地域包括支援センターの社会福祉士が、要介護1のAさん(82歳、女性)の自宅を訪問したところ、同居する長男(53歳)が10年以上仕事に就かず自室にこもりがちで、Aさんの年金で生計を立てていることが分かった。Aさんは「息子のことも心配だ」と話している。社会福祉士の対応として、最も適切なものはどれか。
- ①長男の思いも聴き、関係機関と連携して世帯を支える
- ②長男の支援はひきこもり地域支援センターへ任せる
- ③長男に対し、直ちに就職活動を始めるよう強く促す
- ④長男を家から出すことを考えるようAさんに助言する
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高齢の親と、社会から孤立した中高年の子が同居し、親の年金で生活している、いわゆる「8050問題」の典型的な状況です。支援の入口はAさんの介護ですが、課題は世帯全体にあり、Aさん自身も長男を心配している点に着目します。
解説
地域生活課題は、本人だけでなく世帯全体として捉える必要があります(社会福祉法4条3項)。社会福祉士は、Aさんの支援を続けながら、長男の思いや困りごとにも耳を傾け、長男の了解を得て、ひきこもりの相談機関、自立相談支援機関などと連携し、世帯全体を支える体制をつくります。分野ごとの窓口だけでは対応しにくい複合的な課題に対しては、社会福祉法の包括的な支援体制(106条の3)や重層的支援体制整備事業(106条の4)の枠組みを生かして、関係機関が協働することが求められています。
他の選択肢が不適切な理由
・ひきこもり地域支援センターへ任せる:専門機関との連携は大切ですが、長男の思いも了解も確かめないまま他機関に任せきりにすると、世帯全体を見た支援になりません。Aさんへの支援を続けながら、長男の了解を得て関係機関と協働することが求められます。
・直ちに就職活動を促す:長期間ひきこもっている人に一方的に就職を迫ると、かえって心を閉ざすおそれがあります。本人の思いを聴き、段階的に関わることが基本です。
・長男を家から出すよう助言:Aさん自身の意向にも反し、世帯の関係を壊しかねない助言です。
覚え方のポイント
複合課題の事例では「世帯全体を見る」「本人の意向を確かめる」「分野を越えて連携する」の3点がそろった選択肢を選びます。8050問題、ダブルケア、ヤングケアラーは地域生活課題の代表例として必ず押さえましょう。