2026年版・2-6

管理受託契約の実務・トラブル事例の一問一答

賃貸不動産経営管理士試験「管理受託契約」から、管理受託契約の実務・トラブル事例に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-6

管理業者Aは、オーナーBと管理受託契約を締結していたが、契約締結から2年間、業務の実施状況について一度も報告を行っていなかった。この場合のAの対応として、最も適切なものはどれか。

  • ①報告は法律上の義務ではなく努力義務にすぎないため、今後も報告しなくてよい
  • ②報告義務は委託者から書面で請求された場合にのみ生じるため、Bからの請求を待てばよい
  • ③Aは定期報告義務に違反しており、直ちに管理業務報告書を作成してBに報告すべきである
  • ④2年分をまとめて報告すると混乱を招くため、次回の契約更新時まで報告を控えるべきである
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正解 ③Aは定期報告義務に違反しており、直ちに管理業務報告書を作成してBに報告すべきである
解説
賃貸住宅管理業法は、管理業務の実施状況等について少なくとも1年に1回以上の頻度で委託者に報告することを管理業者に義務付けている。2年間一度も報告を行っていないAの状態は、この定期報告義務に違反していると評価されるため、速やかに管理業務報告書を作成してBに報告し、是正を図るべきである。

他の選択肢が不適切な理由
定期報告義務は賃貸住宅管理業法上の法的義務であり、単なる努力義務にすぎないとする点は誤り。定期報告は委託者からの請求の有無にかかわらず定期的に行うべき義務であり、請求を待てばよいとする点は誤り。義務違反の状態を次回更新時まで放置することは是正を先延ばしにするものであり、速やかな是正が求められる本問の趣旨に反し誤りである。
問22-6

管理業者Cは、オーナーDから受託した管理業務の全部を、Dの承諾を得ないまま知人が営む別の管理業者Eに引き継がせた。この事例に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①管理業務の再委託は自由に行えるため、Cの対応に法律上の問題はない
  • ②DがEの業務内容に満足していれば、事後的に問題とされることはない
  • ③全部の再委託であっても、Dへの通知さえ行えば適法に行うことができる
  • ④管理業務の全部の再委託は禁止されており、Cの対応は同法に違反する
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正解 ④管理業務の全部の再委託は禁止されており、Cの対応は同法に違反する
解説
賃貸住宅管理業法は、管理業者が委託を受けた管理業務の全部を他の者に再委託することを禁止している。CがDの承諾の有無にかかわらず管理業務の全部をEに引き継がせた行為は、この禁止規定に違反するものと評価される。

他の選択肢が不適切な理由
禁止されているのは全部の再委託であり、自由に行えるとする点は誤り。全部再委託の禁止は業者規制としての強行的な性質を持つものであり、事後的にDが満足していれば問題とされないとする点は誤り。全部再委託は、たとえ委託者への通知を行ったとしても、その禁止という法律上の効果自体は左右されないため誤りである。
問32-6

管理業者Fが管理する物件で深夜に給水管が破裂し浸水が発生した。Fはオーナーの承諾を得る時間的余裕がなかったため、直ちに水道業者を手配して応急の止水措置を行った。Fのその後の対応として、最も適切なものはどれか。

  • ①速やかに書面で、業務の内容及び費用の額をオーナーに通知する
  • ②緊急時に無承諾で対応した以上、事後の報告や費用の通知は不要である
  • ③費用は全て自己の判断で支出したものであるから、Fが単独で負担すればよい
  • ④次回の定期報告の時期まで、対応の事実自体を報告しなくてよい
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正解 ①速やかに書面で、業務の内容及び費用の額をオーナーに通知する
解説
標準管理受託契約書が想定する緊急時業務の取扱いでは、承認を受ける時間的余裕がない緊急業務は無承諾で実施できる一方、管理業者は速やかに書面をもって業務の内容及びこれに要した費用の額を委託者に通知しなければならないとされる。Fもこれに従い、速やかな書面通知を行うべきである。

他の選択肢が不適切な理由
無承諾での実施が認められることと、事後の報告義務の要否は別問題であり、報告や通知が一切不要とする点は誤り。緊急時業務の費用は、Fの帰責事由による場合を除き原則としてオーナーが支払うものとされており、Fが単独で負担すべきとする点は誤り。緊急対応の事実は速やかに通知すべきものであり、次回の定期報告の時期まで報告を先延ばしにしてよいとする点は誤りである。
問42-6

管理業者Gは、オーナーHの依頼で実施した修繕工事の費用について、業者から受け取った請求書や領収書を示さず、概算額のみをHに請求した。Hがこれに疑問を持った場合の考え方として、最も適切なものはどれか。

  • ①管理受託契約は成果物の完成を目的とする請負契約であるため、費用の裏付けを示す必要はない
  • ②Gは受取物・支出の状況を示す義務を負い、概算請求のみでは説明が不十分である
  • ③修繕費用の内訳は管理業者の営業秘密にあたるため、オーナーに開示する必要はない
  • ④修繕費用は管理業者が定めた金額を委託者が無条件に支払う契約内容となっている
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正解 ②Gは受取物・支出の状況を示す義務を負い、概算請求のみでは説明が不十分である
解説
管理受託契約は準委任契約としての性質を有し、受任者たる管理業者は委任事務の処理に関する報告義務や受取物の引渡義務等を負う。修繕費用の請求にあたって、業者からの請求書や領収書等の裏付けを示さず概算額のみを請求することは、これらの義務の履行として不十分であり、Hへの説明責任を果たしているとはいえない。

他の選択肢が不適切な理由
管理受託契約は事務処理そのものを目的とする準委任契約としての性質をあわせ持ち、成果物の完成のみを目的とする請負契約と断定する点は誤り。修繕費用は委託者の負担に帰する事項であり、内訳の開示が営業秘密を理由に一切不要となるものではなく誤り。管理業者が一方的に定めた金額を委託者が無条件に支払うべきとする理解は、委任事務の適正な処理を確保する趣旨に反し誤りである。
問52-6

管理業者Iは、オーナーJから個別の承諾を得ないまま、独自の判断で入居者との間で賃料を大幅に減額する変更契約を締結した。この事例に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①管理業務を受託している以上、Iは賃料の増減を含めて全ての契約条件を自由に決定できる
  • ②賃料の減額は入居者に有利な行為であるから、オーナーの意思にかかわらず常に適法である
  • ③賃料変更は委任事務の範囲を逸脱するおそれがあり、事前にJの意向を確認すべきであった
  • ④管理業者は代理権を有さないため、賃料変更契約自体が当然に無効となると解される
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正解 ③賃料変更は委任事務の範囲を逸脱するおそれがあり、事前にJの意向を確認すべきであった
解説
賃料は賃貸人であるオーナーの重要な財産上の利益に直接関わる事項であり、管理業者が委任事務の処理としてどこまでの代理行為を行いうるかは、管理受託契約で定められた委任の本旨の範囲によって画される。賃料の大幅な減額のような重要事項について、事前の承諾なく独自の判断で行うことは委任事務の範囲を逸脱するおそれがあり、Iは事前にJの意向を確認すべきであった。

他の選択肢が不適切な理由
管理業者が受託しているのは委託の趣旨に沿った事務処理であり、契約条件を無制限に自由決定できるとする点は誤り。入居者に有利であってもオーナーの財産上の利益に関わる以上、オーナーの意思にかかわらず常に適法とはいえず誤り。管理受託契約に基づき代理権が授与されている場合には代理行為自体は可能であり、権限の範囲を超えたことと契約自体が当然に無効になることとは異なる問題であるため誤りである。
問62-6

管理業者Kは、オーナーLとの管理受託契約の期間中に、Lの承諾を得ないまま管理業務の範囲を縮小する内容に契約書を書き換え、Lに交付する書面もその内容で作成した。Kの対応に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①管理業者は契約内容を専門的見地から自由に見直すことができるため、Kの対応に問題はない
  • ②契約内容の変更は書面さえ作成すれば、相手方の同意がなくても効力を生じると解される
  • ③業務範囲の縮小はオーナーに有利であるため、承諾を得なくても問題とはならない
  • ④契約内容の変更には委託者Lの合意が必要であり、Kの一方的な書換えは委任の本旨に反する
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正解 ④契約内容の変更には委託者Lの合意が必要であり、Kの一方的な書換えは委任の本旨に反する
解説
管理受託契約の内容は、委託者と管理業者の合意によって成立し、変更される事項である。管理業者が委託者の承諾を得ないまま契約書の内容を一方的に書き換える行為は、契約は当事者の合意に基づくという委任の本旨に反するものであり、許されない。

他の選択肢が不適切な理由
契約内容は当事者双方の合意により定まるものであり、管理業者が専門的見地から自由に見直せるとする点は誤り。契約内容の変更は当事者の合意によって効力を生じるものであり、書面の作成のみで相手方の同意なく効力が生じるとする点は誤り。業務範囲の縮小がオーナーにとって不利益となる可能性も否定できず、有利であるから承諾が不要になるとする理解は誤りである。
問72-6

管理業者Mは経営が悪化したため、繁忙期である入居者募集の直前に、オーナーNへの事前の説明もないまま突然管理受託契約を解除した。この事例に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①Mの解除自体は認められるが、不利な時期の解除としてNへの賠償責任を負いうる
  • ②委任契約であるから、Mは契約期間中のどの時期に解除しても責任を負わない
  • ③管理受託契約は期間内には解除自体ができないため、Mの解除は当然に無効である
  • ④経営悪化はやむを得ない事由に一律該当し、Mは損害賠償義務を必ず免れる
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正解 ①Mの解除自体は認められるが、不利な時期の解除としてNへの賠償責任を負いうる
解説
委任は各当事者がいつでも解除できるのが原則であるため、Mによる解除自体は民法上認められる。もっとも、繁忙期である入居者募集の直前という相手方に不利な時期に解除した場合には、やむを得ない事由がない限り、Nに生じた損害を賠償する責任を負う可能性がある。

他の選択肢が不適切な理由
不利な時期の解除には損害賠償責任が生じうるのであり、いかなる時期でも一切責任を負わないとする点は誤り。委任は各当事者がいつでも解除できるのが原則であり、期間内には解除自体ができないとする点は誤り。単なる経営悪化のみで直ちにやむを得ない事由に一律該当すると評価されるとは限らず、損害賠償義務を必ず免れるとする点は誤りである。
問82-6

オーナーOは、管理業者Pが繰り返し虚偽の報告を行っていたことが判明したため、信頼関係が破壊されたとして直ちに管理受託契約を解除したいと考えている。Oの対応に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①管理受託契約は一度締結すると、契約期間中は理由のいかんを問わず解除できない
  • ②委任は各当事者がいつでも解除でき、著しい信頼関係の毀損はやむを得ない事由となる
  • ③Oが解除するには、必ず裁判所の判決を得た上でなければ解除の効力は生じない
  • ④虚偽報告があった場合であっても、Oからの解除は認められず、更新拒絶によるほかない
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正解 ②委任は各当事者がいつでも解除でき、著しい信頼関係の毀損はやむを得ない事由となる
解説
委任は各当事者がいつでも解除することができるのが原則であり、Oは管理受託契約をいつでも解除することができる。加えて、Pによる繰り返しの虚偽報告のような著しい信頼関係の毀損は、解除に伴う損害賠償責任を免れさせる「やむを得ない事由」に該当すると評価される可能性が高い。

他の選択肢が不適切な理由
委任契約は各当事者がいつでも解除できるのが原則であり、契約期間中は理由のいかんを問わず解除できないとする点は誤り。任意解除権の行使には裁判所の判決を要件とする規定は民法上存在せず誤り。委任の任意解除権に基づき、更新拒絶を待たずとも契約期間中にOから解除することができるため、解除が認められず更新拒絶によるほかないとする点は誤りである。
問92-6

管理業者の担当者Qが、業務上知り得た入居者の連絡先を、自ら営む副業の勧誘目的で無断で利用していたことが発覚した。この事例に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①入居者情報は管理業者の資産であるから、担当者が業務外の目的で利用しても問題はない
  • ②秘密保持義務は委託者の情報のみを対象とし、入居者情報の目的外利用は義務違反にあたらない
  • ③業務上知り得た情報を目的外に利用する行為は秘密保持義務に反し、信用を損なう
  • ④副業目的での利用であっても、書面による事後報告さえ行えば適法な取扱いとなる
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正解 ③業務上知り得た情報を目的外に利用する行為は秘密保持義務に反し、信用を損なう
解説
管理業者及びその従業者は、業務上知り得た委託者や入居者に関する情報をみだりに漏らし、又は目的外に利用しない秘密保持義務を負う。Qが入居者の連絡先を自らの副業の勧誘目的で無断利用した行為は、この秘密保持義務に反し、管理業者としての信用を損なうものである。

他の選択肢が不適切な理由
入居者情報は業務上取り扱いを託されたものにすぎず、担当者が業務外の目的で自由に利用してよい資産とする点は誤り。秘密保持義務は委託者の情報だけでなく、業務上知り得た入居者の情報も当然に対象とするため誤り。目的外利用という義務違反の性質上、事後の書面報告のみをもって当然に適法となるものではなく誤りである。
問102-6

管理業者Rは、複数のオーナーから預かった敷金や家賃を一つの口座にまとめて入金し、自社の運転資金の口座とも明確に区別しないまま管理していた。Rの対応に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①敷金や家賃の管理方法は管理業者の裁量に委ねられており、区別なく管理しても問題はない
  • ②受領した金銭は、自己の固有財産の口座で管理しても帳簿上区分していれば足りる
  • ③自社の運転資金と混同しても、最終的にオーナーへ支払いさえすれば義務違反にはあたらない
  • ④自己の固有財産や他の委託者の金銭と分別管理する義務に違反するおそれがある対応である
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正解 ④自己の固有財産や他の委託者の金銭と分別管理する義務に違反するおそれがある対応である
解説
賃貸住宅管理業法は、管理業者が受領した家賃や敷金等の金銭を、自己の固有財産及び他の管理受託契約に基づき受領した金銭と分別して管理しなければならないと定めている。国土交通省令が定める具体的な方法は、これらの金銭を管理する口座を自己の固有財産を管理する口座と明確に区分し、かつ、いずれの管理受託契約に係る金銭であるかが帳簿により直ちに判別できる状態で管理することである。Rが自社の運転資金の口座と明確に区別しないまま管理していた対応は、この分別管理義務に違反するおそれがある。

他の選択肢が不適切な理由
金銭の管理方法は法令上の規律に服するものであり、管理業者の裁量に委ねられ区別なく管理してもよいとする点は誤り。省令が定める方法は固有財産を管理する口座と明確に区分することを求めているため、固有財産の口座で管理したうえで帳簿上区分すれば足りるとする点は誤り。分別管理義務は金銭の保管方法そのものを規律するものであり、最終的な支払いの実現のみをもって義務違反にあたらないとする点も誤りである。

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