2026年版・2-3

配電線路の力率改善とコンデンサ容量の一問一答

第一種電気工事士「配電理論及び配線設計」から、配電線路の力率改善とコンデンサ容量に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-3

交流回路における力率の定義として正しいものはどれか。

  • ①有効電力を皮相電力で除した値である
  • ②無効電力を皮相電力で除した値である
  • ③皮相電力を有効電力で除した値である
  • ④有効電力を無効電力で除した値である
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正解 ①有効電力を皮相電力で除した値である
解説
詳細解説
皮相電力とは電圧と電流の積で表される見かけ上の電力〔V・A〕、有効電力とは実際に仕事として消費される電力〔W〕である。力率はこの二つの比で、有効電力÷皮相電力=cosθ と定義される。
無効電力を皮相電力で割った値は力率ではなく無効率(sinθ)である。皮相電力を有効電力で割った値は力率の逆数にあたり、1以上の値になるので力率にはなり得ない。有効電力を無効電力で割った値は正接(tanθ)に相当する。
力率は0から1までの値をとり、1に近いほど供給された電力が無駄なく仕事に変わっていることを表す。

他の選択肢が不適切な理由
無効電力を皮相電力で割った値は無効率であり、力率とは2乗の和が1になる別の量である。皮相電力を有効電力で割った値は必ず1以上となり、0から1までの範囲に収まる力率の定義と相いれない。有効電力を無効電力で割った値は位相角の正接にあたり、力率0.8のときは1.33となって1を超える。どの二つの電力の比なのかを、単位のWとV・Aで確かめたい。
問22-3

消費電力60kW、力率0.6(遅れ)の三相負荷がある。この負荷の力率を0.8(遅れ)まで改善するために必要な進相コンデンサの容量〔kvar〕はいくらか。

  • ①25kvar
  • ②45kvar
  • ③35kvar
  • ④80kvar
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正解 ③35kvar
解説
詳細解説
必要なコンデンサ容量は、改善前後の無効電力の差で求める。無効電力は有効電力×tanθ である。
力率0.6のとき sinθ=0.8、tanθ=0.8÷0.6=4/3 なので、改善前の無効電力は 60×4/3=80〔kvar〕。
力率0.8のとき sinθ=0.6、tanθ=0.6÷0.8=0.75 なので、改善後の無効電力は 60×0.75=45〔kvar〕。
必要な容量は 80-45=35〔kvar〕となる。
80kvarは改善前の無効電力そのもの、45kvarは改善後の無効電力そのものを答えた誤りである。25kvarは皮相電力の差(60÷0.6=100kV・A と 60÷0.8=75kV・A の差)を無効電力の差と取り違えた誤りである。
「差をとる」という一手間を忘れないことが要点である。

他の選択肢が不適切な理由
必要なのは改善前と改善後の無効電力の差なので、片方の値である80kvarや45kvarをそのまま答えることはできない。80kvarを入れると無効電力が零を越えて進み側へ振れ、軽負荷時の電圧上昇を招く。25kvarは皮相電力の差にあたる値だが、コンデンサが打ち消すのは無効電力であって皮相電力ではない。有効電力は改善の前後で変わらない点もあわせて押さえたい。
問32-3

工場の高圧受電設備に進相コンデンサを設置して力率を改善した場合に得られる効果として、最も適切なものはどれか。

  • ①負荷の消費する有効電力が小さくなる
  • ②変圧器の鉄損が大幅に小さくなる
  • ③電源の周波数変動が小さくなる
  • ④線路電流が減り電力損失が小さくなる
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正解 ④線路電流が減り電力損失が小さくなる
解説
詳細解説
進相コンデンサは負荷の遅れ無効電力を打ち消し、電源側から供給する無効電力を減らす。その結果、同じ有効電力を送るのに必要な線電流が小さくなり、電力損失(電流の2乗に比例)と電圧降下がともに減少する。
負荷が実際に消費する有効電力は仕事量そのものなので、力率を改善しても変化しない。変圧器の鉄損は励磁電流によって決まり負荷電流にほとんど依存しないため、力率改善で大きく減ることはない(減るのは負荷電流による銅損である)。周波数は電源側で決まるもので、コンデンサとは無関係である。
電力会社の力率割引が受けられるのも、この線電流低減の効果に対する評価による。

他の選択肢が不適切な理由
負荷が実際に消費する有効電力はその機器の仕事量そのものなので、力率を改善しても減らない。変圧器の鉄損は励磁電流と印加電圧でほぼ決まり負荷電流にはほとんど左右されないため、力率改善で減るのは銅損のほうである。周波数は発電側で決まる量で、構内にコンデンサを入れても変わらない。効果はあくまで線電流が減ることから生じる。
問42-3

工場内の力率改善のために進相コンデンサを設置する場合、線路の電力損失を減らす効果が最も大きくなる設置場所はどれか。

  • ①電力量計の直後の受電点にまとめて設置する
  • ②力率の悪い負荷機器の近くに設置する
  • ③配電用変圧器の一次側にまとめて設置する
  • ④非常用発電機の出力端子部に設置する
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正解 ②力率の悪い負荷機器の近くに設置する
解説
詳細解説
進相コンデンサによる無効電流の打ち消しは、コンデンサより電源側の区間でしか働かない。したがって力率の悪い機器のすぐ近くに個別に設置すれば、その機器から電源までのすべての区間で電流が減り、電力損失の低減効果が最も大きくなる。
受電点にまとめて設置する方式は保守が容易で電気料金の力率割引には有効だが、受電点から負荷までの構内配線では無効電流が流れ続けるため、損失低減の効果は限られる。変圧器の一次側は高圧側であり構内低圧配線の電流には影響しない。非常用発電機の端子部は常用電源の線路とは別系統である。
実務では、大形電動機には個別設置、その他は一括設置と使い分けることが多い。

他の選択肢が不適切な理由
無効電流の打ち消しはコンデンサより電源側の区間にしか及ばないため、受電点にまとめる方式では受電点から機器までの構内配線に無効電流が流れ続け、その区間の損失は減らない。配電用変圧器の一次側は高圧側であり、二次側の低圧配線を流れる電流には影響しない。非常用発電機の出力端子は常用電源とは別系統で、平常時の線路電流には関係しない。
問52-3

高圧進相コンデンサに直列リアクトルを接続する主な目的として、正しいものはどれか。

  • ①第5高調波の拡大と突入電流の発生を抑えること
  • ②コンデンサの残留電荷を短時間で放電させること
  • ③コンデンサの静電容量を必要に応じて増やすこと
  • ④地絡事故時の零相電流を検出しやすくすること
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正解 ①第5高調波の拡大と突入電流の発生を抑えること
解説
詳細解説
コンデンサだけでは高調波に対して回路が容量性となり、系統のインダクタンスと共振して第5高調波などが拡大するおそれがある。直列リアクトルを入れて回路全体を第5高調波に対して誘導性にすることで、この拡大を防ぐ。同時に、投入した瞬間に流れる大きな突入電流も抑えられる。
残留電荷を放電するのは放電抵抗や放電コイルの役割である。直列リアクトルは静電容量を増やすものではなく、むしろ合成のリアクタンスを変えて設備容量をわずかに変化させる。零相電流の検出は零相変流器が担う。
直列リアクトルの容量はコンデンサ容量の6%とするのが一般的である。

他の選択肢が不適切な理由
残留電荷の放電を受け持つのは放電抵抗や放電コイルで、直列リアクトルには電荷を逃がす経路がない。静電容量を増やすという記述も、リアクトルは誘導性の素子であり、直列に入れると合成のリアクタンスは容量分を打ち消す向きに働く。零相電流の検出は零相変流器の役割で、三相をまとめて貫通させる構造が必要になる。
問62-3

高圧進相コンデンサに放電装置(放電抵抗または放電コイル)を設ける理由として、正しいものはどれか。

  • ①投入時の突入電流を小さく抑えるため
  • ②開路後の残留電荷による感電を防ぐため
  • ③高調波電流による機器の過熱を防ぐため
  • ④内部短絡事故を早期に検出するため
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正解 ②開路後の残留電荷による感電を防ぐため
解説
詳細解説
コンデンサは電荷をためる機器なので、開閉器を開いて電源から切り離した後も端子間に高い電圧が残る。この状態で点検作業のために触れると感電する危険があるため、蓄えられた電荷をすみやかに逃がす放電装置を設けることが定められている。
投入時の突入電流を抑えるのは直列リアクトルの役割である。高調波による過熱を防ぐのも直列リアクトルの効果に含まれる。内部短絡事故の検出は保護継電器や限流ヒューズが受け持つ。
点検時は開路後すぐに触れず、放電を確認したうえで短絡接地器具を取り付けてから作業に入るのが原則である。

他の選択肢が不適切な理由
投入時の突入電流を抑えるのも、高調波電流による過熱を防ぐのも直列リアクトルの役目である。放電装置は電源から切り離したあとに働くもので、通電中の電流には関与しない。内部短絡事故の検出は保護継電器や限流ヒューズが受け持ち、放電装置には事故を検出する機能がない。放電装置は残った電荷を逃がす経路をつくるだけの機器だと押さえたい。
問72-3

三相3線式200Vの回路に接続された消費電力8kWの負荷について、力率を0.8(遅れ)から1.0に改善した。改善後に線路を流れる線電流〔A〕はおよそいくらか。

  • ①20A
  • ②40A
  • ③29A
  • ④23A
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正解 ④23A
解説
詳細解説
三相電力の式 P=√3×V×I×cosθ を線電流について解く。
改善後は力率が1.0なので、I=8000÷(1.732×200×1.0)=8000÷346.4≒23〔A〕である。
参考までに改善前は I=8000÷(1.732×200×0.8)=8000÷277.1≒29〔A〕であり、力率改善によって電流が約6A減ったことになる。
29Aは改善前の電流を答えた誤り、40Aは√3を掛け忘れて8000÷200とした誤り、20Aは√3の代わりに単相2線式の係数2を用いた誤りである。
電流が0.8倍に減れば電力損失は0.8²=0.64倍まで下がる。電流の減少幅が小さく見えても、損失の低減効果は大きい。

他の選択肢が不適切な理由
力率を改善すると同じ電力を送るのに必要な電流は減るので、答えは改善前の約29Aより小さくなければならない。29Aは改善前の値そのものである。40Aは√3を掛け忘れた値だが、三相の式では線間電圧と線電流に必ず√3が伴う。20Aは√3の代わりに単相2線式の係数2を用いた値である。改善の前後で有効電力は変わらない点も確かめたい。
問82-3

定格電圧6600V、静電容量10μFの単相コンデンサを、周波数50Hzの回路で定格電圧のもとで使用した。このコンデンサの容量〔kvar〕はおよそいくらか。

  • ①13.7kvar
  • ②68.4kvar
  • ③137kvar
  • ④274kvar
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正解 ③137kvar
解説
詳細解説
コンデンサの容量(無効電力)は Q=2πfCV² で求められる。
2πf=2×3.14×50=314〔rad/s〕
Q=314×10×10⁻⁶×6600²=314×10×10⁻⁶×43560000≒136800〔var〕≒137〔kvar〕となる。
13.7kvarは桁を10分の1に取り違えた誤り、68.4kvarは2πfの係数2を落としてπfCV²として計算した誤り、274kvarは静電容量を20μFと取り違えた誤りである。
この式から、コンデンサの容量は静電容量・周波数・電圧の2乗に比例することが分かる。定格より低い電圧で使うと容量が大きく目減りするため、コンデンサは必ず定格電圧に合わせて選定する。

他の選択肢が不適切な理由
容量は電圧の2乗に比例するので、条件を読み違えると答えが大きく振れる。274kvarは正解のちょうど2倍で、静電容量を20μFとした場合にあたる。68.4kvarは半分で、2πfのうち2を落とした形である。13.7kvarは10分の1で、μFを10⁻⁶へ直すときの桁の取り違えである。定格より低い電圧で使うと容量が2乗で目減りする点も、選定のときに確かめたい。
問92-3

進相コンデンサの容量が負荷の遅れ無効電力に対して過大である場合(過補償)に生じる現象として、正しいものはどれか。

  • ①力率が進み側になり軽負荷時に電圧が上がる
  • ②力率が遅れ側のまま変わらず損失が増加する
  • ③線路電流が増え続けて遮断器が動作する
  • ④負荷の消費電力が増加して電気料金が上がる
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正解 ①力率が進み側になり軽負荷時に電圧が上がる
解説
詳細解説
コンデンサ容量が負荷の遅れ無効電力を上回ると、系統から見た力率は進み側になる。進み無効電流は線路のリアクタンスを通るときに電圧を押し上げる向きに働くため、負荷が軽くなる夜間や休日に受電端の電圧が異常に上昇し、機器の絶縁に負担をかける。
コンデンサを入れている以上、力率が遅れ側のまま変わらないということはない。線路電流は過補償の程度によっては増えるが、遮断器が動作するほど増え続けるわけではない。負荷の消費電力そのものは変化しない。
このため、負荷の変動が大きい設備では、コンデンサを複数群に分けて負荷に応じて開閉する自動力率調整方式が採られる。

他の選択肢が不適切な理由
コンデンサを入れれば遅れ無効電力は必ず打ち消されるので、力率が遅れ側のまま変わらないということはない。線路電流は打ち消しすぎた分の進み電流によって増えることはあるが、遮断器が動作するほどの大きさにはならず、増え続けるという表現も当たらない。負荷の消費電力は機器の仕事量で決まるため、コンデンサの容量によって増減することはない。
問102-3

工場の受電設備に進相コンデンサを設置して力率を改善したとき、値がほとんど変化しないものはどれか。

  • ①線路に流れる線電流の値
  • ②線路で生じる電力損失
  • ③受電点で見た皮相電力
  • ④負荷が消費する有効電力
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正解 ④負荷が消費する有効電力
解説
詳細解説
進相コンデンサは遅れ無効電力を打ち消す働きをするだけで、負荷が実際に仕事として消費する有効電力〔W〕には手を加えない。電動機が同じ仕事をしている限り、有効電力は改善の前後で変わらない。
一方、無効電力が減ることで皮相電力は小さくなり、それにともなって線電流も減る。線電流が減れば電力損失は電流の2乗に比例して大きく減少する。つまり、これら三つはいずれも改善によって値が変わる。
力率改善は「同じ仕事を、より少ない電流で行えるようにする」対策であって、消費電力そのものを減らす省エネルギー対策ではない、という区別が重要である。

他の選択肢が不適切な理由
線電流は無効分が減ることで小さくなり、それにともなって受電点で見た皮相電力も小さくなる。電力損失は電流の2乗に比例するため、三つの中で最も大きく変化する。いずれも改善によって値が動くので、ほとんど変わらないものには当たらない。力率改善は同じ仕事をより少ない電流で行うための対策であり、仕事量そのものを減らす省エネルギー対策ではない。

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