2026年版・6-7

遺産分割の実務論点(配偶者居住権・特別受益・寄与分)の一問一答

FP3級「相続・事業承継」から、遺産分割の実務論点(配偶者居住権・特別受益・寄与分)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問16-7

配偶者居住権の成立要件に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①配偶者居住権は、相続開始時の居住の有無を問わず、配偶者であれば当然に取得できる権利である。
  • ②配偶者居住権は、相続開始時に配偶者が被相続人所有の建物に居住していた場合に取得できる権利である。
  • ③配偶者居住権は、遺産分割協議によってのみ取得でき、遺贈や家庭裁判所の審判では取得できない権利である。
  • ④配偶者居住権は、被相続人が生前に設定契約を締結していた場合に限り、相続開始後に取得できる権利である。
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正解 ②配偶者居住権は、相続開始時に配偶者が被相続人所有の建物に居住していた場合に取得できる権利である。
解説
配偶者居住権は、相続開始時に被相続人が所有していた建物に配偶者が居住していた場合に成立します。取得方法は、遺産分割協議、遺贈、死因贈与、家庭裁判所の審判のいずれかであり、いずれか一つの方法に限定されません。存続期間は原則として配偶者の終身です。

他の選択肢が不適切な理由
居住の事実を伴わない場合や、上記いずれかの取得手続きを経ない場合には配偶者居住権は成立しません。取得方法は遺産分割協議に限られず、遺贈や家庭裁判所の審判によっても取得できます。配偶者居住権は相続開始後の手続きによって成立する権利であり、被相続人の生前に設定契約を締結しておく制度ではありません。
問26-7

配偶者居住権の存続期間に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①配偶者居住権の存続期間は、別段の定めの有無にかかわらず、常に相続開始から5年間である。
  • ②配偶者居住権の存続期間は、遺産分割協議や遺言でも、終身以外の期間を定めることはできない。
  • ③配偶者居住権は、配偶者が死亡した後もその相続人に承継され、消滅しない権利である。
  • ④配偶者居住権の存続期間は、別段の定めがない限り、原則として配偶者が生存する限り存続する。
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正解 ④配偶者居住権の存続期間は、別段の定めがない限り、原則として配偶者が生存する限り存続する。
解説
配偶者居住権の存続期間は、遺産分割協議・遺言・家庭裁判所の審判に別段の定めがある場合を除き、原則として配偶者の終身です。配偶者が死亡すると、その時点で当然に消滅し、相続人に承継されることはありません。

他の選択肢が不適切な理由
存続期間は一律に5年間と定められているわけではなく、別段の定めがない限り終身です。遺産分割協議や遺言によって、当事者間の合意で終身より短い一定の期間を定めることができます。配偶者居住権は配偶者本人の一身専属的な権利であり、配偶者の死亡によって消滅し、その相続人に承継されることはありません。
問36-7

配偶者居住権の登記および譲渡に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①配偶者居住権は登記により第三者に対抗でき、建物所有者は配偶者に登記を備えさせる義務を負う。
  • ②配偶者居住権は、登記を備えなくても、その存在だけで当然に第三者へ対抗できる権利である。
  • ③配偶者居住権を取得した配偶者は、建物所有者の承諾なしに、その権利を第三者へ譲渡できる。
  • ④配偶者居住権の登記の申請は、権利を取得した配偶者が単独で行え、建物所有者の協力は不要である。
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正解 ①配偶者居住権は登記により第三者に対抗でき、建物所有者は配偶者に登記を備えさせる義務を負う。
解説
配偶者居住権は不動産に関する権利であり、登記を備えることで第三者に対抗できます。建物の所有者は、配偶者に対して配偶者居住権の設定登記を備えさせる義務を負います。この権利は配偶者の一身専属的なものであり、第三者へ譲渡することはできません。

他の選択肢が不適切な理由
配偶者居住権は登記をして初めて第三者に対抗できる権利であり、登記なしに当然に対抗できるわけではありません。配偶者居住権は譲渡が禁止されており、建物所有者の承諾があっても第三者へ譲渡することはできません。登記の申請には建物所有者の協力が必要であり、配偶者が単独で行える手続きではありません。
問46-7

配偶者短期居住権と配偶者居住権の違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①配偶者短期居住権は、配偶者居住権と同様に、遺産分割協議や遺言による取得手続きを経て発生する。
  • ②配偶者短期居住権は、配偶者居住権と同じく、建物の使用だけでなく収益も上げられる権利である。
  • ③配偶者短期居住権は、遺産分割等の手続きを経ないまま、相続開始により当然に発生する権利である。
  • ④配偶者短期居住権は、配偶者居住権より財産的価値が高く評価され、相続税の課税対象となる権利である。
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正解 ③配偶者短期居住権は、遺産分割等の手続きを経ないまま、相続開始により当然に発生する権利である。
解説
配偶者短期居住権は、相続開始時に配偶者が無償で居住していた建物について、遺産分割等の手続きを経ることなく、相続開始により法律上当然に発生する権利です。使用のみが認められ、収益を上げることはできず、その価額は原則としてゼロと扱われるため相続税は課税されません。

他の選択肢が不適切な理由
配偶者短期居住権は遺産分割協議や遺言による取得手続きを要さず当然に発生する点が、取得手続きを要する配偶者居住権との大きな違いです。配偶者短期居住権で認められるのは建物の使用のみで、収益を上げることはできません。配偶者短期居住権はその価額をゼロとして扱うため相続税の課税対象とはならず、財産的価値が高く評価されるわけではありません。
問56-7

特別受益に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①特別受益とは、被相続人の債務を相続人の一人が単独で弁済した場合に生じる、その相続人の権利をいう。
  • ②特別受益とは、共同相続人の中に被相続人から遺贈や生計の資本の贈与を受けた者がいる場合の利益をいう。
  • ③特別受益とは、相続人以外の第三者が被相続人から受けた遺贈について、相続人が取消しを求める制度をいう。
  • ④特別受益とは、被相続人の財産の維持や増加に相続人が特別の寄与をした場合の、その者の取り分をいう。
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正解 ②特別受益とは、共同相続人の中に被相続人から遺贈や生計の資本の贈与を受けた者がいる場合の利益をいう。
解説
特別受益とは、共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受けた者や、婚姻・養子縁組のため、または生計の資本として生前贈与を受けた者がいる場合の、その受けた利益をいいます。これらは相続分の前渡しとみなして、遺産分割の計算上考慮されます。

他の選択肢が不適切な理由
債務の単独弁済によって生じるのは求償権であり、特別受益とは異なる概念です。特別受益は相続人が被相続人から受けた利益に関する制度であり、相続人以外の第三者が受けた遺贈の取消しを求める制度ではありません。財産の維持・増加への特別の寄与に応じて相続人の取り分を増やす制度は寄与分であり、特別受益とは逆の方向で相続分を調整する制度です。
問66-7

特別受益の持戻し計算に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①特別受益の額は相続財産の総額から差し引くだけで、特別受益者自身の相続分からの控除は行わない。
  • ②特別受益の持戻し計算では、特別受益を受けていない相続人の相続分にも一律に受益額を加算する。
  • ③特別受益の持戻し計算は、受益を受けた相続人自身の請求がある場合に限り行うことができる。
  • ④特別受益の額は相続開始時の財産に加算してみなし相続財産とし、特別受益者の相続分から控除する。
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正解 ④特別受益の額は相続開始時の財産に加算してみなし相続財産とし、特別受益者の相続分から控除する。
解説
特別受益がある場合、相続開始時の財産の価額に特別受益の額を加えたものを相続財産とみなし(持戻し)、これを基準に各相続人の相続分を算定した上で、特別受益者についてはその算定した相続分から特別受益の額を控除して、実際の取り分(具体的相続分)を計算します。

他の選択肢が不適切な理由
持戻し計算では相続財産に特別受益の額を加算した上で、特別受益者自身の相続分から控除する処理まで行うのであり、加算だけで完結するものではありません。特別受益額を加算するのはみなし相続財産全体の算定においてであり、受益者以外の相続人の相続分に一律加算するものではありません。特別受益の持戻し計算は、他の共同相続人からの主張がなくても、特別受益に該当する事実があれば行われるものであり、受益者本人の請求を要件とするものではありません。
問76-7

特別受益の持戻し免除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産を遺贈・贈与した場合、持戻し免除の意思表示が推定される。
  • ②婚姻期間が10年以上の夫婦間で居住用不動産を遺贈・贈与した場合、持戻し免除の意思表示が推定される。
  • ③持戻し免除の意思表示の推定規定は、居住用不動産に限らずあらゆる財産の贈与に適用される規定である。
  • ④持戻し免除の意思表示が推定される場合、その推定を後から覆すことは一切認められていない規定である。
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正解 ①婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産を遺贈・贈与した場合、持戻し免除の意思表示が推定される。
解説
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住の用に供する建物またはその敷地を遺贈または贈与したときは、被相続人が持戻し免除の意思表示をしたものと推定されます。この推定が働くと、原則としてその財産は特別受益として計算上考慮されず、配偶者の取り分が実質的に確保されやすくなります。

他の選択肢が不適切な理由
この推定規定の婚姻期間の要件は10年以上ではなく20年以上です。この規定の対象は居住用不動産に限られており、それ以外のあらゆる財産の贈与に適用されるものではありません。持戻し免除の意思表示の推定は、反対の事実が証明されれば覆すことができる推定であり、一切覆せないものではありません。
問86-7

寄与分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①寄与分とは、被相続人から生計の資本として生前贈与を受けた相続人が、その利益を返還する制度をいう。
  • ②寄与分とは、相続人であるか否かを問わず、被相続人の療養看護に努めた者が受け取れる法定の報酬をいう。
  • ③寄与分とは、共同相続人の中に被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者がいる場合の取り分をいう。
  • ④寄与分とは、財産を維持・増加させた寄与の程度にかかわらず、相続人全員に均等に認められる取り分をいう。
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正解 ③寄与分とは、共同相続人の中に被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者がいる場合の取り分をいう。
解説
寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人の事業に関する労務の提供や財産上の給付、療養看護などにより、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者がいる場合に、その相続人の取り分を増やす制度です。

他の選択肢が不適切な理由
生前贈与を受けた利益を計算上考慮するのは特別受益の制度であり、寄与分とは逆の方向の調整です。寄与分は共同相続人に認められる制度であり、相続人でない者に法定の報酬として認められるものではありません(相続人以外の親族には別途、特別寄与料の制度があります)。寄与分は特別の寄与をした程度に応じて個別に認められるものであり、相続人全員に一律・均等に認められるものではありません。
問96-7

寄与分の決定方法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①寄与分は、必ず家庭裁判所の審判により定められ、相続人間の協議で定めることは認められていない。
  • ②寄与分は、まず共同相続人間の協議によって定め、協議が調わないときは家庭裁判所が定める。
  • ③寄与分は、寄与をした相続人自身が単独で金額を決定でき、他の相続人の同意を要しない。
  • ④寄与分は、被相続人が遺言であらかじめ金額を指定しておかなければ認められないものである。
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正解 ②寄与分は、まず共同相続人間の協議によって定め、協議が調わないときは家庭裁判所が定める。
解説
寄与分は、まず共同相続人間の協議によって定めることとされ、協議が調わないとき、または協議をすることができないときに、家庭裁判所が寄与の時期・方法・程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して定めます。

他の選択肢が不適切な理由
寄与分はまず相続人間の協議で定めることができ、必ず家庭裁判所の審判によらなければならないわけではありません。寄与分は共同相続人の協議または家庭裁判所の判断によって定まるものであり、寄与をした相続人が単独で金額を決定できるものではありません。寄与分は遺言による事前の指定を要件とする制度ではなく、相続開始後の協議や審判によって定められます。
問106-7

特別寄与料制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①特別寄与料は、相続人自身が療養看護等を行った場合に、寄与分に代えて選択的に請求できる金銭をいう。
  • ②特別寄与料を請求できるのは被相続人の親族に限られず、親族関係のない第三者であっても請求できる。
  • ③特別寄与料の請求には期間の制限が一切なく、相続開始後はいつまでも自由に請求できることになっている。
  • ④特別寄与料は、相続人でない被相続人の親族が無償の療養看護等をした場合、金銭を請求できる制度である。
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正解 ④特別寄与料は、相続人でない被相続人の親族が無償の療養看護等をした場合、金銭を請求できる制度である。
解説
特別寄与料は、相続人ではない被相続人の親族が、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持または増加に寄与した場合に、相続の開始後、相続人に対して金銭の支払いを請求できる制度です。2019年7月1日施行の改正民法で新設されました。

他の選択肢が不適切な理由
寄与分は相続人が主張できる制度であるのに対し、特別寄与料は相続人ではない親族を対象とする別の制度であり、相続人自身が寄与分に代えて選択できるものではありません。特別寄与料を請求できるのは被相続人の親族に限られ、親族関係のない第三者は請求できません。特別寄与料の請求には期間制限があり、相続の開始及び相続人を知った時から6ヶ月、または相続開始の時から1年を経過すると請求できなくなります。

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