2026年版・5-1

証券市場の基礎知識と関係機関の一問一答

証券外務員一種「関連科目」から、証券市場の基礎知識と関係機関に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問15-1

直接金融と間接金融に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①直接金融では、資金の最終的な出し手が証券を保有し、信用リスクを自ら負う
  • ②間接金融では、預金者が発行体の社債を直接保有し、信用リスクを負う
  • ③直接金融の典型例は銀行預金であり、間接金融の典型例は株式の発行である
  • ④証券会社が引受けを行った場合、その証券会社が最終的な資金の出し手となる
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正解 ①直接金融では、資金の最終的な出し手が証券を保有し、信用リスクを自ら負う
解説
直接金融と間接金融の違いは、資金の出し手と最終的な資金の取り手との間に、誰が入るかで整理します。
直接金融では、投資者が株式や社債といった証券を自ら保有します。発行体が破綻すれば損失を受けるのは投資者自身であり、信用リスクは投資者が直接負います。
これに対して間接金融では、銀行が預金という形で資金を集め、自らの判断と責任で企業へ貸し付けます。企業が返済できなくても、預金者への払戻し義務は銀行が負い続けます。

他の選択肢が誤りである理由
間接金融で預金者が社債を直接保有するという記述は誤りです。預金者が持つのは銀行に対する預金債権であり、企業への債権ではありません。
直接金融の典型例が銀行預金だとする記述は、直接金融と間接金融が逆になっています。銀行預金は間接金融の代表例です。
引受けを行った証券会社が最終的な資金の出し手となるという記述も誤りです。引受証券会社は投資者へ売りさばくことを前提に一時的に取得するにすぎず、最終的な資金の出し手は購入した投資者です。

覚え方のポイント
「リスクを最後に負っているのは誰か」で判定すると迷いません。投資者ならば直接金融、金融機関ならば間接金融です。
問25-1

発行市場および流通市場に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  • ①発行市場とは、新たに発行される証券が投資者に取得される市場のことをいう
  • ②流通市場とは、既に発行された証券が投資者の間で売買される市場をいう
  • ③売出しとは、新たに発行される証券の取得の申込みを勧誘することをいう
  • ④募集とは、多数の投資者に新規発行証券の取得の申込みを勧誘することをいう
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正解 ③売出しとは、新たに発行される証券の取得の申込みを勧誘することをいう
解説
発行市場は、企業や国が新たに証券を発行して資金を調達する場です。ここでの用語として、新たに発行される証券について多数の者へ取得の申込みを勧誘する行為を「募集」といいます。
これに対して「売出し」は、既に発行された証券について、多数の者へ売付けの申込みまたは買付けの申込みの勧誘を行うことをいいます。つまり売出しの対象は既発行証券であり、新規発行証券ではありません。
両者を区別する実益は、いずれも一定規模以上であれば有価証券届出書の提出など開示義務の対象となる一方、対象証券が新規か既発かで発行体の資金調達につながるかどうかが変わる点にあります。

他の選択肢が誤りである理由
発行市場を新規発行証券が投資者に取得される市場とする記述は正しく、資金調達の場という発行市場の性質を表しています。
流通市場を既発行証券が投資者相互の間で売買される市場とする記述も正しいものです。
募集を新規発行証券についての取得申込みの勧誘とする記述も、定義どおりで正しい内容です。

覚え方のポイント
「募集は新しく生まれる証券、売出しは既にある証券」と対で覚えます。発行体にお金が入るのが募集、入らないのが売出しです。
問35-1

金融商品取引所および関係機関に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①上場会社の適時開示に関する規則は、証券取引等監視委員会が定めている
  • ②金融商品取引所は、内閣総理大臣の免許を受けて取引所市場を開設する
  • ③新規上場の可否を決める上場審査は、日本証券業協会が実施している
  • ④上場株式の呼値の制限値幅は、証券保管振替機構が定めている
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正解 ②金融商品取引所は、内閣総理大臣の免許を受けて取引所市場を開設する
解説
取引所金融商品市場、すなわち証券取引所の市場を開設するには、金融商品取引法に基づき内閣総理大臣の免許を受ける必要があります。
売買の場を提供する事業は、価格形成の公正さと投資者の財産に直結するため、届出や登録より重い免許制が採られています。
免許を受けた金融商品取引所は、自主規制機関として上場審査、上場廃止、適時開示、売買の制限値幅といった市場運営のルールを自ら定め、上場会社と取引参加者を規律します。

他の選択肢が誤りである理由
適時開示に関する規則を証券取引等監視委員会が定めるという記述は誤りです。適時開示のルールは上場先の金融商品取引所が定めており、監視委員会は不公正取引などの調査や勧告を担う機関です。
新規上場の審査を日本証券業協会が実施するという記述も誤りで、上場審査は上場先の金融商品取引所が行います。
呼値の制限値幅を証券保管振替機構が定めるという記述も誤りです。制限値幅は取引所が定めるもので、証券保管振替機構は株式等の振替を担う機関です。

覚え方のポイント
市場の中のルールは取引所、証券の受渡しは証券保管振替機構、業者の自主規制は日本証券業協会、と役割で切り分けて整理します。
問45-1

投資者保護基金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①一般顧客一人あたりの補償限度額は、500万円が上限となる
  • ②第一種金融商品取引業を行う者の加入は、任意である
  • ③保有する有価証券の値下がりによる評価損も、補償の対象となる
  • ④証券会社の破綻で顧客資産の返還が困難となった場合に補償する
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正解 ④証券会社の破綻で顧客資産の返還が困難となった場合に補償する
解説
証券会社は、顧客から預かった金銭や有価証券を自社の財産と分けて管理する分別管理義務を負っています。分別管理が正しく行われていれば、証券会社が破綻しても顧客資産はそのまま返還されます。
しかし分別管理に不備があるなどして返還が円滑に行えない場合に備え、最後の安全網として投資者保護基金が設けられています。基金は、一般顧客に対して顧客資産の返還に係る債権を補償します。
補償限度額は一般顧客一人あたり1,000万円です。あくまで返還されない資産を補うための制度である点が重要です。

他の選択肢が誤りである理由
補償限度額を500万円とする記述は誤りで、正しくは1,000万円です。
第一種金融商品取引業を行う者の加入が任意であるという記述も誤りです。有価証券関連業を行う第一種金融商品取引業者は、基金への加入が義務づけられています。
値下がりによる評価損が補償対象となるという記述も誤りです。相場変動による損失は投資者が自ら負うべきものであり、補償の対象外です。

覚え方のポイント
「1,000万円」という数字と、「補償するのは返ってこない資産であって、値下がりした資産ではない」という線引きをセットで覚えます。
問55-1

日本証券業協会に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①自主規制規則に違反した会員に対する過怠金は、金融庁が課している
  • ②協会は金融商品取引法に基づく認可協会として、自主規制業務を行う
  • ③協会は取引所金融商品市場を開設し、上場株式の売買を執行している
  • ④第一種金融商品取引業を行う者は、協会への加入を義務づけられている
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正解 ②協会は金融商品取引法に基づく認可協会として、自主規制業務を行う
解説
日本証券業協会は、金融商品取引法に基づき内閣総理大臣の認可を受けた認可金融商品取引業協会です。
法令だけですべての営業実務を細かく縛ることは難しいため、業界自らが公正な慣行を定めて会員を規律する自主規制の仕組みが置かれています。協会は、投資勧誘や広告、顧客資産の管理などについて自主規制規則を定め、会員の監査や処分を行います。
また、店頭有価証券の取扱いに関するルールの整備など、取引所を通さない取引の秩序維持も担っています。

他の選択肢が誤りである理由
会員への過怠金を金融庁が課すという記述は誤りです。自主規制規則違反に対する過怠金や会員権停止などの処分は、協会自身が行います。
協会が取引所金融商品市場を開設して売買を執行するという記述も誤りで、取引所市場を開設するのは免許を受けた金融商品取引所です。
協会への加入が法律上の義務であるという記述も誤りです。加入は任意であり、加入しない業者には協会規則に準じた社内規則の整備等が求められます。

覚え方のポイント
協会は「業者を規律する自主規制機関」、取引所は「市場を運営する機関」、金融庁は「行政処分を行う当局」と役割で区別します。
問65-1

証券金融会社に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①制度信用取引に必要な資金や株券を、証券会社に対して貸し付ける
  • ②一般の投資者に対して直接に、信用取引の資金を貸し付けている
  • ③顧客から預かった有価証券を集中して保管し、振替決済を行っている
  • ④上場株式の売買について、清算機関として決済を引き受けている
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正解 ①制度信用取引に必要な資金や株券を、証券会社に対して貸し付ける
解説
信用取引では、投資者は証券会社から買付資金または売付株券を借りて売買します。もっとも証券会社が自前ですべての資金と株券を用意できるとは限りません。
そこで、取引所の制度信用取引に必要な資金と株券を証券会社に供給する専門機関として証券金融会社が置かれています。この仕組みを貸借取引といいます。
証券会社を通じて資金と株券が循環することで、信用取引の規模を安定的に支え、需給の偏りを緩和する役割を果たしています。

他の選択肢が誤りである理由
一般の投資者へ直接に資金を貸し付けるという記述は誤りです。証券金融会社の相手方は証券会社であり、投資者は自らの取引先の証券会社から資金や株券を借ります。
有価証券を集中して保管し振替決済を行うという記述は、証券保管振替機構の業務であり誤りです。
清算機関として決済を引き受けるという記述も誤りで、これは日本証券クリアリング機構が担う清算業務にあたります。

覚え方のポイント
貸借取引の相手は投資者ではなく証券会社です。「投資者は証券会社から借り、証券会社は証券金融会社から借りる」という二段構造で押さえます。
問75-1

株式等の振替制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  • ①上場株式は振替制度の対象とされ、株券は発行されないこととなる
  • ②振替口座簿への記載または記録によって、株式の帰属が定まる
  • ③振替株式の譲渡は意思表示のみで効力を生じ、口座振替を要しない
  • ④振替機関の下に口座管理機関が置かれる階層構造となっている
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正解 ③振替株式の譲渡は意思表示のみで効力を生じ、口座振替を要しない
解説
上場株式は株券を発行せず、電子的な記録によって権利を管理する振替制度の対象となっています。紙の株券を用いないため、紛失や偽造の危険がなくなり、受渡しも迅速になります。
振替制度では、株主の権利は振替口座簿の記載または記録によって定まります。したがって株式を譲渡するには、譲渡人の口座から譲受人の口座へ振替を行うことが効力発生の要件となります。当事者の意思表示だけでは譲渡の効力は生じません。
この点は、証券の帰属を口座記録に一元化して、誰が株主かを明確にするための仕組みです。

他の選択肢が誤りである理由
上場株式が振替制度の対象で株券が発行されないという記述は正しい内容です。
振替口座簿の記載または記録によって株式の帰属が定まるという記述も正しく、振替制度の基本原則です。
振替機関の下に口座管理機関が置かれる階層構造という記述も正しく、投資者は取引先の証券会社などの口座管理機関に口座を開設します。

覚え方のポイント
振替株式では「口座に記録されて初めて権利が動く」と覚えます。意思表示だけで移転する、という選択肢は誤りです。
問85-1

証券取引等監視委員会に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①委員会は、内閣府に属さない独立の行政機関として設置されている
  • ②委員会は、金融商品取引業者の登録を自ら取り消す権限を有している
  • ③委員会は、上場会社の新規上場の審査を行う権限を与えられている
  • ④委員会は、犯則事件の調査を行い、検察官に告発することができる
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正解 ④委員会は、犯則事件の調査を行い、検察官に告発することができる
解説
証券取引等監視委員会は、金融庁に置かれる委員会であり、市場の公正性を確保するための調査と検査を担当します。
インサイダー取引や相場操縦、有価証券報告書の虚偽記載といった重い違反は犯則事件として扱われ、委員会は質問や臨検、差押えなどの調査を行い、犯則の心証を得たときは検察官に告発することができます。
また、課徴金納付命令や行政処分が必要と認めるときは、金融庁長官等に対して勧告を行います。処分そのものを行うのは行政当局であり、委員会は調査と勧告に徹する設計です。

他の選択肢が誤りである理由
内閣府に属さない独立の行政機関とする記述は誤りです。委員会は金融庁に置かれており、独立して職権を行使しますが、組織上は行政機構の内部にあります。
登録の取消しを自ら行う権限を有するという記述も誤りで、委員会は勧告を行い、処分は金融庁長官等が行います。
新規上場の審査を行うという記述も誤りです。上場審査は金融商品取引所の業務です。

覚え方のポイント
「委員会は調べて勧告・告発する、処分するのは当局」という役割分担で覚えると、細かい選択肢に迷いません。
問95-1

有価証券の引受け等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  • ①買取引受けとは、発行される証券の全部または一部を取得する契約をいう
  • ②残額引受けとは、売れ残った証券の残部を取得する契約のことをいう
  • ③募集の取扱いとは、売れ残りの証券を自ら取得する義務を負うことをいう
  • ④元引受契約を締結できるのは、第一種金融商品取引業者に限られる
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正解 ③募集の取扱いとは、売れ残りの証券を自ら取得する義務を負うことをいう
解説
引受けとは、発行体に代わって売れ残りの危険を負担する行為をいいます。証券が予定どおり売れなくても、引受人が自ら取得することで発行体は必要な資金を確実に調達できます。
これに対して「募集の取扱い」は、発行体の委託を受けて投資者へ取得の勧誘を行うだけの業務であり、売れ残りを自ら引き取る義務はありません。したがって、募集の取扱いに残額取得義務があるとする本肢は誤りです。
引受けと募集の取扱いは、危険を負担するかどうかという一点で明確に分かれます。

他の選択肢が誤りである理由
買取引受けを、発行される証券の全部または一部を取得する契約とする記述は正しいものです。
残額引受けを、売れ残った残部を取得する契約とする記述も正しく、引受けの二つの形態を示しています。
元引受契約を締結できる者が第一種金融商品取引業者に限られるという記述も正しく、引受けには高い財務基盤が求められるためです。

覚え方のポイント
「引受けはリスクを負う、取扱いは売る手伝いをするだけ」と対比して覚えます。報酬の性質もこの違いから説明できます。
問105-1

上場株式の売買の決済に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①上場株式の清算業務は、証券保管振替機構が清算機関として行っている
  • ②普通取引の売買代金の授受は、約定日から起算して3営業日目に行う
  • ③普通取引の受渡しは、約定日の翌営業日に行うこととされている
  • ④清算機関は、売買当事者双方の債務を引き受けることはしない
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正解 ②普通取引の売買代金の授受は、約定日から起算して3営業日目に行う
解説
取引所における株式の普通取引では、約定した日から起算して3営業日目に、代金と株式の受渡しを行います。約定日を1日目と数えるため、実質的には約定の2営業日後にあたります。
約定と決済の間に時間を置くのは、多数の売買を集約して差引計算し、受渡しの件数と金額を圧縮するためです。
この差引計算と決済の履行保証を担うのが清算機関であり、売り手と買い手の双方の債務を引き受けて自らが相手方となることで、取引相手の破綻による連鎖的な決済不履行を防いでいます。

他の選択肢が誤りである理由
清算業務を証券保管振替機構が行うという記述は誤りです。証券保管振替機構は株式等の振替を担い、清算は日本証券クリアリング機構が行います。
受渡しが約定日の翌営業日に行われるという記述も誤りで、普通取引は約定日から起算して3営業日目です。
清算機関が双方の債務を引き受けないという記述も誤りです。債務引受けこそが清算機関の中心的な機能です。

覚え方のポイント
「約定日から数えて3営業日目」という数え方に注意します。約定日を含めるか含めないかで答えがずれます。

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