2026年版・3-11

高齢者の栄養と食事・口腔ケアの一問一答

介護支援専門員試験「保健医療サービスの知識等①(心身の特徴と疾病)」から、高齢者の栄養と食事・口腔ケアに関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-11

高齢者の低栄養(PEM)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①エネルギーやたんぱく質の摂取不足により、免疫力や筋力の低下を招く。
  • ②エネルギーの摂取過多によって生じる、肥満と同義の状態を指す用語である。
  • ③低栄養は感染症や褥瘡のリスクとは、ほとんど関連がないといえる。
  • ④高齢者は食欲が旺盛になりやすく、低栄養はまれにしか生じない状態である。
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正解 ①エネルギーやたんぱく質の摂取不足により、免疫力や筋力の低下を招く。
解説
低栄養(PEM:たんぱく質・エネルギー低栄養状態)は、エネルギーやたんぱく質の摂取不足により体重減少や筋力低下、免疫機能の低下が生じる状態で、高齢者は食欲低下や咀嚼・嚥下機能の衰えなどから陥りやすい。感染症にかかりやすくなるほか、褥瘡の発生や治癒の遅延にも関わるため、早期の把握と栄養改善への支援が重要である。

他の選択肢が不適切な理由
「エネルギーの摂取過多によって生じる、肥満と同義の状態」とする記述は向きが逆であり、足りないことによって起こる状態である。「感染症や褥瘡のリスクとは、ほとんど関連がない」とする記述も誤りで、体をつくる材料が不足すれば免疫の力も皮膚を修復する力も落ちるため、傷が治りにくく感染も起こしやすくなる。「食欲が旺盛になりやすく、低栄養はまれにしか生じない」とする記述も実際と異なり、噛む力や飲み込む力の低下、味覚の変化、独居による調理の負担などから食が細りやすい。
問23-11

高齢者の脱水の予防と早期発見に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①口渇感が敏感になるため、本人の訴えのみを目安にすれば十分である。
  • ②口渇を感じにくいため、時間を決めて水分摂取を促すことが有効である。
  • ③脱水の徴候は明確な症状として現れ、見逃されることはないといえる。
  • ④水分摂取量を制限することが、脱水予防の基本的な対策であるといえる。
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正解 ②口渇を感じにくいため、時間を決めて水分摂取を促すことが有効である。
解説
高齢者は口渇中枢の感受性が低下し、体内の水分が不足していても喉の渇きを自覚しにくいため、本人の訴えだけに頼らず、時間を決めてこまめに水分摂取を促す工夫が有効である。皮膚や口腔内の乾燥、尿量の減少、意識の変化など普段との違いを観察し、早期に気づくことが重症化の予防につながる。

他の選択肢が不適切な理由
「口渇感が敏感になるため、本人の訴えのみを目安にすれば十分」とする記述は向きが逆で、渇きを感じにくいことがこの問題の出発点である。「脱水の徴候は明確な症状として現れ、見逃されることはない」とする記述も誤りで、元気がない、ぼんやりしているといった変化としてしか現れないことが多い。「水分摂取量を制限することが、脱水予防の基本的な対策」とする記述は正反対であり、トイレの回数を気にして自ら水分を控えてしまう人への声かけこそが必要となる。
問33-11

摂食嚥下の過程(5期モデル)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①摂食嚥下は単一の瞬間的な動作であり、複数の段階には分けられない。
  • ②口腔内での咀嚼のみが摂食嚥下の全過程であり、他の段階は存在しない。
  • ③食物を認識する先行期から食道期まで、複数の段階を経て嚥下される。
  • ④嚥下の過程には、食物を目や鼻で認識する段階は含まれない。
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正解 ③食物を認識する先行期から食道期まで、複数の段階を経て嚥下される。
解説
摂食嚥下の過程は一般に、食物を認識する先行期、口腔内に取り込み咀嚼する準備期、舌で咽頭へ送り込む口腔期、嚥下反射により食道へ送る咽頭期、食道の蠕動運動で胃へ運ぶ食道期という5つの段階に分けて理解される。どの段階に障害があるかを把握することが、食事形態や介助方法の検討に役立つ。

他の選択肢が不適切な理由
「単一の瞬間的な動作であり、複数の段階には分けられない」とする記述は、どの段階でつまずいているのかを見極めるという、この考え方の目的そのものを失わせる。「口腔内での咀嚼のみが全過程であり、他の段階は存在しない」とする記述も誤りで、噛んだ後に舌で送り込み、反射によって食道へ運ぶという過程が続く。「食物を目や鼻で認識する段階は含まれない」とする記述も誤りで、何をどれくらいの速さで食べるかを判断する最初の段階が含まれ、認知症ではここでのつまずきが問題になることが多い。
問43-11

誤嚥のサインと窒息時の対応に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①むせや咳込みは誤嚥とは無関係な、単なる癖として片付けてよい反応である。
  • ②窒息が疑われる場合であっても、様子を見守るだけで対応する必要はない。
  • ③誤嚥はむせを伴うことが多く、むせのない誤嚥は存在しないといえる。
  • ④食事中のむせや咳込みは誤嚥のサインであり、窒息時は背部叩打法等を行う。
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正解 ④食事中のむせや咳込みは誤嚥のサインであり、窒息時は背部叩打法等を行う。
解説
食事中のむせや咳込みは、食物や唾液が誤って気道に入りかけている誤嚥のサインとして重要である。一方でむせを伴わない不顕性誤嚥もあり注意が必要である。窒息が疑われる場合は、背部叩打法や腹部突き上げ法(ハイムリック法)などの方法で速やかに異物の除去を試みるとともに、救急要請を行う対応が求められる。

他の選択肢が不適切な理由
「むせや咳込みは誤嚥とは無関係な、単なる癖として片付けてよい」とする記述は誤りで、これらは気道に入りかけたものを押し返そうとする体の反応であり、危険を知らせる合図である。「窒息が疑われる場合であっても、様子を見守るだけで対応する必要はない」とする記述は、数分で命に関わる事態を放置するもので、最も避けなければならない対応である。「むせのない誤嚥は存在しない」とする記述も誤りで、反射が弱まると、むせずに気道へ入る不顕性誤嚥が起こり、かえって発見が遅れる。
問53-11

嚥下機能に配慮した食事形態の工夫に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①水分にとろみをつけたり、食材を刻むなど、飲み込みやすさに配慮する。
  • ②嚥下機能が低下していても、常食のまま提供することが望ましい。
  • ③とろみをつけると誤嚥のリスクがかえって高まるため、避けるべきである。
  • ④食事形態の工夫は栄養摂取量とは無関係であり、考慮する必要性は低い。
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正解 ①水分にとろみをつけたり、食材を刻むなど、飲み込みやすさに配慮する。
解説
嚥下機能が低下している場合、さらさらした水分は気道に入りやすいためとろみをつけて流れる速さを調整したり、食材を刻んだりペースト状にしたりして飲み込みやすい形態に整えることが誤嚥予防に有効である。ただし過度に細かくしすぎるとまとまりが悪くなり誤嚥しやすくなることもあり、本人の嚥下機能に応じた調整が必要である。

他の選択肢が不適切な理由
「嚥下機能が低下していても、常食のまま提供することが望ましい」とする記述は誤りで、飲み込む力に合わない形態は誤嚥や窒息に直結する。「とろみをつけると誤嚥のリスクがかえって高まるため、避けるべき」とする記述も向きが逆で、とろみは流れる速さを緩めて、飲み込む反射が間に合うようにするための工夫である。「食事形態の工夫は栄養摂取量とは無関係」とする記述も誤りで、食べにくさは食べる量そのものを減らし、低栄養につながる。
問63-11

口腔ケアの意義に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①口腔ケアは審美的な効果のみを目的とし、健康面への影響はない。
  • ②口腔内を清潔に保つことで誤嚥性肺炎の予防や食欲の維持につながる。
  • ③義歯を使用していない人にのみ必要とされ、義歯使用者には不要である。
  • ④唾液の分泌量は口腔ケアの効果とは、ほとんど無関係であるといえる。
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正解 ②口腔内を清潔に保つことで誤嚥性肺炎の予防や食欲の維持につながる。
解説
口腔ケアは口腔内の細菌数を減らして誤嚥性肺炎を予防するだけでなく、口腔内を清潔で快適な状態に保つことで食欲の維持や会話のしやすさ、唾液分泌の促進にもつながる。義歯を使用している場合も義歯と口腔粘膜の両方をケアする必要があり、口腔の健康は全身の健康状態やQOLにも深く関わっている。

他の選択肢が不適切な理由
「審美的な効果のみを目的とし、健康面への影響はない」とする記述は誤りで、口の中の細菌を減らすことは肺炎の予防に直結する。「義歯を使用していない人にのみ必要とされ、義歯使用者には不要」とする記述は必要な人を取り違えており、義歯にも汚れは付き、外した後の歯ぐきや舌にも細菌は残る。「唾液の分泌量は口腔ケアの効果とはほとんど無関係」とする記述も誤りで、口の中を刺激することで唾液の分泌が促され、汚れを洗い流す働きや味を感じる力の維持にもつながる。
問73-11

オーラルフレイルに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①口腔機能は加齢の影響を受けにくく、全身の健康状態とは無関係な概念である。
  • ②重度の摂食嚥下障害のみを指す用語であり、軽微な変化は含まれない。
  • ③口腔機能のわずかな衰えが積み重なり、心身機能の低下につながる状態である。
  • ④口腔機能の低下は、栄養状態や社会性の低下とは関連しないといえる。
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正解 ③口腔機能のわずかな衰えが積み重なり、心身機能の低下につながる状態である。
解説
オーラルフレイルは、滑舌の低下やわずかなむせ、噛む力の低下といった口腔機能の軽微な衰えが見過ごされたまま積み重なることで、食欲低下や低栄養、さらには全身のフレイルへとつながっていく状態を指す概念である。早期に気づき、口腔体操や歯科受診などで対応することが心身機能の維持に有効とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「口腔機能は加齢の影響を受けにくく、全身の健康状態とは無関係」とする記述は、食べる力の衰えが栄養状態を通じて全身に及ぶという、この概念の要点を否定するものである。「重度の摂食嚥下障害のみを指す用語であり、軽微な変化は含まれない」とする記述も誤りで、むしろ見過ごされやすいわずかな衰えに目を向ける点にこそ、この言葉の意義がある。「栄養状態や社会性の低下とは関連しない」とする記述も誤りで、噛めないことは食べる物の偏りを招き、話しにくさは人と会う機会を減らす。
問83-11

経管栄養(胃ろう等)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①経口摂取ができる人に対して、優先的に選択されるべき方法であるといえる。
  • ②経管栄養に切り替えれば、誤嚥性肺炎のリスクは以後生じなくなるといえる。
  • ③栄養剤の注入方法や姿勢に関わらず、一律の管理方法で対応すればよい。
  • ④口から十分な栄養が摂れないとき、消化管を通じて栄養を補う方法である。
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正解 ④口から十分な栄養が摂れないとき、消化管を通じて栄養を補う方法である。
解説
経管栄養は、摂食嚥下機能の著しい低下などにより口から十分な栄養や水分を摂取できない場合に、胃ろうや経鼻経管などを通じて消化管に直接栄養を注入する方法である。誤嚥のリスクを減らせる面はあるが、注入時の姿勢や速度の管理を誤ると胃内容物の逆流による誤嚥性肺炎を起こすこともあり、実施にあたっては本人の意思確認と多職種による丁寧な検討が求められる。

他の選択肢が不適切な理由
「経口摂取ができる人に対して、優先的に選択されるべき」とする記述は誤りで、口から食べることは楽しみや口腔機能の維持にも関わるため、可能な限り経口摂取を続けることが原則である。「切り替えれば、誤嚥性肺炎のリスクは以後生じなくなる」とする記述も誤りで、胃の内容物が逆流したり唾液を誤嚥したりすることによって肺炎は起こりうる。「注入方法や姿勢に関わらず、一律の管理方法で対応すればよい」とする記述も誤りで、姿勢や注入の速さを誤ることが逆流を招く。
問93-11

認知症のある高齢者への食事支援の工夫に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①食事に集中できる環境を整え、本人のペースに合わせて声かけを行う。
  • ②食事の環境やペースは、認知症の症状にはほとんど影響しないといえる。
  • ③本人のペースにかかわらず、急いで食べさせることを優先すべきである。
  • ④食事に集中できない場合でも、環境を調整する必要性は低いといえる。
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正解 ①食事に集中できる環境を整え、本人のペースに合わせて声かけを行う。
解説
認知症のある高齢者は、周囲の音や人の動きに気を取られて食事に集中できなかったり、食べ方の手順が分からなくなったりすることがあるため、テレビを消すなど食事に集中しやすい環境を整え、急かさず本人のペースに合わせてやさしく声をかけることが大切である。食具の工夫や一品ずつ提供するなどの配慮も有効とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「食事の環境やペースは、認知症の症状にはほとんど影響しない」「食事に集中できない場合でも、環境を調整する必要性は低い」とする記述は、いずれも周囲の音や視界に入るものに注意がそれやすいという特徴を見落としており、環境を整えるだけで食べられる量が変わるという場面を捉えられない。「本人のペースにかかわらず、急いで食べさせることを優先すべき」とする記述も誤りで、飲み込む前に次の一口を運べば誤嚥や窒息を招き、急かされること自体が拒否や興奮の引き金にもなる。
問103-11

高齢者の食事摂取基準・水分摂取量の目安に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①高齢者は年齢が上がるほど、画一的に多くのエネルギーを必要とするといえる。
  • ②必要な栄養素やエネルギー量は個人差が大きく、状態に応じた調整を要する。
  • ③水分摂取量は疾患の有無にかかわらず、同一の目安量でよいといえる。
  • ④食事摂取基準は成人期のみに適用され、高齢期には設定されていない。
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正解 ②必要な栄養素やエネルギー量は個人差が大きく、状態に応じた調整を要する。
解説
高齢者に必要なエネルギーや栄養素の量は、活動量や身体状況、疾患の有無によって個人差が大きく、日本人の食事摂取基準においても高齢期は年齢区分を分けたうえで低栄養やフレイルの予防を意識した目安が示されている。水分摂取量についても、心疾患や腎疾患など制限が必要な場合を除き、個々の状態に応じた調整が必要とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「年齢が上がるほど、画一的に多くのエネルギーを必要とする」とする記述は誤りで、必要な量は活動量や体格によって決まり、年齢だけで一律に増えるものではない。「水分摂取量は疾患の有無にかかわらず、同一の目安量でよい」とする記述も誤りで、心不全や腎不全では水分を制限する必要があるため、医師の指示に基づく調整が欠かせない。「食事摂取基準は成人期のみに適用され、高齢期には設定されていない」とする記述も誤りで、高齢期は年齢区分を分けたうえで目安が示されている。

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