2026年版・6-2

基盤と専門職(専門):包括的支援と多職種連携の一問一答

社会福祉士国家試験「ソーシャルワーク専門・福祉サービス経営」から、基盤と専門職(専門):包括的支援と多職種連携に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする形式ですが、ここでは4択で出題しています。

問16-2

ジェネラリスト・ソーシャルワークに関する記述として、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①ケースワークなどの方法を、互いに切り離して別々に用いていく。
  • ②システム理論や生態学的視点を、実践の理論的な基盤としている。
  • ③個人から地域、制度までを視野に入れ、実践を一体的にとらえる。
  • ④クライエントのストレングスに着目し、本人の主体性を重視する。
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正解 ①ケースワークなどの方法を、互いに切り離して別々に用いていく。
解説
ジェネラリスト・ソーシャルワークは、ケースワーク、グループワーク、コミュニティワークなどを別々の方法として切り離すのではなく、クライエントの状況に応じて一体的に用いる考え方です。1970年代以降のソーシャルワークの統合化の流れの中で形成され、現在の日本のソーシャルワーク教育の基盤となっています。生活課題は一人の人の内面だけでなく、家族や地域、制度と結びついているため、方法を分けていては包括的な支援ができないからです。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は誤っているものを選ぶため、以下はいずれも正しい記述です。
・個人から制度まで一体的にとらえる:ミクロ・メゾ・マクロの各レベルを連続したものとして視野に入れ、実践を展開します。
・システム理論と生態学的視点:人と環境を一体のシステムとしてとらえ、その交互作用に働きかけることを理論的な基盤としています。
・ストレングスと主体性:クライエントの強みに着目し、本人が主体となって課題に取り組めるよう支えることを重視します。

覚え方のポイント
ジェネラリスト・ソーシャルワークの特徴は「点と面の融合(個別支援と地域支援の一体化)」「システム思考と生態学的視点」「本人主体とストレングス」「多様な方法の一体的な活用」です。「方法を分けて用いる」は統合化以前の考え方と覚えましょう。
問26-2

多職種によるチームアプローチのモデルのうち、チームのメンバーが専門職としての役割を意図的に越え、ある職種が他の職種の役割も担うことを特徴とするものとして、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①マルチディシプリナリー・モデル
  • ②トランスディシプリナリー・モデル
  • ③インターディシプリナリー・モデル
  • ④ケースマネジメント・モデル
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正解 ②トランスディシプリナリー・モデル
解説
トランスディシプリナリー・モデルは、チームのメンバーが専門職の境界を意図的に越え、互いの知識や技術を学び合いながら、ある職種が他の職種の役割も担う(役割の解放)ことを特徴とするチームのモデルです。関わる職員の数を絞ることで、利用者にとって窓口が分かりやすくなる利点があり、在宅支援や早期療育の場面などで用いられることがあります。ただし、役割を担う職種が十分な知識をもてるよう、チーム内での学び合いが前提となります。

他の選択肢が不適切な理由
・マルチディシプリナリー・モデル:各専門職がそれぞれの役割を独立して果たし、リーダー(医師など)のもとで分担して支援するモデルです。緊急時など、迅速な対応が求められる場面に向いています。
・インターディシプリナリー・モデル:各専門職が自分の役割を保ちつつ、チームで情報を共有し、話し合って共通の目標と方針を決め、協働して支援するモデルです。
・ケースマネジメント・モデル:ケアマネジメントの方法を指す言葉であり、多職種チームにおける役割分担の型を示すものではありません。

覚え方のポイント
接頭語の意味で覚えます。「マルチ(multi)=複数の職種が並ぶ(分担)」「インター(inter)=職種の間で協働する」「トランス(trans)=職種の境界を越える(役割の解放)」。
問36-2

多職種連携(IPW)に関する記述として、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①利用者と家族も、支援チームの一員として参画することが望ましい。
  • ②チームのメンバーが、支援の目標を共有することが重要とされる。
  • ③チームの調整役は医師が担うと、法律で一律に定められている。
  • ④他の職種の専門性や役割を理解することが、連携の基盤になる。
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正解 ③チームの調整役は医師が担うと、法律で一律に定められている。
解説
多職種連携(IPW:Interprofessional Work)において、チームの調整役を医師が担うと法律で一律に定めた規定はありません。調整役(コーディネーター)は、支援の目的や場面に応じて、医療ソーシャルワーカー、介護支援専門員、相談支援専門員、看護師などさまざまな職種が担います。多職種連携は、異なる専門職がそれぞれの専門性を生かしながら、利用者の生活の質を高めるという共通の目標に向かって対等な立場で協働するものです。職種によって見立てが異なるのは当然であり、その違いを率直に出し合うことで、利用者にとってよりよい支援が見えてきます。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は誤っているものを選ぶため、以下はいずれも正しい記述です。
・利用者と家族の参画:支援の主体は利用者であり、利用者や家族もチームの一員として話し合いに参画することが望ましいとされています。出題基準にも「利用者、家族の参画」が挙げられています。
・目標の共有:各職種が別々の目標で動くと支援がばらばらになるため、チーム全体で目標を共有します。
・他職種の理解:他の職種が何を大切にし、何ができるのかを理解することが、互いの尊重と円滑な協働の基盤となります。

覚え方のポイント
多職種連携のキーワードは「共通の目標」「互いの専門性の理解と尊重」「対等な関係」「利用者・家族の参画」です。専門職を養成する段階から連携を学ぶ教育をIPE(Interprofessional Education)といいます。
問46-2

〔事例〕地域包括支援センターのK社会福祉士は、認知症のLさん(84歳、女性)を自宅で介護している長女のMさん(55歳)から相談を受けた。Mさんは仕事と介護の両立に疲れ果て、「母にきつく当たってしまう自分が嫌になる」と涙ぐんでいる。K社会福祉士の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①Lさんの支援者として、Mさんには介護の手順を指導するだけにする。
  • ②センターの支援の対象はLさんなので、Mさんの相談は対象外と伝える。
  • ③介護休業を取って、しばらく介護に専念するようMさんに勧める。
  • ④Mさんの思いを受けとめ、Mさん自身の生活も支える方法を探る。
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正解 ④Mさんの思いを受けとめ、Mさん自身の生活も支える方法を探る。
事例のポイント
Mさんは仕事と介護の両立に疲れ、自分を責めています。介護の負担が高まると、本人への不適切な関わりにつながるおそれもあり、家族自身が支援を必要としている状況です。

解説
家族支援では、家族を本人の支援者としてだけでなく、自らも生活上の課題を抱える支援の対象としてとらえます。K社会福祉士は、Mさんのつらい気持ちを受けとめたうえで、介護サービスの利用や見直し、介護休業などの仕事と介護の両立支援の制度、家族会などの情報を提供し、Mさん自身の生活と健康を守る方法を一緒に考えることが適切です。家族の負担が軽くなることは、Lさんが安心して在宅生活を続けることにもつながります。

他の選択肢が不適切な理由
・介護の手順を指導するだけ:Mさんの心身の疲れや自責の念に応えておらず、負担をさらに増やしかねません。
・Mさんの相談は対象外と伝える:地域包括支援センターの総合相談支援は家族からの相談も受けるもので、家族介護者への支援も役割に含まれます。家族の介護負担は、放置すれば本人と家族の双方の生活を損ないます。
・介護休業を取って介護に専念するよう勧める:介護休業は、介護に専念するためというより、介護サービスの利用など仕事と介護を両立できる体制を整えるための期間と位置づけられています。Mさんが一人で介護を担い続ける形を強めると、負担はさらに増えます。

覚え方のポイント
家族支援の事例では「家族も支援の対象」「家族の思いを受けとめる」「家族自身の生活も守る」という視点の選択肢を選びます。「家族に任せる」「家族の問題として外す」「家族が犠牲になる」選択肢は誤りと判断しましょう。
問56-2

〔事例〕地域包括支援センターのN社会福祉士は、Oさん(82歳、女性)の介護保険サービスの相談で自宅を訪問した。そこで、同居する息子のPさん(52歳)が10年以上仕事をせずに自室にひきこもっており、Oさんの年金で2人が暮らしていることが分かった。N社会福祉士の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①世帯全体の課題ととらえ、ひきこもり支援の機関と連携していく。
  • ②Pさんの自立のため、本人の同意なく家を出るよう強く求める。
  • ③Oさんの介護サービスを先に確定させ、Pさんの課題は後で扱う。
  • ④Pさんの支援はひきこもり支援の機関に引き継ぎ、以後は関与しない。
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正解 ①世帯全体の課題ととらえ、ひきこもり支援の機関と連携していく。
事例のポイント
80代の親と50代のひきこもりの子の世帯(いわゆる8050問題)です。Oさんの介護だけでなく、Pさんの生活や、親亡き後の世帯の生活基盤など、複数の課題が重なっています。

解説
一つの世帯の中に、高齢、ひきこもり、経済的困難など、分野の異なる課題が重なっている場合、一つの機関だけで対応することは困難です。N社会福祉士は、Oさんへの支援を進めながら、世帯全体の課題としてとらえ、ひきこもり地域支援センターや生活困窮者自立相談支援機関など、分野を越えた関係機関と連携して支援することが適切です。このような属性や分野を問わない包括的な支援の体制は、社会福祉法に基づく重層的支援体制整備事業などを通じて整えられつつあります。

他の選択肢が不適切な理由
・Pさんの課題は後で扱う:世帯の課題は互いに結びついており、Oさんの支援だけを先に進めても、親亡き後の生活など世帯の行き詰まりは解消しません。世帯全体を並行してとらえます。
・同意なく家を出るよう強く求める:Pさんの意思を無視した対応であり、関係を断ち、ひきこもりを深刻にするおそれがあります。
・引き継いで以後は関与しない:専門機関につなぐことは必要ですが、引き継いだ後に関わりを断つと、機関ごとの支援がばらばらになります。世帯を支える機関どうしが連携し続けることが大切です。

覚え方のポイント
複合的な課題の事例では「世帯全体をとらえる」「分野を越えて連携する」が正解の方向です。「自分の機関の対象外だから関わらない」「つないだら終わり」は、包括的支援の考え方に反する典型的な誤りの選択肢です。
問66-2

〔事例〕Q病院の医療ソーシャルワーカーであるR社会福祉士は、脳梗塞で入院しているSさん(76歳、男性)の退院に向けたカンファレンスを企画している。Sさんは意思を伝えることができ、自宅に戻りたいと話している。R社会福祉士のカンファレンスの進め方として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①Sさんの負担を考え、家族の代表だけに参加を求めて方針を話し合う。
  • ②医師が決めた退院の方針を、他の職種に周知することを目的とする。
  • ③各職種が個別にSさんに説明し、職種間での調整は特に行わない。
  • ④Sさんと家族にも参加を求め、意向を確かめながら方針を話し合う。
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正解 ④Sさんと家族にも参加を求め、意向を確かめながら方針を話し合う。
事例のポイント
Sさんは「意思を伝えることができ」、「自宅に戻りたい」という明確な希望をもっています。退院後の生活を決める話し合いの場をどう運営するかが問われています。

解説
退院に向けたカンファレンスは、医師、看護師、理学療法士、医療ソーシャルワーカー、在宅の介護支援専門員など、多職種が集まって退院後の生活を検討する場です。支援の主体はSさん自身であるため、本人と家族にも参加を求め、その意向を中心に据えて各職種の見立てを出し合い、合意を形成していくことが適切です。本人が参加することで、本人の納得のもとに計画が決まり、退院後の生活への主体的な取り組みにもつながります。

他の選択肢が不適切な理由
・家族の代表だけに参加を求める:家族の参加は大切ですが、意思を伝えられるSさん本人を話し合いから外しており、自己決定の尊重に反します。負担が心配なら、時間や場所を工夫して本人が参加できるようにします。
・医師の方針を周知する目的:カンファレンスは各職種が対等に意見を出し合う場であり、決定事項を伝達するだけの場ではありません。
・職種間の調整は行わない:各職種がばらばらに説明すると、本人や家族が混乱し、支援も一貫しなくなります。

覚え方のポイント
多職種連携の事例では「本人と家族の参画」「目標の共有」「対等な話し合い」がそろった選択肢を選びます。本人が意思を伝えられると書かれていれば、本人抜きで決める選択肢は必ず誤りです。
問76-2

ソーシャルサポートの種類のうち、悩みを聞いてもらったり励ましてもらったりすることで得られる支えを表すものとして、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①手段的サポート
  • ②情緒的サポート
  • ③評価的サポート
  • ④情報的サポート
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正解 ②情緒的サポート
解説
ソーシャルサポートとは、人が周囲の人々との関係の中で受ける支えのことで、一般に情緒的サポート、手段的サポート、情報的サポート、評価的サポートに分けられます。情緒的サポートは、共感や愛情、信頼に基づいて、話を聞いてもらう、励ましてもらう、そばにいてもらうといった形で、心の支えとなるものです。困難に直面したときのストレスをやわらげる働きがあるとされ、孤立を防ぐうえでも重要です。

他の選択肢が不適切な理由
・手段的サポート:家事を手伝ってもらう、お金を貸してもらう、送り迎えをしてもらうなど、具体的な物やサービス、労力による支えです。
・情報的サポート:問題の解決に役立つ助言や情報(利用できる制度や相談先など)を提供してもらう支えです。
・評価的サポート:自分の考えや行動を認めてもらったり、適切に評価してもらったりすることで、自己評価を支えるものです。

覚え方のポイント
ソーシャルサポートは「情緒的(気持ち)・手段的(手助けや物)・情報的(情報や助言)・評価的(認めてもらう)」の4つです。ソーシャルサポートネットワークは、フォーマルな支援とインフォーマルな支援を組み合わせて、これらの支えを重層的に確保する考え方です。
問86-2

〔事例〕障害者相談支援事業所のT社会福祉士は、知的障害のあるUさん(25歳、男性)の就労に向けて、ハローワークや就労移行支援事業所と連携しようとしている。Uさんは、自分の障害のことは支援に必要な相手には伝えてよいが、以前の学校でのいじめの経験は知られたくないと話している。T社会福祉士の情報共有の方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①連携を円滑にするため、いじめの経験も含めて生活歴をすべて伝える。
  • ②漏えいのおそれがあるため、関係機関には障害のことも伝えないでおく。
  • ③支援に必要な範囲の情報を、Uさんが同意した内容に沿って共有する。
  • ④Uさんの同意を得たので、就労先の同僚全員にも障害のことを伝える。
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正解 ③支援に必要な範囲の情報を、Uさんが同意した内容に沿って共有する。
事例のポイント
Uさんは、「障害のことは支援に必要な相手には伝えてよい」が「いじめの経験は知られたくない」と、共有してよい範囲をはっきり示しています。

解説
多機関で連携する際には、本人の同意を得て、支援に必要な範囲の情報を、必要な相手とだけ共有することが原則です。連携のためであっても、本人が望まない情報まで伝えることは、プライバシーの侵害となり、信頼関係を損ないます。T社会福祉士は、Uさんが示した同意の範囲に沿って、就労支援に必要な障害の特性や配慮してほしいことなどを関係機関と共有するのが適切です。

他の選択肢が不適切な理由
・生活歴をすべて伝える:Uさんが知られたくないと話している情報まで伝えることになり、本人の意思とプライバシーを尊重していません。
・障害のことも伝えない:Uさんは必要な相手には伝えてよいと同意しており、情報を共有しなければ必要な配慮や支援が受けられません。
・同僚全員に伝える:同意は「支援に必要な相手」に対するものであり、就労先の同僚全員に伝えることは同意の範囲を超えています。

覚え方のポイント
情報共有の原則は「本人の同意」「必要な範囲」「必要な相手」の3つです。事例では、本人が示した同意の範囲(誰に・何を)を正確に読み取り、それを超える選択肢もそれに満たない選択肢も誤りと判断しましょう。
問96-2

家族を対象とした支援に関する記述として、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①家族の意見が一致するまで、本人への支援は始めないのが原則である。
  • ②家族の中で弱い立場にある人の声にも、十分に注意を払う必要がある。
  • ③家族を、互いに影響し合う一つのシステムとしてとらえて支援する。
  • ④家族がもつ強みや、これまで困難を乗り越えてきた力を支援に生かす。
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正解 ①家族の意見が一致するまで、本人への支援は始めないのが原則である。
解説
家族の中で意見が分かれることは珍しくなく、意見が一致するまで本人への支援を始めないとすれば、支援が必要な人に必要な支援が届かなくなります。とくに虐待や生命の危険がある場合には、家族の合意を待たずに本人の保護を優先しなければならないこともあります。家族支援では、本人の意思を尊重しつつ、家族それぞれの思いを受けとめ、支援を進めながら合意の形成を図っていくことが大切です。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は誤っているものを選ぶため、以下はいずれも正しい記述です。
・家族をシステムとしてとらえる:家族の一人に起きた変化は他の家族員にも影響するため、家族全体を相互に関係し合うシステムとして理解します。
・弱い立場の人の声への注意:子ども、高齢者、障害のある人、ヤングケアラーなど、家族の中で声を上げにくい人の思いや権利が見落とされないよう注意します。
・家族の強みを生かす:家族がもつ支え合いの力や、過去に困難を乗り越えてきた経験は、支援の大切な資源になります。

覚え方のポイント
家族支援のキーワードは「家族システム」「家族全体と一人ひとりの両方への配慮」「家族の強み(ストレングス)」です。「家族の合意がないと動けない」という選択肢は、本人の権利や安全を後回しにする誤りと覚えましょう。
問106-2

〔事例〕V病院で退院支援のカンファレンスが開かれた。Wさん(80歳、女性)は自宅への退院を強く希望しているが、病棟の看護師は「転倒の危険が高く、施設への入所が望ましい」と意見を述べた。医療ソーシャルワーカーのX社会福祉士の発言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①看護師の意見を踏まえ、中間案として介護老人保健施設を提案する。
  • ②Wさんの希望は伝えるが、退院先の判断は主治医に委ねると述べる。
  • ③Wさんの希望を理由に、看護師の懸念は退けて在宅復帰を決める。
  • ④Wさんの希望を伝え、転倒対策を含めて各職種の見立てを出し合う。
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正解 ④Wさんの希望を伝え、転倒対策を含めて各職種の見立てを出し合う。
事例のポイント
Wさん本人の希望(自宅への退院)と、看護師の専門的な懸念(転倒の危険)が対立しています。どちらか一方を切り捨てるのではなく、チームとしてどう合意をつくるかが問われています。

解説
ソーシャルワーカーは、多職種のチームの中で、利用者の思いや生活の視点を代弁する役割を担います。X社会福祉士は、Wさんの自宅に戻りたいという希望をチームに伝えると同時に、看護師の懸念も支援に必要な大切な情報として受けとめ、住宅改修や福祉用具、訪問リハビリテーション、見守りのサービスなど、転倒の危険を減らしながら在宅生活を実現する方法について、各職種の見立てを出し合うよう促すことが適切です。

他の選択肢が不適切な理由
・中間案として介護老人保健施設を提案する:対立を収める案に見えますが、Wさんの意向を確かめずに退院先を決めており、各職種の見立てを出し合う前に結論を出しています。
・退院先の判断は主治医に委ねる:退院の時期などの医学的な判断は医師が行いますが、退院後にどこで暮らすかを決めるのはWさん自身です。その判断を主治医に委ねると述べることは、代弁者の役割を果たしていません。
・看護師の懸念を退けて決める:本人の希望は尊重されるべきですが、転倒の危険という専門的な懸念を検討せずに決めることは、Wさんの安全を損ない、チームの合意形成にもなりません。

覚え方のポイント
チーム内の対立の事例では、「本人の意向を代弁する」と「他職種の専門的な意見を尊重する」の両方を満たす選択肢が正解です。どちらか一方だけを通す選択肢は誤りと判断しましょう。

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