2026年10月版・3-6

精神保健福祉士の価値・倫理と専門性の一問一答

精神保健福祉士国家試験「精神保健福祉の原理」から、精神保健福祉士の価値・倫理と専門性に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする多肢選択形式で、5つの選択肢から2つを選ぶ問題もあります。ここでは全て4択(正解は1つ)で出題し、2つを選ぶ問題は記述a〜dの組合せを選ぶ形で再現しています。

問13-6

公益社団法人日本精神保健福祉士協会の倫理綱領に示されている倫理原則の4つの柱として、正しいものはどれか。

  • ①クライエントに対する責務、家族に対する責務、機関に対する責務、社会に対する責務
  • ②クライエントに対する責務、専門職としての責務、機関に対する責務、社会に対する責務
  • ③クライエントに対する責務、専門職としての責務、主治医に対する責務、社会に対する責務
  • ④クライエントに対する責務、専門職としての責務、機関に対する責務、地域に対する責務
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正解 ②クライエントに対する責務、専門職としての責務、機関に対する責務、社会に対する責務
解説
日本精神保健福祉士協会の倫理綱領は、前文、目的、倫理原則、倫理基準で構成され、倫理原則と倫理基準はそれぞれ、(1)クライエントに対する責務、(2)専門職としての責務、(3)機関に対する責務、(4)社会に対する責務、の4つの柱で整理されています。
クライエントに対する責務には、クライエントへの関わり、自己決定の尊重、プライバシーと秘密保持、クライエントの批判に対する責務、一般的責務が含まれます。

他の選択肢が誤りの理由
・家族に対する責務、主治医に対する責務、地域に対する責務を含むもの:いずれも倫理原則の4つの柱ではありません。日本精神保健福祉士協会の倫理綱領は、クライエントに対する責務、専門職としての責務、機関に対する責務、社会に対する責務の4つで、倫理原則と倫理基準を整理しています。

覚え方のポイント
倫理綱領の4つの責務=「クライエント」「専門職」「機関」「社会」。内側(本人)から外側(社会)へ広がる順です。
問23-6

1973年の日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会の全国大会で告発された「Y問題」の教訓として、最も適切なものはどれか。

  • ①本人不在のまま家族の訴えだけで入院に関与したことを反省し、本人の立場に立つことを確認した
  • ②家族の訴えに迅速に応えて入院につなげたことを評価し、家族中心の支援を推進することを確認した
  • ③医師の指示に従わずに支援を行ったことを反省し、医師の指示に従う支援の徹底を確認した
  • ④本人の意向を重視しすぎて入院が遅れたことを反省し、早期の入院を優先する方針を確認した
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正解 ①本人不在のまま家族の訴えだけで入院に関与したことを反省し、本人の立場に立つことを確認した
解説
Y問題は、1969年、大学受験を控えたYさんが、本人と面接することもないまま、家族の相談などをもとに精神科病院への入院に至った事例で、その過程に精神科ソーシャルワーカーが関与していました。1973年の協会の全国大会で、Yさん本人と家族から、人権侵害であると告発されました。
この問題を通じて、協会は、本人不在の支援のあり方を深く反省し、「クライエントの立場に立つ」ことを専門職の基本的な視点として確認しました。その後の議論は、1982年の「札幌宣言」へとつながりました。

他の選択肢が誤りの理由
・家族中心の支援をさらに推進:Y問題は、家族の訴えだけで本人不在のまま進めたことが問題とされました。
・医師の指示に従う支援を徹底:Y問題の教訓は医師への服従ではなく、本人の立場に立つことです。
・早期の入院を優先:Y問題は、本人の意思を確かめないまま入院が行われたことへの反省です。

覚え方のポイント
Y問題(1969年の事例・1973年告発)→「本人の立場に立つ」→札幌宣言(1982年)。
問33-6

1982年に日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会が採択した「札幌宣言」で掲げられた協会の基本方針として、正しいものはどれか。

  • ①精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を推進する
  • ②精神科医療の補助者として、医師の指示のもとで業務の質を高めていく
  • ③精神障害者の家族の負担を減らすため、家族会の活動を中心に据えていく
  • ④精神保健福祉士の国家資格化を最優先の目標とし、職域の拡大を進める
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正解 ①精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を推進する
解説
札幌宣言は、Y問題をきっかけとする約10年の議論をふまえ、1982年の協会の全国大会(札幌)で採択されました。協会の基本方針として「精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を進める」ことを掲げ、専門職としての存在意義と、本人の立場に立った実践を明確にしました。

他の選択肢が誤りの理由
・医師の指示のもとで業務の質を高める:札幌宣言は、医療の補助者としてではなく、精神障害者の立場に立つ専門職としての活動を確認したものです。
・家族会の活動を中心に:家族の支援は大切ですが、札幌宣言の基本方針ではありません。
・国家資格化を最優先:国家資格化(1997年の精神保健福祉士法の制定)は後の動きで、札幌宣言の基本方針ではありません。

覚え方のポイント
札幌宣言(1982年)=「精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動」。
問43-6

埼玉県で「やどかりの里」の活動を始め、精神障害者の「ごく当たり前の生活」を支える実践で知られる人物はどれか。

  • ①森田正馬
  • ②呉秀三
  • ③糸賀一雄
  • ④谷中輝雄
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正解 ④谷中輝雄
解説
谷中輝雄は、精神科病院のソーシャルワーカーとして働いた後、1970年に埼玉県大宮市(現在のさいたま市)で、退院した人の住まいと生活を支える「やどかりの里」の活動を始めました。
精神障害のある人を「患者」ではなく「生活者」としてとらえ、「ごく当たり前の生活」を地域で送ることを支える実践は、日本の精神障害者の地域生活支援の原点の一つとされ、精神保健福祉士の「かかわり」の考え方にも大きな影響を与えました。

他の選択肢が誤りの理由
・呉秀三:1918年に私宅監置の実態を調査・報告した精神科医です。
・糸賀一雄:知的障害児の福祉の先駆者で、「この子らを世の光に」の言葉で知られます。
・森田正馬:森田療法を創始した精神科医です。

覚え方のポイント
谷中輝雄=「やどかりの里」「ごく当たり前の生活」「生活者としての視点」。
問53-6

グリーンウッド(Greenwood, E.)が示した専門職の属性に含まれるものとして、正しいものはどれか。

  • ①身分の世襲
  • ②営利の追求
  • ③倫理綱領
  • ④業務の独占
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正解 ③倫理綱領
解説
グリーンウッドは、1957年の論文で、専門職の属性として、体系的な理論、専門職的権威、社会的承認(社会からの認可)、倫理綱領、専門職的副次文化(専門職の文化)の5つを挙げ、ソーシャルワークはすでに専門職であると論じました。
これに先立ち、1915年にフレックスナー(Flexner, A.)は、ソーシャルワークは専門職とはいえないと論じていました。

他の選択肢が誤りの理由
・営利の追求、身分の世襲:グリーンウッドの5つの属性にはありません。
・業務の独占:5つの属性には含まれません(社会的承認の一部として、資格制度などによる独占的な権限に触れていますが、属性そのものではありません)。

覚え方のポイント
グリーンウッドの5属性=「理論・権威・社会的承認・倫理綱領・専門職文化」。フレックスナー(1915)は「専門職ではない」、グリーンウッド(1957)は「すでに専門職である」。
問63-6

精神保健福祉士の実践における「倫理的ジレンマ」の例として、最も適切なものはどれか。

  • ①本人の希望する作業所が満員で、空きが出るまで数か月待つ必要があると分かった
  • ②本人の自己決定を尊重したいが、その決定で本人の生命に危険が生じるおそれがある
  • ③本人と面接する予定の日に急な会議が入り、面接の予定を翌週に変更する必要が生じた
  • ④本人の住む地域に利用できる社会資源が少なく、隣の市まで新たに探す必要がある
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正解 ②本人の自己決定を尊重したいが、その決定で本人の生命に危険が生じるおそれがある
解説
倫理的ジレンマは、専門職としてどちらも大切な複数の倫理的な価値や原則がぶつかり合い、どちらかを選ぶと他方を損なってしまう状況をいいます。
本人の自己決定の尊重と、本人の生命・安全の保護がぶつかる場面は、その代表例です。ほかにも、秘密保持と他者の安全、本人の意向と家族の意向、クライエントの利益と所属機関の方針などがぶつかる場面があります。倫理綱領やスーパービジョンなどを手がかりに、根拠を持って判断することが求められます。

他の選択肢が誤りの理由
・作業所が満員、会議で予定変更、社会資源が少ない:実践上の困難や調整の課題ではありますが、倫理的な価値や原則どうしの対立ではありません。

覚え方のポイント
倫理的ジレンマ=「大切なもの同士のぶつかり合い」(自己決定 vs 生命、秘密保持 vs 安全など)。
問73-6

精神保健福祉士が大切にする「かかわり」の考え方として、最も適切なものはどれか。

  • ①専門職として一定の距離を保ち、私生活には踏み込まずに客観的な立場から助言する
  • ②本人と対等な関係を築き、本人の人生や生活に共に向き合いながら支援を続けていく
  • ③本人の病状の安定を最優先にし、生活上の希望は症状が落ち着いてから扱っていく
  • ④本人に代わって必要な手続や決定を引き受け、生活上の負担を減らして支えていく
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正解 ②本人と対等な関係を築き、本人の人生や生活に共に向き合いながら支援を続けていく
解説
精神保健福祉士の実践では、「かかわり」が重視されてきました。精神障害のある人を、病気や障害をもつ「患者」としてだけでなく、地域で暮らす「生活者」としてとらえ、対等な関係の中で、本人の人生や生活に共に向き合いながら支援していくことです。
支援者と本人との関係そのものが支援の土台となり、本人の自己決定とリカバリーを支えます。

他の選択肢が誤りの理由
・一定の距離を保ち客観的な立場から助言:専門職としての節度は大切ですが、かかわりは、本人の生活の場面に入り、人生や生活に共に向き合うことを重視します。
・病状の安定を最優先し希望は後回し:病気だけでなく、生活者としての本人の希望を支援の中心に置きます。
・本人に代わって手続や決定を引き受ける:代行は本人の自己決定と主体性を損ない、対等な関係とはいえません。

覚え方のポイント
かかわり=「対等」「生活者としての視点」「共に向き合う」。
問83-6

日本精神保健福祉士協会の倫理綱領における「自己決定の尊重」に関する考え方として、正しいものはどれか。

  • ①クライエントの知る権利を尊重し、自己決定を支えるために必要な情報を提供する
  • ②クライエントの自己決定よりも、所属機関の方針を常に優先して支援を行うこととする
  • ③クライエントが自ら決められるよう、支援者は情報の提供を控えて判断を任せる
  • ④クライエントの家族が同意しない限り、自己決定を尊重することはできない
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正解 ①クライエントの知る権利を尊重し、自己決定を支えるために必要な情報を提供する
解説
倫理綱領は、クライエントに対する責務として、クライエントの知る権利を尊重し、クライエントが必要とする支援、信頼のおける情報を適切な方法で説明し、クライエントが決定できるよう援助することなどを示しています。
自己決定の尊重は、情報を伝えず放っておくことではなく、選ぶために必要な情報と経験の機会を提供し、決定の過程を支えることです。

他の選択肢が誤りの理由
・所属機関の方針を常に優先:倫理綱領は、クライエントの利益を守り、必要に応じて機関に働きかけることも専門職の責務としています。
・情報の提供を控えて任せる:必要な情報の提供は、自己決定を支えるために欠かせません。
・家族の同意がない限り尊重できない:自己決定の主体はクライエント本人です。

覚え方のポイント
自己決定の尊重=「知る権利」+「情報提供」+「決定の過程を支える」。
問93-6

精神保健福祉士が、自分の価値観や感情が支援に影響していないかを振り返ることを何というか。

  • ①投影同一視
  • ②自己開示
  • ③転移
  • ④自己覚知
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正解 ④自己覚知
解説
自己覚知は、援助者が、自分の価値観、感情、偏見、考え方の癖などを理解し、それが援助関係や判断にどのように影響しているかに気付くことです。
援助者が自分の感情や価値観に無自覚なまま支援すると、クライエントを自分の価値観で裁いたり、自分の思う方向に導いたりしてしまうおそれがあります。スーパービジョンや事例検討は、自己覚知を深める機会になります。

他の選択肢が誤りの理由
・自己開示:援助者が自分の体験や感情を、援助の目的のために意図的にクライエントに伝えることです。
・転移:クライエントが、過去の重要な人物に向けた感情を援助者に向けることです(援助者側の同様の反応は逆転移)。
・投影同一視:自分の受け入れがたい部分を相手に投げ入れ、相手をそのように振る舞わせてしまう心の動きです。

覚え方のポイント
自己覚知=「自分を知る」。バイステックの「統制された情緒的関与」の土台です。
問103-6

精神保健福祉士の価値と倫理について、正しいものの組合せはどれか。
a.Y問題の告発は、本人の立場に立つ支援の重要性を確認する契機となった。
b.札幌宣言は、精神科病院の病床の増加を協会の基本方針として掲げた。
c.倫理綱領の倫理原則には、社会に対する責務が含まれる。
d.グリーンウッドは、ソーシャルワークは専門職ではないと論じた。

  • ①a・b
  • ②b・d
  • ③a・c
  • ④c・d
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正解 ③a・c
解説
a:Y問題(1969年の事例、1973年の告発)は、本人不在の支援を反省し、本人の立場に立つ支援の重要性を確認する契機となりました。
c:倫理綱領の倫理原則は、クライエントに対する責務、専門職としての責務、機関に対する責務、社会に対する責務で構成されています。

他の記述が誤りの理由
b:札幌宣言(1982年)は、「精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を進める」ことを基本方針として掲げました。
d:グリーンウッドは、ソーシャルワークはすでに専門職であると論じました。専門職ではないと論じたのはフレックスナー(1915年)です。

覚え方のポイント
Y問題→札幌宣言→倫理綱領の流れで、「本人の立場」「社会的復権」を押さえます。

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※本ページの問題・解説は、生成AI(人工知能)を活用して作成しています。

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