2026年版・10-1

事例:高齢者・認知症の人の生活支援の一問一答

介護福祉士国家試験「総合問題(事例)」から、事例:高齢者・認知症の人の生活支援に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする形式ですが、ここでは4択で出題しています。

問110-1

Aさん(73歳、男性、要介護2)は、脳梗塞で入院し、右片麻痺と運動性失語が残った。言われたことはおおむね理解できるが、自分の考えを言葉にすることが難しく、話そうとしても言葉が出ずに黙り込んでしまうことが多い。退院後、妻と二人で暮らし、訪問介護を利用している。訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんとコミュニケーションをとるときの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①言葉が出るまで待たず、介護職が代わりに文章を言い切る。
  • ②五十音表を指さしてもらい、長い文章を作って伝えてもらう。
  • ③はいかいいえで答えられる形で、一つずつ問いかけていく。
  • ④言葉の練習になるよう、難しい言葉を繰り返し言ってもらう。
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正解 ③はいかいいえで答えられる形で、一つずつ問いかけていく。
解説
運動性失語(ブローカ失語)は、脳の言葉を話す働きを担う部分が損傷されて起こり、相手の言うことはおおむね理解できるのに、言葉がなかなか出てこない、話し方がたどたどしくなるといった特徴があります。
Aさんには、「はい」か「いいえ」で答えられる閉じられた質問で、一つずつ問いかけると、首を振ったりうなずいたりして意思を伝えやすくなります。言葉が出ないもどかしさに配慮し、ゆっくり待つ姿勢で関わることが大切です。

他の選択肢が不適切な理由
「言葉が出るまで待たず、介護職が代わりに文章を言い切る。」は、本人が伝えたいことと違う内容になるおそれがあり、話そうとする意欲や自尊心を損なうため不適切です。
「五十音表を指さしてもらい、長い文章を作って伝えてもらう。」は、失語症では文字を使って文章を組み立てることも難しくなることが多く、長い文章を作るのは大きな負担になるため不適切です。五十音表は、構音障害など言葉を組み立てる力が保たれている人に向いた方法です。
「言葉の練習になるよう、難しい言葉を繰り返し言ってもらう。」は、うまく言えない経験を重ねさせて本人を追い詰めることになるため不適切です。言語の訓練は、言語聴覚士の評価に基づいて行います。

試験の罠
運動性失語は「理解できるが話せない」ので閉じられた質問が有効、感覚性失語は「話せるが理解が難しい」ので身振りや絵などで伝える工夫が有効です。五十音表は失語症ではなく構音障害向けという区別も頻出です。
問210-1

Bさん(76歳、女性、要介護2)は、大腿骨頸部骨折で手術を受け、回復期リハビリテーション病棟を経て自宅に戻った。杖で室内を歩けるが、屋外の段差や自宅の階段の昇り降りに不安がある。Bさんは「病院で教わった体操を続けて、近所のスーパーまで歩けるようになりたい」と話している。Bさんが自宅で理学療法士から歩行の訓練を受けられる介護保険のサービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①訪問リハビリテーション
  • ②訪問入浴介護
  • ③居宅療養管理指導
  • ④福祉用具貸与
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正解 ①訪問リハビリテーション
解説
訪問リハビリテーションは、医師の指示に基づき、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が利用者の自宅を訪問して、心身の機能の維持回復や日常生活の自立を助けるためのリハビリテーションを行う介護保険のサービスです。
自宅で行うため、実際の生活の場である階段や玄関の段差、周辺の道などを使った具体的な訓練ができ、「スーパーまで歩けるようになりたい」というBさんの目標に直結した支援が受けられます。

他の選択肢が不適切な理由
「訪問入浴介護」は、自宅の浴室での入浴が難しい人のために、浴槽を積んだ入浴車などで訪問し、入浴の介護を行うサービスです。歩行の訓練を行うサービスではありません。
「居宅療養管理指導」は、通院が難しい人に対して、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士などが自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行うサービスです。理学療法士による訓練は含まれません。
「福祉用具貸与」は、車いすや歩行器、手すりなどの福祉用具を貸し出すサービスです。歩行を助ける用具は借りられますが、訓練を受けるサービスではありません。

試験の罠
リハビリテーションは「訪問(自宅で)=訪問リハビリテーション」「通い(施設で)=通所リハビリテーション(デイケア)」の2つです。通所介護(デイサービス)と通所リハビリテーション(デイケア)の違いもよく問われます。
問310-1

Cさん(80歳、男性、要介護2)は、レビー小体型認知症と診断されている。最近、夕方になると、居室の壁を指さして「そこに小さな子どもが座っている」と言い、不安そうにしている。動作がゆっくりになり、小刻みに歩くようになって、先週は廊下で転びそうになった。介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①見えないことが理解できるまで、子どもはいないと丁寧に説明する。
  • ②見えているものを否定せず受け止め、部屋の照明の明るさを整える。
  • ③不安が強いときは、介護職の判断で手持ちの安定剤を飲んでもらう。
  • ④見えるものを減らすため、夕方は部屋の照明を消して休んでもらう。
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正解 ②見えているものを否定せず受け止め、部屋の照明の明るさを整える。
解説
レビー小体型認知症では、実際にはないものがはっきりと見える幻視が特徴的な症状で、人や小動物が見えることが多いといわれます。本人にとっては本当に見えているため、否定されると不安や混乱が強まります。本人の話を受け止め、そばに寄り添って安心できるように関わります。
薄暗い部屋や、壁の模様、影などが見間違いのきっかけになることがあるため、照明を明るくして影を減らすなど、環境を整えることも有効です。また、手足のこわばりや小刻み歩行などのパーキンソン症状による転倒にも注意が必要です。

他の選択肢が不適切な理由
「見えないことが理解できるまで、子どもはいないと丁寧に説明する。」は、本人には実際に見えているため、否定し続けると「分かってもらえない」という不安や不信を強めるので不適切です。
「不安が強いときは、介護職の判断で手持ちの安定剤を飲んでもらう。」は、薬の使用を判断するのは医師であり、介護職の判断で服用させてはならないため不適切です。レビー小体型認知症では薬への過敏性があり、副作用が強く出やすいことも知られています。
「見えるものを減らすため、夕方は部屋の照明を消して休んでもらう。」は、暗い環境では見間違いがかえって起こりやすく、転倒の危険も高まるため不適切です。

試験の罠
レビー小体型認知症の特徴は「幻視」「パーキンソン症状(転倒)」「認知機能の変動」「薬剤への過敏性」です。幻視には「否定しない・環境を整える」が正解の軸です。
問410-1

Dさん(82歳、女性、要介護3)は、アルツハイマー型認知症があり、長男夫婦と同居している。主に介護している長男の妻は、夜間にDさんが何度も起きるため睡眠不足が続き、「少しの間でいいから休みたい。でも施設に入れるのはまだ考えていない」と介護支援専門員に話した。Dさんは日中、デイサービス(通所介護)を週2回利用している。長男の妻の希望に沿って、Dさんが数日間施設に泊まって介護を受けられる介護保険のサービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①認知症対応型共同生活介護
  • ②居宅療養管理指導
  • ③介護老人福祉施設
  • ④短期入所生活介護
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正解 ④短期入所生活介護
解説
短期入所生活介護(ショートステイ)は、特別養護老人ホームなどに短期間入所して、入浴、排泄、食事などの介護や機能訓練を受けるサービスです。利用者の心身の機能の維持とともに、家族の身体的・精神的な負担を軽くすること(レスパイトケア)も目的の一つとされています。
「施設に入れるのはまだ考えていないが、少し休みたい」という長男の妻の希望に沿い、在宅での生活を続けながら家族が休息をとることができるサービスです。

他の選択肢が不適切な理由
「認知症対応型共同生活介護」は、認知症のある人が少人数で共同生活を送る住居(グループホーム)で、生活全般の介護を受けるサービスです。住まいを移すことになるため、数日間だけ泊まるという希望には合いません。
「居宅療養管理指導」は、医師や薬剤師などが自宅を訪問して療養上の管理や指導を行うサービスであり、施設に泊まるサービスではありません。
「介護老人福祉施設」は、常に介護が必要で在宅での生活が難しい人が入所して生活する施設(特別養護老人ホーム)です。長期の入所を前提としているため、施設への入所はまだ考えていないという希望とは異なります。

試験の罠
家族の休息(レスパイト)のための代表的なサービスは「短期入所生活介護」「短期入所療養介護」「通所介護」です。短期入所療養介護は医療的な管理が必要な人向けで、介護老人保健施設などで行われます。
問510-1

Eさん(77歳、男性、要介護1)は、パーキンソン病の治療を受けながら、自宅で妻と暮らしている。最近、朝ベッドから起き上がってすぐに立ち上がったときに、目の前が暗くなってふらつき、しゃがみこんだことが2回あった。主治医からは、病気や薬の影響で起こりやすい症状だと説明を受けている。訪問介護員(ホームヘルパー)がEさんに伝える内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①起き上がったら、しばらく座って休んでから立ち上がる。
  • ②目の前が暗くなったら、そのまま立って治まるのを待つ。
  • ③朝は体が動きにくいので、勢いをつけて一気に立ち上がる。
  • ④ふらつきを防ぐため、朝は水分をとらずに過ごしておく。
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正解 ①起き上がったら、しばらく座って休んでから立ち上がる。
解説
寝た姿勢や座った姿勢から急に立ち上がると、重力で血液が足の方へ移り、脳へ送られる血液が一時的に少なくなって、めまいや目の前が暗くなる、ふらつくといった症状が起こります。これを起立性低血圧といい、パーキンソン病では自律神経の働きの低下や薬の影響で起こりやすくなります。
起き上がったらすぐに立たず、ベッドの端にしばらく座って体を慣らし、ゆっくり立ち上がることで、血圧の急な低下を防ぎ、転倒を予防できます。症状が続く場合は、医療職に伝えます。

他の選択肢が不適切な理由
「目の前が暗くなったら、そのまま立って治まるのを待つ。」は、立ったままでは脳への血流が戻りにくく、意識が遠のいて転倒するおそれがあるため不適切です。目の前が暗くなったりふらついたりしたら、その場で座るかしゃがんで休みます。
「朝は体が動きにくいので、勢いをつけて一気に立ち上がる。」は、急な姿勢の変化が起立性低血圧を引き起こすため不適切です。パーキンソン病では、勢いをつけた動作が突進やバランスの崩れにもつながります。
「ふらつきを防ぐため、朝は水分をとらずに過ごしておく。」は、水分が不足すると血液の量が減り、起立性低血圧がかえって起こりやすくなるため不適切です。

試験の罠
起立性低血圧の対策は「ゆっくり起き上がる」「座って一息ついてから立つ」「水分を十分にとる」です。パーキンソン病の自律神経症状(起立性低血圧・便秘・排尿障害)もあわせて覚えましょう。
問610-1

Fさん(84歳、女性、要介護1)は、一人暮らしで、訪問介護と通所介護を利用している。先月、自宅で転倒して腰椎を圧迫骨折し、退院後は起き上がりや立ち上がりに介助が必要になった。現在の要介護1のサービスの量では、日常生活を支えることが難しい状態である。要介護認定の有効期間の満了までは、まだ半年ある。Fさんの状況に対応するための手続きとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①有効期間が満了するまで待ち、更新の申請の際に見直してもらう。
  • ②介護支援専門員が、Fさんの要介護度を変更する手続きをする。
  • ③市町村に、要介護状態区分の変更の認定を申請する手続きをとる。
  • ④地域包括支援センターが、Fさんの要介護度を決めて変更する。
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正解 ③市町村に、要介護状態区分の変更の認定を申請する手続きをとる。
解説
要介護認定を受けている人の心身の状態が変化し、現在の要介護状態区分が実態に合わなくなった場合は、有効期間の途中でも、市町村に要介護状態区分の変更の認定を申請することができます。
申請を受けた市町村は、認定調査や主治医の意見書をもとに介護認定審査会の審査・判定を経て、新しい区分を認定します。Fさんのように状態が大きく変わったときは、更新を待たずに申請することで、必要なサービスを早く受けられるようになります。申請は本人や家族のほか、介護支援専門員などが代行することもできます。

他の選択肢が不適切な理由
「有効期間が満了するまで待ち、更新の申請の際に見直してもらう。」は、区分の変更は有効期間の途中でも申請できるため誤りです。半年待つと、その間に必要な支援が受けられず生活が成り立たなくなるおそれがあります。
「介護支援専門員が、Fさんの要介護度を変更する手続きをする。」は誤りです。介護支援専門員は申請の代行はできますが、要介護度を決めたり変更したりする権限はありません。
「地域包括支援センターが、Fさんの要介護度を決めて変更する。」は誤りです。要介護認定を行うのは保険者である市町村で、地域包括支援センターではありません。

試験の罠
要介護認定は「市町村に申請→認定調査・主治医意見書→介護認定審査会→市町村が認定」の流れです。状態が変わったら有効期間の途中でも区分変更の申請ができる点と、認定する主体が市町村である点が問われます。
問710-1

Gさん(79歳、女性、要支援1)は、骨粗鬆症と診断され、背中が丸くなってきた。一人暮らしで、転倒を心配して外出を控えるようになり、日中はほとんど家の中で過ごしている。食事は簡単なもので済ませることが多く、「骨を丈夫にするには何に気をつければいいの」と地域包括支援センターの職員に尋ねた。職員の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①骨折を防ぐため、できるだけ歩かずに家の中で安静にする。
  • ②カルシウムの吸収を助けるため、コーヒーを多めに飲む。
  • ③骨への負担を減らすため、たんぱく質は控えめにする。
  • ④適度に日光に当たり、カルシウムとビタミンDをとる。
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正解 ④適度に日光に当たり、カルシウムとビタミンDをとる。
解説
骨粗鬆症は、骨の量が減って骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。骨を丈夫に保つには、骨の材料となるカルシウムと、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを食事からとることが大切です。ビタミンDは、日光(紫外線)に当たることで皮膚でもつくられます。
さらに、歩くなどの適度な運動で骨に刺激を与えると、骨が強くなります。外出を控えているGさんには、安全に外に出て日光に当たり、体を動かす機会をつくることが、骨粗鬆症の予防と閉じこもりの防止の両方につながります。

他の選択肢が不適切な理由
「骨折を防ぐため、できるだけ歩かずに家の中で安静にする。」は、体を動かさないと骨に刺激が加わらず骨量がさらに減り、筋力も低下して、かえって転倒や骨折の危険が高まるため不適切です。
「カルシウムの吸収を助けるため、コーヒーを多めに飲む。」は誤りです。コーヒーなどに含まれるカフェインをとりすぎると、カルシウムが尿へ出ていきやすくなるため、多くとることは勧められません。
「骨への負担を減らすため、たんぱく質は控えめにする。」は誤りです。たんぱく質は骨や筋肉をつくる材料であり、高齢者では不足すると骨や筋肉が弱くなるため、適切な量をとることが大切です。

試験の罠
骨粗鬆症の予防は「カルシウム」「ビタミンD(日光)」「ビタミンK」「適度な運動」です。「安静にする」は骨を弱くする誤りの定番で、廃用症候群の知識とあわせて問われます。
問810-1

Hさん(81歳、女性、要介護1)は、軽度のアルツハイマー型認知症があり、一人暮らしをしている。最近、公共料金の支払いを忘れて電気を止められそうになったり、通帳をどこにしまったか分からなくなったりすることが増えた。Hさんは話の内容をよく理解でき、「お金の出し入れや支払いを手伝ってくれる人がいると助かる。自分で申し込みたい」と話している。Hさんが社会福祉協議会と契約して利用できる支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①生活困窮者自立支援制度
  • ②日常生活自立支援事業
  • ③生活福祉資金貸付制度
  • ④地域生活支援事業
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正解 ②日常生活自立支援事業
解説
日常生活自立支援事業は、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でない人が、地域で安心して暮らせるよう、都道府県・指定都市の社会福祉協議会(窓口業務は市町村の社会福祉協議会など)が行う事業です。福祉サービスの利用の手続きの援助、日常的な金銭管理(公共料金の支払い、預金の出し入れなど)、通帳などの書類の預かりを行います。
利用するには本人が事業者と契約を結ぶ必要があるため、契約の内容を理解できる程度の判断能力があることが前提です。Hさんは内容を理解でき、自分で申し込みたいと話しているので、この事業が適しています。

他の選択肢が不適切な理由
「生活困窮者自立支援制度」は、経済的に困窮し、最低限度の生活を維持できなくなるおそれのある人に対して、相談支援や就労の支援、住居確保給付金などを行う制度です。判断能力の低下に伴う金銭管理の支援を目的とするものではありません。
「生活福祉資金貸付制度」は、低所得世帯や高齢者・障害者のいる世帯などに、社会福祉協議会が資金を貸し付ける制度です。日常的な金銭管理を手伝うものではありません。
「地域生活支援事業」は、障害者総合支援法に基づき、市町村や都道府県が地域の実情に応じて行う相談支援や移動支援などの事業です。Hさんのような金銭管理の支援とは異なります。

試験の罠
日常生活自立支援事業は「社会福祉協議会」「本人との契約(契約能力が必要)」「日常的な金銭管理」、成年後見制度は「家庭裁判所」「判断能力が不十分で契約が難しい場合」「法律行為の代理」と対比して覚えます。
問910-1

Jさん(87歳、女性、要介護3)は、アルツハイマー型認知症があり、介護老人福祉施設で暮らしている。入浴の日に介護福祉職が「お風呂に入りましょう」と声をかけると、「今日はいい。昨日入ったから」と強く断る。実際には3日間入浴していない。家族からは、Jさんは若いころから銭湯に通うのが楽しみだったと聞いている。介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①清潔を保つため、嫌がっていても予定どおり浴室へ連れて行く。
  • ②昨日は入っていないという事実を、記録を見せて説明し納得を得る。
  • ③無理に誘わず時間をおき、銭湯に行こうなど、なじみの言葉で誘う。
  • ④本人が断ったので、次の入浴日まで入浴の声かけはしないでおく。
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正解 ③無理に誘わず時間をおき、銭湯に行こうなど、なじみの言葉で誘う。
解説
認知症の人が入浴を断る背景には、入浴したかどうかの記憶があいまい、服を脱ぐことへの不安や羞恥心、浴室の寒さ、介護職への警戒心など、さまざまな理由が考えられます。無理に誘うと不安や抵抗が強まるため、いったん引いて時間をおき、気分が変わったころに改めて誘います。
その際、Jさんが若いころから楽しみにしていた「銭湯」のような、なじみのある言葉や場面を生かすと、入浴を心地よいものとしてイメージしやすくなり、本人の意思で入浴しやすくなります。

他の選択肢が不適切な理由
「清潔を保つため、嫌がっていても予定どおり浴室へ連れて行く。」は、本人の意思を無視した強制であり、不安や抵抗を強め、介護職との信頼関係も損なうため不適切です。
「昨日は入っていないという事実を、記録を見せて説明し納得を得る。」は、記憶障害のある人に誤りを指摘して説得しようとすると、否定されたと感じて混乱や反発が強まるため不適切です。
「本人が断ったので、次の入浴日まで入浴の声かけはしないでおく。」は、本人の断りを尊重しているようで、清潔を保つための工夫をしないまま放置することになるため不適切です。時間や誘い方、担当者を変えるなどの工夫をします。

試験の罠
認知症の人の拒否には「否定・説得・強制をしない」「時間をおく」「生活歴やなじみを生かす」が正解の軸です。「断ったから何もしない」も、工夫を放棄している点で誤りになります。
問1010-1

Kさん(85歳、男性、要介護1)は、一人暮らしで、週2回の訪問介護を利用している。8月のある日の午後、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪ねると、部屋の窓は閉め切られ、エアコンは止まっていた。Kさんは「電気代がもったいないし、暑くない」と話しているが、額に汗をかき、唇が乾いている。室温計は33℃を示していた。訪問介護員の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ①本人が暑くないと言っているので、エアコンは止めたままにする。
  • ②室温が高いことを伝えてエアコンをつけ、水分をとってもらう。
  • ③汗をかいているので、熱い風呂に入って汗を流すよう勧める。
  • ④体を冷やすため、冷たい水のシャワーを長く浴びてもらう。
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正解 ②室温が高いことを伝えてエアコンをつけ、水分をとってもらう。
解説
高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくく、体温を調節する働きも低下しているため、室内でも熱中症になりやすくなっています。Kさんは本人が暑くないと言っていても、室温33℃の中で汗をかき、唇が乾いており、熱中症や脱水の危険が高い状態です。
室温計の数値を示すなどして分かりやすく説明し、エアコンを使って室温を下げ、水分をとってもらいます。意識がはっきりしない、自分で水分をとれないなどの症状があれば、ただちに救急要請を含めた対応をとり、サービス提供責任者にも報告します。

他の選択肢が不適切な理由
「本人が暑くないと言っているので、エアコンは止めたままにする。」は、高齢者は暑さを感じにくいという特性を踏まえず、熱中症の危険を放置することになるため不適切です。本人の感覚だけでなく、室温などの客観的な情報で判断します。
「汗をかいているので、熱い風呂に入って汗を流すよう勧める。」は、体温がさらに上がり、汗で水分も失われて、熱中症や脱水を悪化させるため不適切です。
「体を冷やすため、冷たい水のシャワーを長く浴びてもらう。」は、急な冷水刺激で血圧が大きく変動するおそれがあり、高齢者には負担が大きいため不適切です。涼しい環境で休み、首やわきの下などを冷やす方法があります。

試験の罠
高齢者の熱中症は「室内でも起こる」「本人の感覚をうのみにしない」「エアコンと水分補給」が基本です。本人の意向の尊重と命の安全がぶつかる場面では、理由を説明して安全を優先します。

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