2026年版・2-6

キャリオーバとその防止の一問一答

2級ボイラー技士試験「ボイラーの取扱いに関する知識」から、キャリオーバとその防止に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-6

ボイラーにおけるキャリオーバの説明として、最も適切なものはどれか。

  • ①燃焼用の空気が不足し、燃料が完全に燃え切らないまま煙道へ排出されるという現象である。
  • ②ボイラー水中に溶け込んだ酸素が、缶体の金属を徐々に腐食させていくという現象である。
  • ③ボイラー水中の水分や不純物が、蒸気と分離しきれないまま蒸気とともに送り出される現象。
  • ④給水中の硬度成分が伝熱面に固形物として付着し、熱の伝わりを妨げるという現象である。
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正解 ③ボイラー水中の水分や不純物が、蒸気と分離しきれないまま蒸気とともに送り出される現象。
解説
キャリオーバとは、ボイラー内で発生した蒸気にボイラー水中の水分や溶存物質が十分に分離されないまま混入し、そのまま蒸気とともに送り出されてしまう現象をいう。蒸気の質を低下させ、配管や機器に悪影響を及ぼす。

他の選択肢が不適切な理由
燃焼用空気の不足による不完全燃焼は、キャリオーバとは異なる燃焼上の問題である。溶存酸素による腐食は水質管理上の別の障害であり、蒸気への水分混入とは異なる現象である。硬度成分の付着はスケールと呼ばれる別の障害であり、キャリオーバの説明ではない。
問22-6

プライミング(水気立ち)と呼ばれる現象の説明として、最も適切なものはどれか。

  • ①水位の急上昇などにより、水そのものが泡を伴わずに蒸気側へ巻き上げられる現象。
  • ②ボイラー水が細かい泡状になって蒸気側へ持ち出される現象を指す別の用語である。
  • ③給水中の油分が原因となって、缶水の表面に持続的な泡の層が形成される現象である。
  • ④燃焼ガス中のすすが蒸気配管の内壁に付着し、通気抵抗を増加させる現象を指す。
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正解 ①水位の急上昇などにより、水そのものが泡を伴わずに蒸気側へ巻き上げられる現象。
解説
プライミングは、水位の急激な上昇や負荷の急変などによって、泡を介さずに水そのものが物理的に蒸気側へ巻き上げられてしまう現象を指す。

他の選択肢が不適切な理由
泡状になって水分が持ち出される現象はフォーミングと呼ばれる別の現象であり、プライミングの説明とは異なる。油分による持続的な泡の層の形成もフォーミングの原因として説明される事項であり、プライミングそのものの説明ではない。すすの付着による通気抵抗の増加は燃焼側の問題であり、水位に関するキャリオーバの一種であるプライミングとは異なる。
問32-6

フォーミング(泡立ち)と呼ばれる現象の説明として、最も適切なものはどれか。

  • ①水位が急激に上昇し、泡を伴わずに水そのものが蒸気側へ巻き上げられていく別の現象を指す。
  • ②油分や有機物の混入などにより缶水表面に泡の層ができ、その泡とともに水分が持ち出される現象。
  • ③缶水中に溶け込んだ溶存酸素が金属表面と反応し、腐食を進行させていく現象を指す別の用語である。
  • ④給水中のカルシウム分が濃縮され、伝熱面に固い付着物として析出する別の現象を指す。
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正解 ②油分や有機物の混入などにより缶水表面に泡の層ができ、その泡とともに水分が持ち出される現象。
解説
フォーミングは、油分や界面活性剤、有機物などの混入によって缶水の表面に泡が持続的に形成され、その泡に水分が乗って蒸気側へ持ち出されてしまう現象をいう。

他の選択肢が不適切な理由
泡を伴わない水の巻き上げはプライミングと呼ばれる別の現象であり、フォーミングの説明ではない。溶存酸素による腐食は水質管理上の別の障害であり、泡立ちとは異なる現象である。カルシウム分の析出による付着物はスケールと呼ばれる別の障害であり、フォーミングの説明とは異なる。
問42-6

キャリオーバが発生した場合に生じる不具合として、最も適切なものはどれか。

  • ①キャリオーバは蒸気の乾き度を高める効果があり、蒸気使用先の機器にとって有利に働く。
  • ②蒸気配管内に水分が入り込み、ウォーターハンマーなど配管系統に障害を与えることがある。
  • ③キャリオーバが起きても、蒸気中に混入するのはあくまで空気だけであり水分は含まれない。
  • ④キャリオーバはあくまで燃焼室内だけの現象であり、蒸気配管や蒸気使用設備には影響が及ばない。
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正解 ②蒸気配管内に水分が入り込み、ウォーターハンマーなど配管系統に障害を与えることがある。
解説
キャリオーバによって水分を多く含んだ蒸気が送り出されると、蒸気配管内でウォーターハンマー(水撃作用)を起こしたり、蒸気を利用する機器の性能低下や損傷を招いたりするおそれがある。

他の選択肢が不適切な理由
キャリオーバは蒸気に水分が混入する現象であり、蒸気の乾き度を高めるという記述は事実と反対である。キャリオーバで混入するのは主に水分や溶存物質であり、空気だけが混入するという記述は誤りである。キャリオーバは蒸気とともに水分が送り出される現象であるため、蒸気配管や使用設備にまで影響が及ぶ点で燃焼室内にとどまる現象ではない。
問52-6

キャリオーバを防止するための水質面での対策として、最も適切なものはどれか。

  • ①適切な吹出し(ブロー)を行うなどして、ボイラー水中の不純物の濃度を管理値の範囲内に保つ。
  • ②ボイラー水の不純物濃度は蒸気の質には影響しないため、水質管理は特に必要ない。
  • ③キャリオーバを防ぐには、ボイラー水を入れ替えずに濃度をむしろ高め続けるほうがよい。
  • ④水質面での対策としては、給水にできる限り多くの油分を混入させることが、かなり有効である。
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正解 ①適切な吹出し(ブロー)を行うなどして、ボイラー水中の不純物の濃度を管理値の範囲内に保つ。
解説
キャリオーバの発生には、ボイラー水中の溶存物質や不純物の濃度が高くなりすぎることが関係するため、適切な吹出しを行って濃度を管理値の範囲内に保つことが有効な防止策となる。

他の選択肢が不適切な理由
ボイラー水の不純物濃度はキャリオーバのしやすさに直接関係するため、水質管理が不要という記述は誤りである。水を入れ替えずに濃度を高め続けることは、かえってキャリオーバを起こしやすくする不適切な対応である。油分の混入はフォーミングの原因となるものであり、対策どころかキャリオーバを助長する行為である。
問62-6

運転操作の面からキャリオーバを防止するための対策として、最も適切なものはどれか。

  • ①水位はできるだけ高く保つほど蒸気の質が良くなるため、常用水位を大きく超えて給水する。
  • ②蒸気負荷が急激に大きく増えたときは、燃焼量と給水量を同時に大きく変化させ一気に対応する。
  • ③キャリオーバの発生は運転操作と無関係であるため、水位や負荷変動に注意する必要はない。
  • ④水位を常用水位の適正な範囲に保ち、蒸気負荷の急激な変動をできるだけ避けるように運転する。
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正解 ④水位を常用水位の適正な範囲に保ち、蒸気負荷の急激な変動をできるだけ避けるように運転する。
解説
キャリオーバは水位が高すぎる状態や、蒸気負荷の急激な変動によって生じやすくなるため、水位を適正な常用水位の範囲に保ち、負荷の急変をできるだけ避けるように運転することが防止策となる。

他の選択肢が不適切な理由
水位を必要以上に高く保つことはキャリオーバを助長する要因であり、蒸気の質を良くするという記述は誤りである。燃焼量と給水量を同時に大きく変化させる操作は、かえって水位や圧力の急変を招きキャリオーバのリスクを高める。キャリオーバは水位や負荷変動といった運転操作の影響を強く受ける現象であり、無関係とする記述は誤りである。
問72-6

キャリオーバが疑われる兆候として、最も適切なものはどれか。

  • ①キャリオーバが起きているときほど、水面計の水位はむしろ静止した状態になる。
  • ②キャリオーバの兆候は、燃焼室ののぞき窓から見える火炎の色だけを頼りにしか判断できない。
  • ③水面計の水位が激しく変動し、蒸気圧力や流量の指示にも不自然な変化が見られる状態である。
  • ④キャリオーバが起きたとしても、蒸気系統の計器の指示にはこれといった変化が現れない。
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正解 ③水面計の水位が激しく変動し、蒸気圧力や流量の指示にも不自然な変化が見られる状態である。
解説
キャリオーバが発生しているときは、水面計の水位が激しく変動したり、蒸気圧力や蒸気流量の指示に不自然な変化が現れたりすることがあり、これらは重要な兆候として運転員が注意すべき事項である。

他の選択肢が不適切な理由
キャリオーバの発生時には水位が不安定になりやすく、水面計が完全に静止するという記述は事実と異なる。キャリオーバは水位や蒸気系統に関わる現象であり、火炎の色だけで判断できるものではない。キャリオーバが起きれば蒸気の状態が変化するため、関連する計器の指示に変化が現れないという記述は誤りである。
問82-6

キャリオーバによって蒸気を利用する機器側に生じうる影響として、最も適切なものはどれか。

  • ①キャリオーバによって蒸気の質はむしろ向上するため、機器の熱交換効率もかえって高まる。
  • ②キャリオーバは配管より下流にある機器には到達しないため、機器側への影響は生じない。
  • ③蒸気とともに送り込まれた不純物が機器内部に沈着し、性能低下や損傷の原因になることがある。
  • ④キャリオーバが起きても、機器内部に不純物が残ることはなく、清浄な状態がそのまま保たれる。
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正解 ③蒸気とともに送り込まれた不純物が機器内部に沈着し、性能低下や損傷の原因になることがある。
解説
キャリオーバにより不純物を含んだ水分が蒸気とともに送り出されると、蒸気を利用する機器の内部にその不純物が沈着し、伝熱性能の低下や機器の損傷を引き起こすことがある。

他の選択肢が不適切な理由
キャリオーバは蒸気の質を低下させる現象であり、熱交換効率が高まるという記述は事実と反対である。蒸気とともに送り出された水分や不純物は下流の機器まで運ばれることがあり、機器側への影響が生じないという記述は誤りである。不純物を含んだ蒸気が機器内部に流入すれば沈着が生じうるため、清浄な状態が保たれるという記述は誤りである。
問92-6

水位の変動が大きい状態が続く場合とキャリオーバの関係について、最も適切な説明はどれか。

  • ①水位の変動の大きさと、キャリオーバの起こりやすさとの間には、直接の関係は認められない。
  • ②水位が変動している間はむしろ蒸気の乾き度が安定し、キャリオーバは起こりにくくなる。
  • ③水位の変動はボイラー水の水質のみに影響し、蒸気側の現象には影響を与えない。
  • ④水位が不安定な状態は蒸気と水の分離を妨げやすく、キャリオーバを誘発しやすい要因となる。
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正解 ④水位が不安定な状態は蒸気と水の分離を妨げやすく、キャリオーバを誘発しやすい要因となる。
解説
水位が大きく変動している状態では、缶内で蒸気と水を適切に分離する働きが乱れやすくなり、プライミングなどのキャリオーバを誘発しやすい要因となる。水位の安定した運転がキャリオーバ防止にもつながる。

他の選択肢が不適切な理由
水位の不安定さは蒸気と水の分離条件に影響するため、直接の関係が認められないという記述は誤りである。水位が変動している状態は蒸気の乾き度を乱す要因になりやすく、キャリオーバが起こりにくくなるという記述は事実と反対である。水位の変動は蒸気側に送り出される水分の量にも影響するため、水質のみに関係し蒸気側の現象に影響しないという記述は誤りである。
問102-6

キャリオーバへの対応として、運転員が日常的に留意すべき事項として、最も適切なものはどれか。

  • ①キャリオーバは一度発生すれば、そのまま自然に収まるものなので、あえて対処せずに様子を見ればよい。
  • ②キャリオーバへの対応は性能検査を行う検査員だけの役割であり、日常の運転員は関与しない。
  • ③キャリオーバの防止は使用する燃料の種類を選ぶことだけで完結し、水位管理は関係がない。
  • ④水位と蒸気の状態を継続的に監視し、異常が見られた場合は燃焼量や給水量を調整して速やかに対処する。
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正解 ④水位と蒸気の状態を継続的に監視し、異常が見られた場合は燃焼量や給水量を調整して速やかに対処する。
解説
キャリオーバへの対応としては、運転員が日常的に水位や蒸気の状態を継続的に監視し、水位の変動や蒸気の質に異常が見られた場合には燃焼量や給水量を調整するなどして早めに対処することが重要である。

他の選択肢が不適切な理由
キャリオーバの原因(水質の濃縮や負荷変動など)が解消されない限り自然に収まるとは限らず、様子見だけでは不十分である。キャリオーバは日常の運転操作に深く関わる現象であり、検査員だけの役割とする記述は誤りである。キャリオーバの発生には水位管理も強く関係しており、燃料の種類の選定だけで完結するという記述は誤りである。

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