2026年10月版・2-8

諸外国の精神保健と国際的な取組の一問一答

精神保健福祉士国家試験「現代の精神保健の課題と支援」から、諸外国の精神保健と国際的な取組に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする多肢選択形式で、5つの選択肢から2つを選ぶ問題もあります。ここでは全て4択(正解は1つ)で出題し、2つを選ぶ問題は記述a〜dの組合せを選ぶ形で再現しています。

問12-8

WHOの「包括的メンタルヘルス・アクションプラン」について、正しいものはどれか。

  • ①2013年に採択され、高所得国だけを対象として作られた行動計画である
  • ②2013年に採択され、入院医療の充実と病床の整備を最重点とした行動計画である
  • ③2013年に採択され、その後2030年まで期間が延長された行動計画である
  • ④2013年に採択され、2020年をもって終了し、後継の計画は作られていない
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正解 ③2013年に採択され、その後2030年まで期間が延長された行動計画である
解説
WHOの「包括的メンタルヘルス・アクションプラン」は、2013年の世界保健総会で採択され(当初は2013〜2020年)、その後2030年まで延長されました。
メンタルヘルスのためのリーダーシップとガバナンスの強化、地域を基盤とした包括的で統合的なメンタルヘルスと社会ケアのサービスの提供、予防と促進の戦略の実施、情報システム・エビデンス・研究の強化を目標に掲げ、人権の尊重と、当事者の参加・エンパワメントを原則としています。

他の選択肢が誤りの理由
・入院医療と病床の整備を最重点:地域を基盤としたサービスへの移行を求めています。
・高所得国だけ:すべての加盟国を対象とした計画です。
・2020年で終了:2030年まで延長されています。

覚え方のポイント
WHOのアクションプラン=「2013年採択→2030年まで延長」「地域を基盤に」「人権とエンパワメント」。
問22-8

フィンランドの西ラップランド地方で発展した、危機的な状況にある本人や家族、専門職のチームがすぐに集まり、対話を重ねる精神医療のアプローチはどれか。

  • ①クラブハウスモデル
  • ②オープンダイアローグ
  • ③ストレングスモデル
  • ④ノーマライゼーション
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正解 ②オープンダイアローグ
解説
オープンダイアローグ(開かれた対話)は、フィンランドの西ラップランド地方のケロプダス病院などで発展したアプローチです。
精神的な危機の相談があると、原則として24時間以内に、本人、家族など本人にかかわる人、専門職のチームが集まり、本人のいないところでは本人のことを決めない、という姿勢で、対話のミーティングを繰り返します。即時の対応、ソーシャルネットワークの視点、柔軟性と機動性、責任の所在の明確さ、心理的な連続性、不確かさに耐えること、対話主義の7つの原則が示されています。

他の選択肢が誤りの理由
・クラブハウスモデル:ニューヨークのファウンテンハウスに始まった、メンバーとスタッフが協働してクラブハウスを運営するモデルです。
・ストレングスモデル:本人の強みに注目するケースマネジメントのモデルです。
・ノーマライゼーション:北欧で生まれた、障害があっても普通の生活を送れるようにする理念です。

覚え方のポイント
オープンダイアローグ=「フィンランド」「すぐに集まる」「本人抜きで決めない」「対話」。
問32-8

アメリカで1970年代にスタイン(Stein, L.)とテスト(Test, M.)らが開発し、重い精神障害のある人に多職種のチームが訪問を中心に24時間体制で支援するモデルはどれか。

  • ①IPS
  • ②ACT
  • ③EAP
  • ④SST
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正解 ②ACT
解説
ACT(Assertive Community Treatment:包括型地域生活支援プログラム)は、1970年代にアメリカのウィスコンシン州マディソンでスタインとテストらが開発したモデルです。
重い精神障害があり、入退院を繰り返しやすい人などを対象に、精神科医、看護師、精神保健福祉士、作業療法士などの多職種チームが、訪問を中心に、24時間365日の体制で、医療と生活の支援を直接提供します。スタッフ1人当たりの担当人数を少なくし、チーム全員で利用者を担当するのが特徴です。

他の選択肢が誤りの理由
・IPS:一般就労を目指す個別の就労支援です。
・EAP:企業の従業員と家族を対象にした相談支援の仕組みです。
・SST:対人関係などの生活の技能を練習する方法です。

覚え方のポイント
ACT=「多職種チーム」「訪問中心」「24時間365日」「重い精神障害」。日本でも千葉県市川市の取組などから広がりました。
問42-8

2022年に国連の障害者権利委員会が日本政府に示した総括所見(勧告)の内容として、正しいものはどれか。

  • ①障害を理由とする強制入院を認める法律の廃止や、長期入院の解消を求めた
  • ②強制入院の要件を厳格にしたうえで、医療保護入院は維持するよう求めた
  • ③精神科病院の病床を地域の福祉施設へ転換し、施設入所の定員を増やすよう求めた
  • ④成年後見制度の利用を広げ、本人に代わって決める代行決定を進めるよう求めた
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正解 ①障害を理由とする強制入院を認める法律の廃止や、長期入院の解消を求めた
解説
日本は2014年に障害者権利条約を批准し、2022年8月に国連の障害者権利委員会による初めての審査を受けました。同年9月に示された総括所見では、障害を理由とする強制入院を可能にしている法律の廃止、精神科病院に長期入院している人の地域移行の推進、障害のある子どものインクルーシブ教育の推進などが勧告されました。
精神保健福祉の分野では、この勧告をどう受け止め、本人の意思の尊重と権利擁護をどう進めるかが大きな課題となっています。

他の選択肢が誤りの理由
・要件を厳格にして医療保護入院は維持:勧告は、障害を理由とする非自発的な入院を可能にする法律そのものの廃止を求めています。
・病床を福祉施設へ転換し入所の定員を増やす:勧告は施設への収容を終わらせ、地域で自立して暮らせるよう求めており、入所施設を増やす方向とは逆です。
・成年後見制度を広げ代行決定を進める:勧告は代行決定の仕組みをやめ、本人の意思決定を支える仕組みへの転換を求めています。

覚え方のポイント
2014年批准→2022年初審査→「強制入院を可能にする法律の廃止」「長期入院の解消」「代行決定から意思決定支援へ」「インクルーシブ教育」。
問52-8

1948年にアメリカのニューヨークで始まり、精神障害のある人がメンバーとしてスタッフと協働しながら運営に参加し、仕事や仲間づくりの場とする取組はどれか。

  • ①ハウジングファースト
  • ②オープンダイアローグ
  • ③べてるの家
  • ④クラブハウスモデル
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正解 ④クラブハウスモデル
解説
クラブハウスモデルは、1948年にニューヨークで始まったファウンテンハウスを起源とする取組で、精神障害のある人は「患者」ではなく「メンバー」として、スタッフとともにクラブハウスの日々の運営(事務、調理、広報など)を担います。
働くことや仲間とのつながりを通じて、自信と役割を取り戻すことを目指し、過渡的雇用(一時的な就労の機会)などの仕組みも持っています。世界各地に広がり、日本にもクラブハウスがあります。

他の選択肢が誤りの理由
・オープンダイアローグ:フィンランドで発展した対話のアプローチです。
・べてるの家:北海道浦河町で1984年に設立された、精神障害のある当事者の地域活動拠点で、当事者研究で知られます。
・ハウジングファースト:住まいを失った人に、治療などを条件とせず、まず住まいを提供する考え方です。

覚え方のポイント
クラブハウス=「1948年・ニューヨーク・ファウンテンハウス」「メンバーとして運営に参加」。
問62-8

住まいを失った人に対して、治療や断酒などを条件とせずに、まず安定した住まいを提供し、そのうえで必要な支援を行う考え方を何というか。

  • ①パターナリズム
  • ②ステップアップ方式
  • ③ハウジングファースト
  • ④ゼロトレランス
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正解 ③ハウジングファースト
解説
ハウジングファーストは、アメリカのニューヨークで1990年代にツェンバリス(Tsemberis, S.)らが始めた取組から広がった考え方で、ホームレス状態にある人(精神障害や依存症のある人を含む)に、治療や断酒などを住まいの条件とせず、まず安定した住まいを提供し、本人の選択を尊重しながら必要な支援を行います。
住まいの確保が生活と回復の土台になるという考え方で、住まいの定着率の向上が報告されています。

他の選択肢が誤りの理由
・ステップアップ方式:治療や訓練の段階を経て、条件を満たした人から住まいへ移る従来型の方式で、ハウジングファーストが見直そうとした方法です。
・パターナリズム:本人のためとして本人の意思に反して干渉することです。
・ゼロトレランス:違反を一切容認しない方針です。

覚え方のポイント
ハウジングファースト=「住まいが先、支援は後から」。条件を付けないことがポイントです。
問72-8

WHOが進めている「QualityRights(クオリティ・ライツ)」の取組の内容として、正しいものはどれか。

  • ①精神科の医薬品の品質を国際的に評価し、各国の承認の基準を統一することを目指す取組
  • ②精神科医療の質を高めるため、各国の精神病床の数を一定の水準まで増やすことを求める取組
  • ③精神保健サービスにおける人権の尊重とケアの質の向上を、当事者の参加を得て進める取組
  • ④精神保健サービスの費用を抑えるため、地域のサービスを病院に集約することを求める取組
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正解 ③精神保健サービスにおける人権の尊重とケアの質の向上を、当事者の参加を得て進める取組
解説
WHOの「QualityRights(クオリティ・ライツ)」は、障害者権利条約に沿って、精神保健と社会サービスにおける人権の尊重とケアの質の向上を図る取組です。
サービスの評価のためのツールキットや、強制的な対応を減らし、本人の意思決定を支える方法についての研修教材などを提供し、当事者の参加を得ながら、施設中心から地域中心で権利に基づくサービスへの転換を各国に促しています。

他の選択肢が誤りの理由
・病床の数を増やすことを求める:地域を基盤とした、権利に基づくサービスへの転換を促す取組です。
・医薬品の品質と承認の基準:QualityRightsの内容ではありません。
・地域のサービスを病院に集約:施設中心から地域中心への転換と逆の方向です。

覚え方のポイント
QualityRights=「Quality(質)」と「Rights(権利)」。精神保健サービスの人権と質を高めるWHOの取組です。
問82-8

障害者権利条約の作成過程で、障害のある当事者が掲げたスローガンとして知られるものはどれか。

  • ①すべての人に健康を
  • ②私たち抜きに私たちのことを決めないで
  • ③誰一人取り残さない
  • ④完全参加と平等
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正解 ②私たち抜きに私たちのことを決めないで
解説
「私たち抜きに私たちのことを決めないで(Nothing about us without us)」は、障害者権利条約の作成過程で、障害のある当事者が掲げたスローガンです。障害のある人に関する政策や制度は、当事者の参加なしに決めてはならないという考え方を表しています。
精神保健福祉の分野でも、政策づくりやサービスの評価、日々の支援の計画に、当事者が参加することの大切さを示す言葉として使われています。

他の選択肢が誤りの理由
・すべての人に健康を:1978年のアルマ・アタ宣言などで掲げられたWHOの目標です。
・誰一人取り残さない:持続可能な開発目標(SDGs)の理念です。
・完全参加と平等:1981年の国際障害者年のテーマです。

覚え方のポイント
「Nothing about us without us」=当事者参加の原則。オープンダイアローグの「本人のいないところで本人のことを決めない」とも通じます。
問92-8

オーストラリアなどで発展した、思春期・若年期の精神疾患の早期発見と早期支援を重視する取組の考え方として、正しいものはどれか。

  • ①若者が気軽に相談できる場を地域に設け、不調の初期段階で支援につなげる
  • ②診断が確定した人を対象に、専門の病棟で集中的に治療を行うことを重視する
  • ③重い精神障害のある人に、多職種のチームが24時間体制で訪問支援を行う
  • ④住まいを失った若者に、治療を条件とせずにまず安定した住まいを提供する
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正解 ①若者が気軽に相談できる場を地域に設け、不調の初期段階で支援につなげる
解説
多くの精神疾患は思春期から青年期に始まることが知られており、治療されない期間(精神病未治療期間:DUP)が長いほど回復に影響するとされます。
オーストラリアでは、若者が気軽に立ち寄れる統合的な相談の場(headspaceなど)を地域に設け、不調の初期段階から、精神保健、身体の健康、就学・就労、薬物・アルコールの問題などについて支援する取組が広がりました。日本でも、若者の早期支援の重要性が指摘されています。

他の選択肢が誤りの理由
・診断が確定した人を専門の病棟で集中的に治療:早期支援は、診断が確定する前の初期の段階から、地域の身近な場で支援を始めることを重視しています。
・多職種のチームが24時間体制で訪問支援:重い精神障害のある人を対象とするACT(包括型地域生活支援)の説明です。
・治療を条件とせず住まいを先に提供:ハウジングファーストの説明です。

覚え方のポイント
早期支援のキーワード=「若者」「気軽に相談できる場」「未治療期間(DUP)を短く」。
問102-8

諸外国の精神保健の取組について、正しいものの組合せはどれか。
a.ACTは、多職種のチームが訪問を中心に支援するモデルである。
b.オープンダイアローグは、イタリアのトリエステで発展したアプローチである。
c.クラブハウスモデルは、ニューヨークのファウンテンハウスに始まった。
d.ハウジングファーストは、断酒や治療を住まいの提供の条件とする。

  • ①b・d
  • ②c・d
  • ③a・b
  • ④a・c
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正解 ④a・c
解説
a:ACT(包括型地域生活支援プログラム)は、多職種のチームが訪問を中心に、24時間体制で医療と生活の支援を行うモデルです。
c:クラブハウスモデルは、1948年にニューヨークで始まったファウンテンハウスを起源としています。

他の記述が誤りの理由
b:オープンダイアローグはフィンランドの西ラップランド地方で発展しました。イタリアのトリエステは、精神科病院の廃止を進めたバザーリアの改革で知られる都市です。
d:ハウジングファーストは、治療や断酒などを条件とせず、まず住まいを提供する考え方です。

覚え方のポイント
フィンランド=オープンダイアローグ、アメリカ=ACT・クラブハウス・ハウジングファースト、イタリア=バザーリア(トリエステ)。

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※本ページの問題・解説は、生成AI(人工知能)を活用して作成しています。

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