2026年版・2-8

地すべり防止工と急傾斜地崩壊対策の一問一答

2級土木施工管理技士「専門土木」から、地すべり防止工と急傾斜地崩壊対策に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-8

地すべり防止工における抑制工と抑止工の説明として、適当なものはどれか。

  • ①抑制工は地形や地下水の状態を変えて地すべりの動きを止める工法である
  • ②抑制工は構造物の抵抗力によって地すべりの動きを直接止める工法である
  • ③抑止工は地表水を排除して地すべりの動きを緩やかにする工法である
  • ④抑止工は地下水位を下げることで地すべりの動きを抑える工法である
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正解 ①抑制工は地形や地下水の状態を変えて地すべりの動きを止める工法である
解説
地すべり防止工は、考え方の違いによって抑制工と抑止工の二つに分かれます。
抑制工は、地形や地下水の状態といった自然条件のほうを変えることで、地すべりを動かしている力そのものを小さくする工法です。地表水排除工、地下水排除工、排土工、押え盛土工などが含まれます。構造物で押さえつけるのではない点が特徴です。
抑止工は、杭やアンカーなど構造物の抵抗力によって、動こうとする土塊を直接止める工法です。杭工、シャフト工、アンカー工などがこれにあたります。
施工では、まず抑制工を行って地すべりの動きを弱め、その後に抑止工を組み合わせるのが原則です。激しく動いている状態で構造物を入れても、押し倒されて壊れてしまうためです。
本試験では、この二つの分類と、どの工法がどちらに属するかが繰り返し問われます。
(根拠:河川砂防技術基準(計画編))

他の選択肢が不適切な理由
「抑制工は構造物の抵抗力で直接止める」は誤りで、それは抑止工の説明です。
「抑止工は地表水を排除して動きを緩やかにする」も誤りで、地表水排除工は抑制工です。
「抑止工は地下水位を下げる」も誤りで、地下水排除工はいずれも抑制工に分類されます。
問22-8

地すべり防止工の工法とその分類との組合せとして、適当でないものはどれか。

  • ①横ボーリング工 - 抑制工
  • ②押え盛土工 - 抑制工
  • ③集水井工 - 抑止工
  • ④アンカー工 - 抑止工
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正解 ③集水井工 - 抑止工
解説
集水井工は、地すべり地内に直径3.5から4メートル程度の井筒を掘り下げ、その側面から放射状に集水ボーリングを行って地下水を集める工法です。集めた水は排水ボーリングによって自然に流し出します。
地下水位を下げて滑ろうとする力を小さくする工法なので、分類は抑制工です。したがって抑止工とする組合せが誤りです。井筒という構造物を作るため抑止工と誤解されやすい点が、この問題の狙われどころです。
横ボーリング工も、すべり面より上の帯水層をねらって水平に近い孔をあけ、地下水を抜く抑制工です。水が自然に流れ出るよう、やや上向きの勾配で施工します。
押え盛土工は、地すべり土塊の末端部に土を盛って、動こうとする力に対抗させる抑制工です。
アンカー工は、不動地盤に定着させた鋼材で土塊を直接引き止める抑止工です。
(根拠:河川砂防技術基準(計画編))

他の選択肢が不適切な理由
「横ボーリング工と抑制工」は正しい組合せで、地下水排除工の代表です。
「押え盛土工と抑制工」も正しく、末端部に盛土して安定を高めます。
「アンカー工と抑止工」も正しく、構造物の抵抗力で直接止める工法です。
問32-8

地すべり防止工の施工の順序に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①抑止工を先に施工し、動きが止まってから抑制工を追加するのがよい
  • ②抑制工と抑止工は、同一の工期内で同時に着手するのが原則である
  • ③抑制工を先に施工し、動きが緩和されてから抑止工を施工するのがよい
  • ④地すべりが活発に動いているうちは、抑止工だけで対応するのが原則だ
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正解 ③抑制工を先に施工し、動きが緩和されてから抑止工を施工するのがよい
解説
地すべり対策は、抑制工を先に行い、地すべりの動きが弱まってから抑止工を施工するのが原則です。
理由は、抑止工が構造物の力で土塊を受け止める工法だからです。地すべりが活発に動いている状態で杭やアンカーを入れても、想定を超える力を受けて折れたり抜けたりし、費用をかけた構造物が無駄になります。
そこでまず、地表水排除工や地下水排除工によって、すべり面付近の水を減らします。地すべりの多くは地下水の上昇が引き金になるため、水を抜くだけで動きが大きく弱まることが少なくありません。排土工や押え盛土工で土塊のつり合いを改善することもあります。
そのうえで、残る動きを止めるために抑止工を組み合わせます。抑制工だけで安定が得られる場合は、抑止工を設けないこともあります。
本試験では、この順序が繰り返し問われます。
(根拠:河川砂防技術基準(計画編))

他の選択肢が不適切な理由
「抑止工を先に施工する」は誤りで、活発な動きの中では構造物が破壊されるおそれがあります。
「同一の工期内で同時に着手する」も誤りで、抑制工を先行させて動きを緩和するのが原則です。
「抑止工だけで対応するのが原則」も誤りで、抑制工との組合せが基本の考え方です。
問42-8

地すべり防止工のうち、地下水排除工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①横ボーリング工は、すべり面より上の帯水層をねらって施工する
  • ②横ボーリング工は、水が自然に流れ出るよう上向きの勾配で施工する
  • ③集水井工は、井筒から集水ボーリングを行い地下水を集める工法である
  • ④横ボーリング工は、孔に水をためるため下向きの勾配で施工していく
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正解 ④横ボーリング工は、孔に水をためるため下向きの勾配で施工していく
解説
横ボーリング工は、地すべり地の斜面から地中へほぼ水平に孔をあけ、たまっている地下水を抜き出す工法です。
孔を下向きに掘ると水が奥にたまって出てこないため、必ずやや上向きの勾配で施工します。おおむね仰角5度から10度とし、集めた地下水が重力で自然に流れ出るようにします。したがって、下向きの勾配とする記述は誤りです。
ねらう位置も重要です。すべり面より上にある帯水層(水を含む地層)に届かせることで、すべり面付近の水圧を下げられます。すべり面より下だけを抜いても効果は限られます。
集水井工は、直径3.5から4メートル程度の井筒を掘り、その側面から放射状に集水ボーリングを行って広い範囲の地下水を集め、排水ボーリングで自然排水する工法です。
いずれも地下水位を下げて滑ろうとする力を小さくする抑制工です。
(根拠:河川砂防技術基準(設計編))

他の選択肢が不適切な理由
「すべり面より上の帯水層をねらう」は正しく、すべり面の水圧を下げる目的にかないます。
「水が自然に流れ出るよう上向きの勾配で施工する」も正しい施工方法です。
「集水井工は井筒から集水ボーリングを行う」も正しく、広い範囲の地下水を集めます。
問52-8

地すべり防止工の排土工と押え盛土工に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①排土工は地すべり土塊の頭部を取り除き、滑動させる力を減らす工法である
  • ②排土工は地すべり土塊の末端部を取り除き、抵抗する力を高める工法である
  • ③押え盛土工は地すべり土塊の頭部に盛土し、滑動を止める工法である
  • ④押え盛土工は地すべり地の外に盛土し、地下水の流入を防ぐ工法である
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正解 ①排土工は地すべり土塊の頭部を取り除き、滑動させる力を減らす工法である
解説
地すべりは、斜面の上部にある土の重さが滑らせる力となり、下部の土が踏みとどまる抵抗力となって、そのつり合いで動くかどうかが決まります。
排土工は、この滑らせる力を減らす工法です。地すべり土塊の頭部、つまり上部の土を取り除くことで、斜面を押し下げようとする力そのものを小さくします。
押え盛土工は、逆に抵抗する力を増やす工法です。地すべり土塊の末端部、つまり下部に土を盛って重しとし、すべり出そうとする土塊を押しとどめます。
頭部を盛ったり末端部を削ったりすると、いずれも逆効果になって地すべりを促進します。頭部は取る、末端部は盛る、と覚えると取り違えません。
どちらも自然条件のほうを変える工法なので、分類は抑制工です。
本試験では、頭部と末端部の入れ替えが定番の誤りです。
(根拠:河川砂防技術基準(設計編))

他の選択肢が不適切な理由
「排土工は末端部を取り除く」は誤りで、末端部を削ると抵抗力が減って危険になります。
「押え盛土工は頭部に盛土する」も誤りで、頭部に盛ると滑らせる力が増えてしまいます。
「押え盛土工は地下水の流入を防ぐ工法」も誤りで、それは地下水遮断工などの役割です。
問62-8

地すべり防止工の杭工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①杭は、すべり面を貫いて不動地盤まで十分に挿入する必要がある
  • ②杭工では、すべり面より浅い位置で止めても十分な効果が得られる
  • ③杭は、せん断抵抗と曲げ抵抗によって滑動する力に対抗している
  • ④杭の設置位置は、地すべり土塊の下部で抵抗が期待できる範囲とする
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正解 ②杭工では、すべり面より浅い位置で止めても十分な効果が得られる
解説
杭工は、鋼管杭などを斜面に打込み、動こうとする土塊を直接受け止める抑止工です。
効果を発揮するには、杭がすべり面を貫いて、その下の動かない地盤(不動地盤)に十分な長さで入っていなければなりません。すべり面より浅い位置で止めた杭は、土塊と一緒に動いてしまうだけで、何の抵抗にもなりません。したがってこの記述が誤りです。
不動地盤に固定された杭は、土塊が動こうとする力をせん断抵抗と曲げ抵抗で受け止めます。地面に刺した棒が横から押される状態を思い浮かべると理解しやすくなります。
設置位置は、地すべり土塊の下部のうち、すべり面が深すぎず、下の地盤による抵抗が期待できる範囲を選びます。
また、抑制工で動きを弱めてから施工するのが原則です。
(根拠:河川砂防技術基準(設計編))

他の選択肢が不適切な理由
「すべり面を貫いて不動地盤まで挿入する」は正しく、杭工が成り立つ前提条件です。
「せん断抵抗と曲げ抵抗によって対抗する」も正しく、杭が力を受け持つ仕組みです。
「設置位置は土塊の下部で抵抗が期待できる範囲」も正しい選定の考え方です。
問72-8

急傾斜地の崩壊を防止する工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①法枠工は、斜面に格子状の枠を設けて表層の崩壊を抑える工法である
  • ②法枠工は、斜面から離した位置に設けて崩土を受け止める工法である
  • ③待受け式擁壁は、斜面に密着させて表層を直接押さえる工法である
  • ④植生工は、斜面の地下水位を大きく下げることを目的とする工法である
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正解 ①法枠工は、斜面に格子状の枠を設けて表層の崩壊を抑える工法である
解説
急傾斜地の崩壊対策も、地すべりと同じく抑制工と抑止工に分かれます。
法枠工は、斜面の上に現場打ちコンクリートやプレキャスト部材で格子状の枠を組み、枠の中を植生や吹付けで覆う工法です。枠が表層の土を押さえ、雨水による表面の侵食と表層のすべりを抑えます。アンカーと組み合わせると、より深い層まで安定させられます。
待受け式擁壁は、斜面から少し離した位置に擁壁を設け、崩れ落ちてきた土砂をその手前で受け止める工法です。斜面そのものを押さえるのではなく、崩土をとらえて人家などを守ります。
植生工は、根が表層の土をまとめ、雨滴が直接土に当たるのを防ぐ工法です。表面の侵食防止が主な効果で、地下水位を大きく下げる働きはありません。
(根拠:河川砂防技術基準(設計編))

他の選択肢が不適切な理由
「法枠工は斜面から離した位置に設ける」は誤りで、それは待受け式擁壁の説明です。
「待受け式擁壁は斜面に密着させる」も誤りで、離して設けて崩土を受け止めます。
「植生工は地下水位を大きく下げる」も誤りで、主な効果は表面の侵食防止です。
問82-8

落石対策工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①落石予防工は、落石の発生そのものを防ぐことを目的としている
  • ②ロックシェッドは、落石の発生を根本から防ぐ予防工に分類される
  • ③浮石の除去やロックボルトによる固定は、落石予防工に分類される
  • ④落石防護柵や落石防護網は、落下した石を受け止める防護工である
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正解 ②ロックシェッドは、落石の発生を根本から防ぐ予防工に分類される
解説
落石対策は、石が落ちること自体を防ぐ予防工と、落ちてきた石を受け止める防護工の二つに分けられます。
ロックシェッドは、道路の上をトンネル状の構造物で覆い、落ちてきた石を屋根で受け止めて道路上に届かせない施設です。斜面の石はそのまま残るため、発生を防ぐわけではなく、分類は防護工です。したがってこの記述が誤りです。
予防工は、斜面にある不安定な石そのものに手を加える工法です。浮石をあらかじめ取り除く落石除去、コンクリートで固める根固め、ロックボルトやワイヤロープで斜面につなぎとめる方法などがあります。
防護工には、ロックシェッドのほか、落石防護柵、落石防護網、落石防護擁壁があります。
本試験では、どの工法がどちらに属するかが問われます。
(根拠:落石対策便覧)

他の選択肢が不適切な理由
「落石予防工は落石の発生そのものを防ぐ」は正しく、分類の定義そのものです。
「浮石の除去やロックボルトによる固定は予防工」も正しい分類です。
「落石防護柵や落石防護網は防護工」も正しく、落下した石を受け止めます。
問92-8

急傾斜地の崩壊対策における法切工および水路工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①法切工は、不安定な斜面の勾配を緩めて安定を高める工法である
  • ②水路工は、斜面に流れ込む地表水を集めて安全に排除する工法である
  • ③法切工は、斜面の勾配を急にして崩土の量を減らす工法である
  • ④水路工は、斜面の表面を流れる水による侵食を防ぐ効果がある
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正解 ③法切工は、斜面の勾配を急にして崩土の量を減らす工法である
解説
法切工は、不安定な斜面の上部を削り取って勾配を緩やかにし、崩れにくくする工法です。したがって、勾配を急にするという記述は誤りです。勾配を急にすれば、土を滑らせようとする力が増えて崩壊の危険がむしろ高まります。
斜面が崩れるかどうかは、滑らせる力と踏みとどまる力のつり合いで決まります。勾配を緩めることは、この滑らせる力を減らす直接的な方法にあたります。地すべりの排土工と同じ考え方です。
水路工は、斜面に流れ込む地表水を集めて安全な場所へ導く工法です。斜面の上端に沿って設ける排水路などがこれにあたります。
水が斜面を流れ下ると、表面を削って溝をつくり、そこから崩壊が始まります。また、しみ込んだ水は土を重くし、強度を下げます。地表水を早く斜面の外へ出すことが、崩壊防止の基本です。
(根拠:河川砂防技術基準(設計編))

他の選択肢が不適切な理由
「法切工は斜面の勾配を緩めて安定を高める」は正しく、法切工の目的そのものです。
「水路工は地表水を集めて安全に排除する」も正しく、崩壊対策の基本になります。
「水路工は表面を流れる水による侵食を防ぐ」も正しい効果の説明です。
問102-8

地すべりが発生した斜面において、地下水の上昇が主な原因と判断された場合の対策の進め方として、適当でないものはどれか。

  • ①まず地下水排除工によって地下水位を下げ、動きの緩和を図る
  • ②地表水が斜面へしみ込まないよう、地表水排除工をあわせて行う
  • ③動きが緩やかになった段階で、必要に応じて抑止工を組み合わせる
  • ④地下水の状態を調べる前に、直ちにアンカー工だけで対応を進める
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正解 ④地下水の状態を調べる前に、直ちにアンカー工だけで対応を進める
解説
地すべりの多くは、地下水位の上昇によってすべり面付近の水圧が高まり、土がふんばる力を失うことで動き出します。したがって対策は、原因である水を減らすことから始めます。
調査をしないまま抑止工だけで対応する進め方は適当ではありません。すべり面の深さや地下水の状態が分からなければ、杭やアンカーをどこまで入れるべきかも決められず、活発に動いている土塊に構造物を入れれば破壊されるおそれもあります。したがってこの記述が誤りです。
正しい進め方は、まず地下水排除工で水位を下げ、あわせて地表水排除工で斜面へのしみ込みを減らし、動きが緩やかになったことを観測で確かめてから、必要に応じて抑止工を組み合わせるという順序です。
施工中も、地表の伸縮計や地中の傾斜計などで動きを観測し続けます。
(根拠:河川砂防技術基準(計画編))

他の選択肢が不適切な理由
「まず地下水排除工で水位を下げる」は正しく、原因への直接的な対応にあたります。
「地表水排除工をあわせて行う」も正しく、しみ込む水を減らす基本的な対策です。
「動きが緩やかになった段階で抑止工を組み合わせる」も正しい順序の考え方です。

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