2026年版・3-9

高齢者の精神障害(うつ・せん妄等)の一問一答

介護支援専門員試験「保健医療サービスの知識等①(心身の特徴と疾病)」から、高齢者の精神障害(うつ・せん妄等)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-9

老年期うつ病の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①気分の落ち込みより、物忘れなど認知機能低下の訴えが目立つことがある。
  • ②若年者のうつ病でみられるのと同じ症状だけが、この時期には現れる。
  • ③身体的な不調を訴えることはなく、精神症状のみが単独で出現する。
  • ④老年期になるとうつ病の発症率はむしろ低下し、まれな疾患になっていく。
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正解 ①気分の落ち込みより、物忘れなど認知機能低下の訴えが目立つことがある。
解説
老年期うつ病は気分の落ち込みなどの精神症状よりも、物忘れの訴えや思考力の低下、食欲不振や不眠といった身体症状が前面に出ることがあり、認知症のようにみえることから仮性認知症と呼ばれることがある。適切な治療により回復が期待できる病態であり、認知症との鑑別が重要とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「若年者のうつ病でみられるのと同じ症状だけが現れる」とする記述は、この時期に特有の現れ方があるという点と食い違う。「身体的な不調を訴えることはなく、精神症状のみが単独で出現する」とする記述も誤りで、頭が重い、めまいがする、食べられないといった体の訴えが受診のきっかけになることが多い。「老年期になると発症率はむしろ低下し、まれな疾患になっていく」とする記述も誤りで、喪失体験や慢性疾患が重なるこの時期にはむしろ増え、見逃されやすいことが問題とされている。
問23-9

うつ病と認知症の鑑別に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①認知症では気分の落ち込みが急性に出現し、数日で自然に軽快しやすい。
  • ②うつ病では「わからない」と答えやすく、症状の自覚もみられやすい。
  • ③うつ病では記憶障害を取り繕おうとする言動が特徴的にみられる。
  • ④両者は症状も経過も同一であり、鑑別すること自体に意味がない。
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正解 ②うつ病では「わからない」と答えやすく、症状の自覚もみられやすい。
解説
うつ病では質問に対して考える前に「わからない」と答えることが多く、記憶力の低下を自覚し悩んでいる様子がみられやすいのに対し、認知症では記憶障害を取り繕おうとしたり、自覚が乏しかったりする傾向がある。発症の様式や経過とあわせて総合的に判断することが、適切な治療や支援につながる。

他の選択肢が不適切な理由
「認知症では気分の落ち込みが急性に出現し、数日で自然に軽快しやすい」とする記述は、緩やかに進むという認知症の経過と食い違う。「うつ病では記憶障害を取り繕おうとする言動が特徴的にみられる」とする記述は両者を取り違えたもので、取り繕いがみられるのは自覚の乏しい認知症のほうであり、うつ病では自ら低下を訴えて悩む。「症状も経過も同一であり、鑑別すること自体に意味がない」とする記述も誤りで、うつ病であれば治療によって元の状態に戻りうるからこそ、見分けることに大きな意味がある。
問33-9

せん妄の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①数か月から数年かけて緩やかに進行していき、症状は一日中一定である。
  • ②意識障害を伴わず、記憶障害のみが緩やかに進行する状態を指す。
  • ③急激に発症し、意識レベルや症状の程度が一日のうちで変動しやすい。
  • ④発症後は不可逆的に進行していき、原因を取り除いても改善しない。
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正解 ③急激に発症し、意識レベルや症状の程度が一日のうちで変動しやすい。
解説
せん妄は数時間から数日という短期間で急激に発症する軽度の意識障害で、注意力の低下や見当識障害、幻覚などを伴い、症状の程度が一日のうちでも変動しやすく、特に夕方から夜間にかけて悪化する夜間せん妄がよくみられる。緩やかに進行する認知症とは発症様式や経過の点で大きく異なる。

他の選択肢が不適切な理由
「数か月から数年かけて緩やかに進行していき、症状は一日中一定である」とする記述は認知症の経過を述べたものである。「意識障害を伴わず、記憶障害のみが緩やかに進行する」とする記述も誤りで、注意を向け続けられなくなるという軽い意識の障害があることが、この状態を認知症と分ける要点である。「原因を取り除いても改善しない」とする記述も誤りで、脱水や薬といった誘因を取り除けば元に戻りうる点こそが、早く気づく意義につながる。
問43-9

せん妄の原因に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①せん妄の原因は加齢のみであり、身体疾患や薬剤はほとんど関与しない。
  • ②環境の変化はせん妄の発症とは無関係であり、影響を及ぼさない。
  • ③せん妄は精神疾患を背景として発症し、身体的な原因はない。
  • ④感染症や脱水、薬剤の影響、入院による環境変化などが誘因となる。
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正解 ④感染症や脱水、薬剤の影響、入院による環境変化などが誘因となる。
解説
せん妄は、感染症や脱水、電解質異常などの身体的な要因、複数の薬剤の使用や睡眠薬などの影響、そして入院や施設入所といった環境の変化による心理的なストレスなど、複数の要因が重なって発症することが多い。誘因を特定して取り除くことで改善が期待できる、可逆性の高い病態とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「原因は加齢のみであり、身体疾患や薬剤はほとんど関与しない」とする記述は誤りで、加齢は起こりやすさを高める土台にすぎず、実際の引き金は感染症や脱水、薬の影響であることが多い。「環境の変化はせん妄の発症とは無関係」とする記述も誤りで、入院や施設への入所によって見慣れない場所で過ごすこと自体が誘因となる。「精神疾患を背景として発症し、身体的な原因はない」とする記述も誤りで、まず身体の異常を探すことが対応の出発点となる。
問53-9

せん妄・うつ病・認知症の鑑別に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①せん妄は急性発症、うつ病は気分の落ち込みが先行し、認知症は緩徐進行する。
  • ②三つの状態は発症様式も症状の経過も区別できず、鑑別する意義に乏しい。
  • ③せん妄は緩やかに進行し、認知症は急激に発症するという点で対照的である。
  • ④うつ病は意識障害を主体とし、せん妄は気分の落ち込みを主体とする病態である。
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正解 ①せん妄は急性発症、うつ病は気分の落ち込みが先行し、認知症は緩徐進行する。
解説
せん妄は急性に発症し意識レベルが変動するのに対し、うつ病は気分の落ち込みや意欲低下が先行して現れ、認知症は記憶障害を中心に緩やかに進行するという違いがある。三者は合併することもあり症状が似て見えるため、発症の経過や日内変動の有無などを丁寧に確認して鑑別することが適切な対応につながる。

他の選択肢が不適切な理由
「発症様式も症状の経過も区別できず、鑑別する意義に乏しい」とする記述は誤りで、対応の方向がそれぞれ異なるため、見分けることに実際的な意味がある。「せん妄は緩やかに進行し、認知症は急激に発症する」とする記述は両者を入れ替えている。「うつ病は意識障害を主体とし、せん妄は気分の落ち込みを主体とする」とする記述も入れ替えであり、意識の状態が一日のうちで変動するのがせん妄、気分と意欲が落ちるのがうつ病である。
問63-9

高齢者の自殺リスクに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①高齢者は身体疾患があっても、自殺のリスクにはほとんど影響しない。
  • ②身体疾患や社会的孤立、うつ状態などが背景要因として関与しやすい。
  • ③社会的な孤立と自殺のリスクとの間には、医学的な関連は認められない。
  • ④自殺のリスクは若年層にのみみられ、高齢期には基本的に生じない。
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正解 ②身体疾患や社会的孤立、うつ状態などが背景要因として関与しやすい。
解説
高齢者の自殺には、慢性疾患による身体的苦痛、配偶者との死別などによる社会的孤立、老年期うつ病といった複数の要因が複合的に関与しやすいとされる。「もう迷惑をかけたくない」といった発言や身辺整理など、自殺のサインに早期に気づき、必要に応じて医療・相談機関へつなぐ支援が重要とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「身体疾患があっても、自殺のリスクにはほとんど影響しない」とする記述は誤りで、痛みや将来への不安、家族に負担をかけているという思いが背景となることが多い。「社会的な孤立と自殺のリスクとの間には、医学的な関連は認められない」とする記述も誤りで、相談できる相手がいるかどうかが支えになることは広く指摘されている。「若年層にのみみられ、高齢期には基本的に生じない」とする記述も実際と異なり、高齢期はむしろ注意を要する年代であり、周囲がサインに気づく役割は大きい。
問73-9

高齢者のアルコール関連障害に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①高齢期に至ると飲酒量は自然に減少し、依存症が新たに生じることはない。
  • ②アルコールの影響は加齢で受けにくくなり、量が増えても問題は少ない。
  • ③退職や配偶者との死別などを契機に、飲酒量が増加することがある。
  • ④飲酒習慣は認知機能や転倒のリスクとはほとんど関連しない。
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正解 ③退職や配偶者との死別などを契機に、飲酒量が増加することがある。
解説
高齢者は退職による社会的役割の喪失や配偶者との死別、孤独感などを契機に飲酒量が増加し、アルコール依存につながることがある。また加齢によりアルコールの分解能力は低下する一方で、飲酒は転倒や認知機能低下、他の薬剤との相互作用のリスクを高めるため、若年期以上に慎重な対応が求められる。

他の選択肢が不適切な理由
「高齢期に至ると飲酒量は自然に減少し、依存症が新たに生じることはない」とする記述は誤りで、若い頃には問題のなかった人が高齢期になって初めて依存に至る場合がある。「アルコールの影響は加齢で受けにくくなり、量が増えても問題は少ない」とする記述は向きが逆で、体内の水分が減り分解する力も落ちるため、同じ量でも酔いが強く長く残る。「認知機能や転倒のリスクとはほとんど関連しない」とする記述も誤りで、ふらつきによる転倒や物忘れの悪化に直結する。
問83-9

高齢期に至った統合失調症の人への支援に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①高齢になった時点で症状は自然に消失していき、支援の必要性はなくなる。
  • ②統合失調症の人は高齢になると新たに発症することが一般的である。
  • ③服薬の継続は不要になり、身体合併症への配慮も特に必要としない。
  • ④服薬管理や地域生活の継続を意識し、身体合併症にも注意して支援する。
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正解 ④服薬管理や地域生活の継続を意識し、身体合併症にも注意して支援する。
解説
若い頃から統合失調症とともに生活してきた人が高齢期を迎える場合、加齢に伴い服薬の自己管理が難しくなったり、他の身体疾患を併発したりすることがあるため、服薬管理の支援や身体合併症への注意を続けながら、住み慣れた地域での生活を維持できるよう関係機関と連携した支援が求められる。

他の選択肢が不適切な理由
「高齢になった時点で症状は自然に消失していき、支援の必要性はなくなる」とする記述は誤りで、年齢を重ねても付き合っていく病であり、生活の場が変わる時期にはむしろ支えが必要になる。「高齢になると新たに発症することが一般的」とする記述も誤りで、多くは青年期から成人期にかけて発症する。「服薬の継続は不要になり、身体合併症への配慮も特に必要としない」とする記述も誤りで、服薬の中断は再発の大きな要因であり、糖尿病など身体の病気を併せ持つことも多い。
問93-9

高齢者の不安障害・適応障害に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①環境の変化や身体機能の低下などがきっかけとなって症状が現れることがある。
  • ②不安障害や適応障害は若年層に特有の病態であり、高齢期には生じにくい。
  • ③症状の背景に環境要因が関わることはなく、その原因はいまだはっきりしない。
  • ④身体機能の低下は、精神的な症状とはほとんど関連していないといえる。
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正解 ①環境の変化や身体機能の低下などがきっかけとなって症状が現れることがある。
解説
高齢者の不安障害や適応障害は、施設入所や転居といった環境の変化、身体機能の低下や慢性疾患による将来への不安などをきっかけに発症することがある。強い不安感や不眠、意欲低下などが持続する場合には、心理的な支援に加え、環境調整や身体面のケアを組み合わせた対応が有効とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「若年層に特有の病態であり、高齢期には生じにくい」とする記述は誤りで、転居や施設への入所、家族との死別など、環境が大きく変わる出来事はむしろ高齢期に集中する。「症状の背景に環境要因が関わることはなく、その原因はいまだはっきりしない」とする記述も誤りで、適応障害はきっかけとなる出来事がはっきりしていることが特徴である。「身体機能の低下は、精神的な症状とはほとんど関連していない」とする記述も適切ではなく、できていたことができなくなるという体験そのものが強い不安の源となる。
問103-9

高齢者への向精神薬使用時の注意点に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①向精神薬は高齢者においても、若年者とほとんど同じ用量で使用すればよい。
  • ②過鎮静やふらつきによる転倒、せん妄の誘発などに注意する必要がある。
  • ③向精神薬の使用によって、転倒やせん妄のリスクが高まることはない。
  • ④副作用の観察は不要であり、処方後は経過観察をする必要がない。
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正解 ②過鎮静やふらつきによる転倒、せん妄の誘発などに注意する必要がある。
解説
高齢者は薬物の代謝・排泄能力が低下しているため、向精神薬の使用にあたっては過度の鎮静やふらつきによる転倒、逆にせん妄を誘発する危険性に注意が必要である。少量から開始し効果と副作用を慎重に確認すること、多剤併用を避けることなどが求められ、介護職員による普段の様子の観察も重要な役割を担う。

他の選択肢が不適切な理由
「若年者とほとんど同じ用量で使用すればよい」とする記述は誤りで、肝臓や腎臓のはたらきが落ちているため薬が体内に残りやすく、少量から始めて様子を見ることが原則とされる。「使用によって、転倒やせん妄のリスクが高まることはない」とする記述も誤りで、眠気やふらつきは骨折につながる転倒の大きな要因であり、薬そのものがせん妄の引き金になることもある。「副作用の観察は不要であり、処方後は経過観察をする必要がない」とする記述も誤りで、日々そばにいる介護職の気づきが薬の調整の手がかりとなる。

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