2026年版・4-1

契約の成立・意思表示・行為能力(民法基礎)の一問一答

賃貸不動産経営管理士試験「賃貸借契約」から、契約の成立・意思表示・行為能力(民法基礎)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-1

隔地者間の契約の成立時期に関する次の記述のうち、民法の規定によれば最も適切なものはどれか。

  • ①承諾の意思表示が申込者に到達した時に契約が成立する。
  • ②承諾者が承諾の通知を発信した時に契約が成立する。
  • ③申込者が承諾の到達を確認して了知した時に契約が成立する。
  • ④承諾者が承諾の意思表示を作成した時に契約が成立する。
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正解 ①承諾の意思表示が申込者に到達した時に契約が成立する。
解説
意思表示は相手方に到達した時からその効力を生じるという到達主義が民法97条1項の原則であり、平成29年改正で隔地者間の契約についての発信主義の特則(旧526条1項)が廃止されたため、契約は承諾の意思表示が申込者に到達した時に成立する。

他の選択肢が不適切な理由
承諾者が通知を発信した時点で契約が成立するとする考え方は、改正前の隔地者間契約に関する発信主義の規定であり、現行民法では採用されていない。申込者が了知した時に成立するという基準や、承諾者が意思表示を作成しただけの時点で成立するという基準は、いずれも民法が採用する到達主義の考え方と異なる。
問24-1

承諾の期間を定めないでした契約の申込みに関する次の記述のうち、民法の規定に照らして最も適切なものはどれか。

  • ①申込者は、相当な期間を経過するまでは、申込みを撤回することができないのが原則である。
  • ②申込者は、承諾の期間を定めていない以上、いつでも自由に申込みを撤回することができる。
  • ③申込みを受けた相手方が承諾するまでの間は、申込者は理由の如何を問わず撤回を禁じられる。
  • ④申込者は、申込みをした日から1週間が経過すれば、当然に申込みの効力を失わせることができる。
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正解 ①申込者は、相当な期間を経過するまでは、申込みを撤回することができないのが原則である。
解説
民法525条1項により、承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは撤回することができないのが原則である。これは申込みを信頼した相手方を保護するための規定である。

他の選択肢が不適切な理由
承諾期間の定めがないことをもって自由に撤回できるとする理解は誤りで、相当期間の経過が撤回の前提となる。相当期間の経過という要件を離れて理由を問わず撤回を禁じるとする点も条文の内容と異なる。申込みから1週間で当然に効力を失うという固定的な期間の定めは民法には存在しない。
問34-1

動機の錯誤に基づく意思表示の取消しに関する次の記述のうち、民法の規定によれば最も適切なものはどれか。

  • ①その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り取り消すことができる。
  • ②動機を相手方に表示していなくても、錯誤が重大であれば当然に取り消すことができる。
  • ③動機の錯誤は、意思表示そのものの内容にかかわる錯誤ではないため、取り消すことができない。
  • ④動機を相手方に伝えていた場合であっても、書面化していなければ取り消すことはできない。
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正解 ①その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り取り消すことができる。
解説
民法95条1項2号・2項により、意思表示の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤)は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り取り消すことができる。表示という要件により相手方の予測可能性を確保している。

他の選択肢が不適切な理由
動機を表示していなくても取り消せるとする点は表示要件を欠くため誤りである。動機の錯誤が一切取消しの対象にならないとする点は95条1項2号の規定に反する。表示の方法は書面に限られず、口頭による表示や状況からの黙示の表示でも足りるため、書面化が絶対条件であるとする点も誤りである。
問44-1

錯誤による意思表示の取消しが制限される場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば最も適切なものはどれか。

  • ①表意者に重大な過失があったときは、相手方が悪意重過失の場合等を除き取り消せない。
  • ②表意者に軽過失があるにとどまる場合であっても、取消しは認められないとされている。
  • ③表意者の過失の有無にかかわらず、錯誤がありさえすれば取消しが認められる。
  • ④相手方に過失がある場合には、表意者の過失の程度を問わず取消しは認められない。
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正解 ①表意者に重大な過失があったときは、相手方が悪意重過失の場合等を除き取り消せない。
解説
民法95条3項により、表意者に重大な過失があった場合は、原則として錯誤取消しを主張できないが、相手方が表意者に錯誤があることを知り若しくは重大な過失によって知らなかったとき、または相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたときは、例外的に取消しが認められる。

他の選択肢が不適切な理由
取消しが制限されるのは重過失がある場合であって、軽過失にとどまる場合まで一律に取消しを認めないとする点は条文の要件を超えている。過失の有無を問わず常に取消しが認められるとする点は95条3項の重過失による制限を無視している。相手方に過失があれば表意者側の過失の程度を問わず取消しが認められないとする点も条文の趣旨と異なる。
問54-1

詐欺による意思表示の取消しと第三者との関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば最も適切なものはどれか。

  • ①詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができないとされる。
  • ②詐欺による意思表示の取消しは、第三者が善意でありさえすれば過失の有無を問わず対抗できない。
  • ③詐欺による意思表示の取消しは、取消し前の第三者との関係でも対抗することができる。
  • ④詐欺による意思表示は、第三者の善意・悪意にかかわらず取消しをもって対抗できる。
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正解 ①詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができないとされる。
解説
民法96条3項により、詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができないとされる。詐欺の被害者にも落ち度があり得ることから、取引の安全を図るため第三者の保護要件が加重されている。

他の選択肢が不適切な理由
第三者の保護には善意に加えて無過失も必要であり、過失の有無を問わないとする点は条文の要件を欠いている。取消し前の第三者に対して常に対抗できるとする点や、第三者の善意・悪意を問わず常に対抗できるとする点は、いずれも96条3項が定める第三者保護の趣旨を否定するもので誤りである。
問64-1

強迫による意思表示の取消しと第三者との関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば最も適切なものはどれか。

  • ①強迫による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者に対しても対抗することができる。
  • ②強迫による意思表示の取消しは、詐欺の場合と同様に善意無過失の第三者に対抗できない。
  • ③強迫による意思表示は、詐欺による意思表示と異なり最初から当然に無効である。
  • ④強迫による意思表示の取消しは、第三者が登記を備えている限り対抗することができない。
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正解 ①強迫による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者に対しても対抗することができる。
解説
民法96条3項の第三者保護規定は詐欺の場合にのみ適用され、強迫による意思表示の取消しについては適用がない。強迫は表意者の帰責性が乏しいため、詐欺よりも表意者を厚く保護し、善意無過失の第三者に対しても取消しを対抗できるとされている。

他の選択肢が不適切な理由
強迫の場合に詐欺と同様の第三者保護規定が及ぶとする点は誤りで、強迫はむしろ表意者保護が優先される。強迫による意思表示は取消し得るものであり、当然に無効となるわけではない。第三者の登記の有無によって対抗の可否が左右されるという規律も民法96条3項には存在しない。
問74-1

心裡留保による意思表示の効力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば最も適切なものはどれか。

  • ①表意者の真意でないことを相手方が知り又は知り得たときは、その意思表示は無効となる。
  • ②表意者が真意でないことを自覚していた場合であっても、その意思表示は常に無効となる。
  • ③心裡留保による意思表示は、相手方の善意・悪意を問わず、有効なものとして扱われる。
  • ④心裡留保による意思表示は、表意者が後になってその旨を主張すれば当然に無効となる。
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正解 ①表意者の真意でないことを相手方が知り又は知り得たときは、その意思表示は無効となる。
解説
民法93条1項により、心裡留保による意思表示は原則として有効であるが、相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたときは無効となる。相手方の認識可能性を基準に例外的な無効が定められている。

他の選択肢が不適切な理由
表意者が自覚していただけで常に無効になるとする点は相手方の認識可能性という要件を無視している。相手方の善意・悪意にかかわらず常に有効とする点は93条1項ただし書の例外を見落としている。表意者が事後に主張しさえすれば当然に無効となるという扱いも条文上の要件を欠いている。
問84-1

通謀虚偽表示による意思表示の効力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば最も適切なものはどれか。

  • ①当事者間では無効であるが、その無効はこれを善意の第三者に対抗することができない。
  • ②当事者間では有効であるが、善意の第三者に対しては無効を主張することができる。
  • ③通謀虚偽表示は、当事者間であっても第三者との関係であっても、有効なものとして扱われる。
  • ④当事者間では無効であり、第三者の善意・悪意を問わずその無効を対抗することができる。
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正解 ①当事者間では無効であるが、その無効はこれを善意の第三者に対抗することができない。
解説
民法94条1項により、相手方と通じてした虚偽の意思表示は当事者間では無効であるが、同条2項により、その無効は善意の第三者に対抗することができない。虚偽の外観を信頼した第三者を保護する趣旨である。

他の選択肢が不適切な理由
当事者間で有効であるとする点は94条1項の原則に反する。当事者間・第三者間を問わず常に有効とする理解は虚偽表示を無効とする条文の建前と矛盾する。第三者の善意・悪意を問わず無効を対抗できるとする点は、94条2項が善意の第三者を保護している趣旨を無視している。
問94-1

未成年者が法定代理人の同意を得ずに単独で行った不動産の賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば最も適切なものはどれか。

  • ①その契約は、未成年者本人又は法定代理人が取り消すことができるとされている。
  • ②その契約は、法定代理人の同意を得ていない以上、最初から当然に無効であるとされる。
  • ③その契約は、未成年者本人のみが取り消すことができ、法定代理人には取消権がない。
  • ④その契約は、単に権利を得る行為にあたるため、同意がなくても有効である。
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正解 ①その契約は、未成年者本人又は法定代理人が取り消すことができるとされている。
解説
民法5条1項・2項により、未成年者が法定代理人の同意を得ずにした法律行為は取り消すことができ、民法120条1項により、取消権者には未成年者本人のほか法定代理人も含まれる。取消しがなされるまでは一応有効な行為として扱われる。

他の選択肢が不適切な理由
同意を欠く行為は取り消すことができるにとどまり、当然に無効となるわけではない。取消権は未成年者本人だけでなく法定代理人にも認められており、本人のみに限られるとする点は誤りである。賃貸借契約は賃料支払義務を伴い単に権利を得る行為とはいえないため、同意なく常に有効であるとする点も誤りである。
問104-1

無権代理と表見代理に関する次の記述のうち、民法の規定によれば最も適切なものはどれか。

  • ①本人が無権代理行為を追認したときは、原則として契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。
  • ②無権代理行為は、本人が追認しても契約の時にさかのぼって効力を生じることはない。
  • ③代理権授与の表示をした場合であっても、表見代理が成立する余地は存在しない。
  • ④無権代理行為の相手方は、本人が追認するまでの間であっても契約を取り消すことはできない。
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正解 ①本人が無権代理行為を追認したときは、原則として契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。
解説
民法116条本文により、無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。追認によって代理権を有していた場合と同様の法律効果が確定的に生じる。

他の選択肢が不適切な理由
追認による遡及効を否定する点は116条本文の規定に反する。代理権授与の表示による表見代理は民法109条に明文の規定があり、成立の余地が一切ないとする点は誤りである。無権代理の相手方は本人が追認しない間、民法115条により契約を取り消すことができるため、取消しができないとする点も誤りである。

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