2026年版・4-3

先物取引の活用とベーシスの一問一答

証券外務員一種「デリバティブ取引・信用取引」から、先物取引の活用とベーシスに関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-3

先物取引を用いたヘッジ取引に関する記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①現物株式を保有する者が値下がりに備える場合は、先物を売り建てる
  • ②現物株式を保有する者が値下がりに備える場合は、先物を買い建てる
  • ③将来の買付予定がある者が値上がりに備える場合は、先物を売り建てる
  • ④将来の売却予定がある者が値下がりに備える場合は、先物を買い建てる
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正解 ①現物株式を保有する者が値下がりに備える場合は、先物を売り建てる
解説
ヘッジ取引の基本は、現物で抱えているリスクと反対の損益が生じる建玉を先物で持つことです。
現物株式を保有していれば、相場が下落したときに評価損が生じます。これに備えるには、下落したときに利益が出る先物の売建てを行います。これを売りヘッジといいます。
逆に、将来買い付ける予定の資金があり、それまでに相場が上昇して買値が高くなることを避けたい場合は、上昇したときに利益が出る先物の買建てを行います。これが買いヘッジです。
いずれの場合も、現物の損益と先物の損益が打ち消し合うことで、価格変動の影響を小さくすることが目的です。

他の選択肢が誤りである理由
保有株の値下がりに備えて買い建てるとする記述は誤りで、下落時に損失が二重になります。
買付予定に対して売り建てるとする記述も誤りで、上昇したときに損失が生じます。
売却予定の値下がりに買い建てるとする記述も誤りで、こちらも売り建てるべき場面です。

覚え方のポイント
「今持っているものを守るなら売り、これから買うものを守るなら買い」と整理します。守りたい対象が現物か将来の購入かを最初に見極めるのが判断の近道です。
問24-3

時価6億円の株式ポートフォリオを保有する投資家が、株価指数先物(取引単位は指数の数値に1,000円を乗じた金額)を用いて全額をヘッジしようとしている。ポートフォリオのベータ値は1.2、株価指数先物の価格は20,000である。必要となる売建て枚数として正しいものはどれか。

  • ①25枚
  • ②30枚
  • ③36枚
  • ④43枚
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正解 ③36枚
解説
ベータ値を考慮したヘッジに必要な先物の枚数を求める問題です。
① 先物1枚の金額=20,000×1,000円=20,000,000円(2,000万円)
② ベータ値で調整したヘッジ対象額=600,000,000円×1.2=720,000,000円(7億2,000万円)
③ 必要枚数=720,000,000円÷20,000,000円=36枚
ベータ値は、指数が1%動いたときにそのポートフォリオが何%動くかを示す指標です。
ベータ値が1.2であれば指数より1.2倍大きく動くため、時価と同額の先物では守りきれず、1.2倍の金額をヘッジする必要があります。

他の選択肢が誤りである理由
30枚はベータ値による調整を行わず、時価6億円をそのまま割った値です。
25枚はベータ値を乗じるべきところを除してしまった場合の値です。
43枚はベータ値を1.44として計算した場合の値で、二重に調整した誤りです。

覚え方のポイント
必要枚数=ポートフォリオ時価×ベータ値÷(指数×倍数)です。ベータ値を掛け忘れる誤りが最も多いので、まず調整後の金額を出し、それから1枚あたりの金額で割る順序を徹底します。
問34-3

株価指数先物を用いた裁定取引に関する記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①先物価格が理論価格から離れたときは、現物と先物を同じ向きで売買する
  • ②先物価格が理論価格より割高なときは、現物を売り先物を買い建てる
  • ③先物価格が理論価格より割安なときは、現物を買い先物を売り建てる
  • ④先物価格が理論価格より割高なときは、現物を買い先物を売り建てる
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正解 ④先物価格が理論価格より割高なときは、現物を買い先物を売り建てる
解説
裁定取引は、同じ価値を持つはずの二つのものに価格差が生じたときに、割高な方を売り割安な方を買って、その差の縮小から利益を得る取引です。
先物価格が理論価格より割高であれば、割高な先物を売り建て、相対的に割安な現物を買い付けます。これを買い裁定といい、この現物の買付けが裁定買い残として積み上がります。
期日には先物価格と現物価格が収束するため、当初の価格差が利益として確定します。
逆に先物が割安であれば、現物を売って先物を買い建てる売り裁定が行われます。

他の選択肢が誤りである理由
割高なときに現物を売り先物を買うとする記述は誤りで、割高な方を買うことになります。
割安なときに現物を買い先物を売るとする記述も誤りで、この場合は逆の組合せになります。
同じ向きで売買するとする記述も誤りで、それでは価格差から利益を得られません。

覚え方のポイント
「高い方を売り、安い方を買う」という一言に尽きます。先物が割高なら先物売り・現物買い、と機械的に判断できるようにしておきます。
問44-3

先物取引を利用した投資手法に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

  • ①スペキュレーションは、現物を保有する者だけが行うことのできる取引である
  • ②裁定取引は、現物と先物の価格差の縮小から利益を得ようとする取引である
  • ③ヘッジ取引は、現物の損益と先物の損益を相殺することを目的とする取引である
  • ④スペキュレーションは、相場観に基づいて価格変動から利益を狙う取引である
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正解 ①スペキュレーションは、現物を保有する者だけが行うことのできる取引である
解説
スペキュレーションは、自らの相場観に基づいて先物を売買し、価格変動から利益を得ようとする取引です。
先物取引は原資産を保有していなくても売建てから始めることができるため、現物を保有していることは要件ではありません。したがってこの記述が誤りです。
むしろスペキュレーションを行う参加者がいることで、ヘッジをしたい参加者の注文の相手方が確保され、市場の流動性が保たれます。
ヘッジ取引・裁定取引・スペキュレーションは、それぞれ目的は異なりますが、互いに補い合って市場を成り立たせています。

他の選択肢が誤りである理由
相場観に基づく取引とするスペキュレーションの説明は正しい内容です。
価格差の縮小から利益を得るとする裁定取引の説明も正しく、割高な方を売り割安な方を買います。
損益を相殺するとするヘッジ取引の説明も正しく、価格変動の影響を小さくすることが目的です。

覚え方のポイント
先物は現物を持たずに売りから始められる、という点がスペキュレーションを可能にしています。三つの取引の目的を「利益追求・価格差是正・リスク回避」と対応づけて整理しておきます。
問54-3

ベーシスに関する記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①ベーシスとは、証拠金の所要額と預託額との差額をいう
  • ②ベーシスとは、先物の売値と買値との開きのことをいう
  • ③ベーシスとは、先物価格と現物価格との差のことをいう
  • ④ベーシスとは、異なる限月の先物価格の平均値をいう
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正解 ③ベーシスとは、先物価格と現物価格との差のことをいう
解説
ベーシスとは、先物価格と現物価格との差をいいます。
この差は、期日までの金利相当額と配当相当額の差、すなわちキャリーコストを反映したものですが、実際には需給の影響も受けて理論どおりの水準からずれます。
期日が近づくにつれて残存期間が短くなるため、金利相当額も配当相当額も小さくなり、ベーシスは縮小していきます。
そして最終決済の時点では先物価格と現物価格が一致し、ベーシスはゼロになります。

他の選択肢が誤りである理由
売値と買値の開きとする記述は誤りで、それは気配の差である売買スプレッドのことです。
証拠金の所要額と預託額の差とする記述も誤りで、それは追加証拠金の要否に関わる話です。
異なる限月の先物価格の平均とする記述も誤りで、限月間の差は限月間スプレッドといいます。

覚え方のポイント
ベーシスは「先物と現物の距離」であり、期日に向けてゼロへ近づきます。この収束があるからこそ、裁定取引が期日までに必ず利益を確定できる仕組みになっています。
問64-3

ベーシスリスクに関する記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①先物市場の取引参加者が減少して、希望する価格で売買できなくなるリスクをいう
  • ②先物の証拠金が不足し、追加の差入れを求められることになるリスクをいう
  • ③取引の相手方が破綻し、約定した決済を受けられなくなるリスクをいう
  • ④ヘッジ期間中にベーシスが変動することにより、ヘッジ効果が変わるリスクをいう
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正解 ④ヘッジ期間中にベーシスが変動することにより、ヘッジ効果が変わるリスクをいう
解説
先物によるヘッジは、現物の損益と先物の損益を相殺させることを狙いますが、両者の値動きは完全には一致しません。
ヘッジ期間中に先物価格と現物価格の差であるベーシスが変動すると、相殺しきれない損益が残ります。この不確実性をベーシスリスクといいます。
特に、保有している現物と先物の対象指数が異なる場合や、ヘッジ期間の終わりが限月と一致しない場合に大きくなります。
そのため、ヘッジは価格変動リスクを完全に消し去るものではなく、ベーシスリスクという小さなリスクに置き換える手法だと理解されています。

他の選択肢が誤りである理由
追加の差入れを求められるとする記述は誤りで、それは資金繰りに関わる別のリスクです。
相手方が破綻するとする記述も誤りで、それは信用リスクの説明です。
希望する価格で売買できないとする記述も誤りで、それは流動性リスクの説明です。

覚え方のポイント
「ヘッジをしてもゼロにはならない残りの部分」がベーシスリスクです。価格変動リスクをベーシスリスクに置き換えるのがヘッジだ、という言い方で押さえると混同しません。
問74-3

ある投資家が、株価指数先物(取引単位は指数の数値に1,000円を乗じた金額)を指数19,800で3単位売り建て、その後、指数19,650で3単位すべてを買い戻して決済した。この取引による損益として正しいものはどれか。なお、手数料等は考慮しない。

  • ①150,000円の利益
  • ②450,000円の利益
  • ③150,000円の損失
  • ④450,000円の損失
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正解 ②450,000円の利益
解説
売建てから買戻しまでの損益を求める問題です。
① 1単位あたりの指数の変動幅=19,800−19,650=150
② 1単位あたりの損益=150×1,000円=150,000円
③ 3単位分の損益=150,000円×3=450,000円
売建ては値下がりによって利益が生じる建玉です。売った値段より安く買い戻せたので、その差額が利益となります。
売りから入る取引では、売値から買値を差し引いた額が利益となる点に注意が必要です。

他の選択肢が誤りである理由
150,000円の利益は、3単位であることを考慮せず1単位分だけを計算した値です。
150,000円の損失および450,000円の損失は、売建てと買建ての損益の向きを取り違えた場合の値です。売建ては値下がりで利益が生じます。

覚え方のポイント
先物の損益は「値幅×倍数×枚数」で計算します。売建ての場合は売値から買値を引く、買建ての場合は買値から売値を引く、という順序を最初に確認すれば向きを間違えません。
問84-3

ある投資家が、長期国債先物(取引単位は額面1億円、価格は額面100円当たりで表示)を145.50円で1単位売り建て、その後144.80円で買い戻して決済した。この取引による損益として正しいものはどれか。なお、手数料等は考慮しない。

  • ①70,000円の利益
  • ②700,000円の利益
  • ③7,000,000円の利益
  • ④700,000円の損失
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正解 ②700,000円の利益
解説
国債先物の売買損益を求める問題です。
① 価格の変動幅=145.50円−144.80円=0.70円(額面100円当たり)
② 額面1億円に対する損益=100,000,000円×0.70円÷100円=700,000円
③ 売り建てた価格より安く買い戻しているため、700,000円の利益となります。
国債先物の価格は額面100円当たりで表示されるため、額面1億円に換算するには100で割ってから1億円を掛ける、すなわち1万倍する必要があります。
価格が0.01円(1銭)動くと、額面1億円では1万円の損益が生じることになります。

他の選択肢が誤りである理由
70,000円は額面を1,000万円として計算した場合の値です。
7,000,000円は正しい答えの10倍にあたり、額面を10億円として計算した場合の値です。
700,000円の損失は、売建てと買建ての損益の向きを取り違えた場合の値です。

覚え方のポイント
「1銭=1万円」という換算を覚えておくと計算が速くなります。額面1億円÷100円=100万なので、価格1円の変動が100万円に相当する、と押さえておくのも有効です。
問94-3

先物を用いたヘッジ取引の限界に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

  • ①適切にヘッジを行えば、価格変動による損益は完全にゼロとなる
  • ②ヘッジ期間の終わりが限月と一致しない場合、乗り換えが必要になる
  • ③売りヘッジでは、現物が値上がりした場合の利益は限定される
  • ④保有銘柄と対象指数の値動きが異なると、損益が完全には相殺されない
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正解 ①適切にヘッジを行えば、価格変動による損益は完全にゼロとなる
解説
先物によるヘッジは、現物と先物の値動きが完全には一致しないため、損益をゼロにすることはできません。したがってこの記述が誤りです。
保有している個別銘柄の値動きは対象指数の値動きと一致せず、ベータ値で調整してもずれは残ります。また、ヘッジしたい期間の終わりが限月と一致しなければ、限月の乗り換えが必要になり、その際の価格差も損益に影響します。
売りヘッジを行えば下落による損失は抑えられますが、その代わりに上昇したときの利益も先物の損失で打ち消されます。
ヘッジとは損失の可能性と利益の可能性をともに小さくする手法であり、片方だけを消す仕組みではありません。

他の選択肢が誤りである理由
値動きが異なると相殺しきれないとする記述は正しく、ベーシスリスクの一因です。
限月と一致しない場合に乗り換えが必要とする記述も正しい内容です。
売りヘッジで値上がり益が限定されるとする記述も正しく、ヘッジの本質的な性格です。

覚え方のポイント
「ヘッジは損も利益も削る」と覚えます。完全に消えると書かれた選択肢は、ベーシスリスクの存在から誤りだと判断できます。
問104-3

限月間スプレッド取引に関する記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①同一の限月について、現物と先物を同じ向きで同時に売買する取引をいう
  • ②同一の原資産について、異なる限月の先物を同時に売りと買いで建てる
  • ③異なる原資産の先物を、同じ向きで同時に買い建てる取引のことをいう
  • ④同一の限月の先物を、同じ向きで日を分けて建てていく取引をいう
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正解 ②同一の原資産について、異なる限月の先物を同時に売りと買いで建てる
解説
限月間スプレッド取引は、同じ原資産の先物について、ある限月を買い建てると同時に別の限月を売り建てる取引です。
両建てとなるため原資産の価格水準そのものの変動による損益は打ち消され、限月間の価格差の変化だけが損益となります。
そのため、相場の方向を当てるのではなく、限月間の価格差が拡大するか縮小するかを予想する取引になります。
価格水準の変動の影響を受けにくいことから、証拠金の所要額も単独の建玉に比べて軽減される扱いがとられています。

他の選択肢が誤りである理由
現物と先物を同じ向きで売買するとする記述は誤りで、それでは損益が二重になります。
異なる原資産を同じ向きで買い建てるとする記述も誤りで、限月間スプレッドとは無関係です。
同じ限月を同じ向きで日を分けて建てるとする記述も誤りで、それは単なる建玉の積み増しです。

覚え方のポイント
スプレッド取引の要点は「方向ではなく差を売買する」ことです。買いと売りを同時に持つため相場水準の影響が消える、という仕組みから証拠金が軽くなる理由も理解できます。

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