2026年版・2-13

高齢者虐待防止と権利擁護の一問一答

介護支援専門員試験「介護支援分野②(ケアマネジメントの実践)」から、高齢者虐待防止と権利擁護に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-13

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律における虐待の類型に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①同法が定める虐待の類型は身体的虐待と経済的虐待の2種類で、心理的虐待は含まれない。
  • ②身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待の5類型が定められている。
  • ③虐待の類型は法律上定義されておらず、各市町村が独自に類型を定めて運用している。
  • ④同法の虐待は身体的な暴力行為のみを対象とし、財産上の不利益は対象に含まれない。
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正解 ②身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待の5類型が定められている。
解説
高齢者虐待防止法(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)は、虐待の類型として身体的虐待、介護・世話の放棄放任(ネグレクト)、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待の5つを定めています。財産上の不当な利益取得(経済的虐待)も明確に虐待の一類型として位置づけられており、身体的な暴力行為のみを対象とする記述は誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「身体的虐待と経済的虐待の2種類」とする記述は、暴言や無視などの心理的虐待、必要な介護を行わないネグレクト、性的虐待を取りこぼしてしまい、法が5類型を並べて定めた趣旨に反します。「各市町村が独自に類型を定めて運用している」とする記述は、全国どこでも同じ基準で通報や事実確認ができるよう国の法律が類型を定義していることと矛盾します。「身体的な暴力行為のみ」とする記述は、あざのような目に見える被害だけを虐待とみなす考え方であり、預貯金や年金の使い込みという発見の遅れやすい被害を救済の対象から外してしまいます。
問22-13

高齢者虐待を発見した養介護施設従事者等の通報義務に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①通報を行うかどうかは施設の管理者の裁量のみに委ねられており、法律上の義務は課されていない。
  • ②通報は虐待の中でも程度が最も重い身体的虐待を発見した場合に限って義務が生じるとされる。
  • ③施設内で虐待が発生した場合であっても、職員間だけで処理し、外部への通報は推奨にとどまるとされる。
  • ④自らが業務に従事する施設・事業所内で虐待を発見した場合、危険度の大小にかかわらず通報義務を負う。
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正解 ④自らが業務に従事する施設・事業所内で虐待を発見した場合、危険度の大小にかかわらず通報義務を負う。
解説
高齢者虐待防止法では、生命又は身体に重大な危険が生じている場合には速やかに市町村へ通報しなければならないとされています。特に養介護施設従事者等は、自らが業務に従事する施設・事業所内での虐待を発見した場合、危険度の大小にかかわらず通報義務を負うとされており、施設内での隠蔽は法令違反となります。通報を裁量や施設管理者の判断に委ねる記述は誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「施設の管理者の裁量のみに委ねられて」いるとする記述は、通報の可否を組織の内部判断に置くもので、通報者を保護しつつ市町村という外部の目を入れるという法の仕組みそのものを否定します。「身体的虐待を発見した場合に限って」とする記述も誤りで、心理的虐待やネグレクト、経済的虐待も通報の対象です。「職員間だけで処理し、外部への通報は推奨にとどまる」とする記述は、通報したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じてまで外部への通報を促している法の趣旨に反します。
問32-13

高齢者虐待防止法における「養護者による虐待」と「養介護施設従事者等による虐待」の違いに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①養護者による虐待は家族等、施設従事者等による虐待は職員等が対象で、枠組みが異なる。
  • ②両者に区別はなく、法律上同一の手続きで市町村が対応することとされている。
  • ③養護者による虐待は施設内の虐待を指し、施設従事者等による虐待は家庭内の虐待を指す。
  • ④養護者による虐待のみが法律の対象で、施設従事者による虐待は別の法律で規律される。
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正解 ①養護者による虐待は家族等、施設従事者等による虐待は職員等が対象で、枠組みが異なる。
解説
高齢者虐待防止法は、家族等の「養護者」による虐待と、施設・事業所の職員である「養介護施設従事者等」による虐待とを区別し、それぞれ通報の受理や事実確認、対応の手続きに関する枠組みを定めています。両者は虐待を行う主体が異なり、市町村の対応の仕方にも違いがあるため、区別がない、あるいは対象が逆であるとする記述は誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「法律上同一の手続きで市町村が対応する」とする記述は、その後の流れの違いを見落としています。養護者による虐待では市町村が事実確認のうえ本人の分離保護や養護者への支援を行いますが、施設従事者等による虐待では市町村が受けた通報を都道府県へ報告し、指定や指導監督の権限を持つ都道府県が事業者への処分や状況の公表を行います。「養護者による虐待は施設内」とする記述は家庭と施設を取り違えたものであり、「施設従事者による虐待は別の法律で規律される」とする記述は、同じ法律の中に両方の枠組みが置かれている点を見落としたものです。
問42-13

高齢者虐待の通報を受けた市町村が担う役割に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①市町村は通報を受けた場合、事実確認を行わずに直ちに養護者を刑事告発する。
  • ②市町村は通報の内容を国保連に転送するのみで、自ら事実確認や措置を行う権限はない。
  • ③市町村は事実確認を行い、地域包括支援センター等と連携し安全確保等の措置を講じる。
  • ④市町村の役割は通報の受付台帳を作成することのみで、対応は都道府県が一元的に行う。
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正解 ③市町村は事実確認を行い、地域包括支援センター等と連携し安全確保等の措置を講じる。
解説
市町村は高齢者虐待の通報を受けた場合、速やかに高齢者の安全確認その他事実確認のための措置を講じ、必要に応じて地域包括支援センター等の関係機関と連携しながら、高齢者の保護や養護者への支援等の必要な措置を行う役割を担います。事実確認を経ずに刑事告発する、あるいは国保連に転送するのみという記述は誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
「事実確認を行わずに直ちに養護者を刑事告発する」とする記述は、法が第一に求めているのが処罰ではなく高齢者の安全確保と養護者への支援である点を取り違えています。「国保連に転送するのみ」とする記述も誤りで、国民健康保険団体連合会は介護報酬の審査支払や苦情処理を担う機関であり、虐待の事実確認を行う立場にはありません。「都道府県が一元的に行う」とする記述も誤りで、養護者による虐待では住民に最も近い市町村が第一次的な窓口となり、立入調査や居室の確保といった措置も市町村が行います。
問52-13

2024年度(令和6年度)から介護サービス事業者に義務付けられた高齢者虐待防止に関する措置として、最も適切なものはどれか。

  • ①虐待防止のための研修は3年に一度実施すれば足り、毎年度の実施は求められていない。
  • ②虐待防止委員会の開催、指針整備、研修実施、担当者配置が経過措置を経て義務化された。
  • ③虐待防止措置は施設サービスにのみ義務付けられ、居宅介護支援は対象に含まれない。
  • ④虐待防止措置を怠り続けたとしても、介護報酬上の不利益(減算等)は生じないとされている。
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正解 ②虐待防止委員会の開催、指針整備、研修実施、担当者配置が経過措置を経て義務化された。
解説
2021年度の制度改正で設けられた3年間の経過措置を経て、2024年度からすべての介護サービス事業者に、虐待の発生又は再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、職員研修の実施、担当者の配置という一連の措置が義務化されました。この義務は居宅介護支援を含む介護サービス事業者全般に及び、未実施の場合には介護報酬上の減算等の対象となり得ます。

他の選択肢が不適切な理由
「3年に一度実施すれば足り」るとする記述は、義務化までの猶予として設けられた3年という経過措置の期間と、研修そのものの実施頻度とを取り違えたものです。研修は定期的な実施に加え、新規に採用した職員に対しても行うことが求められています。「施設サービスにのみ義務付けられ」るとする記述は誤りで、居宅介護支援や訪問系・通所系を含むすべての介護サービス事業者が対象です。「介護報酬上の不利益は生じない」とする記述も誤りで、措置を講じていない場合には減算の対象となります。
問62-13

法定後見制度における判断能力の程度に応じた区分に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①法定後見制度は「後見」の1類型のみで、判断能力の程度による区分はない。
  • ②法定後見制度は本人の年齢のみによって「後見」「保佐」「補助」の3類型に区分される。
  • ③法定後見制度は財産の額のみによって類型が決まり、判断能力の程度は考慮されない。
  • ④判断能力が欠ける通常の状態から不十分な状態まで、後見・保佐・補助に区分される。
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正解 ④判断能力が欠ける通常の状態から不十分な状態まで、後見・保佐・補助に区分される。
解説
法定後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて「後見」(判断能力が欠けているのが通常の状態)、「保佐」(判断能力が著しく不十分な状態)、「補助」(判断能力が不十分な状態)の3類型に区分されます。この区分は本人の判断能力の程度によって決まるものであり、年齢や財産の額のみによって決まるものではありません。

他の選択肢が不適切な理由
「後見の1類型のみ」とする記述は、判断能力が一定程度残っている人には必要な範囲だけ支援を及ぼすという考え方から保佐と補助を設けた制度の趣旨を見落としています。「本人の年齢のみによって」とする記述は誤りで、法定後見は年齢による線引きを設けておらず、高齢者に限られた制度でもありません。「財産の額のみによって類型が決まる」とする記述も誤りで、財産の多寡は後見人等の事務量や報酬には関わりますが、どの類型になるかは医師の診断等に基づく判断能力の程度によって決まります。
問72-13

日常生活自立支援事業に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①判断能力が不十分な者を対象に、社会福祉協議会等が福祉サービスの利用援助等を行う。
  • ②日常生活自立支援事業は家庭裁判所が実施主体となり、成年後見人の選任と同じ手続きで行う。
  • ③日常生活自立支援事業は要介護3以上の認定者のみを対象とする介護保険の給付サービスである。
  • ④日常生活自立支援事業は財産の全面的な管理処分権限を援助者に付与する制度である。
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正解 ①判断能力が不十分な者を対象に、社会福祉協議会等が福祉サービスの利用援助等を行う。
解説
日常生活自立支援事業は、認知症高齢者や知的障害者・精神障害者等で判断能力が不十分な人を対象に、都道府県・指定都市の社会福祉協議会等を実施主体として、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理の支援等を行う事業です。成年後見制度とは異なり、財産の全面的な管理処分権限を援助者に付与するものではなく、家庭裁判所が実施主体でもありません。

他の選択肢が不適切な理由
「家庭裁判所が実施主体となり」とする記述は、審判によって後見人等を選任する成年後見制度と取り違えたものです。日常生活自立支援事業は本人と社会福祉協議会との契約に基づく福祉サービスであり、利用するには契約の内容を理解できる程度の判断能力が残っていることが前提となります。「要介護3以上の認定者のみを対象とする介護保険の給付サービス」とする記述も誤りで、この事業は要介護認定の有無を問わず、介護保険の給付でもありません。「財産の全面的な管理処分権限を援助者に付与する」とする記述も、通帳の預かりや日常的な支払いの代行といった限られた支援にとどまる実際と食い違います。
問82-13

契約による介護サービスの利用が著しく困難な高齢者に対する「やむを得ない事由による措置」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①この措置は成年後見人が選任された高齢者にのみ適用され、それ以外には適用されない。
  • ②この措置は介護保険施設への入所に限られ、居宅サービスの利用には適用されない。
  • ③契約によるサービス利用が難しい高齢者を、市町村が職権でつなげる仕組みである。
  • ④この措置を適用するかどうかは、家族の意向のみによって決定されるものとされている。
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正解 ③契約によるサービス利用が難しい高齢者を、市町村が職権でつなげる仕組みである。
解説
認知症等により判断能力が低下し、本人との契約によるサービス利用が著しく困難な高齢者について、市町村が職権によって介護保険サービス等の利用につなげる「やむを得ない事由による措置」という仕組みが設けられています。この措置は居宅サービス・施設サービスのいずれにも用いられ得るものであり、成年後見人が選任されている場合に限定されるものではありません。

他の選択肢が不適切な理由
「成年後見人が選任された高齢者にのみ適用され」るとする記述は、後見人がいれば本人に代わって契約できるためこの措置を用いる必要が乏しいという位置づけを、逆に述べたものです。この措置はむしろ後見人等がまだいない段階で、緊急に支援へつなぐために用いられます。「介護保険施設への入所に限られ」るとする記述は誤りで、訪問介護や通所介護など居宅サービスにも用いられます。「家族の意向のみによって決定される」とする記述も誤りで、判断するのは市町村であり、本人の状況を確認したうえでの職権による決定です。
問92-13

介護サービスにおける身体拘束禁止の原則と「緊急やむを得ない場合」の考え方に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①身体拘束は職員の判断のみで随時実施でき、記録や検討の手続きは特に求められていない。
  • ②切迫性・非代替性・一時性の3要件を満たし、組織の手続きを経た場合に限り認められる。
  • ③身体拘束は利用者や家族の希望があれば、要件の検討を経ずに実施してよい。
  • ④身体拘束の禁止は施設サービスにのみ適用され、居宅サービスには適用されない。
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正解 ②切迫性・非代替性・一時性の3要件を満たし、組織の手続きを経た場合に限り認められる。
解説
介護サービスにおける身体拘束は原則として禁止されており、生命又は身体を保護するため緊急にやむを得ない場合に限り、切迫性・非代替性・一時性の3要件をすべて満たし、かつ組織として検討・記録する手続きを経た場合に例外的に認められます。この原則は施設サービスに限らず居宅サービスにも及ぶものであり、職員の判断のみで実施してよいものではありません。

他の選択肢が不適切な理由
「記録や検討の手続きは特に求められていない」とする記述は、拘束を行った場合にその態様や時間、その際の心身の状況、やむを得なかった理由を記録することが運営基準で義務づけられている点と食い違います。「利用者や家族の希望があれば、要件の検討を経ずに実施してよい」とする記述も誤りで、身体拘束は本人の尊厳と自由に直接関わるため、同意があっても3要件の検討と組織的な手続きを省くことはできません。「施設サービスにのみ適用され」るとする記述は、居宅サービスや地域密着型サービスにも同じ禁止の考え方が及んでいることを見落としています。
問102-13

高齢者の親族による経済的虐待(年金や預貯金の不当な使い込み等)が疑われる場合の対応として、最も適切なものはどれか。

  • ①経済的虐待は財産に関する問題であるため、高齢者虐待防止法の通報の対象にはならない。
  • ②本人に判断能力がある場合、家族間の問題として行政は関与しないこととされる。
  • ③経済的な被害の回復は家庭裁判所への提訴によってのみ可能で、市町村の関与は想定されない。
  • ④市町村へ通報・相談し、後見制度の活用も検討しつつ財産と安全を守る対応を図る。
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正解 ④市町村へ通報・相談し、後見制度の活用も検討しつつ財産と安全を守る対応を図る。
解説
親族による年金や預貯金の不当な使い込みなどの経済的虐待が疑われる場合も、高齢者虐待防止法上の通報・相談の対象となります。介護支援専門員は市町村へ通報・相談し、必要に応じて成年後見制度の活用等の権利擁護の仕組みも検討しながら、高齢者本人の財産と安全を保護するための対応を図ることが求められます。家庭内の問題として関与しないという対応は不適切です。

他の選択肢が不適切な理由
「財産に関する問題であるため通報の対象にはならない」とする記述は、経済的虐待が虐待の5類型の一つとして明記されている点を見落としています。「本人に判断能力がある場合、家族間の問題として行政は関与しない」とする記述も誤りで、判断能力があっても家族への遠慮や生活面での依存から被害を訴えにくいことが多く、むしろ行政の関与が必要な場面です。「家庭裁判所への提訴によってのみ可能」とする記述は、裁判による被害の回復と、市町村による事実確認や分離、後見開始の市町村長申立てといった行政の手立てとを取り違えたものです。

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