2026年版・2-13

権利擁護:意思決定支援と法的諸問題の一問一答

社会福祉士国家試験「原理と政策・社会保障・権利擁護」から、権利擁護:意思決定支援と法的諸問題に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする形式ですが、ここでは4択で出題しています。

問12-13

「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(厚生労働省)に示された考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①本人の意思の確認が難しい場合は、担当の支援者が単独で最善の利益を判断する。
  • ②支援者から見て不合理な決定でも、他者の権利を侵害しないならその選択を尊重する。
  • ③意思決定支援は、判断能力が十分にあると認められた人だけを対象として行うものである。
  • ④本人の意思と家族の意向が異なるときは、家族の意向を優先して計画を立てる。
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正解 ②支援者から見て不合理な決定でも、他者の権利を侵害しないならその選択を尊重する。
解説
このガイドラインは、意思決定支援の基本原則として、本人への支援は自己決定の尊重に基づいて行うこと、職員などの価値観から見て不合理と思われる決定でも、他者への権利侵害がないのであれば、その選択を尊重するよう努める姿勢が求められることなどを示しています。人は誰でも、他人から見れば合理的でない選択をすることがあり、それも含めて本人の人生だからです。ただし、本人の生命や安全に関わるリスクについては、リスクの内容を本人と共有し、どう対応するかを検討することも求められます。

他の選択肢が不適切な理由
・支援者が単独で最善の利益を判断:本人の意思の確認や推定が難しい場合は、本人をよく知る関係者が集まって情報を持ち寄り、根拠を明確にしながら最善の利益を判断するとされています。支援者が一人で決めるものではありません。
・判断能力が十分な人だけを対象:意思決定支援は、自ら意思を決定することが難しい障害者を対象に、できる限り本人が自ら決められるよう支援するものです。
・家族の意向を優先:家族の意見は重要な情報ですが、支援の中心は本人の意思であり、家族の意向を優先することを原則とするものではありません。

覚え方のポイント
意思決定支援の順序は「本人が自ら決められるよう支援する→意思を推定する→どうしても難しいときに関係者で最善の利益を判断する(最後の手段)」。いきなり代わりに決めない、が大原則です。
問22-13

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(厚生労働省)の内容として、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①本人の意思は変化しうるので、話し合いは繰り返し行うことが重要である。
  • ②本人が意思を伝えられなくなる前に、信頼できる者を定めておくことが重要である。
  • ③本人や家族等と話し合った内容は、その都度文書にまとめておくものとする。
  • ④医療・ケアの方針は、担当する医師が単独で決定することを基本としている。
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正解 ④医療・ケアの方針は、担当する医師が単独で決定することを基本としている。
解説
このガイドラインは、人生の最終段階における医療・ケアについて、医師などの医療従事者から適切な情報提供と説明がなされたうえで、本人が医療・ケアチームと十分に話し合い、本人による意思決定を基本として進めることを最も重要な原則としています。方針の決定は医師が単独で行うのではなく、医師、看護師、社会福祉士などの多職種からなる医療・ケアチームで慎重に判断します。本人の意思が確認できない場合は、家族等が本人の意思を推定し、それを尊重して本人にとって最善の方針をとります。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。以下はガイドラインの内容として正しいものです。
・話し合いは繰り返し行う:心身の状態の変化などによって本人の意思は変わりうるため、繰り返し話し合うことが重要とされています。
・信頼できる者を定めておく:2018年の改訂で、本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者として家族等の信頼できる者を定めておくことの重要性が盛り込まれました。
・話し合った内容は文書にまとめる:話し合いの経過と結果は、その都度文書にまとめておくものとされています。

覚え方のポイント
このガイドラインは、あらかじめ本人と家族等、医療・ケアチームが繰り返し話し合うアドバンス・ケア・プランニング(ACP、愛称「人生会議」)の考え方を取り入れています。「本人の意思決定が基本」「チームで判断」「繰り返し話し合い、文書に残す」の3点を押さえます。
問32-13

「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(厚生労働省)が示す意思決定支援のプロセスの組合せとして、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①意思形成支援・意思表明支援・意思実現支援
  • ②意思確認支援・意思代行支援・意思実現支援
  • ③意思形成支援・意思推定支援・代理決定支援
  • ④意思表明支援・最善利益判断・代理決定支援
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正解 ①意思形成支援・意思表明支援・意思実現支援
解説
このガイドラインは、認知症の人の意思決定支援を、本人が意思を形成することの支援(意思形成支援)、形成した意思を表明することの支援(意思表明支援)、表明した意思を日常生活や社会生活に反映させることの支援(意思実現支援)の3つのプロセスで示しています。認知症があっても、本人には意思があり、適切な支援があれば自ら決めることができるという前提に立っています。支援者は、本人が理解しやすい情報の伝え方、話しやすい環境や時間帯、本人の表情や態度からの読み取りなどを工夫します。

他の選択肢が不適切な理由
・意思確認支援・意思代行支援を含む組合せ:ガイドラインは本人の意思を代わりに決める「代行」をプロセスとして示してはいません。
・意思推定支援・代理決定支援を含む組合せ:このガイドラインは、本人が自ら意思決定することを支援するためのものであり、代理決定をプロセスの一つとしていません。
・最善利益判断・代理決定支援を含む組合せ:最善の利益の判断や代理決定は、本人の意思を支援するプロセスそのものではありません。

覚え方のポイント
「形成(考える)→表明(伝える)→実現(かなえる)」と、動詞に置き換えて順番どおりに覚えます。3つのガイドライン(障害福祉サービス・人生の最終段階・認知症)の対象と特徴を比べておくと、どの問題にも対応できます。
問42-13

インフォームド・コンセントに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①インフォームド・コンセントは、説明を受けた患者が治療を拒むことを想定していない。
  • ②エホバの証人輸血事件の最高裁判決は、医師の救命判断が本人の意思に常に優先するとした。
  • ③医療法は、医療の担い手が適切な説明を行い、受ける者の理解を得るよう努めると定める。
  • ④インフォームド・アセントとは、成人の患者に代わって家族から同意を得ることをいう。
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正解 ③医療法は、医療の担い手が適切な説明を行い、受ける者の理解を得るよう努めると定める。
解説
医療法第1条の4第2項は、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならないと定めています。インフォームド・コンセントとは、患者が病状や治療の内容、危険性、他の選択肢などについて十分な説明を受け、理解したうえで、自らの意思で医療の方針に同意することです。患者の自己決定権を尊重する考え方に基づいています。

他の選択肢が不適切な理由
・治療を拒むことを想定していない:説明を受けたうえで治療を拒否すること(インフォームド・リフューザル)も、自己決定権の行使として尊重されます。
・医師の救命判断が本人の意思に常に優先する:最高裁判所(2000年)は、輸血を伴う医療行為を拒否する意思決定をする権利は人格権の一内容として尊重されなければならないとし、輸血の可能性を説明しなかった医師側の責任を認めました。
・インフォームド・アセントは家族から同意を得ること:インフォームド・アセントは、法的な同意能力が十分でない子どもなどに対し、理解できるように説明して本人の了解(賛意)を得ることです。

覚え方のポイント
「コンセント=同意(成人・法的)」「アセント=了解・賛意(子ども)」「リフューザル=拒否」。エホバの証人輸血事件は「自己決定権(人格権)の尊重」の代表判例として覚えます。
問52-13

事例を読んで、相談支援事業所の相談支援専門員(社会福祉士)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。〔事例〕Iさん(30歳、男性)は、知的障害があり、10年間グループホームで暮らしている。最近、「一人暮らしをしてみたい」と繰り返し話すようになった。両親は「失敗したらかわいそうだ」と反対している。Iさんは簡単な調理や買い物はできるが、金銭管理には不安がある。

  • ①一人暮らしの前提として、成年後見人の選任を申し立てるよう両親に勧める。
  • ②金銭管理が不安なので、一人暮らしは難しいと支援者の判断で結論を伝える。
  • ③Iさんの希望を聞いたらすぐにグループホームの退去の手続を進めることにする。
  • ④Iさんの思いを丁寧に聴き、体験の機会や必要な支援を一緒に検討していく。
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正解 ④Iさんの思いを丁寧に聴き、体験の機会や必要な支援を一緒に検討していく。
事例のポイント
Iさんは「一人暮らしをしたい」という希望を繰り返し述べています。一方で両親は反対し、金銭管理には不安があります。本人の意思と、周囲の心配やリスクをどう扱うかが問われています。

解説
意思決定支援では、本人の意思を出発点とし、支援者や家族の価値観から見て心配な選択であっても、その実現に向けて何が必要かを本人と一緒に考えます。一人暮らしの体験の機会(自立生活に向けた体験的な宿泊など)を活用したり、金銭管理の不安には日常生活自立支援事業などの支援を組み合わせたりすることで、本人が自分で選べる条件を整えます。両親の心配にも耳を傾け、本人・家族・関係者が話し合う場を設けることも大切です。

他の選択肢が不適切な理由
・成年後見人の選任を前提にする:Iさんは簡単な家事ができ、不安は金銭管理に限られています。本人と話し合う前に、最も制約の大きい手段を前提条件にして両親と進めることは、本人中心の意思決定支援に反します。まず本人と話し合い、日常生活自立支援事業など必要な範囲の支援から検討します。
・支援者の判断で難しいと結論を伝える:不安な点を理由に、本人と検討することなく可能性を閉ざすことは不適切です。不安は支援で補うことを考えます。
・すぐに退去の手続を進める:本人の希望は尊重しますが、準備や必要な支援を検討せずに進めると、本人の生活が不安定になるおそれがあります。

覚え方のポイント
意思決定支援の事例は「本人の意思を聴く→実現に必要な支援を一緒に考える→家族や関係者と共有する」の順で考えます。「反対があるから諦める」「リスクがあるからやめる」は、ほとんどの場合誤りの選択肢です。
問62-13

個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①病歴や障害に関する情報は、要配慮個人情報に含まれている。
  • ②同法は、民間の社会福祉法人やNPO法人には適用されない法律である。
  • ③生命等の保護に必要で同意取得が困難なら、同意なく第三者提供できる。
  • ④要配慮個人情報の取得には、原則として本人の同意が必要である。
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正解 ②同法は、民間の社会福祉法人やNPO法人には適用されない法律である。
解説
個人情報保護法は、個人情報データベース等を事業の用に供している者を「個人情報取扱事業者」として義務を課しており、営利か非営利か、法人の種類や規模を問いません。社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、医療法人なども対象です。福祉の現場では、利用者の心身の状態や家族関係など、特に配慮が必要な情報を日常的に扱うため、法律に沿った取扱いが欠かせません。社会福祉士には、これとは別に社会福祉士及び介護福祉士法による秘密保持義務もかかっています。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。以下は正しい記述です。
・病歴や障害は要配慮個人情報:本人に対する不当な差別や偏見が生じないよう特に配慮が必要な情報として、病歴や障害などが定められています(個人情報保護法第2条第3項)。
・要配慮個人情報の取得には原則として本人の同意が必要:同法第20条第2項の規定です。
・生命等の保護に必要で同意取得が困難なら第三者提供できる:人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合で、本人の同意を得ることが困難なときは、例外として同意なく第三者に提供できます(同法第27条第1項)。

覚え方のポイント
第三者提供の例外は「法令に基づく場合(虐待の通報など)」「生命・身体・財産の保護で同意困難」「公衆衛生・児童の健全育成で同意困難」「国等への協力」。福祉の現場で使う場面と結びつけて覚えましょう。
問72-13

秘密保持と第三者の安全に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①タラソフ事件の判決は、危害の重大な危険があれば治療者に第三者の保護義務があるとした。
  • ②タラソフ事件の判決は、秘密保持義務がどのような場合でも例外なく優先されると判断した。
  • ③社会福祉士の秘密保持義務は、社会福祉士でなくなった後には消滅することになっている。
  • ④社会福祉士が秘密保持義務に違反しても、罰則は設けられておらず登録の取消しのみである。
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正解 ①タラソフ事件の判決は、危害の重大な危険があれば治療者に第三者の保護義務があるとした。
解説
タラソフ事件は、アメリカ・カリフォルニア州で、心理療法を受けていたクライエントが特定の女性を殺害する意図を治療者に打ち明け、実際に殺害に及んだ事件です。州の最高裁判所は1976年、クライエントが第三者に重大な危害を加える危険があると判断される場合、治療者はその第三者を保護するために合理的な措置をとる義務があるとしました。秘密保持は援助関係の基盤ですが、他者の生命に関わる重大な危険がある場合には例外があることを示した代表的な判例です。

他の選択肢が不適切な理由
・秘密保持が例外なく優先:判決は、秘密保持の利益よりも第三者の生命を守る必要が上回る場合があることを示しました。
・社会福祉士でなくなった後は消滅:社会福祉士及び介護福祉士法第46条は、社会福祉士でなくなった後も秘密保持義務が続くことを定めています。
・罰則はなく登録の取消しのみ:秘密保持義務に違反した者は、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処せられます(同法第50条、告訴がなければ公訴を提起できない親告罪)。登録の取消しの対象にもなります。

覚え方のポイント
秘密保持の例外は「本人の同意」「法令に基づく通報(虐待など)」「生命・身体への重大な危険(警告・保護義務)」。社会福祉士の義務は「44条の2 誠実義務/45条 信用失墜行為の禁止/46条 秘密保持義務(罰則あり)/47条 連携/47条の2 資質向上」と条文番号も一緒に押さえます。
問82-13

権利擁護に関わる組織・機関に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①後見開始や保佐開始の審判は、家庭裁判所が行うことになっている。
  • ②成年後見に関する登記事項証明書は、法務局で交付を受けることができる。
  • ③法務局は、成年後見人を選任し、その後見の事務を監督する機関である。
  • ④中核機関は市町村が整備し、運営を社会福祉協議会等に委託することもできる。
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正解 ③法務局は、成年後見人を選任し、その後見の事務を監督する機関である。
解説
成年後見人を選任し(民法第843条)、後見の事務を監督するのは家庭裁判所です。家庭裁判所は、後見人に財産目録や収支の報告を求めたり、必要に応じて後見監督人を選任したりして、後見人が本人のために適切に職務を行っているかを確認します。法務局は、成年後見に関する登記(後見登記)を管理し、登記事項証明書を交付する機関です。人権擁護に関する事務(人権相談など)も担っていますが、後見人の選任や監督を行う機関ではありません。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。以下は正しい記述です。
・審判は家庭裁判所が行う:後見・保佐・補助の開始の審判は家庭裁判所の権限です(民法第7条・第11条・第15条)。
・登記事項証明書は法務局で交付:本人や成年後見人などは、法務局で登記事項証明書(後見人であることの証明など)の交付を受けられます。
・中核機関は市町村が整備し委託も可能:権利擁護支援の地域連携ネットワークの中核となる機関で、市町村が整備し、社会福祉協議会などに運営を委託することもできます。
なお、2026年6月に公布された民法等の一部を改正する法律により、後見・保佐は補助に一元化されることになっています(公布から2年6か月以内に施行予定。2026年9月現在は未施行のため、現行の3類型で解答します)。

覚え方のポイント
「家庭裁判所=審判・選任・監督」「法務局=登記・証明書・人権相談」「中核機関=地域の相談・広報・連携の司令塔(市町村が整備)」「社会福祉協議会=日常生活自立支援事業・法人後見など」と、役割で整理しましょう。
問92-13

事例を読んで、地域包括支援センターの社会福祉士の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。〔事例〕Lさん(75歳、女性)は、一人暮らしで軽度の認知症と診断されている。最近、公共料金の支払いを忘れたり、年金の引き出しを何度も繰り返したりすることがあり、本人も「お金のことが不安だ」と話している。福祉サービスの利用契約の内容は、説明すれば理解できる。

  • ①判断能力の低下があるので、直ちに後見開始の審判の申立てを行うよう勧める。
  • ②社会福祉協議会の日常生活自立支援事業を紹介し、本人の意向を確認していく。
  • ③要介護認定が事業の利用要件なので、先に認定の申請をするよう勧めていく。
  • ④一人暮らしで金銭管理に不安があるため、施設への入所を本人に強く勧めていく。
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正解 ②社会福祉協議会の日常生活自立支援事業を紹介し、本人の意向を確認していく。
事例のポイント
Lさんは軽度の認知症で日常的な金銭管理に不安がありますが、契約の内容は説明すれば理解でき、本人も不安を自覚しています。判断能力の程度と、本人が困っていることの中身が手がかりです。

解説
日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な人が地域で自立した生活を送れるよう、福祉サービスの利用援助や、日常的な金銭管理(公共料金の支払い、年金の受取りや預金の出し入れの手伝いなど)を行う事業です。社会福祉法上の福祉サービス利用援助事業に当たり、都道府県・指定都市社会福祉協議会が実施主体となり、窓口業務などは市町村社会福祉協議会等が担います。本人と社会福祉協議会との契約に基づくため、契約内容を理解できる判断能力が必要です。Lさんの状況に合致しており、本人の意向を確認しながら利用を検討します。

他の選択肢が不適切な理由
・直ちに後見開始の審判を申し立てる:後見は判断能力を欠く常況にある人が対象です。契約の内容を理解できるLさんには、より本人の自己決定を尊重できる支援から検討します。
・要介護認定が利用要件:日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分で契約内容を理解できる人が対象で、要介護認定を受けていることは要件ではありません。認定を待たせると支援が遅れます。
・施設への入所を強く勧める:本人は在宅での生活を続けており、金銭管理の支援があれば地域生活を維持できる可能性があります。

覚え方のポイント
日常生活自立支援事業は「契約できる程度の判断能力」「日常的な金銭管理と福祉サービスの利用援助」「社会福祉協議会」。専門員が支援計画の作成と契約を担い、生活支援員が計画に沿った具体的な援助を行う、という役割分担も頻出です。
問102-13

事例を読んで、病院の医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。〔事例〕Kさん(84歳、女性)は、転倒による骨折で入院した。入院時の診察で、腕や背中に複数の古いあざがあることが分かった。医療ソーシャルワーカーが話を聴くと、Kさんは同居の息子から叩かれることがあると打ち明けたが、「息子のことは誰にも言わないで」と強く頼んだ。

  • ①本人の同意がないため、個人情報保護法により市町村には伝えられないと判断する。
  • ②息子に直接連絡を取り、今後は叩かないよう医療ソーシャルワーカーが強く注意する。
  • ③虐待の確証が得られるまでは通報を控え、あざの記録だけを継続していくことにする。
  • ④Kさんの気持ちを受け止めつつ、院内で情報を共有し、速やかに市町村へ通報する。
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正解 ④Kさんの気持ちを受け止めつつ、院内で情報を共有し、速やかに市町村へ通報する。
事例のポイント
複数の古いあざがあり、本人も息子から叩かれていると打ち明けていることから、養護者による身体的虐待が強く疑われます。本人の「言わないで」という気持ちと、通報の必要性をどう扱うかが問われています。

解説
養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに市町村に通報するよう努めなければならず、生命や身体に重大な危険が生じている場合は通報しなければなりません(高齢者虐待防止法第7条第1項・第2項)。また、守秘義務に関する法律の規定は、この通報を妨げるものと解釈してはならないとされています(同条第3項)。確証がなくても「思われる」段階で通報することが求められます。医療ソーシャルワーカーは、Kさんの不安や息子をかばう気持ちを受け止めて説明しながら、院内の関係職種と情報を共有し、組織として通報します。通報は息子を罰するためではなく、Kさんと家族を支援につなぐためのものです。

他の選択肢が不適切な理由
・同意がないので個人情報保護法により伝えられない:高齢者虐待防止法に基づく通報は「法令に基づく場合」に当たり、本人の同意がなくても第三者提供の制限の例外となります(個人情報保護法第27条第1項)。同意がないことを理由に通報を控えると、Kさんを再び危険にさらします。
・息子に直接強く注意する:虐待の事実確認や対応は市町村が行うもので、個人で注意すると事態を悪化させるおそれがあります。
・確証が得られるまで通報を控える:法律は「思われる」段階での通報を求めており、確証を待つ必要はありません。

覚え方のポイント
虐待対応は「疑いの段階で通報」「守秘義務は通報の妨げにならない」「通報先は市町村(または委託を受けた地域包括支援センター)」。本人の気持ちに寄り添うことと、通報することは両立させるものです。

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※本ページの問題・解説は、生成AI(人工知能)を活用して作成しています。

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