2026年版・2-14

山岳トンネル(NATM)の施工の一問一答

2級土木施工管理技士「専門土木」から、山岳トンネル(NATM)の施工に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-14

山岳トンネルのNATMの考え方に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①地山がもつ支える力を活かし、支保工と一体で安定を保つ
  • ②地山の力は考えず、覆工コンクリートだけで全荷重を支える
  • ③掘削後は支保工を設けず、地山が自然に落ち着くのを待つ
  • ④掘削したらすぐに覆工を打ち、支保工は最後に取り付ける
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正解 ①地山がもつ支える力を活かし、支保工と一体で安定を保つ
解説
NATMは、トンネルの周りの地山(じやま。トンネルを取り巻く岩や土)そのものがもつ支える力を積極的に利用し、それを補うかたちで支保工を組み合わせて安定を保つ考え方です。
掘削するとその面の周囲に力の流れが集まり、地山は少しずつ変形しながら新たなつり合いに落ち着きます。この変形を適度に許しつつ、緩みが進みすぎないうちに吹付けコンクリートとロックボルトで地山を押さえるのがNATMの要点です。
そのため掘削後はできるだけ早く支保工を施し、あわせて内空変位などを計測して地山の動きを確かめながら支保の量を調整します。
覆工コンクリートは、変位が落ち着いたあとに施工します。
本試験では、地山の力を活かす点と、計測に基づいて進める点が狙われます。
(根拠:トンネル標準示方書(山岳工法編))

他の選択肢が不適切な理由
「覆工コンクリートだけで全荷重を支える」は誤りで、それはNATM以前の考え方に近く、地山の力を活かすNATMとは異なります。
「支保工を設けず自然に落ち着くのを待つ」も誤りで、緩みが進んで崩落の危険が高まります。
「掘削後すぐに覆工を打ち、支保工は最後」も誤りで、順序が逆です。
問22-14

山岳トンネルの掘削工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①全断面工法は、断面が小さく地質が安定した場合に適している
  • ②ベンチカット工法は、断面を上下に分けずに一度に掘り進める
  • ③導坑先進工法は、地質が良好な場合にのみ用いられる工法である
  • ④中壁分割工法は、断面の中央に穴をあけてから外へ広げていく
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正解 ①全断面工法は、断面が小さく地質が安定した場合に適している
解説
全断面工法は、トンネルの断面を分割せず、一度に全部を掘り進める工法です。
作業の切り替えがなく効率がよい反面、掘削面が広いため切羽(きりは。掘り進む一番先の面)が不安定になりやすく、断面が比較的小さく地質の安定した場合に適します。
ベンチカット工法は、断面を上半と下半に分け、上半を先行させて階段状に掘り進む工法で、地質の変化に対応しやすく最も広く用いられます。
中壁分割工法は、断面を左右に分け、中央に仮の壁を残しながら片側ずつ掘り進む工法です。
導坑先進工法は、先に小さな導坑を掘って地質や湧水を確かめ、そこから断面を広げる工法で、地質が悪い場合や大断面の場合に用います。
本試験では、各工法の分割の仕方と適する地質の組合せが問われます。
(根拠:トンネル標準示方書(山岳工法編))

他の選択肢が不適切な理由
「ベンチカット工法は断面を上下に分けずに掘る」は誤りで、上半と下半に分けるのがこの工法です。
「導坑先進工法は地質が良好な場合にのみ用いる」も誤りで、むしろ地質が悪い場合に有効です。
「中壁分割工法は中央に穴をあけてから外へ広げる」も誤りで、中壁を残して左右に分けて掘ります。
問32-14

山岳トンネルの掘削方式に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①発破掘削は、硬い岩盤を掘り進むときに用いられる方式である
  • ②発破掘削は、外周の孔を先に起爆し、心抜きを最後に起爆する
  • ③自由断面掘削機は、断面の形に合わせて掘り進む機械である
  • ④機械掘削は、発破に比べ騒音や振動を抑えられる方式である
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正解 ②発破掘削は、外周の孔を先に起爆し、心抜きを最後に起爆する
解説
山岳トンネルの発破では、まず切羽(きりは。掘り進む一番先の面)の中心付近の心抜き(しんぬき)の孔を起爆します。
掘り始めの切羽は前方の面しか開いていないため、そのままでは岩が逃げる先がなく破砕できません。中心を先に抜くことで、岩が動ける空間(自由面)を新たに作り出します。
その後、できた自由面に向かって内側から外側へ順に起爆し、最後に外周の孔を起爆します。外周は仕上がり面を決めるため、装薬量を抑えて余分に掘りすぎないようにするスムースブラスティングが用いられます。
したがって「外周を先に、心抜きを最後に」という記述は順序が逆であり、適当ではありません。
本試験では、この起爆の順序と、掘削方式ごとの適する地質・周辺環境への影響が問われます。
(根拠:トンネル発破の起爆順序に関する公表資料)

他の選択肢が不適切な理由
「発破掘削は硬い岩盤に用いる」は正しく、機械では削りにくい硬岩での標準的な方式です。
「機械掘削は騒音や振動を抑えられる」も正しく、市街地に近い区間で選ばれる理由になります。
「自由断面掘削機は断面の形に合わせて掘る」も正しく、ブームの先の回転する刃で削るため断面形状の自由度が高い機械です。
問42-14

山岳トンネルの吹付けコンクリートに関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①掘削後、できるだけ早い時期に吹き付けることが望ましい
  • ②ノズルは、吹付け面に対して直角に向けて吹き付ける
  • ③凹凸を残したまま吹き付け、厚さは薄いほど効果が高い
  • ④地山の凹凸を埋め、力が一点に集中しないように仕上げる
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正解 ③凹凸を残したまま吹き付け、厚さは薄いほど効果が高い
解説
吹付けコンクリートは、掘削したばかりの地山の面にコンクリートを吹き付けて密着させ、地山の緩みと剥落を抑える支保部材です。
掘削面に凹凸が残ったままでは、出っ張った部分に力が集中して割れやすくなります。そのため凹部を埋めて滑らかに仕上げ、力が均等に伝わるようにします。
厚さも、薄いほど効果が高いということはなく、地山の状態に応じて必要な厚さを確保します。
また、掘削してから時間がたつほど地山は緩むため、できるだけ早い時期に吹き付けることが重要です。
ノズルは吹付け面に直角に向け、適切な距離を保って吹き付けます。斜めに向けると、はね返り(リバウンド)が増えて密着も悪くなります。
本試験では、吹付けの時期・ノズルの向き・仕上げ面の状態が狙われます。
(根拠:トンネル標準示方書(山岳工法編))

他の選択肢が不適切な理由
「できるだけ早い時期に吹き付ける」は正しく、地山が緩む前に押さえるためです。
「ノズルを吹付け面に直角に向ける」も正しく、はね返りを減らし密着をよくします。
「凹凸を埋め力が集中しないように仕上げる」も正しい施工方法です。
問52-14

山岳トンネルのロックボルトに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①原則として、トンネルの掘削面に対して直角に打ち込む
  • ②原則として、トンネルの掘削面に沿って平行に打ち込む
  • ③定着材は用いず、穴に差し込むだけで効果を発揮させる
  • ④プレートは、吹付け面から浮かせて取り付けるのがよい
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正解 ①原則として、トンネルの掘削面に対して直角に打ち込む
解説
ロックボルトは、掘削面から地山の奥へ向けて鋼棒を打込み、定着材で固定する支保部材です。
効果は主に2つあります。1つは、割れ目で分かれた岩の塊を奥の安定した地山に縫い付けて落下を防ぐはたらき、もう1つは、地山を締め付けて一体化させ、地山自身が支える力を高めるはたらきです。
これらの効果を最も発揮させるには、掘削面に対して直角、すなわちトンネルの断面で見て放射状に打ち込むのが原則です。掘削面に平行では、岩を縫い付けることも締め付けることもできません。
孔にはモルタルなどの定着材を充てんし、地山と一体化させます。頭部のベアリングプレートは吹付け面に密着させ、力を面に伝えます。
本試験では、打込みの方向と定着の方法が狙われます。
(根拠:トンネル標準示方書(山岳工法編))

他の選択肢が不適切な理由
「掘削面に沿って平行に打ち込む」は誤りで、それでは奥の地山に定着せず効果がありません。
「定着材を用いず差し込むだけ」も誤りで、定着材で地山と一体化させることが前提です。
「プレートを吹付け面から浮かせて取り付ける」も誤りで、密着させないと力が伝わりません。
問62-14

山岳トンネルの鋼アーチ式支保工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①掘削後、速やかに建て込んで地山の変形を抑える部材である
  • ②吹付けコンクリートと一体となって荷重を受け持つ部材である
  • ③トンネルの縦断方向にすき間なく連続して並べる部材である
  • ④地山が良好な区間では、省略される場合もある部材である
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正解 ③トンネルの縦断方向にすき間なく連続して並べる部材である
解説
鋼アーチ式支保工は、H形鋼などをトンネルの断面の形に曲げた部材で、掘削したあとに建て込んで地山の変形を抑えます。
この部材は、トンネルの縦断方向におおむね1m前後の一定の間隔をあけて建て込み、部材と部材の間は吹付けコンクリートが受け持ちます。すき間なく連続して並べるものではありません。
間隔は、地山の状態に応じて定めた支保パターンによって決まり、地山が悪いほど間隔を詰めます。
建込みは掘削後できるだけ早く行い、根元と背面に吹付けコンクリートを充てんして、支保工と吹付けが一体となって荷重を受け持つようにします。
地山が良好で自立性の高い区間では、吹付けコンクリートとロックボルトだけで足りるため、鋼アーチ支保工を省略することもあります。
本試験では、建込みの時期・間隔と、地山の条件による使い分けが狙われます。
(根拠:トンネル標準示方書(山岳工法編))

他の選択肢が不適切な理由
「速やかに建て込んで変形を抑える」は正しく、地山が緩む前に押さえるという支保工の基本です。
「吹付けコンクリートと一体となって荷重を受け持つ」も正しく、背面の充てんが効き方を左右します。
「地山が良好な区間では省略される場合もある」も正しく、地山等級に応じて支保パターンを選びます。
問72-14

山岳トンネルの覆工コンクリートに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①掘削の直後に、支保工を設ける前に施工するのが原則である
  • ②内空変位が収束したことを確かめてから施工するのが原則だ
  • ③型枠には移動できない固定式のものだけを用いる決まりがある
  • ④覆工コンクリートは、打設後ただちに脱型して次の区間へ移る
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正解 ②内空変位が収束したことを確かめてから施工するのが原則だ
解説
覆工コンクリートは、支保工の内側に打設する仕上げのコンクリートで、トンネルの断面の形を整え、長い年月にわたって安定を保つ役割を担います。
掘削の直後は地山がまだ動いており、その段階で覆工を打つと、覆工に無理な力がかかってひび割れます。そのため内空変位(トンネルの内側の幅がどれだけ縮んだかを示す量)の測定によって、地山の動きが落ち着いたことを確かめてから施工するのが原則です。
型枠には、移動式型枠(セントル)を用いるのが一般的で、一定の長さごとに打設しては前へ移動させて繰り返します。
打設した覆工は、所定の強度が得られるまで型枠を存置して養生します。打設後ただちに脱型すると、自重で変形したり、ひび割れが生じたりします。
本試験では、施工の時期と計測との関係が狙われます。
(根拠:トンネル標準示方書(山岳工法編)、道路トンネル技術基準(構造編))

他の選択肢が不適切な理由
「掘削の直後に支保工より前に施工する」は誤りで、支保工が先、覆工は変位の収束後です。
「固定式の型枠だけを用いる決まりがある」も誤りで、移動式型枠が一般的です。
「打設後ただちに脱型して次の区間へ移る」も誤りで、所定の強度に達するまで型枠を存置します。
問82-14

山岳トンネルの計測に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①内空変位測定は、掘削後のトンネル断面の縮み方を測るものだ
  • ②天端沈下測定は、トンネル上部の下がり方を測るものである
  • ③内空変位測定は、変位が収束するほど測定の頻度を高くする
  • ④計測の結果は、支保工の量を見直す判断の材料に用いられる
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正解 ③内空変位測定は、変位が収束するほど測定の頻度を高くする
解説
NATMでは、地山の動きを測りながら支保工の量を調整して進めるため、計測は施工と並行して繰り返し行います。
内空変位測定(トンネルの内側の2点間の距離の変化を測り、断面がどれだけ縮んだかを知る計測)は、掘削した直後がいちばん変位の進みが速いため、この時期に頻度を高くします。
そして日がたって変位が小さくなり収束に向かうにつれ、測定の間隔を広げていきます。したがって「収束するほど頻度を高くする」という記述は逆であり、適当ではありません。
日常的に行う計測には、坑内の観察調査、内空変位測定、天端沈下測定があり、土かぶりの小さい区間では地表面沈下の測定も加えます。
変位が落ち着けば安定したと判断して覆工の施工に進み、収まらない場合は支保工を増やすなどの対策をとります。
本試験では、計測の項目と、その結果を施工にどう反映するかが問われます。
(根拠:トンネル標準示方書(山岳工法編))

他の選択肢が不適切な理由
「内空変位測定は断面の縮み方を測る」は正しく、日常的に行う代表的な計測です。
「天端沈下測定は上部の下がり方を測る」も正しく、内空変位と組み合わせて地山の動きを判断します。
「計測結果は支保工の量を見直す材料になる」も正しく、これがNATMの中心的な考え方です。
問92-14

山岳トンネルの湧水対策に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①水抜きボーリングにより、切羽の前方の水を先に抜いておく
  • ②薬液注入により、地山の割れ目をふさいで湧水を抑えていく
  • ③湧水量が多い区間では、排水設備の能力を高める必要がある
  • ④湧水が多い区間では、支保工の建込みを遅らせて様子を見る
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正解 ④湧水が多い区間では、支保工の建込みを遅らせて様子を見る
解説
トンネルの掘削中に湧水があると、切羽が崩れやすくなり、機械の走行や作業の安全が損なわれ、吹付けコンクリートも地山に密着しなくなります。
そのため湧水が多い区間で支保工の建込みを遅らせることは適当ではありません。地山が緩む前に速やかに支保工を建て込み、あわせて水を抜くか水を止めるという対策を選びます。
水抜きボーリングは、切羽の前方へ穴をあけて水を先に抜き、掘削する時点の水圧と水量を下げる方法です。
薬液注入は、地山の割れ目に薬液を注入して固め、水の通り道をふさぐ方法で、水を止めたい場合に用います。
あわせて坑内の排水設備の能力を確保し、たまった水を確実に坑外へ出すことも必要です。
本試験では、湧水対策の方法とその目的の組合せが問われます。
(根拠:トンネル標準示方書(山岳工法編))

他の選択肢が不適切な理由
「水抜きボーリングで前方の水を抜く」は正しく、掘削前に水圧を下げる標準的な方法です。
「薬液注入で割れ目をふさぐ」も正しく、止水を目的とする対策です。
「湧水量が多い区間で排水設備の能力を高める」も正しく、坑内の安全確保に必要です。
問102-14

山岳トンネルの坑内環境と作業に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①ずり運搬は、坑内の作業の進みぐあいを左右する重要な作業だ
  • ②換気は、発破の後ガスや粉じんを坑外へ排出するために行う
  • ③照明は、切羽付近と坑内の通路とで必要な明るさが異なる
  • ④坑内の粉じんの測定は、掘削が終わった区間でまとめて行う
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正解 ④坑内の粉じんの測定は、掘削が終わった区間でまとめて行う
解説
トンネルの坑内は閉ざされた空間で、発破のガス、機械の排出ガス、掘削やコンクリート吹付けによる粉じんがたまりやすく、そのままでは作業者の健康と安全が損なわれます。
粉じんについては、切羽付近など実際に作業が行われている場所で濃度を測定し、その結果に基づいて換気の量を調整したり、保護具を使用したりします。掘削が終わった区間でまとめて測っても、作業者がその場で吸い込んでいる濃度は分かりません。
換気は、坑外から新鮮な空気を送り込む方式や、汚れた空気を吸い出す方式などを、トンネルの延長や断面に応じて選びます。
ずり(掘削で出た岩石)の運搬は、掘削の進みぐあいを直接左右するため、運搬能力を掘削の能力に見合わせて計画します。
本試験では、坑内環境の管理の考え方が問われます。
(根拠:粉じん障害防止規則)

他の選択肢が不適切な理由
「ずり運搬は作業の進みぐあいを左右する」は正しく、運搬能力が掘進速度の制約になります。
「換気は発破の後ガスや粉じんを排出するために行う」も正しく、換気の主な目的です。
「照明は切羽付近と通路とで必要な明るさが異なる」も正しく、作業の内容に応じて定められています。

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