2026年版・7-3

認知症ケアの実際と連携・家族支援の一問一答

介護福祉士国家試験「認知症の理解・障害の理解」から、認知症ケアの実際と連携・家族支援に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする形式ですが、ここでは4択で出題しています。

問17-3

リアリティ・オリエンテーション(現実見当識訓練)の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①日付や場所の情報を繰り返し伝え、見当識を補う
  • ②昔の写真や道具を使い、人生を振り返ってもらう
  • ③本人の言動の奥にある感情を受け止めて共感する
  • ④見る・話す・触れる・立つを柱にしてケアを行う
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正解 ①日付や場所の情報を繰り返し伝え、見当識を補う
解説
リアリティ・オリエンテーションは、見当識障害のある人に、今日の日付、季節、天気、今いる場所、周りの人の名前などの情報を繰り返し伝えることで、現実を認識する力を補い、混乱や不安を和らげることを目的とした方法です。
日常の会話の中で自然に伝える方法(24時間リアリティ・オリエンテーション)と、少人数で決まった時間に行う方法(クラスルーム・リアリティ・オリエンテーション)があります。間違いを責めたり、答えを無理に言わせたりしないことが大切です。

他の選択肢が不適切な理由
「昔の写真や道具を使い、人生を振り返ってもらう」は、昔の写真や思い出の品などをきっかけに人生を振り返ってもらうのは「回想法」です。自尊心の回復や情緒の安定、人との交流の促進などが期待されます。
「本人の言動の奥にある感情を受け止めて共感する」は、本人の言動の奥にある感情を受け止め、共感的に関わるのは「バリデーション」です。事実の訂正よりも、本人の気持ちの理解を重視します。
「見る・話す・触れる・立つを柱にしてケアを行う」は、見る・話す・触れる・立つの4つを柱にするのは「ユマニチュード」です。

試験の罠
「日時・場所を伝える=リアリティ・オリエンテーション」「昔を語る=回想法」「感情に共感=バリデーション」「見る・話す・触れる・立つ=ユマニチュード」の4つを説明文から選べるようにしましょう。
問27-3

認知症の人が施設に入所する際のリロケーションダメージを防ぐための対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①新しい環境に早く慣れるよう、家具を全部新しくする
  • ②自宅で使っていた、なじみの家具や小物を居室に置く
  • ③環境に慣れるまで、家族の面会をしばらく控えてもらう
  • ④入所前の生活習慣より、施設の日課に合わせてもらう
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正解 ②自宅で使っていた、なじみの家具や小物を居室に置く
解説
リロケーションダメージとは、住み慣れた自宅から施設へ移るなど、生活の場が急に変わることによって、混乱や不安が強まったり、認知症の症状が悪化したり、心身の状態が不安定になったりすることをいいます。
防ぐためには、自宅で使っていた家具や布団、写真、愛用の品など、なじみのある物を居室に持ち込んでもらい、生活習慣やこれまでの暮らし方をできるだけ引き継ぐことが大切です。職員もできるだけ同じ人が関わるようにすると、安心感につながります。

他の選択肢が不適切な理由
「新しい環境に早く慣れるよう、家具を全部新しくする」は、家具をすべて新しくすると、周りがなじみのない物ばかりになり、混乱や不安がかえって強まるおそれがあります。なじみの物があることが安心につながります。
「環境に慣れるまで、家族の面会をしばらく控えてもらう」は、家族は認知症の人にとって最も身近でなじみのある存在です。面会を控えると不安や孤立感が強まるおそれがあるため、むしろ家族との関わりを保てるよう支援します。
「入所前の生活習慣より、施設の日課に合わせてもらう」は、施設の日課に一方的に合わせてもらうと、起床や食事、入浴の時間などそれまでの暮らし方が急に変わり、混乱や不安が強まります。入所前の生活習慣をできるだけ引き継ぐことが、リロケーションダメージを防ぐことにつながります。

試験の罠
キーワードは「なじみの環境」「なじみの人」「なじみの暮らし方」です。「早く慣れるために新しく」「施設の日課に合わせる」はもっともらしく見えますが、なじみの環境や暮らし方を急に変える対応なので誤りです。
問37-3

Kさん(80歳、女性、アルツハイマー型認知症)は、同居する長男の妻に対して「私の財布を盗ったでしょう」と繰り返し訴えるようになった。Kさんが通所介護に来た日も、介護福祉職に「財布がない、嫁に盗られた」と興奮した様子で話している。このときの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①盗まれていないことを、根拠を示して説明する
  • ②話題を変えるため、すぐに別の活動に誘う
  • ③職員が先に財布を見つけて、本人に手渡す
  • ④訴えを受け止めて、財布を一緒に探していく
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正解 ④訴えを受け止めて、財布を一緒に探していく
解説
物盗られ妄想は、アルツハイマー型認知症の初期に多くみられる行動・心理症状(BPSD)で、財布などをしまった場所を忘れてしまい、見つからない不安から「誰かに盗られた」と思い込んでしまうものです。身近で世話をしている人に向けられやすいのが特徴です。
まずは「財布がなくて困っているのですね」と訴えを受け止め、一緒に探します。見つかりそうになったら、本人が自分で見つけられるようにさりげなく誘導すると、自尊心が保たれ、安心につながります。

他の選択肢が不適切な理由
「盗まれていないことを、根拠を示して説明する」は、本人は本当に盗られたと感じているため、根拠を示して説明しても納得は得られにくく、「分かってもらえない」という不安や怒りを強めることがあります。
「話題を変えるため、すぐに別の活動に誘う」は、気持ちを受け止めないまま話題を変えると、財布がないという不安が解消されず、訴えが繰り返されやすくなります。まずは訴えを受け止めることが大切です。
「職員が先に財布を見つけて、本人に手渡す」は、職員が先に見つけて手渡すと、「やはりこの人が隠していたのではないか」と疑いを向けられるおそれがあります。本人が自分で見つけられるように誘導します。

試験の罠
物盗られ妄想の対応の基本は「否定しない・一緒に探す・本人が見つける」です。「身近な介護者に向きやすい」ため、家族の心理的な負担への支援もあわせて問われます。
問47-3

Lさん(83歳、男性、アルツハイマー型認知症)は、食事の席に着き、スプーンを手に持ったまま、食べ始めずにじっとしていることが増えた。声をかけると「うん」と答えるが、動作が始まらない。食事の量が減ってきている。Lさんへの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①食べる意欲がないと判断し、すぐに食事を下げる
  • ②自分では食べられないので全介助に切り替える
  • ③スプーンを持つ手に手を添え、最初の動作を行う
  • ④食器を一度に多く並べ、好きな物を選べるようにする
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正解 ③スプーンを持つ手に手を添え、最初の動作を行う
解説
Lさんは、スプーンを持っても食べる動作を始められない状態で、認知症によって、道具の使い方や一連の動作の順序がうまく組み立てられなくなっている(失行や実行機能障害)可能性があります。
このような場合は、スプーンを持つ手にそっと手を添えて、食べ物をすくって口へ運ぶ最初の動作を一緒に行うと、動作のきっかけになり、その後は自分で食べ進められることがあります。できることを奪わず、自分で食べる力を引き出す支援が大切です。

他の選択肢が不適切な理由
「食べる意欲がないと判断し、すぐに食事を下げる」は、食べ始めないのは、食欲がないのではなく、動作を始めるきっかけがつかめないためかもしれません。原因を確かめないまま下膳すると、低栄養につながるおそれがあります。
「自分では食べられないので全介助に切り替える」は、最初の動作のきっかけがあれば自分で食べられる可能性があります。すぐに全介助にすると、本人の残っている力を使う機会を奪ってしまいます。
「食器を一度に多く並べ、好きな物を選べるようにする」は、認知症の人は、目の前にたくさんの食器が並ぶと、どれから食べればよいか迷って混乱しやすくなります。一品ずつ出すなど、品数を絞って分かりやすくする工夫が有効です。

試験の罠
認知症の人の食事支援は「原因を探る」「動作のきっかけをつくる」「品数を絞る」「残存能力を生かす」が基本です。「すぐ全介助」「すぐ下膳」は典型的な誤りの選択肢です。
問57-3

Mさん(86歳、女性、アルツハイマー型認知症)は、夕方になると「母が家で待っているから帰らないと」と言い、荷物をまとめて玄関の方へ向かう。Mさんの母親はすでに亡くなっている。バリデーションの考え方に基づく介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①お母さんのことを話してもらい、その気持ちに共感する
  • ②お母さんはすでに亡くなっていると事実を伝える
  • ③今日の日付と今いる場所を伝え、現実を認識してもらう
  • ④話題をそらして、テレビを見て過ごすように勧める
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正解 ①お母さんのことを話してもらい、その気持ちに共感する
解説
バリデーションは、フェイルが提唱した、認知症の人とのコミュニケーションの方法です。認知症の人の言動には、その人なりの意味や理由があると考え、事実かどうかを正すのではなく、その言動の奥にある感情を受け止め、共感して関わります。
Mさんには、「お母さんはどんな方でしたか」などと、母親のことや帰りたい気持ちを話してもらい、その思いに寄り添うことで、安心感が生まれ、気持ちが落ち着くことが期待できます。

他の選択肢が不適切な理由
「お母さんはすでに亡くなっていると事実を伝える」は、事実を伝えると、Mさんは母親を失った悲しみを改めて味わうことになり、混乱や不安が強まるおそれがあります。バリデーションでは事実の訂正より気持ちの理解を重視します。
「今日の日付と今いる場所を伝え、現実を認識してもらう」は、日付や場所を伝えて現実を認識してもらう方法はリアリティ・オリエンテーションの考え方で、バリデーションに基づく対応ではありません。
「話題をそらして、テレビを見て過ごすように勧める」は、気持ちを受け止めずに話題をそらすと、不安が解消されないまま残り、同じ訴えが繰り返されることがあります。

試験の罠
バリデーションは「否定しない・訂正しない・感情に共感する」です。同じ場面でもリアリティ・オリエンテーションの対応とは正反対になるため、設問が何の考え方に基づくかを必ず確認しましょう。
問67-3

Nさん(84歳、男性、アルツハイマー型認知症)は認知症対応型共同生活介護(グループホーム)で暮らしている。最近、夜になると目がさえて居室と廊下を行き来し、日中は食堂でうとうとしていることが多い。Nさんの睡眠への支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①日中は眠っていても、起こさずにそのまま休ませる
  • ②日中に散歩などで日光を浴び、活動の機会を増やす
  • ③夜に眠れるよう、夕方以降は部屋を明るくしておく
  • ④夜に歩き回らないよう、夕食後すぐに布団に入れる
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正解 ②日中に散歩などで日光を浴び、活動の機会を増やす
解説
Nさんは、夜に眠れず日中にうとうとする、昼夜のリズムが乱れた状態(昼夜逆転)になっていると考えられます。認知症の人は、体内時計のはたらきや活動量の低下、不安などによって、睡眠のリズムが崩れやすくなります。
日中に散歩や買い物、家事などの活動の機会をつくり、午前中を中心に日光を浴びてもらうことで、体内時計が整い、夜に自然な眠気が生じやすくなります。夜間に歩き回る背景に、不安、トイレ、痛み、空腹などの理由がないかにも目を向けます。

他の選択肢が不適切な理由
「日中は眠っていても、起こさずにそのまま休ませる」は、日中に長く眠ると、夜に眠れなくなり、昼夜逆転がさらに進むおそれがあります。短い昼寝にとどめ、日中は活動して過ごせるよう支援します。
「夜に眠れるよう、夕方以降は部屋を明るくしておく」は、夕方以降に部屋を明るくしすぎると、眠りを促すホルモン(メラトニン)の分泌が抑えられ、かえって寝つきが悪くなります。夜は照明を落として、落ち着いた環境をつくります。
「夜に歩き回らないよう、夕食後すぐに布団に入れる」は、本人の眠気や生活のリズムを無視して早い時間に布団に入れても、眠れずに不安や混乱が強まることがあります。本人のこれまでの就寝習慣を尊重します。

試験の罠
昼夜逆転への支援は「日中の活動と日光」「夜は暗く静かな環境」「夜間の行動の背景(不安・トイレ・痛み)を探る」です。「昼間は寝かせておく」「早く寝かせる」は誤りの定番です。
問77-3

認知症の人の意思決定支援について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①本人と家族の意向が違うときは家族の意向を優先する
  • ②言葉で意思を表せない人は、支援の対象から外れる
  • ③支援者が合理的と考える選択へと本人を導いていく
  • ④本人には意思決定の能力がないと最初から考えない
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正解 ④本人には意思決定の能力がないと最初から考えない
解説
厚生労働省の「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」では、認知症の人であっても、その能力を最大限生かして日常生活や社会生活に関して自らの意思に基づいた生活を送れるように支援することが基本とされています。
そのため、認知症があるというだけで意思決定能力がないと決めつけず、本人が意思を形成し、表明し、実現できるように、分かりやすい説明や選びやすい選択肢を工夫して支援します。

他の選択肢が不適切な理由
「本人と家族の意向が違うときは家族の意向を優先する」は、ガイドラインでは、本人の意思の尊重が基本とされています。家族の意向も大切に扱いますが、本人と家族の意向が違う場合に、家族の意向を当然に優先するものではありません。
「言葉で意思を表せない人は、支援の対象から外れる」は、言葉で意思を表すことが難しい人でも、表情や身ぶり、これまでの生活歴や好みなどから意思を読み取ろうとすることが求められます。支援の対象から外れるわけではありません。
「支援者が合理的と考える選択へと本人を導いていく」は、支援者が合理的と考える選択へ誘導することは、本人の意思決定を支援することにはなりません。一見不合理に見える選択でも、他者を害するなどの場合を除き、本人の意思を尊重します。

試験の罠
意思決定支援の3段階は「意思形成支援・意思表明支援・意思実現支援」です。「家族や支援者の判断を優先」「能力がないと決めつける」選択肢は誤りと判断しましょう。
問87-3

ユマニチュードでケアの柱とされている4つの要素の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①見る・聞く・話す・書く
  • ②話す・待つ・触れる・教える
  • ③見る・話す・触れる・立つ
  • ④聞く・待つ・支える・歩く
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正解 ③見る・話す・触れる・立つ
解説
ユマニチュードは、フランスのジネストとマレスコッティが考案したケアの技法で、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つを柱としています。
正面から同じ目の高さで見つめる、穏やかで前向きな言葉をかけ続ける、手のひら全体でやさしく触れる、1日に一定の時間は立つ機会をつくる、といった方法によって、ケアを受ける人に「あなたは大切な存在です」というメッセージを伝え、人と人との関係を築くことを目指します。

他の選択肢が不適切な理由
「見る・聞く・話す・書く」は、「聞く」と「書く」はユマニチュードの4つの柱には含まれていません。4つの柱は「見る・話す・触れる・立つ」です。
「話す・待つ・触れる・教える」は、「待つ」や「教える」はユマニチュードの4つの柱には含まれていません。
「聞く・待つ・支える・歩く」は、「聞く」「待つ」「支える」「歩く」はユマニチュードの4つの柱ではありません。ユマニチュードでは、立つことで体の機能を保ち、人としての尊厳を支えることを重視しています。

試験の罠
ユマニチュードの4つの柱「見る・話す・触れる・立つ」は、そのまま問われます。見るときは正面から同じ目の高さで、触れるときはつかまず手のひら全体で、という具体的な方法もあわせて覚えましょう。
問97-3

認知症の母親を介護しているPさんは、「何度言っても同じことを聞いてくる。どうしてこんなこともできないの」と母親を強く叱ってしまい、「もう介護を投げ出したい」と話している。認知症の人を介護する家族がたどる心理的なステップのうち、Pさんの現在の段階にあたる心理として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①とまどい・否定の段階
  • ②混乱・怒り・拒絶の段階
  • ③割り切り・あきらめの段階
  • ④理解が進み受容する段階
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正解 ②混乱・怒り・拒絶の段階
解説
認知症の人を介護する家族の心理は、一般に「とまどい・否定」「混乱・怒り・拒絶」「割り切り(あきらめ)」「受容」というステップをたどるといわれています。
2番目の段階である「混乱・怒り・拒絶」は、認知症の症状への対応に追われて心身ともに疲れ、どう接してよいか分からずに怒りを感じたり、介護を拒絶したくなったりする、最もつらい時期です。Pさんの様子はこの段階にあたります。この時期の家族には、気持ちを受け止め、介護サービスの利用や家族会への参加など、負担を軽くする支援が特に必要です。

他の選択肢が不適切な理由
「とまどい・否定の段階」は、最初の段階で、認知症の症状に気づき始めたものの、それを認めたくない、何かの間違いだと思いたいといった気持ちが中心となります。Pさんは症状に振り回されて怒りを感じており、この段階は過ぎています。
「割り切り・あきらめの段階」は、3番目の段階で、怒ったり悩んだりしても仕方がないと考え、介護に慣れてきて、ある程度気持ちの折り合いがついてくる段階です。Pさんはまだ気持ちの整理がつかず、怒りを強く感じています。
「理解が進み受容する段階」は、最後の「受容」の段階で、認知症への理解が深まり、認知症の人のありのままを受け入れられるようになる段階です。Pさんの現在の心理状態とは異なります。

試験の罠
家族の心理的ステップは「とまどい・否定→混乱・怒り・拒絶→割り切り→受容」です。最もつらい「混乱・怒り・拒絶」の段階が事例でよく問われます。段階は行きつ戻りつするものであることも押さえましょう。
問107-3

Qさん(82歳、女性、要介護3、アルツハイマー型認知症)は、会社員の長女と2人で暮らしている。長女は日中は仕事、夜間はQさんの介護を続けており、訪問介護員に「自分の時間がまったくなくて、眠れない日もある」と疲れた表情で話した。訪問介護員の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①短期入所の利用を介護支援専門員に相談してもらう
  • ②仕事を辞めて、介護に専念することを長女に勧める
  • ③介護の方法に工夫が足りないと考え、方法を指導する
  • ④長女の話には深入りせず、Qさんの様子だけを伝える
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正解 ①短期入所の利用を介護支援専門員に相談してもらう
解説
家族介護者が心身ともに疲れて燃え尽きてしまうと、在宅での生活を続けることが難しくなり、虐待や介護離職につながるおそれもあります。長女の疲れの訴えは、支援が必要なサインです。
介護する家族が一時的に介護から離れて休息をとれるようにする支援をレスパイトケアといいます。短期入所生活介護(ショートステイ)などのサービスの利用について、ケアプランを作成する介護支援専門員に相談するよう勧めることは、長女の負担を減らし、Qさんの在宅生活の継続を支える適切な対応です。

他の選択肢が不適切な理由
「仕事を辞めて、介護に専念することを長女に勧める」は、介護を理由に仕事を辞めると、収入が減るだけでなく、介護する家族が社会から孤立して、かえって負担が増すこともあります。仕事と介護を両立できるよう、サービスの利用や職場の制度(介護休業など)の活用を考えることが大切です。
「介護の方法に工夫が足りないと考え、方法を指導する」は、長女はすでに疲れ切っており、介護の方法を指導することは、さらに負担や自責の念を強めるおそれがあります。まずは長女の気持ちを受け止め、負担を軽くする方法を考えます。
「長女の話には深入りせず、Qさんの様子だけを伝える」は、長女の疲れを受け止めずにQさんのことだけを伝えると、長女は孤立感を深めます。家族も支援の対象であり、家族の思いに耳を傾けることが大切です。

試験の罠
家族支援のキーワードは「レスパイトケア(休息)」「気持ちの受け止め」「チームで支える」です。訪問介護員が単独で解決しようとせず、介護支援専門員につなぐ判断も問われます。

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