2026年版・4-6

契約不適合責任・修繕義務の一問一答

賃貸不動産経営管理士試験「賃貸借契約」から、契約不適合責任・修繕義務に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-6

賃貸人甲が負う目的物の修繕義務に関する次の記述のうち、民法606条の規定に照らして最も適切なものはどれか。

  • ①甲は賃貸物の修繕義務を負うが、乙の責めに帰すべき事由で修繕が必要となった場合はこの限りでない。
  • ②甲は賃借人乙の責めに帰すべき事由による損傷であっても、自己の負担で、すべて修繕する義務を負う。
  • ③甲の修繕義務は、乙から書面による修繕請求を受けた場合にのみ発生する法定の義務である。
  • ④甲の修繕義務は特約によっても排除することが認められない強行法規であると解されている。
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正解 ①甲は賃貸物の修繕義務を負うが、乙の責めに帰すべき事由で修繕が必要となった場合はこの限りでない。
解説
民法606条1項は、賃貸人が賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うと定めつつ、そのただし書きで、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときはこの限りでないとしている。したがって、賃借人自身の過失等によって生じた損傷については、賃貸人は修繕義務を負わない。

他の選択肢が不適切な理由
「甲は賃借人乙の責めに帰すべき事由による損傷であっても、自己の負担で、すべて修繕する義務を負う」とする記述は、ただし書きの適用場面を排除しており誤りである。「甲の修繕義務は、乙から書面による修繕請求を受けた場合にのみ発生する法定の義務である」とする記述は、修繕義務が賃貸借契約に基づき当然に生じるものであり、書面による請求を発生要件とする規定は存在しない点で誤りである。「甲の修繕義務は特約によっても排除することが認められない強行法規であると解されている」とする記述は、民法606条1項が任意規定であって、修繕の範囲や費用負担を特約で修正することが可能である点を見誤っている(もっとも、賃貸人が一切の修繕義務を負わない旨の特約があっても、賃貸人が目的物を使用収益させる義務まで免れるわけではないと解されている)。
問24-6

賃借人乙が賃貸人甲に対し修繕が必要である旨を通知したが、甲が相当の期間内に必要な修繕をしない場合の乙の権利に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①乙は、甲が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、自ら賃借物を修繕することができる。
  • ②乙は、甲による修繕の遅れのみを理由として、賃貸借契約を、直ちに解除することができる。
  • ③乙は、甲に修繕を求めることはできるが、自ら賃借物を修繕することは認められていない。
  • ④乙は、自ら賃借物を修繕することはできるが、その費用を甲に請求することはできない。
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正解 ①乙は、甲が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、自ら賃借物を修繕することができる。
解説
民法607条の2第1号は、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、賃借人は自ら賃借物を修繕することができると定めている。これは平成29年の民法改正で新設された賃借人の自己修繕権である。

他の選択肢が不適切な理由
「乙は、甲による修繕の遅れのみを理由として、賃貸借契約を、直ちに解除することができる」とする記述は、修繕の遅滞のみを理由として常に契約解除が認められるわけではなく、解除には別途債務不履行解除の要件を満たす必要がある点を見誤っている。「乙は、甲に修繕を求めることはできるが、自ら賃借物を修繕することは認められていない」とする記述は、民法607条の2により賃借人による自己修繕が明文で認められている点を否定しており誤りである。「乙は、自ら賃借物を修繕することはできるが、その費用を甲に請求することはできない」とする記述は、賃貸人の負担に属する修繕のために支出した費用は必要費に当たり、賃借人は民法608条1項により直ちにその償還を請求できる点を見誤っている。
問34-6

賃借物に急迫の事情がある損傷が生じた場合の賃借人乙の対応に関する次の記述のうち、民法607条の2の規定に照らして最も適切なものはどれか。

  • ①急迫の事情があるときは、乙は甲への通知や催告をせずに自ら賃借物を修繕することができる。
  • ②急迫の事情があっても、乙は甲からの承諾を得た上でなければ修繕に着手できない。
  • ③急迫の事情があるときであっても、乙は相当の期間が経過した後でなければ修繕に着手できない。
  • ④急迫の事情があるときは自ら修繕できるが、その費用は乙が負担するものとされる。
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正解 ①急迫の事情があるときは、乙は甲への通知や催告をせずに自ら賃借物を修繕することができる。
解説
民法607条の2第2号は、急迫の事情があるときは、賃借人は賃貸人への通知等を経ることなく自ら賃借物を修繕することができると定めている。これは、漏水や設備の故障など放置すれば被害が拡大するおそれがある緊急の場合にまで通知・催告や相当期間の経過を要求すると、賃借人の保護に欠けることから設けられた例外である。

他の選択肢が不適切な理由
「急迫の事情があっても、乙は甲からの承諾を得た上でなければ修繕に着手できない」とする記述は、急迫の事情がある場合にまで賃貸人の事前承諾を要求しており、条文が通知等を不要とした趣旨に反する。「急迫の事情があるときであっても、乙は相当の期間が経過した後でなければ修繕に着手できない」とする記述は、通知後に相当の期間内に修繕がされないことを要件とする同条1号の場面と混同するもので、2号はまさにその期間の経過を待たずに修繕できるとする規定である。「急迫の事情があるときは自ら修繕できるが、その費用は乙が負担するものとされる」とする記述は、賃貸人の負担に属する修繕のための費用は必要費として民法608条1項により償還を請求できる点を見誤っている。
問44-6

賃借物の一部が賃借人乙の責めに帰することができない事由により滅失し、使用収益をすることができなくなった場合の賃料に関する次の記述のうち、民法611条の規定に照らして最も適切なものはどれか。

  • ①賃料は、乙の請求を待たずとも、使用収益できなくなった部分の割合に応じて当然に減額される。
  • ②賃料の減額を受けるためには、乙が甲に対し内容証明郵便による減額請求をすることが必要である。
  • ③賃料は、乙が甲に対して減額の請求をした時から将来に向かってのみ減額されることになる。
  • ④賃料は一部滅失があっても当然には減額されず、甲乙間の別段の合意がない限り従前どおりとなる。
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正解 ①賃料は、乙の請求を待たずとも、使用収益できなくなった部分の割合に応じて当然に減額される。
解説
平成29年民法改正により、旧611条の「賃借人は、賃貸人に対し、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる」という請求構成から、現行611条1項では「賃料は…減額される」という当然減額の構成に改められた。賃借人の責めに帰することができない事由による一部滅失等の場合、賃借人からの請求を要することなく、使用収益できなくなった割合に応じて賃料は当然に減額される。

他の選択肢が不適切な理由
「賃料の減額を受けるためには、乙が甲に対し内容証明郵便による減額請求をすることが必要である」とする記述は、内容証明郵便等による請求を要件とする点で、当然減額とした改正後の条文の趣旨に反する。「賃料は、乙が甲に対して減額の請求をした時から将来に向かってのみ減額されることになる」とする記述は、改正前の請求構成を前提とするもので、現行法では請求の有無にかかわらず使用収益ができなくなった時点から当然に減額される。「賃料は一部滅失があっても当然には減額されず、甲乙間の別段の合意がない限り従前どおりとなる」とする記述は、一部滅失等があっても当然には減額されないとする点が、現行611条1項の規定と正反対である。
問54-6

賃借物の一部が滅失その他の事由により使用収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人乙が賃借をした目的を達することができないときの取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①乙は、賃借をした目的を達することができないときは、賃貸借契約を解除することができる。
  • ②乙は、残存部分のみでは目的を達成できない場合であっても、契約を解除することはできない。
  • ③乙が契約を解除するには、甲の帰責事由があることを、立証しなければならない。
  • ④乙は目的を達成できない場合、賃料の全額免除を請求できるにとどまり、解除はできない。
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正解 ①乙は、賃借をした目的を達することができないときは、賃貸借契約を解除することができる。
解説
民法611条2項は、賃借物の一部が滅失その他の事由により使用収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は契約の解除をすることができると定めている。この解除権の行使に、賃貸人の帰責事由や、賃借人の責めに帰することができない事由であることは要件とされていない。

他の選択肢が不適切な理由
「乙は、残存部分のみでは目的を達成できない場合であっても、契約を解除することはできない」とする記述は、条文が明文で解除権を認めている点を否定しており誤りである。「乙が契約を解除するには、甲の帰責事由があることを、立証しなければならない」とする記述は、611条2項の解除に賃貸人の帰責事由を要件とする規定はなく、一部滅失等により目的を達成できなくなったことをもって足りる点を見誤っている。「乙は目的を達成できない場合、賃料の全額免除を請求できるにとどまり、解除はできない」とする記述は、賃料の全額免除の請求にとどまるとする点が誤りで、条文上は契約の解除という手段が認められている。
問64-6

賃貸人甲が賃借物の保存に必要な修繕行為をしようとする場合における賃借人乙の対応に関する次の記述のうち、民法606条2項の規定に照らして最も適切なものはどれか。

  • ①乙は、甲が賃借物の保存に必要な行為をしようとするときは、これを拒むことができない。
  • ②乙は、自己の生活の平穏を理由として、甲による必要な修繕行為を自由に拒むことができる。
  • ③乙は、甲による修繕行為を拒む代わりに、賃料を一方的に減額する権利を有する。
  • ④乙は、修繕により賃借の目的を達せられなくなるときでも、契約を解除できない。
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正解 ①乙は、甲が賃借物の保存に必要な行為をしようとするときは、これを拒むことができない。
解説
民法606条2項は、賃貸人が賃借物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人はこれを拒むことができないと定めている。賃貸人の修繕義務の履行を実効あらしめるため、賃借人には受忍義務が課されている。

他の選択肢が不適切な理由
「乙は、自己の生活の平穏を理由として、甲による必要な修繕行為を自由に拒むことができる」とする記述は、生活の平穏を理由に必要な修繕行為を常に拒めるとする点で条文の趣旨に反する。「乙は、甲による修繕行為を拒む代わりに、賃料を一方的に減額する権利を有する」とする記述は、修繕行為を拒む代わりに賃料を一方的に減額する権利を認める規定は存在しない点で誤りである。「乙は、修繕により賃借の目的を達せられなくなるときでも、契約を解除できない」とする記述は、民法607条が、賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は契約の解除をすることができると定めている点を見誤っている。受忍義務があるからといって解除権まで否定されるわけではない。
問74-6

賃貸人甲が修繕義務を履行しないことによって賃借人乙に損害が生じた場合の乙の権利に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①乙は、甲による修繕義務の不履行を理由として、これによって被った損害の賠償を甲に請求できる。
  • ②乙は、甲の修繕義務違反を理由とする損害賠償請求を、賃料の滞納がない場合に限り行うことができる。
  • ③乙は、甲が修繕義務を履行しない場合であっても、損害賠償を請求することは認められていない。
  • ④乙は、甲に故意又は重大な過失がある場合に限り、修繕義務違反を理由に損害賠償を請求できる。
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正解 ①乙は、甲による修繕義務の不履行を理由として、これによって被った損害の賠償を甲に請求できる。
解説
賃貸人が修繕義務(民法606条1項)を履行しないことは債務の不履行に当たるため、賃借人は民法415条の債務不履行に基づく損害賠償請求の一般原則に従い、修繕義務の不履行によって被った損害の賠償を賃貸人に請求することができる。

他の選択肢が不適切な理由
「乙は、甲の修繕義務違反を理由とする損害賠償請求を、賃料の滞納がない場合に限り行うことができる」とする記述は、損害賠償請求の可否を賃借人の賃料滞納の有無と結び付けているが、そのような要件は条文上存在しない。「乙は、甲が修繕義務を履行しない場合であっても、損害賠償を請求することは認められていない」とする記述は、損害賠償請求自体を一切否定しており、民法415条の一般原則に反する。「乙は、甲に故意又は重大な過失がある場合に限り、修繕義務違反を理由に損害賠償を請求できる」とする記述は、民法415条1項が債務者の責めに帰することができない事由による場合を免責事由としているにとどまり、賠償請求の範囲を故意又は重過失の場合に限定する規定は存在しない点で誤りである。
問84-6

引き渡された賃貸物件が契約の内容に適合しない場合における賃借人乙の救済手段に関する次の記述のうち、民法の規定に照らして最も適切なものはどれか。

  • ①売買における契約不適合責任の規定は賃貸借にも準用され、乙は履行の追完を請求できる。
  • ②契約不適合責任に関する規定は売買にのみ適用され、賃貸借契約に準用される余地はない。
  • ③乙が契約不適合を理由に救済を受けるには、甲に故意又は重過失があることを要する。
  • ④契約不適合があっても、乙は損害賠償を請求できるにとどまり、契約の解除まではできない。
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正解 ①売買における契約不適合責任の規定は賃貸借にも準用され、乙は履行の追完を請求できる。
解説
民法559条は、売買に関する規定を売買以外の有償契約について準用すると定めており、賃貸借契約も有償契約であるから、契約不適合責任に関する民法562条以下の規定が準用される。したがって、引き渡された賃貸物件が種類・品質等に関して契約の内容に適合しないときは、賃借人は目的物の修補等による履行の追完を請求することができる(562条1項の準用)。もっとも、賃貸借については賃貸人の修繕義務(606条1項)や一部滅失等による賃料の当然減額(611条1項)という特則が置かれているため、実務上はこれらの規定によって処理される場面が多い。

他の選択肢が不適切な理由
「契約不適合責任に関する規定は売買にのみ適用され、賃貸借契約に準用される余地はない」とする記述は、有償契約への準用を定める民法559条の存在を無視しており誤りである。「乙が契約不適合を理由に救済を受けるには、甲に故意又は重過失があることを要する」とする記述は、履行の追完請求や代金(賃料)の減額請求が賃貸人の帰責事由を要件としない点、及び損害賠償についても民法415条の帰責事由が問題となるにとどまり故意又は重過失に限定されるわけではない点で誤りである。「契約不適合があっても、乙は損害賠償を請求できるにとどまり、契約の解除まではできない」とする記述は、民法564条が、契約不適合の場合にも民法541条・542条による解除権の行使は妨げられないと定めている点を見誤っている。
問94-6

賃借人乙が賃借物について賃貸人甲が負うべき必要費を自ら支出した場合の費用償還請求権に関する次の記述のうち、民法608条1項の規定に照らして最も適切なものはどれか。

  • ①乙は、必要費を支出したときは、甲に対し直ちにその償還を請求することができる。
  • ②乙は、必要費を支出しても、賃貸借契約が終了するまで償還を請求することができない。
  • ③乙は、必要費を支出した場合、甲の承諾を事前に得ていなければ償還を請求できない。
  • ④乙は、必要費を支出した場合であっても、償還請求権を放棄したものとみなされる。
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正解 ①乙は、必要費を支出したときは、甲に対し直ちにその償還を請求することができる。
解説
民法608条1項は、賃借人が賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し直ちにその償還を請求することができると定めている。必要費は本来賃貸人が負担すべき修繕義務等の履行として支出されるものであるため、賃貸借契約の終了を待たず速やかに償還を受けられる。

他の選択肢が不適切な理由
「乙は、必要費を支出しても、賃貸借契約が終了するまで償還を請求することができない」とする記述は、必要費の償還を契約終了時まで待たなければならないとする点で、直ちに請求できるとする608条1項に反する(契約終了時とされているのは有益費の場合である)。「乙は、必要費を支出した場合、甲の承諾を事前に得ていなければ償還を請求できない」とする記述は、必要費の償還請求に賃貸人の事前承諾を要件とする規定は存在しない点で誤りである。「乙は、必要費を支出した場合であっても、償還請求権を放棄したものとみなされる」とする記述は、必要費を支出した事実のみをもって償還請求権を放棄したとみなす根拠はない点で誤りである。
問104-6

賃借人乙が賃借物の改良のために有益費を支出した場合の費用償還請求権に関する次の記述のうち、民法608条2項の規定に照らして最も適切なものはどれか。

  • ①有益費は、賃貸借の終了時に、甲の選択に従い、乙の支出額又は価格の増加額を償還する。
  • ②有益費については、必要費と同様に、支出後直ちに全額を償還しなければならない。
  • ③有益費については、乙の選択により、支出額と増加額のいずれか高い方を自由に請求できる。
  • ④有益費は、賃貸借契約書に明記されていない限り、償還を請求すること自体ができない。
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正解 ①有益費は、賃貸借の終了時に、甲の選択に従い、乙の支出額又は価格の増加額を償還する。
解説
民法608条2項は、賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は賃貸借の終了の時に、民法196条2項の規定に従ってその償還をしなければならないと定めている。同項によれば、償還は価格の増加が現存する場合に限り認められ、支出した金額と増価額のいずれを償還するかの選択権は償還する側(賃貸人)にある。有益費は必要費と異なり、償還の時期が賃貸借終了時とされ、金額の選択権も賃貸人にある点が特徴である。

他の選択肢が不適切な理由
「有益費については、必要費と同様に、支出後直ちに全額を償還しなければならない」とする記述は、有益費の償還時期を必要費と同様に直ちにとする点で誤りであり、有益費は賃貸借終了時とされている。「有益費については、乙の選択により、支出額と増加額のいずれか高い方を自由に請求できる」とする記述は、支出額と増価額の選択権を賃借人に与えている点で誤りであり、選択権は賃貸人にある。「有益費は、賃貸借契約書に明記されていない限り、償還を請求すること自体ができない」とする記述は、契約書への明記を償還請求の要件とする点に条文上の根拠がない。

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