2026年版・5-1

家賃・敷金・共益費の意義と法的性質の一問一答

賃貸不動産経営管理士試験「金銭の管理」から、家賃・敷金・共益費の意義と法的性質に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問15-1

建物賃貸借における賃料の法的性質に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①賃料は、建物の使用収益に対する対価であり、賃貸借契約が双務・有償契約であることに由来する金銭である。
  • ②賃料は賃借人が賃貸人に預託する担保金であり、契約終了時に未払債務がなければ全額返還される金銭である。
  • ③賃料は共用部分の維持管理費を賃借人が実費で分担する金銭であり、使用実績に応じて精算される性質を持つ。
  • ④賃料は契約締結の対価として一括で授受される金銭であり、使用収益の継続とは無関係に発生する性質を持つ。
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正解 ①賃料は、建物の使用収益に対する対価であり、賃貸借契約が双務・有償契約であることに由来する金銭である。
解説
賃貸借は民法601条により、賃貸人が目的物を使用収益させることを約し、賃借人がその対価として賃料を支払うことを約する双務・有償契約である。賃料はこの使用収益に対する対価としての性質を持つ。

他の選択肢が不適切な理由
「賃借人が賃貸人に預託する担保金であり、契約終了時に未払債務がなければ全額返還される」という記述は敷金の説明であり、賃料の性質ではない。「共用部分の維持管理費を賃借人が実費で分担する金銭」という記述は共益費に近い説明だが、賃料は実費精算を前提とせず、通常は一定額として合意される。「契約締結の対価として一括で授受され、使用収益の継続とは無関係に発生する」という記述は礼金等の性質に近く、使用収益の対価という賃料の本質を捉えていない。
問25-1

共益費(管理費)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①共益費は、共用部分の清掃や設備維持等、入居者全体の便益のために支出される費用を賃料と別建てで徴収する金銭である。
  • ②共益費は、専有部分の内装修繕に充てるための積立金であり、退去時に入居者へ全額が返還される性質を持つ金銭である。
  • ③共益費は、賃貸人が将来の建替え費用に充てるために徴収する準備金であり、法令上その使途が厳格に限定される金銭である。
  • ④共益費は、賃借人同士の親睦行事の運営費として自治会が徴収する金銭であり、賃貸借契約とは無関係に発生するものである。
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正解 ①共益費は、共用部分の清掃や設備維持等、入居者全体の便益のために支出される費用を賃料と別建てで徴収する金銭である。
解説
共益費は、廊下・階段・エレベーター等の共用部分の維持管理に要する費用を、入居者全体で負担する目的で、賃料とは別建てで徴収される金銭であるのが一般的な性質である。

他の選択肢が不適切な理由
「専有部分の内装修繕に充てるための積立金であり、退去時に入居者へ全額が返還される」という記述は、共用部分ではなく専有部分を対象としている点でも、返還を前提としている点でも共益費の一般的な性質と異なる。「将来の建替え費用に充てるために徴収する準備金」という記述は共益費とは別の性質の金銭であり、その一般的な使途とも異なる。「自治会が徴収する金銭であり、賃貸借契約とは無関係に発生する」という記述は、共益費が賃貸借契約に基づいて賃貸人に支払われる金銭である点で誤りである。
問35-1

敷金の法的性質に関する次の記述のうち、民法の規定に照らして最も適切なものはどれか。

  • ①敷金は、賃料債務その他賃貸借に基づいて生じる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で交付される金銭である。
  • ②敷金は、賃借人が入居する権利を取得する対価として交付される金銭であり、契約成立の要件として授受されるものである。
  • ③敷金は、退去時の原状回復工事費用の見積額を賃借人が前払いする金銭であり、実際の工事費と過不足を精算しない性質を持つ。
  • ④敷金は、賃借人に未払債務があるときは、賃借人の側から敷金をその債務の弁済に充てるよう請求できる金銭である。
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正解 ①敷金は、賃料債務その他賃貸借に基づいて生じる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で交付される金銭である。
解説
民法622条の2第1項は、敷金を「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義しており、いかなる名目によるかを問わず担保としての性質を持つ。

他の選択肢が不適切な理由
「入居する権利を取得する対価として交付され、契約成立の要件として授受される」という記述は誤りで、敷金の授受は賃貸借契約の成立要件ではない。「原状回復工事費用の見積額を前払いする金銭であり、実際の工事費と過不足を精算しない」という記述も誤りで、敷金はあくまで担保であり、明渡し後に実際に生じた債務額を控除して精算される。「賃借人の側から敷金をその債務の弁済に充てるよう請求できる」という記述は、民法622条の2第2項が、敷金を債務の弁済に充てることができるのは賃貸人であって、賃借人の側から充当を請求することはできないと定めている点に反する。
問45-1

民法上の敷金返還債務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①賃貸人は、賃貸借が終了して目的物の返還を受けた時に、敷金から賃借人に対する債権額を控除した残額を返還する義務を負う。
  • ②賃貸人は、賃貸借契約の締結と同時に、受領した敷金の全額を無条件でそのまま賃借人へ返還する義務を負うものである。
  • ③賃貸人は、賃借人が退去を通知した時点で、目的物の明渡しを待たずに直ちに敷金の全額を返還する義務を負うと解されている。
  • ④賃貸人は、賃借人が適法に賃借権を第三者へ譲り渡した場合には、その賃借人に対して敷金を返還する義務を負わない。
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正解 ①賃貸人は、賃貸借が終了して目的物の返還を受けた時に、敷金から賃借人に対する債権額を控除した残額を返還する義務を負う。
解説
民法622条の2第1項1号は、賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたときに、賃貸人が敷金から未払債務等を控除した残額を返還しなければならないと定めている。返還債務が生じるのは明渡し完了時であり、明渡しと敷金返還は同時履行の関係に立たないと解されている。

他の選択肢が不適切な理由
「契約の締結と同時に、受領した敷金の全額を無条件でそのまま返還する」という記述は、担保として預かるという敷金の機能と矛盾する。「退去を通知した時点で、目的物の明渡しを待たずに直ちに全額を返還する」という記述は、明渡しを要件とする条文の定めを満たしていない。「適法に賃借権を第三者へ譲り渡した場合には、その賃借人に対して敷金を返還する義務を負わない」という記述は、同項2号が、賃借人が適法に賃借権を譲り渡したときにも賃貸人が残額を返還しなければならないと定めている点に反する。
問55-1

権利金・礼金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①礼金は、賃貸借契約の締結に際して賃借人が賃貸人へ交付する謝礼の金銭で、原則として退去時に返還されない性質を持つ。
  • ②礼金は、賃貸借契約に基づく賃借人の未払債務を担保するために交付される金銭で、退去時に未払いがなければ返還される。
  • ③礼金は、賃借人が物件を選択する権利の対価として不動産業者に交付する金銭で、契約が成立しなかった場合でも返還されない。
  • ④礼金は、賃貸人が賃借人の入居審査に要した実費を賃借人に請求する金銭で、審査結果にかかわらず全額が返還される。
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正解 ①礼金は、賃貸借契約の締結に際して賃借人が賃貸人へ交付する謝礼の金銭で、原則として退去時に返還されない性質を持つ。
解説
礼金は、主に首都圏を中心とした地域慣行として、契約締結の謝礼の意味合いで賃借人から賃貸人へ交付される金銭であり、担保としての性質を持たないため、原則として退去時に返還されない。

他の選択肢が不適切な理由
「未払債務を担保するために交付される金銭で、退去時に未払いがなければ返還される」という記述は敷金の説明であり、礼金の性質とは異なる。「物件を選択する権利の対価として不動産業者に交付する」という記述は、礼金の交付先が賃貸人である点を誤っている。「入居審査に要した実費を請求する金銭で、審査結果にかかわらず全額が返還される」という記述は、返還されない金銭であるという礼金の性質と矛盾する。
問65-1

更新料に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①更新料は、契約の更新に際して賃借人が賃貸人に支払う金銭で、契約書に明確な根拠規定があれば有効な合意として認められ得る。
  • ②更新料は、法令上すべての賃貸借契約で支払いが義務付けられている金銭で、契約書に定めがなくても当然に発生するものである。
  • ③更新料は、更新後の賃料の値上げ分を一括で先払いする金銭であるため、更新後の賃料は従前より低額になる計算である。
  • ④更新料は、賃貸人が更新事務の代行業者に支払う手数料を賃借人に転嫁したもので、宅地建物取引業法上の報酬に該当する。
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正解 ①更新料は、契約の更新に際して賃借人が賃貸人に支払う金銭で、契約書に明確な根拠規定があれば有効な合意として認められ得る。
解説
更新料は、契約書に更新料の額や算定方法等が一義的かつ具体的に記載されており、その額が賃料額や更新の期間等に照らして高額に過ぎるといった事情がない限り、有効な合意として扱われるのが判例の傾向である。

他の選択肢が不適切な理由
「法令上すべての賃貸借契約で支払いが義務付けられ、契約書に定めがなくても当然に発生する」という記述は誤りで、更新料は地域慣行や契約上の定めに基づくものであり、法令が一律に義務付けているものではない。「更新後の賃料の値上げ分を一括で先払いする金銭であるため、更新後の賃料は従前より低額になる」という記述は、更新料の性質を誤って説明している。「更新事務の代行業者に支払う手数料を転嫁したもので、宅地建物取引業法上の報酬に該当する」という記述も、更新料が賃貸人に対して支払われる金銭である点で誤りである。
問75-1

賃料の支払時期に関する民法の原則についての次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①建物の賃料は、当事者間に特約がない限り、毎月末に当月分を支払う後払いが民法上の原則とされているものである。
  • ②建物の賃料は、当事者間に特約がない限り、契約締結時に全期間分をまとめて前払いすることが民法上の原則である。
  • ③建物の賃料は、当事者間に特約がない限り、毎月初日に翌月分を前払いすることが民法上の原則とされているものである。
  • ④建物の賃料は、当事者間に特約がない限り、賃貸借終了時にまとめて一括で支払うことが民法上の原則である。
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正解 ①建物の賃料は、当事者間に特約がない限り、毎月末に当月分を支払う後払いが民法上の原則とされているものである。
解説
民法614条は、建物の賃料について、特約がない限り毎月末に支払わなければならないと定めており、これは当月分を月末に支払う後払いを原則とする趣旨である。実務上は契約で前払いとする特約を定めることが多い。

他の選択肢が不適切な理由
「契約締結時に全期間分をまとめて前払いする」という記述は、毎月払いを原則とする条文の内容と異なる。「毎月初日に翌月分を前払いする」という記述は、実務で広く用いられる特約による扱いであって、民法上の原則ではない。「賃貸借終了時にまとめて一括で支払う」という記述も、毎月払いという条文の原則と異なる。
問85-1

賃貸借契約における「保証金」の実務上の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①保証金は、地域や契約内容により敷金と同様の担保的性質を持つ場合と、一部を償却して返還しない特約が付く場合がある。
  • ②保証金は、全国一律の法定用語であり、敷金の2倍の金額を賃借人が預託しなければならないと法令で定められている。
  • ③保証金は、賃貸人が第三者に賃貸物件を転売する際の頭金として利用されるもので、賃借人には一切関係のない金銭である。
  • ④保証金は、賃借人が加入する火災保険の保険料に充当するために徴収される金銭で、保険契約とは別に授受されることはない。
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正解 ①保証金は、地域や契約内容により敷金と同様の担保的性質を持つ場合と、一部を償却して返還しない特約が付く場合がある。
解説
保証金という名称は法令上一律に定義された用語ではなく、地域や契約によって敷金に類似した担保的性質を持つ場合や、一部を償却する特約が付される場合があるため、契約書の内容を個別に確認する必要がある。

他の選択肢が不適切な理由
「全国一律の法定用語であり、敷金の2倍の金額を預託しなければならない」という記述は、そのような法令上の金額基準が存在しないため誤りである。「賃貸物件を転売する際の頭金として利用されるもので、賃借人には一切関係のない金銭」という記述は、保証金の一般的な性質と異なる。「火災保険の保険料に充当するために徴収される」という記述も、保証金の性質を誤って説明している。
問95-1

家賃と共益費を一体で「総合賃料」として設定する慣行に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①家賃と共益費を一本化して募集賃料とする方法は、表示の簡潔さの一方、共益費相当額の内訳が不明確になりやすい面がある。
  • ②家賃と共益費を一本化する方法は法令で禁止されており、すべての賃貸借契約で両者を別建てで表示しなければならない。
  • ③家賃と共益費を一本化した場合、共益費に相当する部分は消費税の課税対象から画一的にすべて除外される取扱いになる。
  • ④家賃と共益費を一本化した場合、賃貸人はその後の建物共用部分の清掃や設備点検を含む維持管理業務を行う義務を負わなくなる。
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正解 ①家賃と共益費を一本化して募集賃料とする方法は、表示の簡潔さの一方、共益費相当額の内訳が不明確になりやすい面がある。
解説
家賃と共益費を一本化して表示する方法は実務上広く見られるが、内訳が明示されないため、共益費相当額がどの程度含まれているかが賃借人にとって分かりにくくなる面がある。

他の選択肢が不適切な理由
「法令で禁止されており、すべての賃貸借契約で別建てで表示しなければならない」という記述は、そのような一律の禁止規定が存在しないため誤りである。「共益費に相当する部分は消費税の課税対象から画一的にすべて除外される」という記述は、消費税の課否が住宅の貸付けに当たるかどうかという取引の性質によって定まるものであり、一本化の有無が決めるものではない点で誤りである。「賃貸人はその後の共用部分の清掃や設備点検を含む維持管理業務を行う義務を負わなくなる」という記述は、表示方法と維持管理義務の有無を混同している。
問105-1

敷金・保証金の地域慣行に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①敷金・保証金・礼金・更新料の名称や金額水準、償却の有無は地域慣行によって差があり、契約締結前の説明が必要となる。
  • ②敷金・保証金・礼金・更新料は全国どの地域でも名称・金額・償却の有無が完全に統一されており、地域差は存在しない。
  • ③敷金・保証金・礼金・更新料の金額は、宅地建物取引業法によって家賃の1か月分を上限とする規制が及んでいる。
  • ④敷金・保証金・礼金・更新料は、いずれも賃借人が任意に金額を決定でき、賃貸人の承諾を要さずに減額できるものである。
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正解 ①敷金・保証金・礼金・更新料の名称や金額水準、償却の有無は地域慣行によって差があり、契約締結前の説明が必要となる。
解説
敷金・保証金・礼金・更新料は地域ごとの慣行によって名称や金額水準、償却の有無に差があるため、管理業者は仲介・契約の場面で、これらの金銭の性質や金額を賃借人に正確に説明することが求められる。

他の選択肢が不適切な理由
「全国どの地域でも名称・金額・償却の有無が完全に統一されており、地域差は存在しない」という記述は実態に反する。「宅地建物取引業法によって家賃の1か月分を上限とする規制が及んでいる」という記述は、これらの金銭についてそのような上限規制が存在しないため誤りである。「賃借人が任意に金額を決定でき、賃貸人の承諾を要さずに減額できる」という記述は、これらの金銭の額が当事者間の合意によって定まる点に反する。

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