2026年版・10-3

事例:医療的ケア・制度活用を含む総合事例の一問一答

介護福祉士国家試験「総合問題(事例)」から、事例:医療的ケア・制度活用を含む総合事例に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする形式ですが、ここでは4択で出題しています。

問110-3

Aさん(84歳、女性、要介護5)は、脳梗塞の後遺症で嚥下障害があり、介護老人福祉施設で胃ろうから栄養剤の注入を受けている。この施設は登録喀痰吸引等事業者であり、医師の指示書に基づき、必要な研修を修了した介護福祉士が経管栄養を担当している。ある日、注入の途中でAさんが急に嘔吐した。介護福祉士の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①栄養が不足しないよう、注入の速度を上げて最後まで入れる。
  • ②嘔吐物を片付けてから、同じ速度で注入をそのまま続けていく。
  • ③胃ろうのチューブを抜いて、胃の内容物を外へ出しておく。
  • ④ただちに注入を止め、顔を横に向けてから看護職に連絡する。
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正解 ④ただちに注入を止め、顔を横に向けてから看護職に連絡する。
解説
経管栄養の注入中に嘔吐がみられた場合は、ただちに注入を中止します。嘔吐物が気管に入ると誤嚥性肺炎や窒息を起こすおそれがあるため、顔を横に向けるなどして嘔吐物が口の外へ流れ出るようにし、誤嚥を防ぎます。
そのうえで、速やかに看護職に連絡し、指示を受けます。医療的ケアを行う介護福祉士は、異常を見つけたときに自分で判断して処置を続けるのではなく、医療職と連携して安全を確保することが求められます。嘔吐の状況や注入量、時間などは記録し、報告します。

他の選択肢が不適切な理由
「栄養が不足しないよう、注入の速度を上げて最後まで入れる。」は、嘔吐している状態で注入を続けると、さらに嘔吐を誘発して誤嚥の危険を高めるため不適切です。注入の速度が速すぎることも嘔吐の原因になります。
「嘔吐物を片付けてから、同じ速度で注入をそのまま続けていく。」は、嘔吐の原因が分からないまま注入を再開することになり、再び嘔吐して誤嚥する危険があるため不適切です。再開するかどうかは医療職が判断します。
「胃ろうのチューブを抜いて、胃の内容物を外へ出しておく。」は、胃ろうのチューブの抜去や入れ替えは介護職が行える範囲を超える行為であり、ろう孔(胃ろうの穴)の損傷にもつながるため不適切です。

試験の罠
経管栄養中の異常(嘔吐・むせ・腹部の張り・顔色の変化)には「まず注入を止める→誤嚥を防ぐ姿勢→看護職へ連絡」の順で対応します。介護職が自分の判断で処置を続ける選択肢は誤りです。
問210-3

Bさん(62歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のため自宅で療養しており、口の中にたまった唾液や痰を自分で出すことが難しい。Bさんが利用する訪問介護事業所は登録喀痰吸引等事業者として登録しており、実地研修を修了した介護福祉士が、医師の指示書に基づいて口腔内の喀痰吸引を行うことになった。この介護福祉士の喀痰吸引の実施として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①痰が奥にあるときは、咽頭の奥まで吸引チューブを入れて吸引する。
  • ②医師の指示書に基づき、咽頭の手前までの範囲で口腔内を吸引する。
  • ③口腔内の吸引は、指示書があれば研修の修了がなくても行える。
  • ④吸引は長く続けるほど効果が高いので、1回に1分以上かけて行う。
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正解 ②医師の指示書に基づき、咽頭の手前までの範囲で口腔内を吸引する。
解説
介護福祉士が行える喀痰吸引は、口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の吸引です。このうち口腔内と鼻腔内の吸引は、咽頭の手前までが範囲とされています。咽頭より奥にチューブを入れると、迷走神経を刺激して血圧低下や嘔吐を起こしたり、粘膜を傷つけたりする危険があるためです。
喀痰吸引は、医師の指示の下で行う行為であり、登録喀痰吸引等事業者の事業所で、医師の指示書に基づき、看護職などと連携しながら実施します。

他の選択肢が不適切な理由
「痰が奥にあるときは、咽頭の奥まで吸引チューブを入れて吸引する。」は、介護福祉士が行える口腔内吸引の範囲(咽頭の手前まで)を超えており、嘔吐や出血などの危険もあるため不適切です。奥の痰が取れない場合は看護職に連絡します。
「口腔内の吸引は、指示書があれば研修の修了がなくても行える。」は誤りです。介護福祉士であっても、喀痰吸引等を行うには、その行為についての実地研修を修了していることが必要です。医師の指示書があるだけでは実施できません。
「吸引は長く続けるほど効果が高いので、1回に1分以上かけて行う。」は、吸引中は空気も一緒に吸い出されて体内の酸素が不足するため不適切です。1回の吸引は15秒以内を目安に、できるだけ短い時間で終えます(実際の時間は医師の指示書に従います)。

試験の罠
吸引の範囲は「口腔内・鼻腔内=咽頭の手前まで」「気管カニューレ=カニューレ内部まで」です。実施の条件は「医師の指示」「登録された事業所」「研修の修了」の3つがそろうこと、と覚えましょう。
問310-3

Cさん(80歳、女性、要介護3)は、長男(52歳)と二人で暮らし、週3回デイサービス(通所介護)を利用している。ある日、入浴の介助をしていた介護福祉職が、Cさんの両腕と背中に複数のあざがあることに気づいた。Cさんは「転んだだけ」と話すが、表情はこわばっている。長男は仕事と介護の両立で疲れていると、以前から介護支援専門員に話していた。あざ以外にけがや体調の急な変化はみられない。介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①あざを記録して責任者に報告し、市町村への通報につなげる。
  • ②本人が転んだと言っているので、虐待はないと判断して終える。
  • ③長男に直接連絡し、Cさんに暴力をふるっていないか問いただす。
  • ④確かな証拠が集まるまでは、誰にも伝えずに様子をみておく。
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正解 ①あざを記録して責任者に報告し、市町村への通報につなげる。
解説
高齢者虐待防止法では、養護者(家族など)による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、生命や身体に重大な危険が生じている場合は速やかに市町村に通報しなければならず、それ以外の場合も通報するよう努めなければならないと定めています。虐待であると確信できなくても、「思われる」段階で通報することが求められています。
介護福祉職は、あざの位置・大きさ・色などを客観的に記録し、事業所の責任者に報告して、事業所として市町村(または地域包括支援センター)に通報・相談します。通報は長男を罰するためではなく、Cさんを守り、疲れている長男も含めて支援につなげるためのものです。

他の選択肢が不適切な理由
「本人が転んだと言っているので、虐待はないと判断して終える。」は、虐待を受けている高齢者は家族をかばったり、周囲に知られることを恐れたりして事実を話さないことがあるため不適切です。
「長男に直接連絡し、Cさんに暴力をふるっていないか問いただす。」は、長男を追い詰めて状況を悪化させたり、Cさんがより危険な状態に置かれたりするおそれがあるため不適切です。事実の確認は市町村が行います。
「確かな証拠が集まるまでは、誰にも伝えずに様子をみておく。」は、通報に証拠は必要なく、対応が遅れるとCさんの被害が深刻になるおそれがあるため不適切です。

試験の罠
高齢者虐待の通報先は「市町村」、通報は「虐待を受けたと思われる」段階でよく、「守秘義務は通報を妨げない」がポイントです。生命・身体に重大な危険があれば義務、それ以外は努力義務です。
問410-3

Dさん(81歳、男性)は、妻を亡くしてから一人暮らしを続けている。近所の民生委員によると、最近は家の中にごみがたまって異臭がし、食事もほとんどとっていない様子である。民生委員が声をかけても「放っておいてくれ」と言って、介護保険の申請やサービスの利用を拒んでいる。家族は遠方に住んでおり、ほとんど連絡をとっていない。民生委員から相談を受けた介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①本人の意思を尊重し、民生委員の見守りだけを続けてもらう。
  • ②介護が必要なので、本人の同意がなくても入所の手続きを進める。
  • ③地域包括支援センターに状況を伝えて、関係機関の支援へとつなげる。
  • ④家族による介護等放棄に当たるとして、遠方の家族を警察に通報する。
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正解 ③地域包括支援センターに状況を伝えて、関係機関の支援へとつなげる。
解説
Dさんのように、自分の健康や安全を損なうほど生活環境や食事などへの関心を失い、周囲の支援も拒む状態は、セルフ・ネグレクト(自己放任)と呼ばれます。高齢者虐待防止法が定める虐待(養護者や施設職員による5つの類型)には当たりませんが、命に関わる危険があり、放置してよいものではありません。
厚生労働省も、セルフ・ネグレクトの状態にある高齢者には、高齢者虐待に準じて市町村や地域包括支援センターが関係機関と連携して対応することが必要だとしています。まず地域包括支援センターに情報を伝え、民生委員などと協力しながら、本人との関係づくりを進めて支援につなげます。

他の選択肢が不適切な理由
「本人の意思を尊重し、民生委員の見守りだけを続けてもらう。」は、Dさんの生命や健康に危険が迫っているおそれがあり、民生委員の見守りだけでは対応しきれないため不適切です。本人が拒んでいても、専門機関につないで関係づくりを続けながら支援の方法を探ります。拒否の背景には、喪失体験による気力の低下や認知症などが隠れていることもあります。
「介護が必要なので、本人の同意がなくても入所の手続きを進める。」は、本人の意思を無視して施設への入所を進めることになり、自己決定の尊重に反するため不適切です。また、介護福祉職が本人に代わって入所を決める権限はありません。
「家族による介護等放棄に当たるとして、遠方の家族を警察に通報する。」は、Dさんは家族と同居しておらず、家族を養護者による虐待の加害者と決めつける根拠はないため不適切です。相談先は市町村や地域包括支援センターです。

試験の罠
セルフ・ネグレクトは高齢者虐待防止法の虐待の定義には含まれませんが、「支援が必要な状態」として地域包括支援センターなどにつなぐのが正解の軸です。拒否があっても関係づくりを続ける、という視点が問われます。
問510-3

Eさん(86歳、男性、要介護4)は、アルツハイマー型認知症が進み、物事を判断する能力を欠く常況にある。妻はすでに亡くなり、長女が遠方に住んでいる。Eさんが介護老人福祉施設に入所するにあたり、預金の管理や施設との契約を代わりに行う人が必要になった。長女は成年後見制度を利用するため、後見開始の審判を申し立てることにした。申立て先として、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①家庭裁判所
  • ②地方裁判所
  • ③社会福祉協議会
  • ④地域包括支援センター
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正解 ①家庭裁判所
解説
成年後見制度(法定後見)は、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な人を法律的に保護し、支援する制度です。本人の判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助の3つの類型があります。
後見開始などの審判の申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。申立てができるのは、本人、配偶者、4親等内の親族などです。家庭裁判所が審判によって成年後見人等を選任し、選ばれた成年後見人がEさんに代わって財産の管理や契約などの法律行為を行います。

他の選択肢が不適切な理由
「地方裁判所」は、民事や刑事の裁判などを扱う裁判所です。成年後見に関する審判は家庭に関する事件として家庭裁判所が扱うため、申立て先ではありません。
「社会福祉協議会」は、日常生活自立支援事業の実施や、成年後見制度の相談、法人後見などを行うことはありますが、後見開始の審判の申立て先ではありません。
「地域包括支援センター」は、権利擁護業務として成年後見制度の利用についての相談や支援を行う機関ですが、審判の申立て先ではありません。

試験の罠
成年後見は「家庭裁判所に申し立て、家庭裁判所が選任」、日常生活自立支援事業は「社会福祉協議会と本人が契約」です。身寄りがない場合は市町村長も申し立てることができます。
問610-3

Fさん(86歳、女性、要介護4)は、娘と二人で暮らし、訪問介護、訪問看護、通所介護、短期入所生活介護を組み合わせて利用している。介護が必要な時間が増えたため利用するサービスが多くなり、毎月の介護保険サービスの利用者負担の合計が、所得に応じて定められた上限額を超えるようになった。娘は「支払いが苦しい」と介護支援専門員に相談した。この負担を軽くするための介護保険の給付として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①特定入所者介護サービス費
  • ②高額療養費
  • ③居宅介護住宅改修費
  • ④高額介護サービス費
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正解 ④高額介護サービス費
解説
高額介護サービス費は、1か月に支払った介護保険サービスの利用者負担の合計額が、所得の区分に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超えた分が介護保険から払い戻される給付です。介護が必要な時間が長くなり、複数のサービスを組み合わせて使う人の負担が重くなりすぎないようにするためのしくみです。
Fさんのように利用者負担の合計が上限額を超えるようになった場合は、市町村への申請によって支給を受けることができます。医療保険の自己負担と合算して負担を軽くする高額医療合算介護サービス費というしくみもあります。

他の選択肢が不適切な理由
「特定入所者介護サービス費」は、所得の低い人が介護保険施設に入所したり短期入所サービスを利用したりしたときに、食費と居住費(滞在費)の負担を軽くする給付です。サービスの利用者負担の合計が上限額を超えた分を払い戻すものではありません。
「高額療養費」は、医療保険の制度で、医療機関の窓口で支払った1か月の医療費の自己負担が上限額を超えた場合に払い戻されるものです。介護保険サービスの利用者負担を対象とするものではありません。
「居宅介護住宅改修費」は、手すりの取付けや段差の解消などの住宅改修の費用を支給するもので、サービスの利用者負担を軽くするものではありません。

試験の罠
「高額介護サービス費=介護の利用者負担の上限」「高額療養費=医療の自己負担の上限」「特定入所者介護サービス費=施設などの食費・居住費の軽減(低所得者)」と区別しましょう。
問710-3

Gさん(72歳、男性、要介護2)は、一人暮らしで生活保護を受けている。脳梗塞の後遺症で右片麻痺があり、介護保険の訪問介護と通所介護を利用することになった。介護支援専門員が作成した居宅サービス計画に基づいてサービスを利用した場合、Gさんの介護保険サービスの利用者負担分を賄う生活保護の扶助として、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①生活扶助
  • ②介護扶助
  • ③医療扶助
  • ④住宅扶助
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正解 ②介護扶助
解説
生活保護の扶助には、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類があります。介護扶助は、要介護者や要支援者に対して、居宅介護(居宅サービス計画に基づくもの)、福祉用具、住宅改修、施設介護などを給付するものです。
65歳以上の生活保護の受給者は介護保険の第1号被保険者になり、介護保険から給付を受けます。そのうえで、原則1割の利用者負担分が介護扶助によって賄われます。なお、介護保険料は生活扶助に加算されて支給されます。

他の選択肢が不適切な理由
「生活扶助」は、食費や光熱水費など、日常生活に必要な費用を賄う扶助です。介護保険料はこの生活扶助に加算されますが、介護サービスの利用者負担分を賄うのは介護扶助です。
「医療扶助」は、診察や薬、手術、入院など、医療にかかる費用を賄う扶助です。介護保険のサービスの費用は対象ではありません。
「住宅扶助」は、家賃や住宅の補修費など、住まいにかかる費用を賄う扶助です。介護サービスの利用者負担分は対象ではありません。

試験の罠
生活保護の扶助は8種類で、医療扶助と介護扶助は原則として現物給付、それ以外は原則として金銭給付です。「介護保険料=生活扶助(加算)」「利用者負担=介護扶助」と区別して覚えましょう。
問810-3

Hさん(84歳、女性、要介護3)は、アルツハイマー型認知症が進み、家庭裁判所の審判によって、司法書士が成年後見人に選任された。Hさんはグループホームで暮らしている。ある日、新しく入職した介護職員が「成年後見人が付いたのだから、Hさんのことは何でも後見人が行うのですか」と先輩の介護福祉職に尋ねた。先輩の介護福祉職の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①成年後見人は、Hさんの入浴や排泄の介護も行う義務を負っている。
  • ②成年後見人は、Hさんに代わって手術などの医療行為に同意できる。
  • ③成年後見人は、Hさんの財産管理やサービスの契約を代わりに行う。
  • ④成年後見人は、Hさんが買った日用品の購入も取り消すことができる。
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正解 ③成年後見人は、Hさんの財産管理やサービスの契約を代わりに行う。
解説
成年後見人は、本人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について本人を代表します。預貯金の管理や、介護サービスや施設の利用契約などを、本人に代わって行うのが主な役割です。その際には、本人の意思を尊重し、心身の状態や生活の状況に配慮しなければならないとされています(身上配慮義務)。
一方、入浴や排泄の介助などの実際の介護(事実行為)は、成年後見人の職務には含まれません。成年後見人は、Hさんに必要な介護が適切に提供されるよう契約を結び、その内容を確認する立場にあります。

他の選択肢が不適切な理由
「成年後見人は、Hさんの入浴や排泄の介護も行う義務を負っている。」は誤りです。成年後見人の職務は財産管理や契約などの法律行為で、実際の介護を自ら行う義務はありません。
「成年後見人は、Hさんに代わって手術などの医療行為に同意できる。」は誤りです。成年後見人の権限は財産管理と法律行為の代理であり、手術などの医療行為への同意は、一般に成年後見人の権限に含まれないとされています。
「成年後見人は、Hさんが買った日用品の購入も取り消すことができる。」は誤りです。成年被後見人の法律行為は取り消すことができますが、日用品の購入その他日常生活に関する行為は取消しの対象から除かれています。本人の日常生活の自由を守るためです。

試験の罠
成年後見人の職務は「財産管理」と「身上保護(契約などの法律行為)」で、「介護そのもの」「医療行為への同意」は含まれません。「日用品の購入は取り消せない」も頻出です。
問910-3

Jさん(45歳、女性)は、介護老人福祉施設で介護職員として働いている。介護福祉士の資格はまだ持っていない。施設には胃ろうから栄養剤の注入を受けている入所者が複数おり、Jさんは経管栄養の業務を担えるようになりたいと考えている。Jさんが経管栄養を行うための条件として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①喀痰吸引等研修を修了し、都道府県知事の認定を受けて行う。
  • ②介護職員であれば、研修を受けなくても医師の指示で実施できる。
  • ③看護師がそばにいれば、研修や認定がなくても実施してよい。
  • ④介護福祉士でない介護職員は、どのような場合も実施できない。
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正解 ①喀痰吸引等研修を修了し、都道府県知事の認定を受けて行う。
解説
介護福祉士ではない介護職員が喀痰吸引や経管栄養を行うには、都道府県知事またはその登録を受けた機関が行う喀痰吸引等研修を修了し、都道府県知事から認定特定行為業務従事者認定証の交付を受ける必要があります。認定を受けた人は、認定特定行為業務従事者として、修了した研修の課程に応じた行為(特定行為)を、医師の指示の下に行うことができます。
実施する事業所も、都道府県知事の登録(登録特定行為事業者)を受けている必要があります。安全に医療的ケアを行うため、知識と技術を習得したことを公的に確認するしくみです。

他の選択肢が不適切な理由
「介護職員であれば、研修を受けなくても医師の指示で実施できる。」は誤りです。研修の修了と都道府県知事による認定がなければ、医師の指示があっても実施できません。
「看護師がそばにいれば、研修や認定がなくても実施してよい。」は誤りです。看護師が近くにいても、介護職員が経管栄養を行うには研修の修了と認定が必要です。
「介護福祉士でない介護職員は、どのような場合も実施できない。」は誤りです。社会福祉士及び介護福祉士法の附則に基づく認定特定行為業務従事者の制度により、研修を修了し認定を受ければ実施できます。

試験の罠
医療的ケアを行える人は「介護福祉士(実地研修の修了が必要)」と「認定特定行為業務従事者(研修修了+都道府県知事の認定)」、事業所の登録は、介護福祉士が行う場合は「登録喀痰吸引等事業者」、認定特定行為業務従事者が行う場合は「登録特定行為事業者」と、別の登録になっています。認定・登録の主体が都道府県知事である点も問われます。
問1010-3

Kさん(68歳、男性)は、長年勤めた会社を退職後、年金と貯金で一人暮らしをしてきた。しかし、病気の治療で貯金を使い果たし、年金だけでは家賃と生活費をまかなえなくなった。頼れる親族はいない。近所の民生委員から相談を受けた地域包括支援センターの職員が、生活保護の申請について助言することになった。Kさんが生活保護の申請を行う窓口として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①住んでいる地域を担当する年金事務所
  • ②住んでいる地域を担当する公共職業安定所
  • ③住んでいる地域を担当する福祉事務所
  • ④住んでいる地域を担当する保健所
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正解 ③住んでいる地域を担当する福祉事務所
解説
生活保護は、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とする制度で、日本国憲法第25条の生存権の理念に基づいています。
生活保護の申請は、原則として、住んでいる地域を担当する福祉事務所(市の福祉事務所、町村部では都道府県の福祉事務所など)で行います。福祉事務所は、申請を受けて資産や収入、扶養義務者の状況などを調査し、保護が必要かどうかを決定します。

他の選択肢が不適切な理由
「住んでいる地域を担当する年金事務所」は、日本年金機構の窓口で、年金の相談や手続きを扱う機関です。生活保護の申請窓口ではありません。
「住んでいる地域を担当する公共職業安定所」は、ハローワークのことで、職業の紹介や雇用保険の手続きなどを扱う機関です。生活保護の申請窓口ではありません。
「住んでいる地域を担当する保健所」は、感染症の予防や食品衛生、精神保健など、地域の公衆衛生を担う機関です。生活保護の申請窓口ではありません。

試験の罠
生活保護は「申請保護の原則」で、申請先は福祉事務所です。本人だけでなく扶養義務者や同居の親族も申請できます。生活困窮者自立支援制度の相談窓口(自立相談支援機関)との違いもあわせて押さえましょう。

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