2026年版・6-5

事業承継対策の一問一答

FP3級「相続・事業承継」から、事業承継対策に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問16-5

自社株評価の引下げ対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①自社株の評価額は、直前期の決算内容にかかわらず、前回評価時点の金額のまま据え置かれる。
  • ②類似業種比準方式による評価額は、会社の資本金の額のみによって機械的に一意に決まる。
  • ③類似業種比準方式による評価額は、配当・利益・純資産の水準を下げれば下げる余地がある。
  • ④自社株の評価額を引き下げる対策として、役員退職金を支給する方法は税務上想定されていない。
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正解 ③類似業種比準方式による評価額は、配当・利益・純資産の水準を下げれば下げる余地がある。
解説
取引相場のない株式のうち類似業種比準方式で評価する部分は、類似業種の株価に、評価会社の配当金額・利益金額・純資産価額を比準させて計算するため、配当や利益の水準をコントロールする(例えば役員退職金の支給で利益を圧縮するなど)ことで、評価額を引き下げられる余地があります。

他の選択肢が不適切な理由
自社株の評価額は各評価時点の決算内容(配当・利益・純資産の実績)に基づいて計算し直されるものであり、前回評価額のまま据え置かれることはありません。類似業種比準方式は配当・利益・純資産の3つの要素を比準させる方式であり、資本金の額のみで決まるわけではありません。役員退職金の支給によって利益を圧縮し評価額を引き下げる方法は、事業承継実務で広く用いられている代表的な手法の一つです。
問26-5

法人版事業承継税制の概要に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①法人版事業承継税制は、非上場株式等を贈与・相続で取得した後継者の納税が猶予・免除される制度。
  • ②法人版事業承継税制は、後継者が取得した自社株式の評価額そのものを引き下げるための制度である。
  • ③法人版事業承継税制は、上場会社が発行する株式を承継する場合にのみ適用される制度である。
  • ④法人版事業承継税制の適用を受けた場合、猶予された税額は後継者の存命中に限り免除される可能性がある。
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正解 ①法人版事業承継税制は、非上場株式等を贈与・相続で取得した後継者の納税が猶予・免除される制度。
解説
法人版事業承継税制は、後継者が都道府県知事の認定を受けた非上場会社の株式等を、先代経営者から贈与または相続により取得した場合に、一定の要件のもとでその株式等に係る贈与税・相続税の納税が猶予され、後継者の死亡等の一定事由が生じた場合には猶予税額が免除される制度です。

他の選択肢が不適切な理由
この制度は株式の評価額自体を引き下げる制度ではなく、納税を猶予・免除する制度です。対象は非上場(中小企業の)株式であり、上場会社の株式は対象ではありません。猶予税額の免除事由には後継者の死亡も含まれており、存命中に限られるわけではありません。
問36-5

法人版事業承継税制(特例措置)の特例承継計画に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①法人版事業承継税制(特例措置)の適用には、特例承継計画ではなく、事業計画書のみで足りる。
  • ②特例承継計画は、後継者が単独で作成すれば足り、認定支援機関の関与は不要である。
  • ③特例承継計画は、都道府県への提出後、その内容を変更することは認められていない。
  • ④特例措置の適用には、認定支援機関の指導・助言を受けた計画を都道府県に提出する必要がある。
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正解 ④特例措置の適用には、認定支援機関の指導・助言を受けた計画を都道府県に提出する必要がある。
解説
法人版事業承継税制の特例措置の適用を受けるには、公認会計士・税理士・商工会議所などの認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて作成した特例承継計画を、期限内に都道府県に提出し、確認を受ける必要があります。

他の選択肢が不適切な理由
特例措置の適用には、事業計画書ではなく特例承継計画の提出が必要です。特例承継計画の作成には認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けることが要件とされています。特例承継計画は提出後であっても、記載内容に変更が生じた場合は変更の届出により修正することが認められています。
問46-5

個人版事業承継税制に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①個人版事業承継税制は、非上場会社の自社株式を承継する制度であって、個人事業主は対象としない。
  • ②個人版事業承継税制は、青色申告に係る事業者の後継者が事業用資産を得たとき、納税が猶予される。
  • ③個人版事業承継税制は、白色申告を行っていた個人事業者にのみ適用される制度である。
  • ④個人版事業承継税制は事業用資産の一部にのみ適用され、事業用の宅地や建物は対象外である。
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正解 ②個人版事業承継税制は、青色申告に係る事業者の後継者が事業用資産を得たとき、納税が猶予される。
解説
個人版事業承継税制は、青色申告に係る事業を営んでいた個人事業者(先代事業者)の後継者が、一定の事業用資産(土地・建物・機械装置等)を贈与または相続により取得した場合に、その事業用資産に係る贈与税・相続税の納税が猶予される制度です。

他の選択肢が不適切な理由
非上場株式を対象とするのは法人版事業承継税制であり、個人版は個人事業者の事業用資産を対象とします。個人版事業承継税制は青色申告に係る事業を対象としており、白色申告の事業者には適用されません。事業用の宅地・建物・機械装置等の特定事業用資産が対象に含まれます。
問56-5

生前贈与を活用した事業承継対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①後継者へ計画的に自社株式を暦年贈与すれば、経営権の移転を段階的に進めることができる。
  • ②自社株式を後継者へと生前贈与する場合には、必ず家庭裁判所の許可を得なければならない。
  • ③後継者への自社株式の贈与は、基礎控除110万円を超えても贈与税は課されない。
  • ④自社株式を後継者へ贈与すると、先代経営者は株主としての地位を直ちに全て失う。
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正解 ①後継者へ計画的に自社株式を暦年贈与すれば、経営権の移転を段階的に進めることができる。
解説
自社株式は生前贈与の対象とすることができ、後継者へ計画的に暦年贈与を行うことで、贈与税の負担を分散させながら段階的に経営権(議決権)を移転させることができます。事業承継税制の活用と組み合わせることも可能です。

他の選択肢が不適切な理由
自社株式の生前贈与に家庭裁判所の許可は不要で、当事者間の贈与契約により行うことができます。後継者への株式の贈与であっても、通常の暦年課税の贈与税の対象となり、基礎控除110万円を超える部分には贈与税が課されます。株式の一部を贈与した場合、先代経営者は贈与した分の株式についてのみ株主としての地位を失うのであり、直ちにすべての株主としての地位を失うわけではありません。
問66-5

遺言を活用した事業承継対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①遺言によって承継先を指定しても、遺留分を侵害する部分の効力は当然に否定される。
  • ②事業承継において遺言はほとんど活用されておらず、実務上の対策手段とはされない。
  • ③自社株式を後継者に集中して相続させる旨の遺言は、株式分散を防ぐ有効な対策である。
  • ④先代経営者が遺言を作成すると、以後は生前贈与によって自社株式を後継者に移転できなくなる。
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正解 ③自社株式を後継者に集中して相続させる旨の遺言は、株式分散を防ぐ有効な対策である。
解説
先代経営者が「自社株式は後継者に相続させる」旨の遺言を作成しておくことで、遺産分割協議によって株式が複数の相続人に分散することを防ぎ、後継者へ経営権を集中させやすくなります。遺言は事業承継対策の代表的な手法の一つです。

他の選択肢が不適切な理由
遺留分を侵害する内容の遺言であっても遺言自体は有効であり、遺留分侵害額請求がなされない限り、あるいはされても金銭債権として処理されるものであって、遺言の効力そのものが当然に否定されるわけではありません。遺言は自社株式の分散防止に有効な手段として実務上広く活用されています。遺言を作成した後であっても、先代経営者は生前贈与を含む財産の処分を引き続き行うことができ、また遺言はいつでも撤回・変更が可能です。
問76-5

種類株式を活用した事業承継対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①種類株式は、会社の設立時に定款で定めておく必要があり、設立後に追加することはできない。
  • ②議決権制限株式を後継者以外の相続人に相続させれば、経営に関与させず財産を分配できる。
  • ③議決権制限株式を発行する場合、その数は発行済株式総数の4分の1を超えてはならない。
  • ④黄金株(拒否権付株式)は、通常、後継者以外の相続人に持たせて安定化を図る株式である。
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正解 ②議決権制限株式を後継者以外の相続人に相続させれば、経営に関与させず財産を分配できる。
解説
議決権制限株式(配当を優先的に受けられるが議決権が制限された株式など)を後継者以外の相続人に取得させることで、経営には関与させないまま公平に財産を分配することができます。あわせて後継者には議決権のある株式を集中させることで、経営権の安定を図ることができます。

他の選択肢が不適切な理由
種類株式は会社の設立時だけでなく、設立後に株主総会の特別決議による定款変更を行うことで発行できるようになります。公開会社では議決権制限株式の数が発行済株式総数の2分の1を超えた場合に是正措置が必要とされており、上限は4分の1ではありません。黄金株(拒否権付株式)は重要な決定に対する拒否権を持つ強力な株式であるため、経営の安定化のためには後継者本人に持たせるのが一般的であり、後継者以外に持たせると経営の妨げになりかねません。
問86-5

信託を活用した事業承継対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①信託を活用する対策では、株式を信託した時点で、先代経営者はすべての権利を失う。
  • ②信託を活用する対策は、株式などの財産は対象とできず、不動産のみに利用できる制度である。
  • ③信託を活用する対策で指定できる受益者は、後継者と共同経営者の2名までに制限されている。
  • ④自社株式を信託し、議決権は先代経営者が関与しつつ財産的利益を後継者に帰属させられる。
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正解 ④自社株式を信託し、議決権は先代経営者が関与しつつ財産的利益を後継者に帰属させられる。
解説
自社株式を信託し、先代経営者が受託者や指図権者として一定期間議決権の行使に関与し続けながら、株式から生じる財産的利益を受益者である後継者に帰属させるといった柔軟な設計が可能です。後継者がまだ経営者として未熟な段階での円滑な権限移譲の手法として活用されます。

他の選択肢が不適切な理由
信託の設計次第では、先代経営者が指図権者等として一定の議決権行使に関与し続けたり、自らを受益者として財産的利益を留保したりすることも可能で、すべての権利を失うわけではありません。信託は不動産だけでなく、株式などさまざまな財産を対象とすることができます。信託の受益者は設計によって柔軟に指定でき、人数や対象者の範囲に一律の制限があるわけではありません。
問96-5

事業承継における納税資金対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①事業承継の納税資金対策としては、生命保険よりも内部留保の取崩しが唯一の有効な手段である。
  • ②相続税の納税資金対策としては、延納や物納の制度を利用することが法律上禁止されている。
  • ③先代経営者に保険をかけ、死亡保険金を後継者や会社が受け取る対策は資金確保に有効である。
  • ④自社株式の評価額が高額になるほど、株式は売却しやすくなり納税資金の確保も容易になる。
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正解 ③先代経営者に保険をかけ、死亡保険金を後継者や会社が受け取る対策は資金確保に有効である。
解説
自社株式は換金性が低く、相続税の納税資金の確保が事業承継の課題の一つとなります。先代経営者に生命保険をかけておき、死亡保険金を後継者や会社が受け取れるようにしておくことは、代表的な納税資金対策の一つです。

他の選択肢が不適切な理由
生命保険は会社の内部留保の取り崩しと並ぶ代表的な納税資金対策であり、内部留保の取り崩しだけが唯一の有効な手段というわけではありません。相続税には延納・物納の制度があり、要件を満たせば利用でき、法律上禁止されているわけではありません。自社株式は市場で換金しにくい財産であるため、評価額が高額になるほどかえって納税資金の確保は難しくなります。
問106-5

事業承継対策の全体像に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①事業承継対策は、後継者の育成や資産移転、納税資金確保など複数の課題への対応が必要。
  • ②事業承継対策は、後継者の選定さえ済ませれば、他の課題を検討する必要はない。
  • ③事業承継対策において検討すべき重要な課題は、相続税の納税資金の確保のみである。
  • ④事業承継対策は先代経営者の生前に検討する必要はなく、相続開始後に着手すれば足りる。
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正解 ①事業承継対策は、後継者の育成や資産移転、納税資金確保など複数の課題への対応が必要。
解説
事業承継対策は、後継者の選定・育成(人の承継)、自社株式や事業用資産の円滑な移転(資産の承継)、経営理念やノウハウの引き継ぎ、相続税等の納税資金の確保など、複数の課題に早い段階から総合的に取り組む必要があります。

他の選択肢が不適切な理由
後継者の選定だけでなく、資産の承継や納税資金の確保など複数の課題への対応が必要です。納税資金の確保だけでなく、後継者の選定・育成や株式の分散防止など幅広い課題があります。事業承継対策は先代経営者が元気なうちから計画的に進めることが望ましく、相続開始後では取れる対策が限られてしまいます。

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