2026年版・3-9

賃貸住宅の維持保全業務の実務(定期点検・修繕計画・長期修繕計画等)の一問一答

賃貸不動産経営管理士試験「賃貸住宅の維持保全」から、賃貸住宅の維持保全業務の実務(定期点検・修繕計画・長期修繕計画等)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-9

賃貸住宅の維持保全における定期巡回・点検の実務に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①定期巡回は入居者から苦情や修繕の依頼を受けた時に行えば足り、自主的に実施する必要はない。
  • ②定期巡回の記録は管理業者の内部の資料であるため、賃貸人へこれを報告する義務が生じることはない。
  • ③定期巡回の頻度や内容は法令に細かく定められ、規模や築年数による違いを考慮する余地はない。
  • ④定期巡回では共用部の清掃の状況や設備の稼働、外観の劣化の兆候を確認し異常の早期発見に努める。
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正解 ④定期巡回では共用部の清掃の状況や設備の稼働、外観の劣化の兆候を確認し異常の早期発見に努める。
解説
定期巡回では、共用部の清掃の状況、設備の稼働の状況、外壁や屋上の劣化の兆候などを継続して確認する。これにより不具合を早期に発見し、大規模な損傷や事故へ発展する前に手当てすることが可能となる。

他の選択肢が不適切な理由
苦情や依頼を受けた時に行えば足りるとする記述は誤りである。受け身の対応では異常の早期発見という定期巡回の趣旨を果たせない。記録の報告の義務が生じることはないとする記述も誤りである。巡回の結果は管理受託契約に基づく報告の対象とされるのが実務上一般的である。頻度や内容が法令に細かく定められているとする記述も誤りであり、これらは物件の規模や築年数、設備の状況等を踏まえて個別に定められる。
問23-9

賃貸住宅における長期修繕計画に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①長期修繕計画は一度作成すれば足り、建物の劣化の状況にかかわらず当初の内容どおりに実施する。
  • ②長期修繕計画は耐用年数を踏まえ、将来の大規模修繕の時期や概算の費用を見積もり資金の確保を図る。
  • ③長期修繕計画の作成は分譲マンションに固有のものであり、賃貸住宅では作成する意義に乏しい。
  • ④長期修繕計画は、賃貸住宅の賃借人から毎月の修繕積立金を徴収するための法律上の根拠となるものである。
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正解 ②長期修繕計画は耐用年数を踏まえ、将来の大規模修繕の時期や概算の費用を見積もり資金の確保を図る。
解説
長期修繕計画は、建物や設備の耐用年数等を踏まえ、将来必要となる大規模修繕の時期・内容・概算の費用をあらかじめ見積もるものである。これにより計画的な資金の確保と修繕の実施が可能となる。

他の選択肢が不適切な理由
一度作成すれば足りるとする記述は誤りである。実際の劣化の進行や物価の変動に応じて定期に見直すことが望ましい。分譲マンションに固有のものとする記述も誤りである。賃貸住宅においても計画的な維持管理と収支の見通しの観点から作成する意義がある。修繕積立金を徴収する法律上の根拠となるとの記述も誤りであり、長期修繕計画は賃貸人が自らの資金の計画のために用いるものである。
問33-9

賃貸住宅の修繕履歴の管理に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①修繕履歴の記録は、修繕を行った年度の会計の処理が終わった時点で速やかに廃棄することが望ましい。
  • ②修繕履歴を記録し保管することで不具合の再発の傾向や交換の時期を把握でき、修繕計画にも役立つ。
  • ③修繕履歴は入居者が入れ替わるたびに消去し、新たな入居者について改めて作成し直すのが原則である。
  • ④修繕履歴の記録や保管は賃貸人が自ら行うものであり、管理業者がこれを行うことは認められない。
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正解 ②修繕履歴を記録し保管することで不具合の再発の傾向や交換の時期を把握でき、修繕計画にも役立つ。
解説
修繕の履歴を継続して記録し保管しておくことで、同じ箇所での不具合の再発の傾向や、設備ごとの交換の時期を把握しやすくなる。これは将来の修繕計画の精度を高めることにもつながる。

他の選択肢が不適切な理由
会計の処理が終わった時点で廃棄することが望ましいとする記述は誤りである。修繕履歴は会計の資料にとどまらず、建物の維持管理に継続して活用される情報である。入居者が入れ替わるたびに消去するとの記述も誤りである。修繕履歴は入居者単位ではなく建物や設備の単位で蓄積してこそ意味を持つ。管理業者が行うことは認められないとする記述も誤りであり、管理受託契約に基づき管理業者が記録し保管することは一般的である。
問43-9

賃貸住宅で入居者から「天井から水が漏れている」との緊急連絡を受けた場合の管理業者の実務対応として、最も適切なものはどれか。

  • ①まず状況を聴き取って原因の調査や応急の措置を手配し、必要に応じ上階の入居者や業者へ連絡する。
  • ②漏水の連絡を受けた場合であっても、翌営業日まで対応をしなければ善管注意義務の違反とはならない。
  • ③漏水の原因が特定されるまでの間は、入居者に対して状況の説明を行わないことが望ましい。
  • ④漏水への対応は消防法上の義務であるため、まず消防機関へ通報することが何よりも優先される。
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正解 ①まず状況を聴き取って原因の調査や応急の措置を手配し、必要に応じ上階の入居者や業者へ連絡する。
解説
漏水は放置すれば階下の住戸や家財にまで被害が広がるおそれがある。そのためまず状況を的確に聴き取ったうえで、原因の調査と応急の措置を速やかに手配し、必要に応じて上階の入居者や設備の業者と連携して対応することが求められる。

他の選択肢が不適切な理由
翌営業日まで対応をしなくても義務の違反とはならないとする記述は誤りである。漏水は緊急性が高く、対応の遅れが被害の拡大を招くため、管理業者の責任が問われ得る。原因が特定されるまで説明を行わないことが望ましいとする記述も誤りである。調査の途中であっても経過を伝えることが信頼の維持につながる。一般的な漏水は消防機関への通報を要する事案ではない。
問53-9

入居者が賃貸住宅の鍵を紛失した旨を管理業者に連絡してきた場合の実務対応として、最も適切なものはどれか。

  • ①本人であることを確認したうえで解錠や合鍵の貸与、必要に応じた錠前の交換の手配を行うのがよい。
  • ②鍵の紛失は入居者の私的な事情であるから、管理業者は解錠や錠前の交換の手配に関与すべきではない。
  • ③鍵の紛失があった場合は、防犯上の必要から賃貸人の承諾を得ずに退去を求めることができる。
  • ④鍵の紛失の連絡があれば、電話で氏名を名乗った者に対し直ちに合鍵を交付することが望ましい。
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正解 ①本人であることを確認したうえで解錠や合鍵の貸与、必要に応じた錠前の交換の手配を行うのがよい。
解説
鍵の紛失は、拾得した第三者による侵入という防犯上のリスクを伴う。そのため、なりすましを防ぐための本人の確認を確実に行ったうえで、解錠や合鍵の貸与、必要に応じた錠前の交換の手配を行うことが望ましい対応となる。

他の選択肢が不適切な理由
私的な事情であるから関与すべきでないとする記述は誤りである。建物の安全に関わる事柄であり、管理業者としても適切に対応すべき場面である。賃貸人の承諾を得ずに退去を求めることができるとする記述も誤りである。鍵の紛失のみを理由とする退去の要求は相当性を欠く。電話で氏名を名乗った者に直ちに合鍵を交付することは、なりすましによる侵入を招くため望ましくない。
問63-9

賃貸住宅管理業法における「維持保全」の考え方に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①住宅の居室その他の部分について点検・清掃その他の維持を行い、及び必要な修繕を行う業務をいう。
  • ②賃料の集金と未収の賃料の督促を行い、賃貸人へその結果を報告することのみを内容とする業務をいう。
  • ③入居者の募集と賃貸借契約の締結の代理又は媒介を当然に含むものとされている業務のことをいう。
  • ④建物の新築の工事について、工事の内容が設計図書のとおりかを確認する施工の管理の業務をいう。
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正解 ①住宅の居室その他の部分について点検・清掃その他の維持を行い、及び必要な修繕を行う業務をいう。
解説
賃貸住宅管理業法は、維持保全を、住宅の居室及びその他の部分について点検・清掃その他の維持を行い、及び必要な修繕を行う業務と定義している。維持の行為と修繕の実施の両方を含む点に特徴があり、いずれか一方のみでは維持保全に当たらない。

他の選択肢が不適切な理由
賃料の集金と督促を内容とするとの記述は誤りである。これらは金銭の管理に関する業務であり、維持保全とは区別される。入居者の募集や契約の締結の代理・媒介を必ず含むとする記述も誤りである。これらは仲介に関する業務であって維持保全の要素ではない。新築の工事の施工の管理とする記述も誤りであり、維持保全が対象とするのは既存の賃貸住宅である。
問73-9

賃貸住宅の維持保全業務における賃貸不動産経営管理士の役割に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①専門的な知識をもって管理業務に携わり、賃貸人と賃借人の双方に配慮した適正な維持保全に寄与する。
  • ②賃貸不動産経営管理士でなければ、賃貸住宅の点検や清掃の実務を行うことは認められていない。
  • ③賃貸不動産経営管理士の資格は建築士の資格と同一のものであり、設計や工事監理を行う権限も含んでいる。
  • ④賃貸不動産経営管理士は維持保全には関与せず、賃貸借契約の締結の業務のみを担う資格である。
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正解 ①専門的な知識をもって管理業務に携わり、賃貸人と賃借人の双方に配慮した適正な維持保全に寄与する。
解説
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理に関する専門的な知識と技能をもって管理業務に携わり、賃貸人と賃借人の双方の利益に配慮しながら、維持保全をはじめとする適正な管理の実現に寄与する役割が期待されている。

他の選択肢が不適切な理由
資格がなければ点検や清掃の実務を行えないとする記述は誤りである。これらの実務作業自体に資格の制限はない。建築士の資格と同一のものとする記述も誤りである。両者は根拠となる法令も業務の範囲も異なる別個の資格であり、設計や工事監理の権限を含むものではない。維持保全には関与せず契約の締結の業務のみを担うとする記述も誤りであり、維持保全を含む幅広い管理業務への関与が想定されている。
問83-9

入居者から設備の不具合について修繕依頼を受けた場合の管理業者の対応プロセスに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①修繕の依頼を受けた場合は、賃貸人への報告や承諾を得ることなく、金額を問わず修繕を実施してよい。
  • ②入居者の故意による破損であることが明らかな場合でも、賃貸人の費用で修繕する義務を負う。
  • ③修繕の依頼への対応は、入居者から書面による申請書が提出された場合に限って開始できる。
  • ④依頼の内容を正確に把握して原因や緊急性を判断し、業者を手配して対応の状況を関係者に共有する。
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正解 ④依頼の内容を正確に把握して原因や緊急性を判断し、業者を手配して対応の状況を関係者に共有する。
解説
修繕の依頼を受けた際は、まず依頼の内容を正確に把握して原因と緊急性を判断し、必要に応じて修繕の業者を手配する。あわせて対応の状況を賃貸人と入居者の双方に共有しながら進めることが望ましい実務の対応である。

他の選択肢が不適切な理由
賃貸人への報告や承諾を得ずに金額を問わず修繕を実施してよいとする記述は誤りである。修繕の費用は賃貸人が負担するのが原則であり、一定の金額を超えるものは承諾を得るのが実務である。入居者の故意による破損でも賃貸人の費用で修繕する義務を負うとする記述も誤りである。この場合の費用は賃借人の負担となるのが原則である。書面による申請書がなければ対応を開始できないとする記述も、緊急の場合を考えれば適切ではない。
問93-9

賃貸住宅の維持保全業務を受託した管理業者の善良な管理者の注意義務(善管注意義務)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①善管注意義務は有償で管理業務を受託した場合に生じるものであり、無償で受託したときは生じない。
  • ②善管注意義務の程度は、業務を受託した者が専門的な知識や経験を有しないときは著しく軽減される。
  • ③善管注意義務は管理受託契約に明記された場合に生じるものであり、記載がなければ注意の義務は生じない。
  • ④委託された維持保全の業務を行うに当たり、専門家として一般に期待される程度の注意を払う義務を負う。
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正解 ④委託された維持保全の業務を行うに当たり、専門家として一般に期待される程度の注意を払う義務を負う。
解説
管理業者は、委任又は準委任の契約に基づいて業務を受託する者として、善良な管理者の注意をもって業務を処理する義務を負う。その内容は、その業務を担う専門家として一般に期待される程度の注意を払うことである。

他の選択肢が不適切な理由
無償で受託したときは生じることがないとする記述は誤りである。民法上、受任者の善管注意義務は報酬の有無にかかわらず生じる。専門的な知識や経験を有しないときに著しく軽減されるとする記述も誤りである。基準は受託者個人の実際の能力ではなく、その地位にある者に一般に期待される注意の程度である。契約に明記された場合に生じるとする記述も誤りであり、この義務は契約の性質から法律上当然に生じる。
問103-9

空室となっている賃貸住宅の維持管理に関する実務上の留意点として、最も適切なものはどれか。

  • ①空室の期間は排水トラップの封水切れによる臭気を防ぐため、定期に通水を行うなどの管理を要する。
  • ②空室の期間は入居者がいないため、通水や換気を行わなくても排水の設備に不具合が生じることはない。
  • ③空室の維持管理は次の入居者が決まった後に始めれば足り、それまでの間は管理を要しない。
  • ④空室の期間の通水や換気は消防法に定められた義務であり、これを怠ると罰則の対象とされる。
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正解 ①空室の期間は排水トラップの封水切れによる臭気を防ぐため、定期に通水を行うなどの管理を要する。
解説
空室の期間が続くと、排水トラップに溜まった封水が蒸発して下水の臭気や害虫の侵入経路となるおそれがある。そのため定期に通水を行うほか、換気や設備の稼働の確認を行い、劣化や不具合を防ぐ管理が重要となる。

他の選択肢が不適切な理由
通水や換気を行わなくても不具合が生じることはないとする記述は誤りである。封水切れによる臭気のほか、換気の不足によるカビの発生等の不具合が現に生じ得る。次の入居者が決まった後に始めれば足りるとする記述も誤りである。空室の間も建物や設備の劣化は進行する。通水や換気は設備の管理上の実務的な留意点であり、消防法に定められた義務でも罰則の対象でもない。

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