2026年版・2-15

実務:民事執行と民事保全の一問一答

貸金業務取扱主任者資格試験「貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること」から、実務:民事執行と民事保全に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験と同じく、4択で出題しています。

問12-15

債務名義(民事執行法第22条)に該当しないものはどれか。

  • ①確定判決
  • ②当事者が署名押印した私文書の借用証書
  • ③強制執行認諾文言のある金銭の公正証書
  • ④仮執行の宣言を付した支払督促
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正解 ②当事者が署名押印した私文書の借用証書
解説
民事執行法第22条は、強制執行の根拠となる債務名義として、確定判決、仮執行の宣言を付した判決、仮執行の宣言を付した支払督促、執行証書(金銭の一定の額の支払などを目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの)、確定判決と同一の効力を有するもの(和解調書・調停調書など)などを挙げています。当事者が署名押印しただけの私文書の借用証書は債務名義ではありません。

他の選択肢が不適切な理由
(いずれも債務名義です)
・確定判決:第1号に当たります。
・仮執行宣言付支払督促:第4号に当たります。
・執行証書:第5号に当たります。

覚え方のポイント
借用証書は裁判で証拠にはなりますが、それだけでは強制執行できません。貸金業法第20条が特定公正証書(執行証書)の作成に厳しい制限を設けているのは、裁判を経ずに強制執行ができる強い効力があるためです。
問22-15

給料債権の差押え(民事執行法第152条)に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

  • ①給料は、生活の糧であるため、その全額について差押えが禁止されている
  • ②給料は、原則として支払期の給付の2分の1に当たる部分を差し押さえてはならない
  • ③給料は、原則として支払期の給付の4分の3に当たる部分を差し押さえてはならない
  • ④給料は、その全額を差し押さえることができ、差押えの制限は一切ない
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正解 ③給料は、原則として支払期の給付の4分の3に当たる部分を差し押さえてはならない
解説
民事執行法第152条第1項は、給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与などの債権については、その支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は差し押さえてはならないと定めています。政令で定める額は、毎月払の場合33万円です(民事執行法施行令第2条)。

他の選択肢が不適切な理由
・2分の1:扶養義務等に係る金銭債権(養育費など)を請求する場合に限り、差押禁止部分が2分の1とされます(同条第3項)。
・全額が差押禁止:4分の3を超える部分は差し押さえることができます。
・制限は一切ない:生活保障のため差押禁止の範囲が定められています。

覚え方のポイント
たとえば手取り20万円の給料なら、差押えできるのは原則5万円(4分の1)です。手取りが44万円を超えると、33万円を超える部分をすべて差し押さえることができます。給料の差押えで取立てができるのは、差押命令の送達から4週間を経過した後です(第155条第2項)。
問32-15

債権執行における差押えの効力(民事執行法第145条)に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

  • ①差押命令により、債務者は第三債務者から自由に取り立てることができる
  • ②差押えの効力は、差押命令が債務者に送達された時に生ずる
  • ③差押命令は、債務者と第三債務者を必ず審尋したうえで発せられる
  • ④差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる
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正解 ④差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる
解説
民事執行法第145条第5項は、差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずると定めています。同条第1項は、執行裁判所は差押命令において債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならないとし、同条第2項は、差押命令は債務者及び第三債務者を審尋しないで発するとしています。

他の選択肢が不適切な理由
・債務者に送達された時:効力が生じるのは第三債務者への送達の時です。第三債務者が弁済を止めることで、初めて差押えが実効性を持つためです。
・必ず審尋する:審尋しないで発します。事前に知られると財産を隠されるおそれがあるためです。
・債務者が自由に取り立てられる:差押命令は債務者の取立てを禁止します。

覚え方のポイント
差押えと相殺の優劣(民法第511条)も、「差押え(第三債務者への送達)の前に取得した債権か」で判断します。条文どうしのつながりを意識しましょう。
問42-15

執行文(民事執行法第25条・第26条)に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

  • ①少額訴訟の確定判決に基づく強制執行にも、例外なく執行文が必要である
  • ②強制執行は、執行文がなくても債務名義の写しがあれば常に実施できる
  • ③執行証書の執行文は、事件の記録のある裁判所の裁判官が付与するものである
  • ④強制執行は、原則として執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する
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正解 ④強制執行は、原則として執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する
解説
民事執行法第25条は、強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施すると定めています。ただし、少額訴訟における確定判決や仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決、仮執行の宣言を付した支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、執行文を要しないとされています(同条ただし書)。

他の選択肢が不適切な理由
・写しで常に実施できる:原則として執行文の付された債務名義の正本が必要です。
・執行証書の執行文は裁判官:第26条第1項は、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が執行文を付与すると定めています。
・少額訴訟も例外なく必要:少額訴訟の判決や支払督促は、執行文が不要とされる例外です。

覚え方のポイント
強制執行の3点セットは「債務名義・執行文・送達」です(第29条は、債務名義などが債務者にあらかじめ又は同時に送達されたときに限り、強制執行を開始できると定めています)。
問52-15

財産開示手続(民事執行法第197条)に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

  • ①執行力のある債務名義の正本を持つ金銭債権者は、一定の要件で財産開示を申し立てられる
  • ②財産開示手続は、債務名義を持たない債権者でも、請求書があれば申し立てることができる
  • ③財産開示手続の実施決定は、確定を待たずに直ちに効力を生ずるものとなっている
  • ④債務者が過去3年以内に財産を開示していても、同じ債権者は常に再度の開示を求められる
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正解 ①執行力のある債務名義の正本を持つ金銭債権者は、一定の要件で財産開示を申し立てられる
解説
民事執行法第197条第1項は、執行裁判所は、強制執行等の配当等の手続で完全な弁済を得られなかったときや、知れている財産に対する強制執行を実施しても完全な弁済を得られないことの疎明があったときなどに、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより、財産開示手続を実施する旨の決定をしなければならないと定めています。

他の選択肢が不適切な理由
・債務名義がなくても申し立てられる:原則として執行力のある債務名義の正本が必要です(一般の先取特権を有する債権者の場合などの例外があります(同条第2項))。
・確定しなくても効力を生ずる:同条第6項は、実施決定は確定しなければ効力を生じないとしています。
・3年以内の開示でも常に再度求められる:同条第3項は、債務者が申立ての日前3年以内に財産開示期日で財産について陳述をしていたときは、原則として実施決定をすることができないとしています。

覚え方のポイント
財産開示手続は、債務者の財産が分からず強制執行ができない場面で、債務者自身に財産を陳述させる制度です。正当な理由のない不出頭や虚偽陳述には刑事罰があります(第213条)。
問62-15

仮差押え(民事保全法第20条)に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

  • ①金銭債権に限らず、特定物の引渡請求権を保全するためにも用いられる手続である
  • ②金銭債権について、強制執行ができなくなる等のおそれがあるときに発せられる
  • ③仮差押命令は、被保全債権が条件付や期限付である場合には発することができない
  • ④仮差押命令を得れば、本案の判決を待たずに直ちに債権を回収することができる
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正解 ②金銭債権について、強制執行ができなくなる等のおそれがあるときに発せられる
解説
民事保全法第20条第1項は、仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができると定めています。

他の選択肢が不適切な理由
・特定物の引渡請求権にも用いる:特定物に関する権利を保全するのは、係争物に関する仮処分です(第23条第1項)。仮差押えは金銭債権のための手続です。
・条件付・期限付では発せない:同条第2項は、被保全債権が条件付又は期限付である場合においても、仮差押命令を発することができると定めています。
・直ちに回収できる:仮差押えは財産の処分を禁じて現状を保全するもので、債権を回収するには本案の勝訴判決などを得て強制執行をする必要があります。

覚え方のポイント
民事保全は「仮差押え(金銭債権の保全)」「係争物に関する仮処分(物の保全)」「仮の地位を定める仮処分(権利関係の暫定的な形成)」の3種類です。仮差押えがあったときは、その終了から6か月を経過するまで時効は完成しません(民法第149条)。
問72-15

保全命令の申立て(民事保全法第13条・第14条)に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

  • ①保全命令は、債権者に担保を立てさせて発することは一切できない
  • ②保全すべき権利と保全の必要性は、厳格に証明しなければならない
  • ③保全すべき権利と保全の必要性は、いずれも疎明しなければならない
  • ④保全命令の申立ては、本案の訴えの判決が確定した後でなければできない
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正解 ③保全すべき権利と保全の必要性は、いずれも疎明しなければならない
解説
民事保全法第13条第1項は、保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにしてしなければならないとし、同条第2項は、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならないと定めています。疎明とは、裁判官が一応確からしいとの推測を得られる程度の立証をいいます。

他の選択肢が不適切な理由
・厳格に証明:迅速性が求められるため、証明ではなく疎明で足ります。
・担保は一切立てさせられない:第14条第1項は、保全命令は、担保を立てさせて、又は担保を立てさせないで発することができると定めています。実務では担保を立てさせるのが通常です(債務者の損害に備えるため)。
・判決の確定後でなければできない:保全命令は、本案の訴えの提起前でも申し立てられます。判決を待っていては財産が処分されるおそれがあるためです。

覚え方のポイント
民事保全は「急いで・一応の立証(疎明)で・担保を立てて」財産を押さえる手続です。債務者の申立てがあれば、裁判所は債権者に本案の訴えの提起を命じ、期間内に提起しなければ保全命令は取り消されます(第37条)。
問82-15

本案の訴えの不提起等による保全取消し(民事保全法第37条)に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

  • ①本案の訴えの提起命令は、債権者自身の申立てによってのみ発せられることとなっている
  • ②債務者の申立てにより、裁判所は債権者に対し3日以上の期間内に本案の訴えを提起するよう命ずる
  • ③債権者が期間内に本案の訴えを提起しなくても、保全命令が取り消されることは一切ない
  • ④債務者の申立てにより、裁判所は債権者に2週間以上の期間内に本案の訴えを提起するよう命じる
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正解 ④債務者の申立てにより、裁判所は債権者に2週間以上の期間内に本案の訴えを提起するよう命じる
解説
民事保全法第37条第1項は、保全命令を発した裁判所は、債務者の申立てにより、債権者に対し、相当と認める一定の期間内に、本案の訴えを提起するとともにその提起を証する書面を提出すべきことを命じなければならないとし、同条第2項は、その期間は2週間以上でなければならないと定めています。同条第3項は、期間内に書面を提出しなかったときは、債務者の申立てにより保全命令を取り消さなければならないとしています。

他の選択肢が不適切な理由
・3日以上:期間は2週間以上でなければなりません。
・取り消されることはない:期間内に提起しなければ、債務者の申立てにより取り消されます。
・債権者の申立てによってのみ:提起命令は、債務者の申立てにより発せられます。

覚え方のポイント
保全命令は、あくまで本案の訴訟で権利を確定させるまでの「仮」の措置です。債権者がいつまでも本案を起こさないまま債務者の財産を押さえ続けることを防ぐための制度です。
問92-15

強制執行に関する次のa〜dの記述のうち、適切なものの個数はどれか。
a 強制執行は、債務名義などが、あらかじめ又は同時に債務者に送達されたときに限り、開始することができる
b 債務名義を債務者の勤務先に送付すれば、送達がなくても強制執行を開始することができる
c 給料債権は、原則として、その支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分を差し押さえてはならない
d 債務者が作成した借用証書は、それだけで債務名義となる

  • ①1個
  • ②2個
  • ③3個
  • ④4個
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正解 ②2個
解説
適切なものはaとcの2個です。

各記述の正誤
・a(適切):民事執行法第29条のとおりです。
・b(不適切):送達は法定の手続で行う必要があり、勤務先への送付で代えることはできません。勤務先に借入れの事実を知らせることは、取立て規制上も問題になりえます。
・c(適切):同法第152条第1項第2号のとおりです(その額が政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)。
・d(不適切):借用証書は私的な書面であり、債務名義ではありません。強制執行認諾文言付きの公正証書(執行証書)であれば債務名義となります(同法第22条第5号)。

覚え方のポイント
強制執行には「債務名義」「執行文」「送達」が必要です。給料の差押えには、生活を守るための差押禁止の範囲がある点も押さえましょう。
問102-15

民事執行・民事保全に関する次のa〜dの記述のうち、適切でないものの組合せはどれか。
a 退職手当については、その給付の4分の3に相当する部分は差し押さえてはならない
b 保全命令に対しては、債務者は、その命令を発した裁判所に保全異議を申し立てることができる
c 仮の地位を定める仮処分命令は、原則として、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経ずに発することができる
d 金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に差押命令が送達された日から1週間を経過すれば、給料債権であっても常に取り立てることができる

  • ①a、b
  • ②a、c
  • ③b、d
  • ④c、d
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正解 ④c、d
解説
適切でないのはcとdです。

各記述の正誤
・a(適切):民事執行法第152条第2項のとおりです。退職手当には、給料のような政令の上限額(33万円)の定めはなく、4分の3が差押禁止です。
・b(適切):民事保全法第26条のとおりです。
・c(不適切):同法第23条第4項は、仮の地位を定める仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ発することができないと定めています(期日を経ることで目的を達することができない事情がある場合を除く)。債務者への影響が大きいためです。
・d(不適切):民事執行法第155条は、取立てができるのは原則として債務者への送達から1週間経過後としつつ、給料債権などについては4週間経過後としています(扶養義務等に係る債権による差押えを除く)。

覚え方のポイント
「給料・退職手当は4分の3が差押禁止(給料は33万円の上限あり)」「給料の取立ては4週間後」です。債務者の生活を守るための配慮が各所に置かれています。

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