2026年版・2-4

管理受託契約における管理業者の義務(善管注意義務・報告義務等)の一問一答

賃貸不動産経営管理士試験「管理受託契約」から、管理受託契約における管理業者の義務(善管注意義務・報告義務等)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-4

管理受託契約における管理業者の善管注意義務の具体的な現れ方に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①善管注意義務は抽象的な理念にすぎず、個別の管理業務の遂行方法には影響を及ぼさない
  • ②善管注意義務を尽くしたか否かは、管理業者の主観的な誠実さのみによって判断される
  • ③修繕の要否や業者選定において、専門家として合理的な注意を払うことが求められる
  • ④善管注意義務は、委託者から個別の指示があった場合にのみ発生する義務である
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正解 ③修繕の要否や業者選定において、専門家として合理的な注意を払うことが求められる
解説
善管注意義務は抽象的な理念にとどまらず、修繕の要否の判断、業者の選定、点検内容の検討等、個別の管理業務の遂行場面において、管理を業とする専門家として通常期待される合理的な注意を払うことを具体的に求めるものである。

他の選択肢が不適切な理由
善管注意義務は業務の遂行方法を規律する実践的な義務であり、単なる抽象的理念にすぎないとする点は誤り。義務違反の有無は主観的な誠実さではなく、客観的に期待される注意水準を基準に判断されるため誤り。善管注意義務は委任契約の性質上当然に発生する法定の義務であり、個別の指示の有無を発生要件とするものではなく誤りである。
問22-4

管理業者が善管注意義務に違反して委託者に損害を与えた場合の法的責任に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①善管注意義務違反があっても、委任契約は無償契約が原則であるため損害賠償責任は生じない
  • ②善管注意義務違反による責任は、賃貸住宅管理業法上の行政処分としてのみ問われる
  • ③善管注意義務違反による損害賠償請求は、委託者が管理業者の故意を立証した場合に限られる
  • ④善管注意義務違反は債務不履行にあたり、委託者は管理業者に対して損害賠償を請求しうる
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正解 ④善管注意義務違反は債務不履行にあたり、委託者は管理業者に対して損害賠償を請求しうる
解説
善管注意義務は委任契約上の中心的な義務であり、これに違反することは委任契約上の債務不履行にあたる。委託者は、管理業者の善管注意義務違反によって損害を被った場合、債務不履行に基づく損害賠償を請求することができる。

他の選択肢が不適切な理由
報酬の有無にかかわらず善管注意義務は軽減されず、無償契約であることを理由に損害賠償責任が生じないとする点は誤り。行政処分と民事上の損害賠償責任は別個の制度であり、行政処分としてのみ問われるとする点は誤り。債務不履行に基づく損害賠償は過失による違反でも問題となりうるものであり、故意の立証を要件とする点は誤りである。
問32-4

管理業者が委託者に対して負う定期報告義務の法的根拠に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①賃貸住宅管理業法上、実施状況等を年1回以上報告する義務が定められている
  • ②定期報告義務は、管理受託契約に特約を設けた場合にのみ発生する任意の義務である
  • ③定期報告義務は、委託者が個人である場合に限り発生し、法人には適用されない
  • ④定期報告は、管理受託契約の期間の満了後に一度行えば足りる規律である
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正解 ①賃貸住宅管理業法上、実施状況等を年1回以上報告する義務が定められている
解説
賃貸住宅管理業法は、管理業者に対し、管理業務の実施状況等について国土交通省令で定める事項を、少なくとも1年に1回以上の頻度で委託者に報告することを義務付けている。この義務は契約上の特約の有無にかかわらず、法律上当然に生じる義務である。

他の選択肢が不適切な理由
定期報告義務は法律上定められた義務であり、特約の存在を発生要件とする任意の義務とする点は誤り。定期報告義務の対象は委託者が個人であるか法人であるかを問わないため、個人に限られるとする点は誤り。定期報告は、契約を締結した日から1年を超えない期間ごとに行い、加えて契約期間の満了後にも遅滞なく行うべきものとされているため、期間の満了後に一度行えば足りるとする点は誤りである。
問42-4

管理業者が定期報告を長期間怠った場合に生じうる効果に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①定期報告の懈怠は、管理業者内部の事務処理の問題にとどまり、外部への影響は生じない
  • ②定期報告の懈怠は、行政処分の対象となるほか、善管注意義務違反にもなりうる
  • ③定期報告を怠った場合であっても、報酬請求権には影響が生じないと解されている
  • ④定期報告の懈怠は、委託者が事前に免除の意思表示をしていれば常に適法となる
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正解 ②定期報告の懈怠は、行政処分の対象となるほか、善管注意義務違反にもなりうる
解説
定期報告義務は賃貸住宅管理業法上の義務であるため、これを怠ると業務改善命令等の行政処分の対象となりうる。加えて、報告義務は委任契約上の受任者の基本的な義務の一つでもあるため、これを長期間怠ることは善管注意義務違反として民事上の責任にもつながりうる。

他の選択肢が不適切な理由
定期報告義務は行政法上及び私法上の両面で意味を持つ義務であり、内部的な問題にとどまり外部への影響が生じないとする点は誤り。報酬請求権の存否は個別の事情によるが、報告義務の懈怠が契約上の債務不履行と評価されれば報酬に関する主張にも影響しうるため、一切影響が生じないと言い切る点は誤り。定期報告義務は賃貸住宅管理業法上の公法上の義務としての性質も有するため、委託者の事前の免除の意思表示のみによって当然に適法となるものではなく誤りである。
問52-4

管理業者及びその従業者が負う秘密保持義務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①秘密保持義務は、管理業務の実施中に限られ、契約終了後は直ちに消滅すると解される
  • ②秘密保持義務は、委託者に関する情報のみを対象とし、入居者の情報は対象とならない
  • ③業務上知り得た情報をみだりに漏らさない義務で、契約終了後も存続すると解される
  • ④秘密保持義務は、管理業者が書面で承諾した場合にのみ発生する任意規定である
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正解 ③業務上知り得た情報をみだりに漏らさない義務で、契約終了後も存続すると解される
解説
管理業者は、業務上知り得た委託者や入居者に関する情報をみだりに第三者に漏らさない秘密保持義務を負う。この義務は、契約が終了したことによって当然に消滅するものではなく、契約終了後も一定の範囲で存続すると解されている。

他の選択肢が不適切な理由
秘密保持義務は契約終了後も存続すると解されており、実施中に限られ終了後に直ちに消滅するとする点は誤り。秘密保持義務は委託者に関する情報だけでなく、業務上知り得た入居者の情報も当然に対象となるため誤り。秘密保持義務は業務の性質上当然に生じる義務であり、書面による承諾を発生要件とする任意規定とする点は誤りである。
問62-4

管理業者が負う緊急時の対応義務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①緊急対応義務は、管理業務の範囲に含まれない付随的なサービスにすぎないとされる
  • ②緊急対応義務を尽くさなかったことにより損害が拡大しても、管理業者は責任を負わない
  • ③緊急対応義務は、委託者が現地に自ら立ち会っている場合に限って発生する特別な義務である
  • ④事故等の発生時に速やかに応急措置を講じることは、善管注意義務の現れとして求められる
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正解 ④事故等の発生時に速やかに応急措置を講じることは、善管注意義務の現れとして求められる
解説
水漏れ等の事故が発生した場合に速やかに応急措置を講じ、被害の拡大を防ぐことは、専門家として管理業務を受託した管理業者の善管注意義務の具体的な現れとして求められる。この対応を怠れば善管注意義務違反となりうる。

他の選択肢が不適切な理由
緊急対応は管理業務の中核をなす重要な業務の一つであり、業務範囲に含まれない付随的サービスにすぎないとする点は誤り。緊急対応義務を尽くさず被害が拡大した場合には、善管注意義務違反として損害賠償責任を問われうるため、一切責任を負わないとする点は誤り。緊急対応義務は委託者の立会いの有無にかかわらず生じる義務であり、立会いを発生要件とする点は誤りである。
問72-4

賃貸住宅管理業法上、管理業者が受領した家賃や敷金等の金銭について負う義務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①受領した家賃等は、固有財産や他の委託者の金銭とは常に分別管理する義務がある
  • ②受領した家賃や敷金等は、管理業者の固有財産に組み入れて自由に運用してよい
  • ③分別管理の義務は、委託者からの書面による免除の申出さえあれば当然に消滅する
  • ④分別管理の義務は、家賃のみを対象とし、敷金や共益費は対象に含まれない
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正解 ①受領した家賃等は、固有財産や他の委託者の金銭とは常に分別管理する義務がある
解説
賃貸住宅管理業法は、管理業者が管理受託契約に基づき受領する家賃、敷金、共益費その他の金銭について、自己の固有財産及び他の管理受託契約に基づき受領した金銭と分別して管理しなければならないと定めている。国土交通省令は、その具体的な方法として、これらの金銭を管理する口座を自己の固有財産を管理する口座と明確に区分したうえで、いずれの管理受託契約に係る金銭であるかを帳簿により直ちに判別できる状態にすることを求めている。

他の選択肢が不適切な理由
分別管理義務は委託者の金銭と管理業者自身の財産を明確に区別することを求めるものであり、固有財産に組み入れて自由に運用してよいとする点は誤り。分別管理義務は法律上の義務であり、委託者からの書面による免除の申出のみで消滅するものではなく誤り。分別管理の対象は家賃に限られず、敷金や共益費その他の金銭も含まれるため誤りである。
問82-4

賃貸住宅管理業法上の業務管理者の選任に関する義務と、個別の管理受託契約に基づく受任者としての義務との関係について、最も適切なものはどれか。

  • ①業務管理者の選任義務は、個々の管理受託契約における善管注意義務と同一の概念である
  • ②業務管理者の選任は営業所ごとの組織上の義務で、受任者の義務とは区別される
  • ③業務管理者を選任すれば、個々の受任者としての善管注意義務は免除される
  • ④業務管理者の選任義務は、賃貸住宅管理業法でなく管理受託契約書にのみ定められている
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正解 ②業務管理者の選任は営業所ごとの組織上の義務で、受任者の義務とは区別される
解説
賃貸住宅管理業法は、管理業者に対し営業所又は事務所ごとに一定の要件を備えた業務管理者を選任し、従業者の指導監督等を行わせることを義務付けている。これは管理業者の組織体制に関する行政法上の規律であり、個別の管理受託契約に基づき管理業者が委託者に対して負う受任者としての善管注意義務等とは別個の義務である。

他の選択肢が不適切な理由
業務管理者の選任義務は組織体制の整備に関する義務であり、個別契約上の善管注意義務と同一の概念とする点は誤り。業務管理者を選任したことをもって、個々の管理受託契約における善管注意義務が免除されるものではなく誤り。業務管理者の選任義務は賃貸住宅管理業法に定められた法律上の義務であり、管理受託契約書にのみ定められているとする点は誤りである。
問92-4

賃貸住宅管理業法上の帳簿の備付けに関する義務について、最も適切なものはどれか。

  • ①帳簿の備付けは、委託者との個別の合意がある場合にのみ発生する任意の義務である
  • ②帳簿の備付け義務は、管理業務の実施状況を委託者に直接開示する義務そのものを指す
  • ③営業所又は事務所ごとに業務の帳簿を備え、契約年月日等を記載して保存する義務がある
  • ④帳簿の備付けは、管理受託契約が終了した時点で直ちに廃棄することが義務付けられている
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正解 ③営業所又は事務所ごとに業務の帳簿を備え、契約年月日等を記載して保存する義務がある
解説
賃貸住宅管理業法は、管理業者に対し、営業所又は事務所ごとにその業務に関する帳簿を備え付け、委託者ごとに管理受託契約の契約年月日その他の国土交通省令で定める事項を記載して保存することを義務付けている。これは管理業者の内部管理の適正化を目的とする規律である。

他の選択肢が不適切な理由
帳簿の備付けは委託者との個別合意を要件とする任意の義務ではなく、法律上当然に課される義務であるため誤り。帳簿の備付けは管理業者内部の記録保存義務であり、委託者への直接の開示義務そのものを指すものではないため誤り。帳簿は一定期間の保存が求められる性質のものであり、契約終了時に直ちに廃棄することが義務付けられているとする点は誤りである。
問102-4

民法上の受任者の報告義務と、賃貸住宅管理業法上の委託者への定期報告義務との関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①両者は同一の内容であり、いずれか一方を履行すれば他方の履行は不要となる
  • ②賃貸住宅管理業法上の定期報告義務が定められたことで、民法上の報告義務は廃止された
  • ③民法上の報告義務は法人の委託者には適用されず、個人の委託者にのみ適用される
  • ④委託者の個別請求時の報告は民法645条、定期報告は同法とは別個の義務である
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正解 ④委託者の個別請求時の報告は民法645条、定期報告は同法とは別個の義務である
解説
民法645条は、委任者からの請求があればいつでも報告するという受任者の一般的な報告義務を定めるのに対し、賃貸住宅管理業法上の定期報告義務は、請求の有無にかかわらず少なくとも1年に1回以上の頻度で報告することを求める公法上の義務である。両者は根拠を異にする別個の義務として併存する。

他の選択肢が不適切な理由
両者は要件や趣旨を異にする別個の義務であり、一方の履行により他方の履行が不要になるとする点は誤り。賃貸住宅管理業法の制定によって民法上の報告義務が廃止されたという事実はなく誤り。民法上の報告義務は委任契約一般に適用されるものであり、委託者が法人か個人かによって適用の有無が左右されるものではなく誤りである。

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