①新築物件で、入居者募集に要する一定期間、サブリース業者の家賃支払義務を免除する趣旨で設けられる。
解説
特定賃貸借標準契約書第6条1項は、借主(サブリース業者)は頭書(5)に記載する支払い免責期間においては家賃支払義務を負わないと定めている。これは、同契約書が新築(建築中を含む)の賃貸住宅を対象としていることを踏まえ、引渡日から転借人(入居者)を募集するまでの一定期間について、サブリース業者からオーナーへの家賃支払義務を免除する趣旨で設けられたものである。

他の選択肢が不適切な理由
「免責期間とは、オーナー自身が、修繕義務を免除される期間のことを指す条項のことである」とする記述は、免責期間をオーナーの修繕義務の免除と説明しているが、これは家賃支払義務に関する取扱いであり修繕義務とは無関係である。「免責期間とは、入居者自身が賃料の支払義務を一定期間免除される制度のことを指している」とする記述は、免責の対象を入居者の賃料支払義務としているが、免責期間はサブリース業者からオーナーへの家賃支払に関するものである。「免責期間は、物件の引渡日ではなく賃貸借契約が終了する日を起算点として設定される期間のことである」とする記述は、免責期間の起算点を誤っており、同契約書の頭書(5)では引渡日を起算点として期間を記載することとされている。
問94-8

サブリース業者丙が入居者戊との間で締結する転貸借契約とマスターリース契約との関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①転貸借契約はマスターリース契約とは別個の契約であり、丙は戊に対して賃貸人の地位に立つ。
  • ②転貸借契約を締結すると、入居者戊とオーナー甲との間に直接の賃貸借契約が新たに成立する。
  • ③転貸借契約が締結されても、丙は戊との関係で賃貸人としての地位に立つことはない。
  • ④転貸借契約の内容は、マスターリース契約の内容と完全に一致させなければならない。
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正解 ①転貸借契約はマスターリース契約とは別個の契約であり、丙は戊に対して賃貸人の地位に立つ。
解説
転貸借契約は、サブリース業者丙が入居者戊に対して目的物を賃貸する、マスターリース契約とは別個独立の賃貸借契約である。この契約において丙は戊との関係で賃貸人(転貸人)としての地位に立ち、戊から賃料を収受する一方、戊に対して使用収益させる義務等を負う。

他の選択肢が不適切な理由
「転貸借契約を締結すると、入居者戊とオーナー甲との間に直接の賃貸借契約が新たに成立する」とする記述は、転貸借があくまで丙戊間の契約であり、甲戊間に直接の賃貸借契約は成立しない点を見誤っている(民法613条1項により転借人が賃貸人に対して直接に義務を負う場面はあるが、これは賃貸借契約の成立を意味しない)。「転貸借契約が締結されても、丙は戊との関係で賃貸人としての地位に立つことはない」とする記述は、転貸借契約における丙の地位がまさに転貸人すなわち賃貸人である点で誤りである。「転貸借契約の内容は、マスターリース契約の内容と完全に一致させなければならない」とする記述は、転貸借契約の内容をマスターリース契約と常に完全に一致させる法的義務があるとしているが、そのような一致を義務付ける規定はない。
問104-8

オーナー甲とサブリース業者丙との間のマスターリース契約が、甲丙間の合意により解除された場合における入居者戊(転借人)の地位に関する次の記述のうち、民法613条3項の規定に照らして最も適切なものはどれか。

  • ①甲は、原則として合意解除をもって戊に対抗することができず、戊は引き続き建物を使用することができる。
  • ②マスターリース契約が合意解除されれば、転貸借契約も当然に終了し、戊は直ちに退去義務を負う。
  • ③戊の地位は、甲丙間でどのような合意解除がなされた場合であっても、なお保護されるとされている。
  • ④甲丙間の合意解除がされた場合、戊は丙に対してのみ責任を問うことができ、甲に対して何らの主張もできない。
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正解 ①甲は、原則として合意解除をもって戊に対抗することができず、戊は引き続き建物を使用することができる。
解説
民法613条3項本文は、賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができないと定めている。したがって、甲丙間でマスターリース契約を合意解除しても、原則として戊は建物の使用を継続することができる。ただし、その解除の当時、甲が丙の債務不履行による解除権を有していたときは、合意解除をもって戊に対抗することができる(同項ただし書き)。

他の選択肢が不適切な理由
「マスターリース契約が合意解除されれば、転貸借契約も当然に終了し、戊は直ちに退去義務を負う」とする記述は、合意解除により転貸借契約が当然に終了し戊が直ちに退去義務を負うとしているが、613条3項本文の保護と矛盾する。「戊の地位は、甲丙間でどのような合意解除がなされた場合であっても、なお保護されるとされている」とする記述は、いかなる場合にも戊の地位が保護されるとしているが、同項ただし書きのように保護が及ばない例外がある。「甲丙間の合意解除がされた場合、戊は丙に対してのみ責任を問うことができ、甲に対して何らの主張もできない」とする記述は、戊が甲に対して何らの主張もできないとしているが、613条3項は戊が甲に対して転借権を主張し使用継続できることを認めるものである。

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