2026年版・1-12

化学物質の自律的管理の一問一答

第一種衛生管理者試験「関係法令(有害業務に係るもの)」から、化学物質の自律的管理に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問11-12

化学物質の安全データシート(SDS)の交付義務がある物質と、労働安全衛生法に基づくリスクアセスメントの実施義務がある物質(リスクアセスメント対象物)の関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①SDSの交付義務がある物質のうち、爆発性を有するものに限りリスクアセスメント実施義務が生じる。
  • ②SDSの交付義務がある物質は、原則としてそのままリスクアセスメント実施義務のある物質と一致する。
  • ③リスクアセスメント実施義務のある物質の範囲は、SDS交付義務のある物質よりも大幅に限定されている。
  • ④SDSの交付とリスクアセスメントの実施は、対象物質の範囲が全く重ならない別個の制度である。
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正解 ②SDSの交付義務がある物質は、原則としてそのままリスクアセスメント実施義務のある物質と一致する。
解説
労働安全衛生法第57条の2及び同法第57条の3により、SDS(安全データシート)の交付義務がある通知対象物と、リスクアセスメントの実施義務があるリスクアセスメント対象物は、原則として同一の物質群を指します。両者の対象物質は政令(労働安全衛生法施行令別表第9)で共通に定められており、法改正のたびに段階的に追加されてきました。「SDSの対象物質はリスクアセスメントの対象物質でもある」という一体的な理解が、自律的な化学物質管理の出発点になります。

他の選択肢が不適切な理由
爆発性の有無によってリスクアセスメントの実施義務が限定されるという制限はありません。リスクアセスメント対象物の範囲がSDS交付義務対象より大幅に狭いという記述も誤りで、両者は原則一致します。範囲が全く重ならない別制度だという記述も誤りです。
問21-12

労働安全衛生規則に定める化学物質管理者の選任義務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①常時使用する労働者数が300人以上の製造業の事業場に限り、化学物質管理者の選任義務を負う。
  • ②リスクアセスメント対象物を製造する事業場のみが選任の対象で、取扱いのみの事業場は対象外である。
  • ③リスクアセスメント対象物を製造・取扱い・譲渡提供する事業場は、規模を問わずすべて選任義務を負う。
  • ④選任は各事業者の任意の判断に委ねられており、リスクアセスメント対象物を扱う事業場でも義務ではない。
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正解 ③リスクアセスメント対象物を製造・取扱い・譲渡提供する事業場は、規模を問わずすべて選任義務を負う。
解説
労働安全衛生規則第12条の5第1項により、リスクアセスメント対象物を製造し、取り扱い、又は譲渡提供する事業場は、業種や労働者数の規模にかかわらず、化学物質管理者を選任しなければなりません(一般消費者の生活の用に供される製品のみを取り扱う事業場は除きます)。選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、その氏名を事業場内に周知することも求められています。

他の選択肢が不適切な理由
労働者数や業種による規模要件は設けられていません。取扱いのみの事業場も選任義務の対象に含まれます。リスクアセスメント対象物を扱う事業場では、選任は任意ではなく法律上の義務です。
問31-12

化学物質管理者の資格要件に関する次の記述のうち、労働安全衛生規則上最も適切なものはどれか。

  • ①事業場の種別を問わず、必ず労働衛生コンサルタント試験に合格した者から選任しなければならない。
  • ②対象物質を製造せず取り扱うのみの事業場でも、製造事業場と全く同じ講習修了者から選任する必要がある。
  • ③第一種衛生管理者免許を取得していなければ、いかなる種類の事業場でも選任することができない。
  • ④対象物質を製造する事業場では、厚生労働大臣が定める講習を修了した者等から選任しなければならない。
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正解 ④対象物質を製造する事業場では、厚生労働大臣が定める講習を修了した者等から選任しなければならない。
解説
労働安全衛生規則第12条の5第3項により、リスクアセスメント対象物を製造する事業場では、厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習を修了した者、又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者のうちから化学物質管理者を選任しなければなりません。一方、対象物質を取り扱うのみで製造しない事業場については、法令上こうした講習修了の要件までは課されていません。

他の選択肢が不適切な理由
労働衛生コンサルタント試験の合格を必須とする規定はありません。取扱いのみの事業場に製造事業場と同一の講習修了要件を課す規定もありません。第一種衛生管理者免許の有無が選任の絶対条件ではありません。
問41-12

保護具着用管理責任者の選任義務に関する次の記述のうち、労働安全衛生規則上最も適切なものはどれか。

  • ①化学物質管理者を選任した事業者は、リスクアセスメント結果に基づき労働者に保護具を使用させるとき選任する。
  • ②化学物質管理者を選任していない事業場であっても、保護具を使用させる場合であれば必ず選任しなければならない。
  • ③衛生管理者をすでに選任している事業場であれば、保護具着用管理責任者を別途選任する必要は生じない。
  • ④労働基準監督署長から個別の許可を受けた事業場のみが、保護具着用管理責任者を選任することができる。
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正解 ①化学物質管理者を選任した事業者は、リスクアセスメント結果に基づき労働者に保護具を使用させるとき選任する。
解説
労働安全衛生規則第12条の6第1項により、化学物質管理者を選任した事業者は、リスクアセスメントの結果に基づく措置として労働者に呼吸用保護具等を使用させるときは、保護具着用管理責任者を選任し、保護具の適正な選択・使用・保守管理を管理させなければなりません。選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任することも求められます。

他の選択肢が不適切な理由
保護具着用管理責任者は化学物質管理者を選任した事業場が前提であり、選任していない事業場に単独で課される義務ではありません。衛生管理者の選任があっても、保護具着用管理責任者の選任義務は別途生じます。労働基準監督署長からの個別の許可は選任の要件になっていません。
問51-12

安全データシート(SDS)の記載事項に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①記載事項の一部に変更が生じても、SDSを一度交付した後であれば内容を更新する義務は生じない。
  • ②人体に及ぼす作用の項目は、直近の知見に基づき5年以内ごとに1回、変更の要否を確認する義務がある。
  • ③SDSの記載事項は成分及びその含有量のみで足り、流出等の事故発生時における応急措置の情報は不要である。
  • ④SDSは口頭による詳しい説明で足り、書面や電磁的方法による交付までは義務付けられていない。
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正解 ②人体に及ぼす作用の項目は、直近の知見に基づき5年以内ごとに1回、変更の要否を確認する義務がある。
解説
労働安全衛生規則第34条の2の5により、通知対象物のSDSのうち「人体に及ぼす作用」の項目は、直近の知見に基づき5年以内ごとに1回、記載内容の変更の要否を確認し、変更があるときは確認後1年以内にSDSへ反映させ、通知先へ変更内容を通知しなければなりません。SDSは化学物質の危険性・有害性、取扱い上の注意等を記載した一次情報であり、労働者の安全確保の基礎資料になります。

他の選択肢が不適切な理由
記載事項に変更が生じた場合は、一部の変更であっても上記の確認・更新義務の対象になります。SDSには成分及びその含有量だけでなく、流出等の事故発生時の応急措置等の記載事項も定められています。SDSは書面又は電磁的方法による交付が義務付けられており、口頭説明のみでは代替できません。
問61-12

リスクアセスメント対象物に係るリスクアセスメントの実施時期に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①一度実施すれば足り、対象物や作業方法に変更が生じても再度実施する義務は生じない。
  • ②実施義務が生じるのは対象物を新規に採用するときのみで、既存の対象物は対象外である。
  • ③対象物を新規に採用するときのほか、危険性又は有害性に変化が生じたときにも実施する。
  • ④リスクアセスメントは事業者の裁量による任意の取組であり、実施時期の定めは特にない。
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正解 ③対象物を新規に採用するときのほか、危険性又は有害性に変化が生じたときにも実施する。
解説
「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」により、リスクアセスメントは、対象物を新規に採用し又は変更するとき、対象物を製造・取り扱う作業の方法や手順を新規に採用し又は変更するとき、対象物の危険性又は有害性等について新たな知見が得られる等の変化が生じ、又は生じるおそれがあるときに実施しなければなりません。加えて、事業者にはリスクアセスメントの結果等に基づき労働者のばく露の程度を最小限度にする義務(労働安全衛生規則第577条の2第1項)も課されています。

他の選択肢が不適切な理由
作業方法の変更や危険有害性情報の変化があれば、再度実施する義務があります。既存の対象物についても、知見の変化等があれば対象になります。リスクアセスメントは任意の取組ではなく、法令上の実施義務です。
問71-12

化学物質のリスクアセスメントの結果等を労働者に周知する方法に関する次の記述のうち、労働安全衛生規則上最も適切なものはどれか。

  • ①作業場の見やすい場所への常時掲示のみが認められており、書面の交付や電磁的記録は認められない。
  • ②周知は年に一度実施される全社的な朝礼での口頭案内のみで足り、書面や掲示による周知は不要である。
  • ③周知は衛生委員会の議事録に記載しておけば足り、個々の労働者への個別の周知までは求められない。
  • ④作業場の見やすい場所への常時掲示、書面の交付、常時確認できる機器の設置のいずれかの方法による。
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正解 ④作業場の見やすい場所への常時掲示、書面の交付、常時確認できる機器の設置のいずれかの方法による。
解説
労働安全衛生規則の定めにより、リスクアセスメントの結果等は、(1)対象物を取り扱う作業場の見やすい場所に常時掲示し又は備え付ける方法、(2)書面を労働者に交付する方法、(3)事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録し、各作業場に労働者が常時確認できる機器を設置する方法、のいずれかにより関係労働者に周知しなければなりません。

他の選択肢が不適切な理由
掲示のみに限定し、書面交付や電磁的記録による方法を認めないとする記述は誤りです。年に一度の朝礼での口頭案内のみでは、法令が求める掲示・書面交付等の方法を満たしません。衛生委員会の議事録への記載だけでは、個々の労働者への周知として不十分です。
問81-12

リスクアセスメント対象物健康診断の実施に関する次の記述のうち、労働安全衛生規則上最も適切なものはどれか。

  • ①濃度基準値を超えてばく露したおそれがある労働者について、医師等が必要と認めるときに実施する。
  • ②対象物を製造し又は取り扱う労働者全員に対し、ばく露の有無を問わず毎年一律に実施する。
  • ③濃度基準値を超えてばく露したおそれがある場合でも、これを実施するかどうかは事業者の任意である。
  • ④実施義務が生じるのは、労働者本人から健康不安の申出が書面で提出された場合に限られる。
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正解 ①濃度基準値を超えてばく露したおそれがある労働者について、医師等が必要と認めるときに実施する。
解説
労働安全衛生規則第577条の2第3項により、事業者は、リスクアセスメント対象物を製造し又は取り扱う業務に常時従事する労働者が濃度基準値を超えて当該物にばく露したおそれがあるときは、速やかに、医師又は歯科医師が必要と認める項目について健康診断を行い、その結果に基づき必要な措置を講じなければなりません。なお、濃度基準値が設定されていない対象物については、事業者が必要と認めるときに準じた健康診断を実施する努力義務があります。

他の選択肢が不適切な理由
対象物を扱う労働者全員に一律実施する義務ではなく、ばく露のおそれ等の要件に基づき実施されます。濃度基準値を超えるばく露のおそれがある場合の実施は、事業者の任意ではなく義務です。労働者本人からの申出の有無にかかわらず、要件に該当すれば実施義務が生じます。
問91-12

労働安全衛生規則に定めるがん原性物質に係る労働者の作業記録の保存に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①作業記録の保存期間は他の一般的な化学物質の記録と同じく5年間であり、延長は特に定められていない。
  • ②がん原性物質を製造・取扱う業務に常時従事する労働者の作業記録は、30年間保存しなければならない。
  • ③作業記録は当該労働者が退職した時点で、速やかに破棄しなければならないと定められている。
  • ④がん原性物質についても作業記録の保存義務はなく、健康診断の実施のみが義務付けられている。
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正解 ②がん原性物質を製造・取扱う業務に常時従事する労働者の作業記録は、30年間保存しなければならない。
解説
労働安全衛生規則第577条の2により、国のがん原性に関する分類等に基づき厚生労働大臣が定めるがん原性物質を製造し又は取り扱う業務に常時従事する労働者については、氏名・従事した作業の概要・従事した期間等を記載した作業記録を作成し、30年間保存しなければなりません。がんのような遅発性の健康障害は発症までに長期間を要するため、他の化学物質の記録より大幅に長い保存期間が定められています。

他の選択肢が不適切な理由
一般的な化学物質の記録保存期間(5年間)と同一とする記述は誤りで、がん原性物質は30年間という特別に長い期間が定められています。労働者の退職を機に破棄しなければならないという定めはありません。がん原性物質についても作業記録の保存義務があります。
問101-12

化学物質による労働災害が発生した事業場等に対する行政指導に関する次の記述のうち、労働安全衛生規則上最も適切なものはどれか。

  • ①労働基準監督署長は、当該事業場に対する操業停止命令を直ちに発する権限のみを有する。
  • ②化学物質管理専門家による確認は、事業者が自ら希望した場合にのみ任意で実施される制度である。
  • ③労働基準監督署長は、化学物質管理専門家による管理状況の確認と助言を受けるよう指示できる。
  • ④行政指導の対象となるのは死亡災害が発生した事業場のみに限られ、休業災害は対象に含まれない。
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正解 ③労働基準監督署長は、化学物質管理専門家による管理状況の確認と助言を受けるよう指示できる。
解説
労働安全衛生規則第34条の2の10により、化学物質による労働災害が発生し、又は発生するおそれがある事業場等に対し、所轄労働基準監督署長は、化学物質管理専門家(又は作業環境管理専門家)による事業場の化学物質管理の状況についての確認と、必要な改善措置に関する助言を受けるよう指示することができます。指示を受けた事業者は、リスクアセスメントの実施状況やばく露防止措置の実施状況等について確認を受け、その結果に基づき改善を図る必要があります。

他の選択肢が不適切な理由
この制度で労働基準監督署長に与えられているのは専門家による確認を受けるよう指示する権限であり、操業停止命令の権限ではありません。この確認は事業者が自ら希望して受けるものではなく、指示を受けた場合に対応すべきものです。休業災害が発生した事業場等も対象になり得ます。

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