2026年版・8-4

財務諸表の基礎の一問一答

証券外務員二種「関連科目」から、財務諸表の基礎に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問18-4

貸借対照表に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①資産の合計額は、負債と純資産の合計額に一致することになる
  • ②決算日という一時点における会社の財政状態を表す計算書類である
  • ③受取手形や売掛金は、流動資産の区分に表示されることになる
  • ④純資産の合計額は、負債の合計額と金額が必ず一致することになる
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正解 ④純資産の合計額は、負債の合計額と金額が必ず一致することになる
解説
貸借対照表で必ず成り立つ関係は「資産=負債+純資産」です。純資産と負債が一致するという関係はどこにもありません。純資産は資産から負債を差し引いた残り(差額)なので、負債が多い会社では純資産は小さく、無借金に近い会社では資産に近い額になります。
この等式が必ず成り立つのは、貸借対照表が「会社が持っている財産(資産)」を左側に、「その財産をどこから調達したか」を右側に並べた表だからです。調達源は、返さなければならないお金(負債)と、返す必要のないお金(純資産=株主の出資と稼いだ利益の蓄積)の2つしかありません。持っているものと、その出どころは必ず同額になります。
資産は流動資産・固定資産・繰延資産に、負債は流動負債・固定負債に区分され、純資産は株主資本、評価・換算差額等、株式引受権、新株予約権に区分されます(会社計算規則76条1項1号)。

他の選択肢が不適切な理由
「資産の合計額は、負債と純資産の合計額に一致することになる」は貸借対照表の基本等式そのもので、正しい記述です。
「決算日という一時点における会社の財政状態を表す計算書類である」も正しい記述です。一定期間の損益を表す損益計算書とは、この「時点か期間か」という点で性格が違います。
「受取手形や売掛金は、流動資産の区分に表示されることになる」も正しい記述です。営業の循環過程にある売上債権なので流動資産です。

覚え方のポイント
「左は使いみち、右は出どころ」と覚えます。貸借対照表は一時点(ストック)、損益計算書は一期間(フロー)という対比も必ずセットで押さえます。
問28-4

貸借対照表における流動・固定の分類に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①営業の循環過程にある資産は、回収期間にかかわらず流動資産とされる
  • ②決算日の翌日から2年以内に回収される債権は、流動資産に区分される
  • ③建物や機械装置は、使用する耐用年数にかかわらず流動資産とされる
  • ④1年を超えて返済期限が到来する借入金は、流動負債の区分に含める
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正解 ①営業の循環過程にある資産は、回収期間にかかわらず流動資産とされる
解説
流動・固定の分類は、まず正常営業循環基準で判定し、それで振り分けられなかったものを一年基準(ワン・イヤー・ルール)で判定するという二段構えになっています。
正常営業循環基準とは、仕入→製造→販売→代金回収という会社の通常の営業サイクルの中にある資産・負債は、期間の長短を問わず流動項目とする考え方です。売掛金、受取手形、棚卸資産、買掛金、支払手形などがこれに当たります。たとえば回収に1年を超える売掛金であっても、営業活動から生じたものであれば流動資産です。
営業サイクルの外にある項目については一年基準で判定し、決算日の翌日から起算して1年以内に入金または支払いの期限が来るものを流動、1年を超えるものを固定とします。貸付金や借入金、有価証券などがこの基準の対象です。
営業サイクルを先に見るのは、営業活動に伴う債権・債務は必ず回収・決済されて次の仕入れの資金に回っていく性質のもので、会社の短期の支払能力を考えるうえでひとまとめに見るのが合理的だからです。

他の選択肢が不適切な理由
「決算日の翌日から2年以内に回収される債権は、流動資産に区分される」は誤りです。基準は2年ではなく1年です。
「建物や機械装置は、使用する耐用年数にかかわらず流動資産とされる」も誤りです。長期にわたって事業に使用する資産なので有形固定資産です。
「1年を超えて返済期限が到来する借入金は、流動負債の区分に含める」も誤りです。長期借入金として固定負債に区分します。ただし1年以内に返済期限が来る部分は「1年内返済予定の長期借入金」として流動負債に振り替えます。

覚え方のポイント
「まず営業サイクル、次に1年」の順番で判定する、と手順で覚えます。営業由来なら期間を問わず流動、営業以外なら1年で線を引く。この2段階を思い出せれば分類問題は落としません。
問38-4

貸借対照表の純資産の部に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①株主資本には、資本金や資本剰余金、利益剰余金が含まれている
  • ②保有する自己株式は、株主資本に加算する形式で表示されている
  • ③その他有価証券評価差額金は、評価・換算差額等に区分されている
  • ④新株予約権は、純資産の部に独立の区分を設けて表示されている
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正解 ②保有する自己株式は、株主資本に加算する形式で表示されている
解説
自己株式は、株主資本の末尾に「自己株式」として、金額を控除する形(マイナス表示)で計上されます。加算ではありません。
控除するのは、自己株式の取得が実質的に株主への出資の払戻しだからです。会社が自分の株式を買い戻すと、その分だけ会社から株主へ財産が出ていき、株主資本は小さくなります。会社が自社株を「持っている」と考えて資産に計上するのではなく、「株主資本が減った」と考えて純資産から差し引くのが現在の会計の考え方です。
純資産の部は、株主資本、評価・換算差額等、株式引受権、新株予約権の四つに区分されます(会社計算規則76条1項1号)。株式引受権は、取締役などの報酬として株式を無償で交付する仕組みに合わせて設けられた区分です。株主資本は資本金、資本剰余金(資本準備金・その他資本剰余金)、利益剰余金(利益準備金・その他利益剰余金)、自己株式(控除)から成ります。評価・換算差額等には、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、土地再評価差額金が入ります。為替換算調整勘定と退職給付に係る調整累計額も同じ区分の項目ですが、これらは連結貸借対照表に限られます(会社計算規則76条7項)。これらはまだ実現していない評価上の差額なので、株主資本とは分けて表示されます。

他の選択肢が不適切な理由
「株主資本には、資本金や資本剰余金、利益剰余金が含まれている」は正しい記述です。
「その他有価証券評価差額金は、評価・換算差額等に区分されている」も正しい記述です。売買目的以外で保有する有価証券の時価評価による差額で、原則として損益計算書を通さず純資産に直接計上します。
「新株予約権は、純資産の部に独立の区分を設けて表示されている」も正しい記述です。将来行使されれば払込みを受けて資本になる性質のものなので、負債ではなく純資産に区分されます。

覚え方のポイント
純資産は「株主資本/評価・換算差額等/株式引受権/新株予約権」の4区分。自己株式は「純資産の中のマイナス項目」と覚えます。実質は株主への払戻しだから引き算、と趣旨から思い出せるようにしておきます。
問48-4

ある会社の当期の損益計算書の数値は次のとおりであった。売上高5,000万円、売上原価3,200万円、販売費及び一般管理費1,300万円、営業外収益150万円、営業外費用250万円。このとき、経常利益はいくらか。なお、法人税等および特別損益は考慮しない。

  • ①1,800万円
  • ②600万円
  • ③400万円
  • ④500万円
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正解 ③400万円
解説
損益計算書の5段階の利益のうち、上から3番目の経常利益を求める問題です。売上総利益→営業利益→経常利益の順に、上から順番に積み上げて計算します。使う式は次の3本です。
売上総利益=売上高-売上原価
営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費
経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

計算過程
売上総利益=5,000万円-3,200万円
=1,800万円
営業利益=1,800万円-1,300万円
=500万円
経常利益=500万円+150万円-250万円
=500万円-100万円
=400万円

他の選択肢が不適切な理由
「1,800万円」は、売上高から売上原価だけを差し引いた売上総利益の金額です。販売費及び一般管理費と営業外損益を引き忘れた場合にこの値になります。
「500万円」は営業利益の金額です。営業外収益と営業外費用の加減を忘れると、この値で止まってしまいます。
「600万円」は、営業外収益を差し引き、営業外費用を加えるという符号の取り違えをした場合の値です(500万円-150万円+250万円=600万円)。営業外収益はプラス、営業外費用はマイナスです。

覚え方のポイント
5段階の利益は「売上総利益→営業利益→経常利益→税引前当期純利益→当期純利益」の順に、上から一段ずつ引いていくと覚えます。各段階で引くものは「原価→本業の経費→本業以外の収支→臨時の収支→税金」です。「経常」は毎期経常的に生じる損益までを含む段階なので、営業外損益は含み、特別損益は含まないという線引きが要点です。
問58-4

ある会社の当期の損益計算書の数値は次のとおりであった。売上高8,000万円、売上原価5,600万円、販売費及び一般管理費1,900万円、営業外収益120万円、営業外費用200万円、特別利益80万円、特別損失150万円。このとき、営業利益はいくらか。なお、法人税等は考慮しない。

  • ①2,400万円
  • ②500万円
  • ③420万円
  • ④350万円
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正解 ②500万円
解説
本業の儲けを示す営業利益を求める問題です。営業利益は、売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を差し引いた段階の利益であり、営業外損益や特別損益は一切関係しません。問題文にはあえて営業外損益と特別損益の数値も与えられていますが、営業利益の計算には使いません。
売上総利益=売上高-売上原価
営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費

計算過程
売上総利益=8,000万円-5,600万円
=2,400万円
営業利益=2,400万円-1,900万円
=500万円

他の選択肢が不適切な理由
「2,400万円」は売上総利益の金額です。販売費及び一般管理費を引く前の段階で止まった場合の値です。
「420万円」は経常利益の金額です(500万円+120万円-200万円=420万円)。営業外損益まで加減してしまうと、この値になります。
「350万円」は税引前当期純利益の金額です(420万円+80万円-150万円=350万円)。特別損益まで加減すると、この値になります。

覚え方のポイント
営業利益は「本業だけの成績」です。受取利息・支払利息のような資金の運用や調達に伴う損益(営業外)、固定資産売却損益や災害損失のような臨時の損益(特別)は、いずれも本業の実力ではないので営業利益より下の段階で加減します。問題文に余分な数値が並んでいても、どの段階を問われているかを先に確認する習慣をつけると引っかかりません。
問68-4

ある会社の当期の損益計算書の数値は次のとおりであった。売上高12,000万円、売上原価7,800万円、販売費及び一般管理費2,900万円、営業外収益180万円、営業外費用260万円、特別損失120万円、法人税等300万円。このとき、当期純利益はいくらか。

  • ①800万円
  • ②920万円
  • ③1,100万円
  • ④1,220万円
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正解 ①800万円
解説
最終的な成果である当期純利益を求める問題です。売上総利益から順に5段階すべてをたどります。
売上総利益=売上高-売上原価
営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費
経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失
当期純利益=税引前当期純利益-法人税等

計算過程
売上総利益=12,000万円-7,800万円
=4,200万円
営業利益=4,200万円-2,900万円
=1,300万円
経常利益=1,300万円+180万円-260万円
=1,300万円-80万円
=1,220万円
税引前当期純利益=1,220万円-120万円
=1,100万円
当期純利益=1,100万円-300万円
=800万円

他の選択肢が不適切な理由
「1,220万円」は経常利益の金額です。特別損失と法人税等の両方を差し引き忘れた場合の値です。
「1,100万円」は税引前当期純利益の金額です。法人税等300万円を差し引き忘れると、この値になります。
「920万円」は、特別損失120万円を差し引き忘れたまま法人税等300万円だけを差し引いた場合の値です(1,220万円-300万円=920万円)。

覚え方のポイント
「原価を引いて、経費を引いて、本業以外を足し引きして、臨時を足し引きして、最後に税金を引く」という順序を声に出して覚えます。当期純利益は必ず最後に法人税等を引いた金額であり、この一段を忘れるのがもっとも多い失点パターンです。
問78-4

キャッシュ・フロー計算書に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①借入れによる収入は、営業活動によるキャッシュ・フローに含まれる
  • ②有形固定資産の取得による支出は、財務活動の区分に計上される
  • ③営業活動、投資活動、財務活動の三つの区分に分けて表示される
  • ④配当金の支払額は、投資活動によるキャッシュ・フローに表示される
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正解 ③営業活動、投資活動、財務活動の三つの区分に分けて表示される
解説
キャッシュ・フロー計算書は、1会計期間の現金および現金同等物の増減を、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローの三つに区分して表示します。
三つに分けるのは、同じ「お金が増えた」でも中身がまったく違うからです。本業で稼いで増えたのか、資産を売り払って増えたのか、借金をして増えたのかは、会社の実力の評価としてまるで別の話です。区分して示すことで、利益が出ているのに資金が回っていない会社や、逆に赤字でも本業の資金繰りは健全な会社を見分けることができます。
営業活動の区分には、商品の販売による収入、仕入れや人件費の支出などが入ります。投資活動の区分には、有形固定資産や有価証券の取得・売却、貸付けと回収が入ります。財務活動の区分には、借入れと返済、社債の発行と償還、株式の発行による収入、配当金の支払いが入ります。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計した金額は、フリー・キャッシュ・フローと呼ばれ、会社が自由に使える資金の目安として用いられます。

他の選択肢が不適切な理由
「借入れによる収入は、営業活動によるキャッシュ・フローに含まれる」は誤りです。借入れは資金の調達なので財務活動の区分です。
「有形固定資産の取得による支出は、財務活動の区分に計上される」も誤りです。設備投資は投資活動の区分です。
「配当金の支払額は、投資活動によるキャッシュ・フローに表示される」も誤りです。株主への還元は資金の返還にあたるので財務活動の区分です。

覚え方のポイント
「本業=営業、モノや証券の売買=投資、お金の調達と返済=財務」と3語で覚えます。区分の判定に迷ったら「そのお金の動きは、本業か、資産の入替えか、資金の出し入れか」と自問すると確実です。
問88-4

連結財務諸表に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①議決権の過半数を所有されている会社は、原則として子会社に該当する
  • ②連結貸借対照表では、親会社と子会社の間の債権債務は相殺消去される
  • ③関連会社に対する投資については、原則として持分法が適用されている
  • ④関連会社は連結の範囲に含められ、全部連結の対象となるものとされる
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正解 ④関連会社は連結の範囲に含められ、全部連結の対象となるものとされる
解説
関連会社は連結(全部連結)の対象ではなく、持分法の対象です。したがって「全部連結の対象となる」という記述は誤りです。
全部連結とは、子会社の資産・負債・収益・費用のすべてを親会社のものと合算し、親会社以外の株主に帰属する部分を非支配株主持分として区分表示する方法です。子会社は親会社に支配されているため、企業集団を1つの会社と見て中身をすべて取り込むのが実態に合っています。
これに対して関連会社は、親会社が財務や営業の方針決定に重要な影響を与えられるものの、支配しているわけではありません。中身をすべて取り込むのは実態に合わないので、投資の金額を持分に応じて増減させ、持分に見合う損益だけを取り込む持分法(一行連結とも呼ばれます)を適用します。判定の目安は、原則として議決権の20%以上50%以下の所有です。
連結にあたっては、企業集団の内部の取引を消去します。親子会社間の売上と仕入、債権と債務、内部利益は、企業集団を1つと見れば自分と自分の取引にすぎず、そのまま残せば売上や資産を二重に計上してしまうからです。

他の選択肢が不適切な理由
「議決権の過半数を所有されている会社は、原則として子会社に該当する」は正しい記述です。過半数に達しない場合でも、役員の派遣や資金提供などにより実質的に支配していれば子会社と判定されます(支配力基準)。
「連結貸借対照表では、親会社と子会社の間の債権債務は相殺消去される」も正しい記述です。
「関連会社に対する投資については、原則として持分法が適用されている」も正しい記述です。

覚え方のポイント
「子会社は丸ごと取り込む全部連結、関連会社は持分だけ取り込む持分法」と対で覚えます。目安の議決権比率は「過半数超なら子会社、20%以上50%以下なら関連会社」。ただし形式的な比率だけでなく実質的な支配・影響力で判定される、という点も添えておきます。
問98-4

取得原価1,200万円、耐用年数8年、残存価額をゼロとする機械装置を期首に取得し、定額法により減価償却を行っている。取得から3年が経過した時点(3年分の減価償却を行った後)の帳簿価額はいくらか。なお、減損や資本的支出は生じていないものとする。

  • ①900万円
  • ②750万円
  • ③600万円
  • ④450万円
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正解 ②750万円
解説
定額法による減価償却費と、その累計額を差し引いた帳簿価額を求める問題です。定額法は毎期同じ金額を費用として計上する方法で、次の式で計算します。
1年あたりの減価償却費=(取得原価-残存価額)÷耐用年数
減価償却累計額=1年あたりの減価償却費×経過年数
帳簿価額=取得原価-減価償却累計額

計算過程
1年あたりの減価償却費=(1,200万円-0円)÷8年
=150万円
3年分の減価償却累計額=150万円×3年
=450万円
帳簿価額=1,200万円-450万円
=750万円

他の選択肢が不適切な理由
「450万円」は3年分の減価償却累計額そのものです。累計額と帳簿価額を取り違えると、この値を選んでしまいます。
「900万円」は2年分(150万円×2年=300万円)しか差し引かなかった場合の値です。取得年度を数え落とすとこの値になります。
「600万円」は4年分(150万円×4年=600万円)を差し引いた場合の値です。経過年数を1年多く数えるとこの値になります。

覚え方のポイント
定額法は「取得原価を耐用年数で等しく割る」ので毎期同額。これに対して定率法は「まだ償却していない残り(未償却残高)に一定の率を掛ける」ので、初期の負担が大きく、年々小さくなっていきます。問われているのが「その年の減価償却費」なのか「累計額」なのか「帳簿価額」なのかを、必ず先に確かめてから計算に入ります。
問108-4

財務諸表および資産の評価に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①定率法では、毎期にわたり同じ金額の減価償却費が計上されている
  • ②棚卸資産は、時価が取得原価を上回った場合に評価額を切り上げる
  • ③株主資本等変動計算書は、純資産の各項目の期中の増減を表す書類である
  • ④土地は、時の経過により価値が減少するため減価償却の対象とされている
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正解 ③株主資本等変動計算書は、純資産の各項目の期中の増減を表す書類である
解説
株主資本等変動計算書は、貸借対照表の純資産の部の各項目が、期首から期末までの間にどのような理由でいくら増減したのかを示す計算書類です。
この書類が必要とされるのは、会社法のもとで剰余金の配当や自己株式の取得・処分を期中に何度でも行えるようになり、純資産が期中に複雑に動くようになったからです。貸借対照表は期首と期末の残高しか示さないため、その間に配当をいくら出したのか、自己株式をいくら買ったのか、増資をしたのかといった動きが見えません。そこを埋めるのがこの計算書類です。
表示される項目は、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式、評価・換算差額等、新株予約権などで、当期純利益による利益剰余金の増加や剰余金の配当による減少が明示されます。

他の選択肢が不適切な理由
「定率法では、毎期にわたり同じ金額の減価償却費が計上されている」は誤りです。毎期同額になるのは定額法です。定率法は未償却残高に一定の率を掛けるため、償却費は初期に大きく、年を追って小さくなっていきます。
「棚卸資産は、時価が取得原価を上回った場合に評価額を切り上げる」も誤りです。棚卸資産は取得原価で評価するのが原則で、期末の正味売却価額が取得原価を下回った場合に帳簿価額を切り下げます。値上がりによる切り上げは行いません。まだ売れていない段階の含み益を利益として計上しない、という保守的な考え方に基づく扱いです。
「土地は、時の経過により価値が減少するため減価償却の対象とされている」も誤りです。土地は使用や時の経過によって価値が減っていくとは考えられないため、減価償却を行わない非償却資産です。

覚え方のポイント
「定額法は同額、定率法は最初が大きい」「棚卸資産は下がったら切り下げ、上がっても切り上げない」「土地と建設仮勘定は償却しない」の3つを、それぞれ一言で覚えます。株主資本等変動計算書は「貸借対照表の純資産の動きの説明書」と位置づけると役割がつかめます。

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