2026年版・2-1

管理受託契約の法的性質・委任契約の基礎の一問一答

賃貸不動産経営管理士試験「管理受託契約」から、管理受託契約の法的性質・委任契約の基礎に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-1

賃貸住宅の管理受託契約の法的性質に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①管理業務には点検・清掃等の事実行為が含まれ、民法上は準委任契約の性質をあわせ持つ
  • ②管理業務は仕事の完成を目的とするため、民法上は請負契約としての性質のみを有する
  • ③管理受託契約は賃貸住宅管理業法が創設した独自の契約類型であり、民法の適用は排除される
  • ④管理受託契約は労務の提供自体を目的とするため、民法上は雇用契約としての性質を有する
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正解 ①管理業務には点検・清掃等の事実行為が含まれ、民法上は準委任契約の性質をあわせ持つ
解説
民法656条は、法律行為でない事務の委託について委任の規定を準用すると定めている。管理業務には点検・清掃・入居者対応など法律行為に当たらない事実行為が多く含まれるため、管理受託契約は準委任契約としての性質をあわせ持つと解されている。

他の選択肢が不適切な理由
請負契約は仕事の完成という結果を目的とするが、管理業務は結果の完成そのものではなく事務処理の遂行自体が目的であるため、請負契約の性質のみとする点は誤り。賃貸住宅管理業法は業者規制や書面交付等の行政法規を定めるものであり、私法上の民法の適用を排除するものではない。管理業務は使用者の指揮命令に服する労務の提供を目的とするものではなく、雇用契約とする点も誤りである。
問22-1

管理受託契約の性質を請負契約と対比した記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①請負では注文者からの中途解除が認められるが、委任では任意解除が認められない
  • ②請負は仕事の完成という結果に報酬が生じるが、委任は事務処理自体が目的となる
  • ③請負と委任はいずれも仕事の完成を要件とし、達成できなければ報酬は発生しない
  • ④請負と委任はいずれも法律行為の代理のみを目的とし、事実行為を含む余地はない
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正解 ②請負は仕事の完成という結果に報酬が生じるが、委任は事務処理自体が目的となる
解説
請負は仕事の完成という結果債務を内容とするのに対し、委任(準委任)は善管注意義務をもって事務を処理すること自体が目的であり、結果の完成を当然には約束しない手段債務の性質を持つ。管理業務は維持保全という事務処理そのものが目的であるため、委任的性質を持つと整理される。

他の選択肢が不適切な理由
請負では注文者が仕事の完成前にいつでも損害を賠償して契約を解除でき、委任もまた各当事者がいつでも解除することができるとされているため、委任に任意解除が認められないとする点は誤り。委任は仕事の完成を要件としないため、達成できなければ報酬が一切発生しないとする記述は誤り。管理業務には修繕発注等の法律行為だけでなく点検等の事実行為も含まれるため、法律行為の代理のみを目的とするとする点も誤りである。
問32-1

管理受託契約における管理業者の善良な管理者の注意義務(善管注意義務)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①善管注意義務の水準は、管理業者が自己の財産に対して用いるのと同一の注意で足りる
  • ②管理受託契約が無報酬の特約である場合に限り、善管注意義務の水準は軽減される
  • ③善管注意義務の水準は、管理業を営む者として通常期待される専門的な注意である
  • ④善管注意義務は書面による特約がある場合にのみ発生し、特約がなければ生じない
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正解 ③善管注意義務の水準は、管理業を営む者として通常期待される専門的な注意である
解説
民法644条は、受任者は委任の本旨に従い善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負うと定める。この水準は、自己の財産に対するのと同一の注意(自己の財産におけるのと同一の注意義務、いわゆる固有財産と同一の注意)よりも高く、その職業・地位にある者として通常期待される客観的な注意水準とされる。

他の選択肢が不適切な理由
自己の財産に対するのと同一の注意で足りるとする水準は、無償寄託など別の制度に関するものであり、善管注意義務の水準としては誤り。善管注意義務は無報酬の委任であっても軽減されないのが原則であり、報酬の有無で当然に水準が変わるものではない。善管注意義務は委任契約の性質上当然に生じる法定の義務であり、特約の存在を発生要件とするものではない。
問42-1

民法上の受任者の報告義務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①受任者は、委任者から請求がなくても、委任事務の途中経過を毎月報告しなければならないという規律である
  • ②受任者の報告義務は、委任契約に報告に関する特約を設けた場合にのみ発生する任意の義務である
  • ③受任者は、委任が終了した後は、委任者の請求がある場合に限り経過及び結果を報告すればよいと解される
  • ④受任者は、その請求があればいつでも状況を報告し、終了後は遅滞なく経過及び結果を報告する義務を負う
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正解 ④受任者は、その請求があればいつでも状況を報告し、終了後は遅滞なく経過及び結果を報告する義務を負う
解説
民法645条は、受任者は委任者の請求があるときはいつでも委任事務の処理状況を報告し、委任が終了した後は遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならないと定める。請求時の随時報告義務と終了後の遅滞なき報告義務の両方が法定されている点が重要である。

他の選択肢が不適切な理由
毎月の報告が法律上一律に義務付けられているわけではなく、請求時の随時報告と終了後の報告が法定内容である。報告義務は委任契約に当然に伴う法定の義務であり、特約の存在を発生要件とするものではない。委任終了後の報告は委任者からの請求の有無にかかわらず、遅滞なく行うことが法律上求められている。
問52-1

民法上の委任契約における報酬に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①受任者は、報酬の特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない
  • ②委任契約は本来有償契約であるため、特約がなくても受任者は当然に報酬を請求できる
  • ③委任が履行の中途で終了した場合、既にした履行の割合に応じた報酬も請求できない
  • ④受任者は、委任事務の履行に着手する前であっても、常に報酬の全額を請求できる
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正解 ①受任者は、報酬の特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない
解説
民法648条1項は、受任者は特約がなければ委任者に対して報酬を請求することができないと定めており、委任は無償が原則である。実務上の管理受託契約では報酬に関する特約を置くのが通常であり、これにより報酬請求権が発生する。

他の選択肢が不適切な理由
委任は民法上、有償が原則ではなく無償が原則とされており、特約なしに当然に報酬を請求できるとする点は誤り。委任が履行の中途で終了したときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができるとされており、割合に応じた報酬も請求できないとする点は誤り。報酬は原則として委任事務の履行後でなければ請求できないとされており、履行前に全額を請求できるとする点は誤りである。
問62-1

管理業者が管理業務の遂行を第三者に行わせる際の、民法上の復委任に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①受任者は、委任者の許諾の有無にかかわらず、自由に復受任者を選任することができると解する
  • ②受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由がなければ復受任者を選任できない
  • ③復受任者を選任した場合であっても、その行為の結果について受任者は責任を負わない
  • ④復委任は請負契約に固有の制度であり、委任契約には適用の余地がないと解される
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正解 ②受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由がなければ復受任者を選任できない
解説
民法644条の2第1項は、受任者は委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができないと定めている。管理業務は委託者との個人的信頼関係を基礎とするため、無制限な再委任は認められていない。

他の選択肢が不適切な理由
受任者が自由に復受任者を選任できるとする点は、許諾又はやむを得ない事由という要件を無視しており誤り。復受任者を選任しても受任者自身の責任が当然に免除されるわけではなく、一切の責任を負わないとする点は誤り。復委任は民法の委任の規定として定められた制度であり、請負契約に固有のものとする点も誤りである。
問72-1

管理業者が入居者から受領した金銭の取扱いに関する民法上の規律について、最も適切なものはどれか。

  • ①受任者は、受け取った金銭から生じた果実については、引き渡す義務を負わない
  • ②受任者が委任者に引き渡すべき金銭を自己のために消費しても、利息の支払義務は生じない
  • ③受任者は、委任事務の処理にあたって受け取った金銭を常に委任者に引き渡す義務を負う
  • ④受任者が受け取った金銭は、受任者の固有財産に帰属し、委任者への引渡義務はない
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正解 ③受任者は、委任事務の処理にあたって受け取った金銭を常に委任者に引き渡す義務を負う
解説
民法646条1項は、受任者は委任事務を処理するにあたって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならないと定めている。管理業者が入居者から受領した家賃等は委託者に帰属すべき金銭であり、受任者たる管理業者はこれを委託者に引き渡す義務を負う。

他の選択肢が不適切な理由
民法646条1項は、受け取った金銭その他の物に加えて、これらから収取した果実についても委任者に引き渡さなければならないと定めており、果実の引渡義務を否定する点は誤り。民法647条は、委任者に引き渡すべき金額を自己のために消費した場合、消費した日以後の利息の支払義務を負うと定めており、利息が生じないとする点は誤り。受領した金銭は委任者に帰属すべきものであり、受任者の固有財産に帰属するとする点も誤りである。
問82-1

管理業務の遂行に要する費用に関する民法上の規律のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①受任者は、委任事務の処理に費用を要する場合であっても、前払を請求することはできない
  • ②受任者が支出した必要費は、委任者の承諾を得た費用に限り償還を請求できる
  • ③受任者が事務処理のために負担した債務は、受任者自身が弁済しなければならない
  • ④受任者は、委任事務の処理に必要と認められる費用の前払を委任者に請求することができる
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正解 ④受任者は、委任事務の処理に必要と認められる費用の前払を委任者に請求することができる
解説
民法649条は、委任事務の処理について費用を要するときは、委任者は受任者の請求によりその前払をしなければならないと定めている。加えて650条は、受任者が支出した必要費の償還請求権や、負担した債務について委任者に弁済を請求できる権利(代弁済請求権)も定めている。

他の選択肢が不適切な理由
649条により前払の請求自体は認められており、請求できないとする点は誤り。必要費の償還請求権は委任者の個別の承諾を要件とするものではなく、委任事務の処理に必要と認められれば足りるため誤り。650条2項により、受任者は自己に代わって委任者に弁済させることを請求できるのであり、常に受任者自身が弁済しなければならないとする点は誤りである。
問92-1

受任者が委任事務を処理するにあたり、自己に過失なく損害を受けた場合に関する民法上の規律について、最も適切なものはどれか。

  • ①受任者は、自己に過失なく受けた損害について委任者に賠償を請求することができる
  • ②受任者は、自らの負担でその損害を処理しなければならず、委任者に請求することはできない
  • ③受任者が請求できる損害賠償の額は、受け取る報酬の額を上限とする制限を受ける
  • ④委任者に故意又は過失がない場合には、受任者は損害の賠償を請求することができない
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正解 ①受任者は、自己に過失なく受けた損害について委任者に賠償を請求することができる
解説
民法650条3項は、受任者が委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対しその賠償を請求することができると定めている。委任事務の遂行に伴うリスクは、本来委任者の利益のために行われるものである以上、委任者が負担すべきという考え方に基づく。

他の選択肢が不適切な理由
650条3項により委任者への賠償請求が認められているため、受任者が自ら負担しなければならないとする点は誤り。賠償額を受任者の報酬の額の範囲に制限する規定は民法上存在せず、報酬の額を上限とする点は誤り。650条3項は委任者の故意又は過失を要件としていないため、委任者に故意又は過失がなければ請求できないとする点も誤りである。
問102-1

管理受託契約の性質に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①管理受託契約は、維持保全等の事実行為のみから構成され、法律行為を含むことはない
  • ②管理受託契約には、維持保全等の事実行為のほか、修繕工事の発注等の法律行為を含みうる
  • ③管理受託契約は、賃貸借契約における当事者たる地位そのものを管理業者に移転させる契約である
  • ④管理受託契約は、委任の要素を含まない純粋な物の保管のみを目的とする寄託契約である
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正解 ②管理受託契約には、維持保全等の事実行為のほか、修繕工事の発注等の法律行為を含みうる
解説
管理受託契約の内容は物件によって様々であるが、点検・清掃等の事実行為に加え、委託者の代理人として修繕業者と契約を締結するなどの法律行為が含まれることも多い。このように管理受託契約は準委任と委任の要素を併せ持つ複合的な性質を有すると理解されている。

他の選択肢が不適切な理由
修繕工事の発注等の法律行為が含まれる場合もあるため、事実行為のみから構成されるとする点は誤り。管理受託契約は委託者が賃貸人の地位を保持したまま管理業務を委託するものであり、賃貸人の地位そのものを管理業者に移転させるものではない。管理受託契約は物の保管のみを目的とする寄託契約ではなく、委任・準委任の要素を中心とする契約であり誤りである。

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