2026年版・4-6

健康保持増進対策の一問一答

第一種衛生管理者試験「労働衛生(有害業務に係るもの以外)」から、健康保持増進対策に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-6

事業場における労働者の健康保持増進対策(THP)の法的な位置づけに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①労働安全衛生法69条に基づき、事業者の努力義務として位置づけられている。
  • ②労働安全衛生法69条に基づき、事業者に対する罰則付きの義務である。
  • ③健康保持増進対策はそもそも法令に根拠を持たず、事業者の任意の取組みにすぎない。
  • ④健康保持増進対策は、労働基準法において罰則付きで義務付けられている。
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正解 ①労働安全衛生法69条に基づき、事業者の努力義務として位置づけられている。
解説
THP(Total Health promotion Plan、心とからだの健康づくり運動)は、労働安全衛生法69条を根拠として、事業者が労働者の心身の健康の保持増進を図るための「努力義務」として位置づけられています。努力義務とは、罰則を伴う強制ではないものの、実現に向けて可能な限り取り組むことが求められる義務です。厚生労働省は「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」を示し、事業者の取組みを支援しています。

他の選択肢が不適切な理由
罰則付きの義務ではなく努力義務です。法令に根拠を持たない任意の取組みという記述や、労働基準法に罰則付きで規定されているという記述も誤りです。
問24-6

「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」の令和3年改正における主な見直しの方向性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①労働者の集団への取組みを廃止し、個々の労働者のみを対象とする方向に改められた。
  • ②個々の労働者の視点に加え、労働者の集団に対する健康保持増進の視点が強化された。
  • ③健康保持増進措置の内容は、改正の前後を通じて一切変更されていない。
  • ④事業場ごとの特性を考慮せず、全国一律の措置を求める内容に改められた。
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正解 ②個々の労働者の視点に加え、労働者の集団に対する健康保持増進の視点が強化された。
解説
令和3年の指針改正では、従来の個々の労働者を対象とした視点に加え、労働者の集団に対する健康保持増進の視点が強化されました。生活習慣上の課題の有無にかかわらず、部署や事業場全体といった集団を対象に健康状態の改善に取り組むことで、より効果的・効率的な健康づくりを目指す方向性が示されています。

他の選択肢が不適切な理由
集団への取組みを廃止したという記述は改正内容と逆です。措置の内容が一切変更されていないという記述や、全国一律の措置を求める内容に改められたという記述も改正の方向性とは異なります。
問34-6

「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」の令和3年改正のもう一つの特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①取組みの進め方を規定する指針から、措置の内容のみを規定する指針へと見直された。
  • ②改正によって、健康保持増進措置に関する指針そのものが完全に廃止された。
  • ③措置の内容を規定する指針から、取組みの進め方を規定する指針へと見直された。
  • ④改正によって、健康保持増進措置は事業者にとって完全に任意の取組みとなった。
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正解 ③措置の内容を規定する指針から、取組みの進め方を規定する指針へと見直された。
解説
令和3年改正では、これまで健康保持増進措置の具体的な内容(何をやるか)を規定していた指針を、各事業場が自らの課題に応じて取組みを進めるための「進め方(どう取り組むか)」を規定する指針へと見直しました。これにより、事業場の業種や規模、健康課題の実情に合わせて柔軟に措置内容を選べるようになりました。

他の選択肢が不適切な理由
方向性が逆に説明されている記述は誤りです。指針そのものが廃止されたという記述や、努力義務であった位置づけが完全な任意になったという記述も改正内容と一致しません。
問44-6

事業場における健康保持増進措置を進める際の基本的な流れに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①評価を最初に行い、その結果のみに基づいて改めて方針を表明する流れで進める。
  • ②課題の把握は行わず、あらかじめ定められた措置を一律に実施すればよい。
  • ③計画の作成や評価は不要であり、実施のみを着実に継続的に行えばよい。
  • ④方針の表明、体制の整備、課題の把握、計画の作成、実施、評価の流れで進める。
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正解 ④方針の表明、体制の整備、課題の把握、計画の作成、実施、評価の流れで進める。
解説
健康保持増進措置は、事業者による方針の表明、推進体制の整備、労働者の健康状態等を踏まえた課題の把握、目標や計画の作成、計画に基づく実施、実施結果の評価という一連の流れ(PDCAサイクルに近い考え方)で継続的に進めることとされています。評価の結果を次の計画に反映させることで、取組みの実効性を高めていきます。

他の選択肢が不適切な理由
評価を最初に行うという順序は流れとして誤りです。課題の把握を省略して一律の措置を実施するという考え方や、計画・評価を不要とする考え方も、指針が示す進め方とは異なります。
問54-6

健康保持増進措置における「ハイリスクアプローチ」と「ポピュレーションアプローチ」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①ハイリスクアプローチは危険因子を持つ者、ポピュレーションアプローチは集団全体を対象とする。
  • ②ハイリスクアプローチは集団全体、ポピュレーションアプローチは危険因子を持つ者を対象とする。
  • ③両アプローチはいずれも全く同一の対象・方法を指しており、特に区別する意味はない。
  • ④健康保持増進措置においては、実際にはこれら2つのアプローチのいずれも用いられない。
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正解 ①ハイリスクアプローチは危険因子を持つ者、ポピュレーションアプローチは集団全体を対象とする。
解説
健康障害の危険因子(血圧が高い、喫煙しているなど)を持つ労働者を特定して重点的に働きかける「ハイリスクアプローチ」と、労働者集団全体の生活習慣や健康状態の底上げを目指す「ポピュレーションアプローチ」を組み合わせて実施することが効果的とされています。前者は効果が出やすい一方対象者が限られ、後者は効果は緩やかでも集団全体への波及効果が期待できるという特徴があります。

他の選択肢が不適切な理由
両アプローチの対象は入れ替わっておらず、内容も異なるため同一とはいえません。いずれのアプローチも用いられないという記述も、指針が示す考え方と一致しません。
問64-6

健康保持増進措置として行われる「健康指導」に含まれる内容に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①健康指導は運動指導のみを指し、栄養や心の健康は対象に含まれない。
  • ②運動指導、保健指導、栄養指導、メンタルヘルスケアなど幅広い内容が含まれる。
  • ③健康指導は、健康診断で有所見と判定された労働者のみを対象として実施される。
  • ④健康指導は医師のみが行うことができ、保健師等は一切関与できない。
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正解 ②運動指導、保健指導、栄養指導、メンタルヘルスケアなど幅広い内容が含まれる。
解説
健康保持増進措置における「健康指導」には、運動指導、保健指導、栄養指導、メンタルヘルスケアなど、労働者の心身両面の健康づくりを支援する幅広い取組みが含まれます。近年は健康診断で有所見と判定された人だけでなく、生活習慣の改善やフレイル(加齢による心身の衰え)予防など、より幅広い労働者を対象とする視点も重視されています。

他の選択肢が不適切な理由
運動指導のみに限定する記述は誤りです。健康診断で有所見と判定された労働者のみを対象として実施されるという記述も、集団全体を対象とするポピュレーションアプローチの視点を欠いており不十分です。医師のみが関与できるという記述も保健師等の関与を否定しており誤りです。
問74-6

事業場における健康保持増進措置を推進するスタッフに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①健康保持増進措置は、外部の専門家が一切関与せずに事業者のみで実施すべきである。
  • ②健康保持増進措置の推進には、労働者本人以外の関与は一切認められない。
  • ③産業医、衛生管理者、保健師等の専門知識を持つ者が関与することが想定されている。
  • ④衛生管理者は、そもそも健康保持増進措置の推進に関与することができない。
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正解 ③産業医、衛生管理者、保健師等の専門知識を持つ者が関与することが想定されている。
解説
健康保持増進措置の推進にあたっては、事業場内の産業医や衛生管理者、保健師等の専門的知識を有するスタッフが、それぞれの専門性を生かして連携しながら関与することが想定されています。事業場の状況によっては、外部の医療機関や健康保険組合等の専門家と連携することも有効とされています。

他の選択肢が不適切な理由
外部専門家の関与を一切認めないという記述や、労働者本人以外の関与を認めないという記述は、多様な専門職の連携を想定する指針の内容とは異なります。衛生管理者が関与できないという記述も誤りです。
問84-6

健康保持増進のための計画に関する事業場内の手続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①計画の内容は事業者が単独で決定すべきであり、衛生委員会での審議は不要とされる。
  • ②計画の内容を労働者側に事前に周知することは、かえって望ましくないとされている。
  • ③衛生委員会は、健康保持増進に関する事項を一切取り扱うことができないとされる。
  • ④計画の内容は、衛生委員会等の場において調査審議することが望ましいとされている。
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正解 ④計画の内容は、衛生委員会等の場において調査審議することが望ましいとされている。
解説
健康保持増進のための計画は、労使双方の意見を反映させるため、衛生委員会等(労使が参加して安全衛生について話し合う場)において調査審議することが望ましいとされており、継続的かつ計画的な取組みにつなげることが期待されています。労働者側の意見を計画に反映させることで、現場の実情に合った実効性のある取組みになりやすくなります。

他の選択肢が不適切な理由
事業者単独で決定し審議不要とする記述は労使の意見反映という趣旨に反します。労働者への周知が望ましくないという記述や、衛生委員会が取り扱えないという記述も誤りです。
問94-6

健康保持増進対策とデータヘルス(医療保険者との連携)の関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①健康診断情報等を活用するため、医療保険者との連携を図ることが期待されている。
  • ②健康保持増進対策は、医療保険者の業務とは、完全に切り離して実施すべきである。
  • ③医療保険者が保有する情報は、健康保持増進対策において一切活用されない。
  • ④データヘルスとの連携は、労働安全衛生法上、明確に禁止されている。
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正解 ①健康診断情報等を活用するため、医療保険者との連携を図ることが期待されている。
解説
効果的な健康保持増進対策を進めるため、事業者と医療保険者(健康保険組合等)が連携し、健康診断の情報等を活用する「コラボヘルス」と呼ばれる取組みを進めることが期待されています。事業者が把握する労働時間や作業環境の情報と、医療保険者が持つレセプト(診療報酬明細書)等のデータを組み合わせることで、より効果的な保健事業につなげることができます。

他の選択肢が不適切な理由
医療保険者の業務と完全に切り離すべきという記述は連携を促す指針の考え方に反します。情報が一切活用されないという記述や、連携が法律上禁止されているという記述も誤りです。
問104-6

THP(健康保持増進対策)と「快適な職場環境の形成」との関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①THPと快適な職場環境の形成は全く同一の措置であり、区別する必要はない。
  • ②THPは労働者個人の健康づくりが中心、快適な職場形成は職場環境の改善が中心である。
  • ③快適な職場環境の形成というものは、労働者個人の運動指導のみを内容とする取組みである。
  • ④THPは職場における温度や照明の管理のみを内容とし、健康指導は含まれない。
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正解 ②THPは労働者個人の健康づくりが中心、快適な職場形成は職場環境の改善が中心である。
解説
THPは労働者個人及び集団の心身両面にわたる健康づくり(運動・栄養・メンタルヘルス等)を中心とする対策であるのに対し、快適な職場環境の形成は温度や照明、作業方法など職場環境そのものの改善を中心とする対策であり、アプローチする対象と手段に違いがあります。両者は相互に補完し合う関係にあり、あわせて取り組むことでより働きやすい職場づくりにつながります。

他の選択肢が不適切な理由
両者は目的や中心となる取組みが異なり同一の措置とはいえません。快適職場形成を運動指導のみとする記述や、THPを職場環境の管理のみとする記述も、それぞれの本来の内容とは異なります。

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