2026年版・10-4

事例:施設での生活と多職種連携の一問一答

介護福祉士国家試験「総合問題(事例)」から、事例:施設での生活と多職種連携に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする形式ですが、ここでは4択で出題しています。

問110-4

Aさん(45歳、男性)は、脳性麻痺による四肢の障害があり、障害支援区分5の認定を受けて障害者支援施設に入所している。夜間や休日は、施設入所支援によって入浴・排泄・食事などの介護を受けている。常に介護が必要な状態であるが、Aさんは「昼間は、ほかの利用者と一緒に絵を描いたり、簡単な作業をしたりして過ごしたい」と話している。Aさんが昼間に利用する障害福祉サービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①生活介護
  • ②自立訓練(生活訓練)
  • ③就労継続支援A型
  • ④療養介護
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正解 ①生活介護
解説
生活介護は、常に介護が必要な障害者に対して、主に昼間、障害者支援施設などで、入浴・排泄・食事の介護や、創作的活動・生産活動の機会の提供などを行う障害福祉サービスです(障害者総合支援法第5条第7項)。
障害者支援施設では、夜間の介護を行う施設入所支援と、昼間の活動を支える生活介護などを組み合わせて利用します。常に介護が必要で、昼間は絵を描いたり簡単な作業をしたりして過ごしたいというAさんの希望に最もよく合います。

他の選択肢が不適切な理由
「自立訓練(生活訓練)」は、地域で自立した生活を送れるよう、決められた期間、生活能力を高める訓練を行うサービスだからです。期間を区切った訓練が目的であり、常に介護を受けながら昼間の活動の場として過ごすためのものではありません(同条第12項)。
「就労継続支援A型」は、一般の企業で働くことが難しい人と雇用契約を結び、働く場を提供しながら知識や能力を高めるサービスです(同条第15項)。雇用契約に基づいて働くことが前提で、常に介護が必要な人の昼間の活動の場とは目的が異なります。
「療養介護」は、医療を必要とし常時介護を要する障害者に、主に昼間、病院などで機能訓練や療養上の管理、看護、医学的管理のもとでの介護などを行うサービスだからです(同条第6項)。Aさんには医学的な管理が必要な状態は示されておらず、障害者支援施設での昼間の活動の場を求めているAさんには当てはまりません。

試験の罠
障害者支援施設での暮らしは「夜は施設入所支援、昼は生活介護などの日中活動」という組合せで成り立っています。介護保険の特別養護老人ホームのように1つのサービスで24時間を支えるしくみとは違う点が問われます。
問210-4

Bさん(78歳、女性、要介護3)は、脳梗塞の後遺症で右片麻痺があり、介護老人福祉施設に入所することになった。自宅では、ベッドの柵につかまれば、自分で起き上がってベッドの端に座り、立ち上がることができていた。入所にあたって、居室のベッドの置き方を決めることになり、Bさんは「できることは自分でしたい」と話している。Bさんが自分でベッドから起き上がって降りられるようにするための居室の環境づくりとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①麻痺側を使うよう、ベッドの右側から降りる配置にする
  • ②転落を防ぐよう、ベッドの左右の両側を柵で囲って置く
  • ③寝たときの左側から降りられるよう、左側を空けて置く
  • ④介護職が見守れるよう、ベッドの頭側を入口に向けて置く
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正解 ③寝たときの左側から降りられるよう、左側を空けて置く
解説
片麻痺のある人は、麻痺のない側(健側)の手足を使って起き上がり、健側のほうへ体を向けてベッドから降りるのが基本です。右片麻痺のBさんの場合、寝たときの左側(健側)から降りられるように、ベッドの左側に空間をとり、つかまれる柵などを健側に置きます。
自宅と同じ方法で自分で起き上がれる環境を整えることは、残っている力を活かし、「できることは自分でしたい」というBさんの自立と自己決定を支えることにつながります。

他の選択肢が不適切な理由
「麻痺側を使うよう、ベッドの右側から降りる配置にする」は、麻痺のある右側からでは、健側の左手で柵につかまって体を支えることができず、起き上がりや立ち上がりが難しくなって転倒の危険も高まるためです。
「転落を防ぐよう、ベッドの左右の両側を柵で囲って置く」は、自分で降りることができなくなるうえ、ベッドの周りを柵で囲んで自分で降りられないようにすることは、厚生労働省の手引きで身体拘束に当たる行為とされているためです。
「介護職が見守れるよう、ベッドの頭側を入口に向けて置く」は、介護職の見守りやすさを優先した配置であり、Bさんが健側から自分で起き上がって降りられるかという点を考えていないためです。

試験の罠
ベッドからの起き上がりや車いすへの移乗は「健側から」、衣服の着脱は「脱健着患」と、片麻痺の介護の原則は動作によって言い方が変わります。環境づくりも、本人の健側を活かせるかどうかで考えましょう。
問310-4

Cさん(88歳、女性、要介護4)は、介護老人福祉施設に入所している。最近、毎食の食事を半分ほど残すようになり、この2か月で体重が3kg減った。食事中にむせることはなく、入れ歯の具合にも問題はないと歯科医師から言われている。Cさんは「量が多くて食べきれない」「甘いものなら少し食べられる」と話している。介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①残さず食べられるよう、毎食の主食の量を増やして出す
  • ②食べた量と体重の変化をまとめて、管理栄養士に相談する
  • ③甘いものなら食べられるので、菓子を食事の代わりに出す
  • ④むせがないので、次の定期の体重測定まで様子を見ておく
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正解 ②食べた量と体重の変化をまとめて、管理栄養士に相談する
解説
2か月で3kgの体重減少と食事量の低下は、低栄養が進んでいるおそれを示すサインです。介護老人福祉施設は、入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行うことが義務づけられています(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第17条の2)。施設には原則として栄養士または管理栄養士を置くこととされ(同基準第2条第1項第4号。入所定員40人以下で他の施設の栄養士などと連携できる場合は置かないこともできます)、栄養管理の中心となる専門職が管理栄養士です。
介護福祉職は、毎日の食べた量や体重の変化、本人の言葉を記録してまとめ、管理栄養士に伝えることで、食事の量や形、補助食品の活用などの見直しにつなげます。日々の食事の場面を最もよく知る介護福祉職の情報が、多職種連携の出発点になります。

他の選択肢が不適切な理由
「残さず食べられるよう、毎食の主食の量を増やして出す」は、Cさんは「量が多くて食べきれない」と話しており、量を増やすとさらに食べられなくなるおそれがあるためです。少量でも栄養がとれる工夫を専門職と考える必要があります。
「甘いものなら食べられるので、菓子を食事の代わりに出す」は、菓子だけではたんぱく質やビタミンなどが不足し、栄養の偏りを招くためです。好みを活かす場合も、管理栄養士と相談して栄養のバランスを考えます。
「むせがないので、次の定期の体重測定まで様子を見ておく」は、むせがなくても体重の減少はすでに起きており、様子を見ている間に低栄養が進むおそれがあるためです。

試験の罠
「食事量の低下+体重減少」は低栄養のサインで、相談先は管理栄養士です。むせや飲み込みの問題なら言語聴覚士や歯科医師、入れ歯の問題なら歯科医師と、課題によって連携する職種を選び分けましょう。
問410-4

Dさん(82歳、男性、要介護3)は、介護老人福祉施設で暮らしている。以前は歩行器を使って居室から食堂まで歩いていたが、1か月前に肺炎で入院してから足の筋力が落ち、施設に戻った後は車いすで移動している。Dさんは「もう一度、自分の足で食堂まで歩きたい」と話している。この施設で、Dさんの身体機能を評価し、日常生活の中で機能の減退を防ぐための訓練を専門的に行う職種として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①生活相談員
  • ②管理栄養士
  • ③介護支援専門員
  • ④機能訓練指導員
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正解 ④機能訓練指導員
解説
介護老人福祉施設には、日常生活を営むのに必要な機能を改善し、またはその減退を防ぐための訓練を行う能力のある機能訓練指導員を置くことが定められています(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第2条第1項第5号・第7項)。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員などが就きます。
Dさんの「もう一度歩きたい」という思いを実現するには、機能訓練指導員が身体機能を評価して訓練の方法を示し、介護福祉職が日々の生活の中でそれを実践するという連携が大切です。

他の選択肢が不適切な理由
「生活相談員」は、入所者や家族の相談に応じ、入所や退所の手続き、関係機関との連絡調整などを担う職種で、身体機能の評価や訓練を専門とする職種ではないためです。
「管理栄養士」は、入所者の栄養状態を評価し、献立や栄養管理を担う職種であり、歩行のための訓練を専門に行う職種ではないためです。
「介護支援専門員」は、アセスメントをもとに施設サービス計画を作成し、計画全体の調整を担う職種です。訓練を計画に位置づける役割はありますが、身体機能を評価して訓練を専門的に行うのは機能訓練指導員です。

試験の罠
介護老人福祉施設の職員は「生活相談員=相談・連絡調整」「機能訓練指導員=機能訓練」「介護支援専門員=施設サービス計画」「管理栄養士・栄養士=栄養管理」と役割で整理しましょう。機能訓練指導員は職種名ではなく、施設の中での役割の名前です。
問510-4

Eさん(85歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所して半年になる。施設サービス計画では「日中は自分で歩いてトイレに行く」ことを目標にしてきたが、先週、居室で転倒して腰を痛め、医師からはしばらく無理に歩かないよう指示が出た。現在は車いすで移動し、排泄にも介助が必要になっている。Eさんの状態の変化に気づいた介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①介護福祉職が自分の判断で、施設サービス計画を書き換える
  • ②計画担当の介護支援専門員に伝え、計画の変更を検討してもらう
  • ③施設サービス計画は、要介護認定の更新時まで変更しないでおく
  • ④家族の了解があれば、介護職だけで新しい計画に切り替えておく
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正解 ②計画担当の介護支援専門員に伝え、計画の変更を検討してもらう
解説
介護老人福祉施設では、計画担当の介護支援専門員が施設サービス計画を作成し、実施状況を継続的に把握(モニタリング)して、必要に応じて計画を変更します(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第12条)。
転倒によって歩いてトイレに行くという目標が今の状態に合わなくなったため、日々のケアで変化に気づいた介護福祉職がその事実を計画担当の介護支援専門員に伝え、看護職員や機能訓練指導員など多職種の意見も聞いて計画を見直すことが大切です。

他の選択肢が不適切な理由
「介護福祉職が自分の判断で、施設サービス計画を書き換える」は、施設サービス計画は計画担当の介護支援専門員が担当者の意見を聞き、本人や家族に説明して同意を得て作成するものだからです。介護福祉職が一人で書き換えることはできません。
「施設サービス計画は、要介護認定の更新時まで変更しないでおく」は、計画は認定の更新時に限らず、状態が変われば必要に応じて見直すものだからです。今の状態に合わない計画のままでは、転倒の危険が続きます。
「家族の了解があれば、介護職だけで新しい計画に切り替えておく」は、家族の了解があっても、計画の作成と変更は計画担当の介護支援専門員が多職種の意見を聞いて行う手続きだからです。

試験の罠
施設サービス計画は「計画担当介護支援専門員が作成・変更」し、「本人(家族)への説明と文書による同意」が必要です。介護福祉職の役割は、変化に気づいて伝えることと、計画に沿った介護を実践することです。
問610-4

Fさん(90歳、男性、要介護5)は、介護老人福祉施設の多床室で生活している。数週間前から手足や体の皮膚が厚く角化して、かゆみを訴えていたため皮膚科を受診したところ、角化型疥癬(ノルウェー疥癬)と診断され、治療が始まった。同じ部屋の入所者に、今のところ症状はみられない。施設の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①一定期間は個室で過ごし、使い捨て手袋とガウンで介護する
  • ②通常の疥癬と同じく、個室には移さず多床室で介護する
  • ③空気感染するため、職員全員がN95マスクを着けて介護する
  • ④ダニは長く生き続けるので、居室を毎日燻蒸消毒する
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正解 ①一定期間は個室で過ごし、使い捨て手袋とガウンで介護する
解説
疥癬は、ヒゼンダニが皮膚に寄生して起こる病気です。なかでも角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は、寄生するヒゼンダニの数が通常の疥癬とは桁違いに多いため感染力が非常に強く、集団感染を起こすおそれがあります。厚生労働省の『介護現場における感染対策の手引き(第3版)』では、角化型疥癬の人は個室管理とし、職員は手袋と使い捨ての長袖ガウンを着けて介護するとしています。
個室管理は本人などに説明して同意を得て、人権に配慮しながら行います。使ったリネンは、落屑(はがれ落ちた皮膚のかけら)が飛び散らないようビニール袋に入れて口をしっかり閉じ、洗濯に出します。

他の選択肢が不適切な理由
「通常の疥癬と同じく、個室には移さず多床室で介護する」は、通常の疥癬では個室管理までは求められていませんが、角化型疥癬は感染力がはるかに強く、ダニを多く含む落屑や、使って間もない布団・シーツからもうつるため、同室者への感染を防ぐために個室管理とされているためです。
「空気感染するため、職員全員がN95マスクを着けて介護する」は、疥癬は主に皮膚どうしの接触や衣類・寝具を介してうつる接触感染であり、空気感染はしないためです。N95マスクは結核などの空気感染対策で使います。
「ダニは長く生き続けるので、居室を毎日燻蒸消毒する」は、ヒゼンダニは皮膚から離れると比較的短い時間で死滅し、熱にも弱い(50℃、10分間で死滅)ためです。同手引きが角化型疥癬の居室の対応として示しているのは、ダニを多く含む落屑を取り除くために、こまめに掃除機をかけることです。

試験の罠
疥癬は「接触感染」「夜間に強いかゆみ」、角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は「感染力が強く個室管理」がポイントです。ガウンは布ではなく使い捨てのものを使います。通常の疥癬と角化型疥癬の対応の違いが問われます。
問710-4

Gさん(80歳、男性、要介護2)は、介護老人保健施設に入所している。高血圧と心房細動の持病がある。朝食の時間に介護福祉職が声をかけると、Gさんは返事をしようとするが、ろれつが回らず言葉がはっきりしない。また、右手に持った箸を何度も落としている。起床介助のときには、いつもと変わった様子はみられなかった。介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①朝食を食べ終えてもらってから、看護職員に報告をする
  • ②麻痺の程度を確かめるため、立ち上がって歩いてもらう
  • ③眠気が残っていると考えて、しばらく居室で休んでもらう
  • ④すぐに看護職員に伝え、症状に気づいた時刻を記録する
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正解 ④すぐに看護職員に伝え、症状に気づいた時刻を記録する
解説
急にろれつが回らなくなる、片側の手に力が入らなくなるといった症状は、脳卒中(脳梗塞など)を強く疑うサインです。Gさんは心房細動があり、心臓の中にできた血栓が脳の血管に詰まる脳梗塞を起こしやすい状態にあります。
脳梗塞は、発症してからの時間によって受けられる治療が変わるため、すぐに看護職員に伝えて医師の判断や救急の対応につなげることが大切です。あわせて、症状に気づいた時刻と、最後にいつもどおりだった時刻を記録しておくと、医療職が治療を選ぶ重要な情報になります。

他の選択肢が不適切な理由
「朝食を食べ終えてもらってから、看護職員に報告をする」は、報告が遅れると治療の機会を逃すおそれがあるうえ、飲み込む力が低下している可能性があり、そのまま食事を続けると誤嚥の危険もあるためです。
「麻痺の程度を確かめるため、立ち上がって歩いてもらう」は、手足に力が入りにくい状態で立ったり歩いたりすると、転倒してけがをするおそれがあるためです。麻痺の程度の判断は医療職に任せ、安全な姿勢で待ちます。
「眠気が残っていると考えて、しばらく居室で休んでもらう」は、脳卒中の疑いがある症状を見過ごして、対応が遅れてしまうためです。起床時にはいつもと変わらなかったことから、急に起きた変化と考えて対応します。

試験の罠
「顔のゆがみ・片側の手足の力が入らない・言葉が出にくい」は脳卒中を疑うサインです。急変時は「すぐ医療職へ」「気づいた時刻を記録」「無理に動かさない」「飲食させない」の4点を押さえましょう。
問810-4

Hさん(84歳、女性、要介護3)は、肺炎で入院したあと体力が落ち、すぐに自宅で暮らすことが難しいため、病院から介護老人保健施設に入所した。施設では、理学療法士による歩行の訓練を受けている。Hさんの長女は面会に来た際、介護福祉職に「母はこのままずっと、この施設で暮らせるのでしょうか」と尋ねた。介護福祉職が長女に介護老人保健施設の役割を説明する内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①新規入所は、原則として要介護3以上の人に限られる施設です
  • ②長期の療養が必要な人に、医療と生活の場を提供する施設です
  • ③家庭への復帰を目指して、看護や機能訓練、介護を行う施設です
  • ④認知症の人が5〜9人ずつ共同生活を送る、小規模な住まいです
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正解 ③家庭への復帰を目指して、看護や機能訓練、介護を行う施設です
解説
介護老人保健施設は、心身の機能の維持回復を図り、自宅での生活に戻れるように支援することが必要な要介護者に対して、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理のもとでの介護、機能訓練などを行う施設です(介護保険法第8条第28項)。
病院と自宅の間をつなぐ役割を持つため、長女には、ずっと暮らすことを前提とした施設ではなく、リハビリなどを通して家庭への復帰を目指す施設であることを伝え、今後の生活について支援相談員や介護支援専門員と一緒に考えていけることも説明します。

他の選択肢が不適切な理由
「新規入所は、原則として要介護3以上の人に限られる施設です」は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の説明だからです。介護老人保健施設は要介護1以上の人が入所の対象で、要介護3以上という制限はありません。
「長期の療養が必要な人に、医療と生活の場を提供する施設です」は、主として長期にわたり療養が必要な要介護者を対象とする介護医療院の説明だからです(同条第29項)。
「認知症の人が5〜9人ずつ共同生活を送る、小規模な住まいです」は、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の説明です。グループホームは、1つの共同生活住居の入居定員が5人以上9人以下とされています。

試験の罠
介護保険施設は「介護老人福祉施設=生活の場(原則要介護3以上)」「介護老人保健施設=在宅復帰を目指す」「介護医療院=長期療養と生活」の3つです。施設の目的を問う事例でよく使われます。
問910-4

Iさん(87歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所している。冬になって、すねや背中の皮膚が白く粉をふいたように乾燥し、夜になるとかゆがってかきむしる様子がみられる。医師からは皮脂欠乏症(老人性乾皮症)と言われ、入浴後に塗る保湿剤が処方された。看護職員からは、入浴の際に皮膚を傷めないよう注意するよう伝えられている。Iさんの入浴の支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①汚れと古い角質を落とすため、ナイロンタオルで強くこする
  • ②石けんをよく泡立ててなでるように洗い、入浴後に保湿する
  • ③体を温めてかゆみを抑えるため、42℃以上の湯に長くつかる
  • ④汚れを残さないよう、石けんを多めに使って全身を洗う
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正解 ②石けんをよく泡立ててなでるように洗い、入浴後に保湿する
解説
皮脂欠乏症は、加齢などで皮膚の表面の皮脂や水分が減り、皮膚が乾燥してかゆみが出る状態です。高齢者に多く、空気が乾燥する冬に悪化しやすい特徴があります。
入浴では、皮膚に必要な皮脂まで落とさないよう、石けんをよく泡立てて手や柔らかいタオルでなでるように洗い、湯はぬるめにします。入浴後は皮膚の表面(角層)から水分が逃げて乾燥しやすいため、処方された保湿剤を入浴後に忘れずに塗ります。かき傷から皮膚の病気が悪化するのを防ぐことにもつながります。

他の選択肢が不適切な理由
「汚れと古い角質を落とすため、ナイロンタオルで強くこする」は、強くこすると皮膚を守る皮脂や角質まで取り除き、乾燥とかゆみを悪化させるためです。
「体を温めてかゆみを抑えるため、42℃以上の湯に長くつかる」は、熱い湯は皮脂を奪って乾燥を進め、体が温まることでかえってかゆみが強くなるためです。高齢者では血圧の急な変動の危険もあり、ぬるめの湯で短めにします。
「汚れを残さないよう、石けんを多めに使って全身を洗う」は、石けんの使いすぎやすすぎ残しは、皮膚の乾燥をかえって悪化させるためです。石けんはよく泡立てて必要な量にとどめ、特に乾燥の強い部分では控えめにします。

試験の罠
乾燥肌のケアは「こすらない・石けんを使いすぎない・熱い湯にしない・入浴後に保湿」が原則です。医師から処方された外用薬を塗る介助は、褥瘡の処置を除き、一定の条件のもとで介護職が行える行為とされています。
問1010-4

Jさん(79歳、男性、要介護4)は、病院を退院して介護老人福祉施設に入所することになった。入院中の検査で、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を保菌していることが分かったが、発熱や咳などの感染症の症状はなく、傷や床ずれもない。入所を前に、新人の介護職員が「Jさんの受け入れで、どんなことに気をつければよいですか」と先輩の介護福祉士に尋ねた。介護福祉士の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①入所前に、菌が消えたことを検査で確かめてから受け入れる
  • ②保菌だけなら害はないので、特別な感染対策は必要ない
  • ③保菌者のケアをするときに限って、手指衛生を徹底する
  • ④受け入れは断らず、看護職員と相談して感染対策を決める
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正解 ④受け入れは断らず、看護職員と相談して感染対策を決める
解説
MRSAなどの薬剤耐性菌は、抗菌薬(抗生物質)が効きにくくなった菌ですが、病原性が強くなったわけではなく、保菌しているだけでは症状も健康への害もありません。厚生労働省の『介護現場における感染対策の手引き(第3版)』は、薬剤耐性菌の保菌などを理由にサービスの提供を拒否することはできないとしています。
一方で同手引きは、保菌が分かっている入所者には慎重な標準予防策や接触予防策が必要になるとし、菌の種類によっては環境中に広がりやすいものもあるとしています。そのため、すべての人に行う標準予防策を基本にしながら、Jさんに必要な対策を看護職員や医師と相談して決めることが大切です。

他の選択肢が不適切な理由
「入所前に、菌が消えたことを検査で確かめてから受け入れる」は、保菌を理由に受け入れを断ることはできないためです。薬剤耐性菌は症状がないまま長く保菌が続くこともあり、菌が消えることを入所の条件にするのは適切ではありません。
「保菌だけなら害はないので、特別な感染対策は必要ない」は、保菌者本人に症状がなくても、職員の手や物を介してほかの入所者に菌が広がるおそれがあるためです。同手引きは、保菌が分かっている入所者には慎重な標準予防策や接触予防策が必要になるとしています。
「保菌者のケアをするときに限って、手指衛生を徹底する」は、薬剤耐性菌は培養検査をしなければ誰が保菌しているか分からないため、すべての入所者のケアの前後で手指衛生を行う必要があるからです。保菌が分かっている人だけに対策をしても、広がりは防げません。

試験の罠
「保菌」と「感染症の発症」は別物です。保菌者も受け入れを断らず、標準予防策を基本に、必要な対策は医療職と相談して決めます。とくにおむつ交換など排泄物を扱うときは手袋やエプロンを着け、ケアの後の手洗いを確実に行うことが、広がりを防ぐ基本です。

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