2026年版・7-5

投資信託の開示書類と乗換え勧誘の一問一答

証券外務員二種「投資信託及び投資法人に関する業務/付随業務」から、投資信託の開示書類と乗換え勧誘に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問17-5

投資信託の請求目論見書を投資家に渡す時期について、正しいものはどれか。

  • ①交付目論見書とあわせて、必ずすべての投資家へ交付する書類である
  • ②記載する内容は、交付目論見書の内容を要約したものに限られる
  • ③投資家から請求があったとき、直ちに交付する必要がある書類である
  • ④交付を請求できるのは、その投資信託を保有している者に限られる
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正解 ③投資家から請求があったとき、直ちに交付する必要がある書類である
解説
投資信託の目論見書は二種類に分かれています。交付目論見書は、取得の申込みをしようとする投資家にあらかじめまたは同時に交付しなければならない書面で、ファンドの目的や特色、投資のリスク、運用の実績、手続や費用といった、投資判断に欠かせない情報が中心です。もう一つの請求目論見書は、ファンドの沿革や経理の状況など、より詳しい情報を載せた書面で、投資家から請求があった場合に直ちに交付しなければならないとされています(金融商品取引法十五条三項)。すべての投資家に分厚い書面を渡すと、かえって肝心な部分が読まれなくなってしまいます。そこで必ず読んでほしい部分を交付目論見書にまとめ、さらに詳しく知りたい人には請求に応じて渡す、という二段構えにしているのです。

他の選択肢が不適切な理由
「交付目論見書とあわせて、必ずすべての投資家へ交付する書類である」は誤りです。必ず交付しなければならないのは交付目論見書で、請求目論見書は請求があった投資家に交付します。
「記載する内容は、交付目論見書の内容を要約したものに限られる」も誤りです。要約にあたるのは交付目論見書のほうで、請求目論見書はより詳細な情報を載せた書面です。関係が逆になっています。
「交付を請求できるのは、その投資信託を保有している者に限られる」も誤りです。これから購入を検討している投資家も請求できます。投資判断のための情報なので、保有者に限る意味がありません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、どちらが詳しい書面かを取り違える点です。「交付」は必ず渡す簡潔な版、「請求」は求められたら渡す詳しい版、と役割で覚えると混乱しません。
問27-5

投資信託の目論見書を作成する者と、投資家に交付する者について、正しいものはどれか。

  • ①委託会社が作成し、販売会社を通じて投資家に交付されている
  • ②販売会社が作成し、委託会社が投資家に交付することになる
  • ③受託会社が作成し、投資家が取引所から入手する仕組みである
  • ④資産運用業協会が作成し、販売会社が投資家に交付している
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正解 ①委託会社が作成し、販売会社を通じて投資家に交付されている
解説
委託者指図型投資信託では、ファンドを設定して運用の指図を行う委託会社(運用会社)、信託財産を保管する受託会社(信託銀行)、投資家に販売する販売会社(証券会社や銀行)の三者が役割を分担しています。目論見書はその有価証券を発行する側が作る書面なので、作成するのは委託会社です。一方、投資家と直接向き合うのは販売会社ですから、実際に投資家へ渡すのは販売会社の窓口や取引の画面になります。制度のうえでも、発行者が作成した目論見書を、販売の取扱いを行う者が投資家に交付する形になっています。誰が作り、誰が渡すのかを分けて考えると、運用報告書の交付など他の書面の流れも同じ筋道で理解できます。

他の選択肢が不適切な理由
「販売会社が作成し、委託会社が投資家に交付することになる」は誤りです。作成と交付の担い手が入れ替わっています。販売会社はファンドの中身を決める立場にないため、目論見書を作成することはできません。
「受託会社が作成し、投資家が取引所から入手する仕組みである」も誤りです。受託会社の役割は信託財産の保管と管理であり、また非上場の投資信託は取引所を通じて売買されるものではありません。
「資産運用業協会が作成し、販売会社が投資家に交付している」も誤りです。資産運用業協会は、2026年4月に投資信託協会と日本投資顧問業協会が統合して発足した認定金融商品取引業協会で、自主規制規則や統計の整備などを行う団体です。個々のファンドの目論見書を作成する立場にはありません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、窓口で受け取るから販売会社が作っていると考えてしまう点です。作るのは中身を決めている委託会社、渡すのは投資家に接している販売会社、と役割で切り分けましょう。
問37-5

交付運用報告書と運用報告書(全体版)の関係について、正しいものはどれか。

  • ①全体版は作成されず、交付運用報告書だけが作成される書類である
  • ②交付運用報告書には、全体版のうち重要な事項が記載されている
  • ③交付運用報告書は、投資家から請求があったときにのみ作成される
  • ④全体版は運用会社の内部の資料であり、投資家は入手できない
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正解 ②交付運用報告書には、全体版のうち重要な事項が記載されている
解説
運用報告書は、決算期ごとに作成して受益者に届ける、運用の成績表にあたる書面です。二〇一四年十二月以後に決算を迎えたファンドからは、これが二つに分かれました。投資信託及び投資法人に関する法律十四条一項の運用報告書(全体版)と、同条二項の交付運用報告書です。交付運用報告書には、全体版に記載すべき事項のうち重要なものが記載され、これが受益者に交付されます。全体版は組入資産の明細など詳しい情報まで載せた版です。分量が多いほど正確ですが、多すぎて読まれなければ意味がありません。そこで必ず目を通してほしい部分を交付運用報告書に絞り、詳細は全体版に残す形にしたのです。目論見書が交付版と請求版に分かれているのと同じ考え方です。

他の選択肢が不適切な理由
「全体版は作成されず、交付運用報告書だけが作成される書類である」は誤りです。全体版も作成され、約款に定めがあれば電磁的方法により提供されます。受益者から請求があれば書面で交付されます。
「交付運用報告書は、投資家から請求があったときにのみ作成される」も誤りです。請求を待つことなく、決算期ごとに作成して受益者に交付されるものです。請求によって交付されるのは全体版のほうです。
「全体版は運用会社の内部の資料であり、投資家は入手できない」も誤りです。運用会社のホームページなどで閲覧でき、請求すれば書面で交付を受けられます。内部資料ではありません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、交付運用報告書と全体版のどちらが自動的に届くかを逆に覚えてしまう点です。名前に「交付」が付く方が黙っていても届く版、と押さえておきましょう。
問47-5

運用報告書(全体版)を電磁的方法により提供する場合について、正しいものはどれか。

  • ①電磁的方法によって提供した場合でも、書面の交付は別に必要である
  • ②電磁的方法で提供する旨を約款に定めていなくても、提供してよい
  • ③電磁的方法で提供したときは、受益者の請求があっても交付を要しない
  • ④約款に定めて提供すれば足りるが、請求があるときは書面で交付する
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正解 ④約款に定めて提供すれば足りるが、請求があるときは書面で交付する
解説
運用報告書(全体版)は分量が多く、すべての受益者に毎期紙で送ると費用がかさみ、その費用は結局ファンドの受益者が負担することになります。そこで投資信託及び投資法人に関する法律十四条は、投資信託約款またはこれに類する書類において電磁的方法により提供する旨を定めている場合には、電磁的方法によって提供することができ、その場合は運用報告書を交付したものとみなすと定めています。運用会社のホームページに掲載する方法などがこれに当たります。ただし、通信の手段を持たない受益者が情報から切り離されてはいけないため、受益者から請求があったときは書面で交付しなければならないという歯止めが置かれています。費用の抑制と、情報を受け取る権利の確保を両立させた仕組みです。

他の選択肢が不適切な理由
「電磁的方法によって提供した場合でも、書面の交付は別に必要である」は誤りです。要件を満たして電磁的方法により提供すれば交付したものとみなされるため、常に書面を別に交付する必要はありません。
「電磁的方法で提供する旨を約款に定めていなくても、提供してよい」も誤りです。約款またはこれに類する書類にその旨の定めがあることが前提になっています。
「電磁的方法で提供したときは、受益者の請求があっても交付を要しない」も誤りです。請求があった場合には書面で交付しなければならないとされており、この点が受益者を守る要になっています。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、電磁的な提供が認められると紙の請求もできなくなると考えてしまう点です。「約款に定めがあれば電子で足りる、ただし請求されたら紙で出す」という二段構えで覚えましょう。
問57-5

保有している投資信託から別の投資信託への乗換えを勧誘する場合について、誤っているものはどれか。

  • ①乗換えに関する重要な事項について、顧客に説明する必要がある
  • ②説明を行わずに乗換えを勧誘することは、禁止行為に当たる
  • ③保有期間が1年を超えていれば、説明を省略することができる
  • ④売却する商品と取得する商品の商品性を勘案して説明を行う
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正解 ③保有期間が1年を超えていれば、説明を省略することができる
解説
乗換えとは、顧客が保有している投資信託を売却させ、あわせて別の投資信託を購入させることをいいます。乗換えそのものは禁止されていませんが、金融商品取引業等に関する内閣府令は、投資信託等の乗換えを勧誘するに際し、その乗換えに関する重要な事項について顧客に説明を行わないことを禁止行為としています。日本証券業協会の「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」も、売却する投資信託と取得する投資信託の商品性、顧客のニーズ、顧客の利益などを勘案して、投資判断に影響を及ぼすと考えられる事項を説明することを求めています。売る側から見れば乗換えのたびに手数料が入るため、顧客のためではなく手数料のために勧める誘惑が生まれやすい取引です。この説明義務について、保有していた期間の長さによって免除されるという定めはどこにも置かれていません。したがって「保有期間が1年を超えていれば、説明を省略することができる」が誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「乗換えに関する重要な事項について、顧客に説明する必要がある」は正しい記述です。これが乗換え勧誘に課された義務の中身そのものです。
「説明を行わずに乗換えを勧誘することは、禁止行為に当たる」も正しい記述です。禁止されているのは乗換えではなく、説明をしないまま勧誘する行為です。
「売却する商品と取得する商品の商品性を勘案して説明を行う」も正しい記述です。売る側と買う側の両方の商品性を見比べなければ、その乗換えが顧客のためになるかを判断できません。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、長く持っていた顧客なら説明を省いてよいと考えてしまう点です。期間や金額で説明義務が外れる例外はない、と押さえておきましょう。
問67-5

投資信託の乗換えの勧誘に説明義務が課されている理由として、正しいものはどれか。

  • ①短期間の乗換えでは手数料が二重にかかり、顧客の利益に反する
  • ②乗換えを行うと、その投資信託の基準価額が必ず下がることになる
  • ③乗換えによって、顧客が非課税の扱いを受けられなくなるためである
  • ④乗換えは法令で原則として禁止され、例外の場合だけ認められる
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正解 ①短期間の乗換えでは手数料が二重にかかり、顧客の利益に反する
解説
投資信託を購入するときには申込手数料がかかり、解約するときにも信託財産留保額などの負担が生じることがあります。短い期間で乗換えを繰り返せば、そのたびに購入と解約の費用が重なり、運用による成果を費用が食いつぶしてしまいます。ところが販売する側からは、乗換えのたびに申込手数料が入ります。つまり顧客の利益と販売側の収益が食い違いやすい取引なのです。この食い違いを放置すると、顧客の利益に反する乗換えが繰り返されるおそれがあるため、金融商品取引業等に関する内閣府令は乗換えに関する重要な事項の説明を義務づけ、日本証券業協会の規則も乗換えの勧誘に際して顧客の利益を勘案することを求めています。説明を義務にすることで、顧客が費用の重さを自分で判断できるようにしているわけです。

他の選択肢が不適切な理由
「乗換えを行うと、その投資信託の基準価額が必ず下がることになる」は誤りです。基準価額は信託財産の純資産の額から計算されるもので、ある顧客が乗換えを行ったことで必ず下がるものではありません。
「乗換えによって、顧客が非課税の扱いを受けられなくなるためである」も誤りです。課税口座での売買はもともと課税の対象であり、乗換えによって非課税の扱いを失うことが説明義務の理由ではありません。
「乗換えは法令で原則として禁止され、例外の場合だけ認められる」も誤りです。乗換えは禁止されていません。禁止されているのは重要な事項の説明を行わないことです。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、手数料が「片方だけ」かかると考えてしまう点です。解約と購入の両側で費用が生じるため負担が二重になる、というところが説明義務の出発点だと押さえましょう。
問77-5

協会員が国内で勧誘できる外国投資信託証券の選別基準について、誤っているものはどれか。

  • ①協会員は、選別基準に適合していることを確認したうえで勧誘する
  • ②選別基準に適合しなくなった場合は、解約の取次ぎにも応じられない
  • ③基準には、その外国投資信託の純資産の額に関する要件が含まれる
  • ④基準には、国内に管理会社の代理人を置くことという要件が含まれる
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正解 ②選別基準に適合しなくなった場合は、解約の取次ぎにも応じられない
解説
外国で設定された投資信託は、その国の制度によって仕組みも情報開示の水準もさまざまです。そのまま国内で自由に売られると、投資者が中身を確かめられないまま購入してしまいます。そこで日本証券業協会の「外国証券の取引に関する規則」は、協会員が顧客に勧誘できる外国投資信託証券について選別基準を定め、各要件を満たし投資者保護上問題がないことを協会員自身が確認したものに限ることとしています。要件には、その外国投資信託の純資産の額、管理会社の純資産の額、国内に管理会社の代理人が置かれていること、我が国に裁判管轄が属することなどが含まれます。重要なのは、選別基準に適合しなくなった場合の扱いです。同規則は、この場合でも顧客からの買戻しの取次ぎまたは解約の取次ぎの注文には応じなければならないと定めています。売るのを止めても、顧客が抜け出す道は残しておくという趣旨です。したがって「選別基準に適合しなくなった場合は、解約の取次ぎにも応じられない」が誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「協会員は、選別基準に適合していることを確認したうえで勧誘する」は正しい記述です。確認の責任は勧誘を行う協会員自身にあります。
「基準には、その外国投資信託の純資産の額に関する要件が含まれる」も正しい記述です。規模が極端に小さいファンドは運用や償還が不安定になりやすいためです。
「基準には、国内に管理会社の代理人を置くことという要件が含まれる」も正しい記述です。国内に窓口がなければ、投資者が権利を主張する相手を見つけられなくなります。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、基準に適合しなくなったら売買が一切できなくなると考えてしまう点です。止まるのは新たな販売と勧誘で、顧客が解約する道は開いたまま、と方向を分けて覚えましょう。
問87-5

投資信託の収益分配金と預金の利息との違いについて、正しいものはどれか。

  • ①預金の利息と同じ性質のもので、元本が減ることは起こらない
  • ②分配金の額は、あらかじめ約款で定められた率で計算される
  • ③分配金が支払われても、その投資信託の基準価額は変わらない
  • ④運用の成果の一部の払戻しであり、支払後は基準価額が下がる
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正解 ④運用の成果の一部の払戻しであり、支払後は基準価額が下がる
解説
投資信託の収益分配金は、預金の利息とはまったく性質が違います。利息は元本とは別に銀行から支払われるものですが、分配金はファンドが持っている信託財産の中から支払われます。したがって分配金を出せば、その分だけ信託財産の純資産の額が減り、一万口当たりの基準価額はほぼ分配金の額だけ下がります。つまり分配金は、運用によって増えた財産の一部を投資家に払い戻しているものなのです。個別元本を上回る部分から支払われた普通分配金と、個別元本を下回る部分から支払われた元本払戻金(特別分配金)とに分かれ、元本払戻金は投資した元本の一部が戻ってきただけなので個別元本が減額されます。分配金の多さがそのままファンドの好成績を意味するわけではない点に注意が必要です。

他の選択肢が不適切な理由
「預金の利息と同じ性質のもので、元本が減ることは起こらない」は誤りです。分配金は信託財産から支払われるため、元本払戻金が支払われた場合には個別元本そのものが減額されます。
「分配金の額は、あらかじめ約款で定められた率で計算される」も誤りです。分配の方針は約款に定められますが、実際の額は運用の成果や分配可能な原資の状況を踏まえて決算のたびに決められ、支払われないこともあります。
「分配金が支払われても、その投資信託の基準価額は変わらない」も誤りです。分配金は信託財産から出ていくため、その分だけ基準価額は下がります。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、分配金を「もらい得」と考えてしまう点です。分配金の分だけ基準価額が下がるので、受け取った時点で資産が増えているわけではない、という関係を必ず結び付けて覚えましょう。
問97-5

追加型株式投資信託の基準価額の算出と公表について、誤っているものはどれか。

  • ①原則として営業日ごとに算出され、日々公表されている
  • ②信託財産の純資産総額を総口数で割って算出されるものである
  • ③公表されるのは決算期ごとであり、期中には公表されない
  • ④注文の時点では価額が分からない仕組みが採られている
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正解 ③公表されるのは決算期ごとであり、期中には公表されない
解説
基準価額は、信託財産の純資産総額を総口数で割って求めた、投資信託の一口当たりの値段です。実務では一万口当たりの金額で表されます。投資家はいつでも購入や解約を申し込めるので、そのときの値段が分からなければ取引ができません。そこで基準価額は原則として営業日ごとに算出され、日々公表されています。算出するのは信託財産の運用の指図を行う委託会社で、その日の組入資産の時価をもとに計算します。決算期ごとに作成されるのは運用の成績を報告する運用報告書であり、基準価額の公表とは別のものです。したがって「公表されるのは決算期ごとであり、期中には公表されない」が誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「原則として営業日ごとに算出され、日々公表されている」は正しい記述です。日々の値段が分からなければ、購入も解約も申し込めません。
「信託財産の純資産総額を総口数で割って算出されるものである」も正しい記述です。資産総額から負債総額を差し引いた純資産総額が分子になります。
「注文の時点では価額が分からない仕組みが採られている」も正しい記述です。組入資産の時価が確定するのは取引が終わった後なので、基準価額は一日に一つだけ決まります。値段を見てから注文できると、すでに保有している他の受益者との間で不公平が生じるため、あえてこの仕組み(ブラインド方式)が採られています。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、上場しているETFと非上場の投資信託を同じに考えてしまう点です。ETFは立会時間中に市場価格が動き、非上場の投資信託は一日に一つの基準価額、と分けて覚えましょう。
問107-5

投資信託の目論見書や運用報告書の電子交付について、正しいものはどれか。

  • ①顧客の承諾を得た場合に、書面の交付に代えることができる
  • ②顧客の承諾がなくても、電子交付に切り替えることができる
  • ③電子交付を選んだ顧客は、書面の交付を求めることができない
  • ④電子交付が認められるのは、目論見書に限られるとされている
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正解 ①顧客の承諾を得た場合に、書面の交付に代えることができる
解説
法令が交付を義務づけている書面は、原則として紙で渡すことが前提です。しかし通信の手段が広く行きわたった今では、電子メールやウェブサイトでの閲覧によって届けたほうが、顧客にとっても早く、費用も抑えられます。そこで金融商品取引法などは、あらかじめ顧客に電磁的方法の種類や内容を示し、書面または電磁的方法による承諾を得た場合には、書面の交付に代えて電磁的方法により提供することができるとしています。これを電子交付といい、提供したときは書面を交付したものとみなされます。要点は、顧客の承諾が必要だという一点です。紙で受け取りたい顧客の意思を無視して切り替えることはできません。なお、いったん電子交付を承諾した顧客も、後から書面での交付を求めることができます。

他の選択肢が不適切な理由
「顧客の承諾がなくても、電子交付に切り替えることができる」は誤りです。承諾を得ることが要件であり、業者の側の判断だけで切り替えることはできません。
「電子交付を選んだ顧客は、書面の交付を求めることができない」も誤りです。承諾は後から撤回できますし、請求があれば書面で交付されます。顧客を電子交付に縛り付ける制度ではありません。
「電子交付が認められるのは、目論見書に限られるとされている」も誤りです。契約締結前交付書面や契約締結時交付書面、取引残高報告書、照合通知書、運用報告書など、幅広い書面が電子交付の対象になっています。

覚え方のポイント
ここで間違える人が多いのは、電子交付を業者が自由に選べる方式だと考えてしまう点です。入口で承諾が必要、出口でも書面を求められる、という二つの歯止めを一組で覚えておきましょう。

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