2026年版・3-10

感染症の予防と対応の一問一答

介護支援専門員試験「保健医療サービスの知識等①(心身の特徴と疾病)」から、感染症の予防と対応に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-10

標準予防策(スタンダードプリコーション)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①感染症と診断された利用者にのみ適用し、他の人には手指衛生を省略してよい。
  • ②血液や体液に直接触れる場合を除き、手袋の着用は不要であるといえる。
  • ③感染症の診断の有無にかかわらず、血液や体液を感染性があるものとして扱う。
  • ④手指衛生は感染症が疑われる場合にのみ行えばよいものといえる。
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正解 ③感染症の診断の有無にかかわらず、血液や体液を感染性があるものとして扱う。
解説
標準予防策は、感染症の有無にかかわらず全ての人の血液・体液・排泄物などを感染の可能性があるものとして扱い、手指衛生や必要に応じた手袋・マスクの着用などを行う、感染対策の基本的な考え方である。特定の感染症の診断がついてから対策を始めるのではなく、日常的に一貫して実施することが重要とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「感染症と診断された利用者にのみ適用し、他の人には手指衛生を省略してよい」とする記述は、まだ診断のついていない人や症状の出ていない保菌者から広がるという現実を見落としており、この考え方が生まれた理由そのものを否定する。「血液や体液に直接触れる場合を除き、手袋の着用は不要」「手指衛生は感染症が疑われる場合にのみ行えばよい」とする記述も誤りで、排泄物や傷のある皮膚、粘膜に触れる場面はすべて対象であり、手指衛生はケアの前後ごとに行うことが基本である。
問23-10

感染経路別予防策に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①感染経路にかかわらず、全ての感染症に同一の対策のみを講じればよい。
  • ②空気感染する病原体には、飛沫感染と同じ対策を講じれば十分である。
  • ③感染経路別予防策は、標準予防策に代えて単独で用いるものである。
  • ④病原体の広がり方に応じて、接触・飛沫・空気感染への対策を追加する。
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正解 ④病原体の広がり方に応じて、接触・飛沫・空気感染への対策を追加する。
解説
感染経路別予防策は、標準予防策に加えて、病原体の主な伝播様式(接触・飛沫・空気感染)に応じた対策を追加で講じる考え方である。例えば空気感染する結核では陰圧室の管理や高性能マスクの使用、接触感染する病原体では手袋やエプロンの着用が重視されるなど、対象となる感染症に応じた使い分けが必要となる。

他の選択肢が不適切な理由
「全ての感染症に同一の対策のみを講じればよい」とする記述は、病原体によって広がり方が異なるという前提を無視するものである。「空気感染する病原体には、飛沫感染と同じ対策を講じれば十分」とする記述も誤りで、飛沫は短い距離で落ちるのに対し、空気感染では細かい粒子が長く漂うため、部屋の管理や高性能マスクといった別の備えが必要になる。「標準予防策に代えて単独で用いる」とする記述も誤りで、あくまで土台となる標準予防策の上に積み重ねるものである。
問33-10

高齢者のインフルエンザに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①肺炎などを合併しやすく、重症化のリスクが若年者より高いとされる。
  • ②高齢者もインフルエンザに感染した際は、若年者と同程度の経過をとる。
  • ③ワクチン接種は重症化予防に効果がなく、意味を持たないといえる。
  • ④感染しても発熱などの症状は、いつも典型的に強く現れる。
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正解 ①肺炎などを合併しやすく、重症化のリスクが若年者より高いとされる。
解説
高齢者はインフルエンザに感染すると、免疫力の低下や基礎疾患の存在などにより肺炎を合併しやすく、若年者に比べて重症化や死亡のリスクが高いとされる。予防接種による重症化予防の効果が期待でき、集団生活の場では感染が広がりやすいため、流行期の手指衛生やマスク着用、面会制限などの対策が重要になる。

他の選択肢が不適切な理由
「若年者と同程度の経過をとる」とする記述は誤りで、心臓や肺の病気を持つ人が多いこともあり、こじらせて肺炎に至る割合が高い。「ワクチン接種は重症化予防に効果がなく、意味を持たない」とする記述も誤りで、かかること自体を完全に防ぐわけではないものの、重くなることを抑える効果が期待されるため定期の予防接種に位置づけられている。「発熱などの症状は、いつも典型的に強く現れる」とする記述も誤りで、熱がはっきり出ないまま食欲の低下だけがみられることがある。
問43-10

ノロウイルス感染症への対応に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①アルコール消毒薬のみで、十分な消毒効果がいつも得られるといえる。
  • ②嘔吐物や便を処理する際は手袋・マスクを着用し、塩素系消毒薬で消毒する。
  • ③感染力は弱く、少量の嘔吐物からは周囲への感染はほとんど広がらない。
  • ④症状が消失すれば、その時点でウイルスの排出も同時に終了しているといえる。
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正解 ②嘔吐物や便を処理する際は手袋・マスクを着用し、塩素系消毒薬で消毒する。
解説
ノロウイルスは感染力が非常に強く、ごく少量のウイルスでも嘔吐物や便を介して周囲に感染が広がりやすい。処理の際は使い捨て手袋やマスク、エプロンを着用し、飛散した範囲を含めて塩素系消毒薬で消毒することが必要である。アルコール消毒薬は十分な効果が得にくいとされ、症状消失後もしばらくウイルスが排出され続ける点にも注意が必要とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「アルコール消毒薬のみで、十分な消毒効果がいつも得られる」とする記述は誤りで、このウイルスはアルコールが効きにくい構造を持つため、塩素系の薬剤や流水と石けんによる手洗いが基本となる。「感染力は弱く、少量の嘔吐物からは周囲への感染はほとんど広がらない」とする記述も誤りで、ごくわずかな量でも発症させる力があり、乾いた嘔吐物が舞い上がって広がることもある。「症状が消失すれば、ウイルスの排出も同時に終了している」とする記述も誤りで、症状が治まった後もしばらく便からの排出が続く。
問53-10

疥癬に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①ウイルスの飛沫感染によって生じる、呼吸器のみに症状が現れる疾患である。
  • ②細菌が血液中で増殖することで生じる、全身性の重篤な感染症である。
  • ③ヒゼンダニというダニの寄生により生じ、強いかゆみを伴う皮膚疾患である。
  • ④加齢による皮膚の乾燥のみが原因で生じる、非感染性の皮膚疾患である。
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正解 ③ヒゼンダニというダニの寄生により生じ、強いかゆみを伴う皮膚疾患である。
解説
疥癬はヒゼンダニというダニが皮膚に寄生することで生じる感染性の皮膚疾患で、夜間に強くなるかゆみが特徴である。皮膚への直接接触や衣類・寝具の共用によって感染が広がるため、集団生活の場では早期発見と、感染力の強い角化型疥癬の場合は個室管理などの対応が必要とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「ウイルスの飛沫感染によって生じる、呼吸器のみに症状が現れる疾患」とする記述は、病原体の種類も症状の現れる場所も当てはまらない。「細菌が血液中で増殖することで生じる、全身性の重篤な感染症」とする記述も誤りで、皮膚の表面にダニが寄生することによって起こる。「加齢による皮膚の乾燥のみが原因で生じる、非感染性の皮膚疾患」とする記述は、人から人へうつるという点を見落としており、単なる乾燥と考えて湿疹の薬で対応し続けると、その間に周囲へ広がってしまう。
問63-10

高齢者の尿路感染症に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①高齢者では発熱や排尿時の痛みが、若年者以上にいつも強く典型的に現れる。
  • ②尿路感染症は女性にのみ生じる疾患であり、男性にはまず生じない。
  • ③水分摂取量は尿路感染症の発症とは、ほとんど関連しないといえる。
  • ④発熱や排尿時の痛みが目立たず、非定型的な症状で気づかれることがある。
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正解 ④発熱や排尿時の痛みが目立たず、非定型的な症状で気づかれることがある。
解説
高齢者の尿路感染症は、発熱や排尿時痛といった典型的な症状が目立たないまま、元気のなさや食欲低下、せん妄などの非定型的な症状で気づかれることがある。水分摂取量の不足や排尿の我慢、カテーテル留置などが発症のリスクを高めるため、十分な水分摂取や陰部の清潔保持といった日常的なケアが予防の基本となる。

他の選択肢が不適切な理由
「発熱や排尿時の痛みが、若年者以上にいつも強く典型的に現れる」とする記述は、症状がはっきりしないという高齢者の特徴と正反対である。「女性にのみ生じる疾患であり、男性にはまず生じない」とする記述も誤りで、尿道が短い女性に多いことは事実だが、男性でも前立腺肥大による残尿を背景に起こる。「水分摂取量は発症とほとんど関連しない」とする記述も誤りで、尿の量が減れば細菌が洗い流されにくくなるため、水分の確保は予防の基本にあたる。
問73-10

誤嚥性肺炎予防としての口腔ケアに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①口腔内の細菌数を減らすことで、誤嚥性肺炎の発症予防にもつながる。
  • ②口腔ケアは審美的な目的のみで行われ、感染予防の効果は認められない。
  • ③義歯を使用している人には、口腔ケアを実施する必要がないといえる。
  • ④口腔ケアの頻度は感染予防の効果とは、ほとんど無関係であるといえる。
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正解 ①口腔内の細菌数を減らすことで、誤嚥性肺炎の発症予防にもつながる。
解説
口腔内には多くの細菌が存在し、唾液とともに誤嚥することで誤嚥性肺炎の原因となり得るため、歯磨きや義歯の清掃を含めた口腔ケアによって口腔内の細菌数を減らすことは、誤嚥性肺炎の発症予防に有効とされる。義歯を使用している人も義歯と口腔粘膜の両方のケアが必要であり、継続的な実施が重要である。

他の選択肢が不適切な理由
「審美的な目的のみで行われ、感染予防の効果は認められない」とする記述は誤りで、口の中の細菌を減らすこと自体が肺炎の予防につながる。「義歯を使用している人には、口腔ケアを実施する必要がない」とする記述も誤りで、義歯そのものに汚れが付くうえ、歯ぐきや舌、頬の内側にも細菌は残る。「頻度は感染予防の効果とはほとんど無関係」とする記述も誤りで、細菌は時間とともに再び増えるため、毎日続けることに意味がある。
問83-10

高齢者の結核に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①結核は高齢者にはほとんど発生せず、若年層に限られる感染症の一種である。
  • ②若い頃の感染が高齢期に免疫力の低下を契機として再燃することがある。
  • ③結核は空気感染しない疾患であり、飛沫感染対策のみで十分である。
  • ④一度治療を終えれば、免疫力が低下しても再燃することはないといえる。
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正解 ②若い頃の感染が高齢期に免疫力の低下を契機として再燃することがある。
解説
結核は空気感染する感染症で、若い頃に感染したものの発病せずに体内にとどまっていた結核菌が、加齢や基礎疾患による免疫力の低下を契機に高齢期になって再燃し発病することがある。咳や微熱、体重減少など高齢者では非定型的な症状で経過することもあり、施設内での感染拡大を防ぐための早期発見が重要とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「高齢者にはほとんど発生せず、若年層に限られる」とする記述は誤りで、新たに登録される患者に占める高齢者の割合は高い。「空気感染しない疾患であり、飛沫感染対策のみで十分」とする記述も誤りで、細かい粒子が空気中を漂うため、通常のマスクだけでは防ぎきれない。「一度治療を終えれば、免疫力が低下しても再燃することはない」とする記述も誤りで、体内にとどまった菌が抵抗力の落ちた時期に再び活動を始めることがあり、それが高齢期の発病の主な形である。
問93-10

薬剤耐性菌(MRSA等)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①抗菌薬の効果がより強く現れるようになった細菌を指す用語である。
  • ②接触や環境を介した感染拡大の危険性はなく、特別な対策は不要である。
  • ③抗菌薬が効きにくくなった細菌で、標準予防策の徹底が重要とされる。
  • ④健康な人には保菌することがなく、何らかの症状を発症する。
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正解 ③抗菌薬が効きにくくなった細菌で、標準予防策の徹底が重要とされる。
解説
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの薬剤耐性菌は、通常用いられる抗菌薬に対して抵抗性を獲得し効きにくくなった細菌である。健康な人でも症状を出さずに保菌していることがあり、接触感染により周囲に広がる可能性があるため、手指衛生の徹底など標準予防策を日常的に確実に実施することが最も基本的な対策となる。

他の選択肢が不適切な理由
「抗菌薬の効果がより強く現れるようになった細菌」とする記述は、耐性という語の意味を取り違えており、効きにくくなったからこそ治療が難しくなる。「接触や環境を介した感染拡大の危険性はなく、特別な対策は不要」とする記述も誤りで、手やドアの取っ手などを介して広がるため、手指衛生の徹底が要となる。「健康な人には保菌することがなく、何らかの症状を発症する」とする記述も誤りで、症状を出さずに菌を持っている人がおり、そのことが対策を難しくしている。
問103-10

手指衛生や消毒薬の使い分けに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①全ての病原体に対して、アルコール消毒薬のみで確実な効果が得られる。
  • ②手指衛生は手が目に見えて汚れている場合にのみ行えばよいといえる。
  • ③消毒薬の種類による効果の違いは小さく、使い分けをあえて検討する必要は薄い。
  • ④ノロウイルス対応時は、アルコールより流水と石けんによる手洗いが重視される。
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正解 ④ノロウイルス対応時は、アルコールより流水と石けんによる手洗いが重視される。
解説
アルコール消毒薬は多くの細菌やウイルスに有効だが、ノロウイルスのようにアルコールに抵抗性を示す病原体もあるため、その場合は流水と石けんによる十分な手洗いで物理的にウイルスを洗い流すことが重視される。対象とする病原体の特性に応じて手指衛生の方法や消毒薬の種類を適切に使い分けることが重要である。

他の選択肢が不適切な理由
「全ての病原体に対して、アルコール消毒薬のみで確実な効果が得られる」とする記述は誤りで、ノロウイルスのようにアルコールが効きにくい病原体がある。「手が目に見えて汚れている場合にのみ行えばよい」とする記述も誤りで、目に見えない汚染こそが感染を広げるため、ケアの前後ごとに行うことが基本である。「消毒薬の種類による効果の違いは小さく、使い分けをあえて検討する必要は薄い」とする記述も誤りで、塩素系の薬剤は金属を傷めたり刺激が強かったりするなど、性質に応じた使い分けが欠かせない。

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