2026年版・2-2

三相3線式の電圧降下と電力損失の一問一答

第一種電気工事士「配電理論及び配線設計」から、三相3線式の電圧降下と電力損失に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-2

三相3線式200Vの低圧配線で、線電流が10A、電線1本当たりの抵抗が0.2Ωである。この配線の電圧降下(線間の値)〔V〕はおよそいくらか。ただし、負荷は平衡しており電線のリアクタンスは無視する。

  • ①2.00V
  • ②3.46V
  • ③4.00V
  • ④6.00V
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正解 ②3.46V
解説
詳細解説
三相3線式の線間の電圧降下は、係数√3を用いて「√3×線電流×電線1本当たりの抵抗」で求める。
v=1.732×10×0.2=3.46〔V〕となる。
2.00Vは電線1本分だけで計算した誤り、4.00Vは単相2線式の係数2を当てはめた誤り、6.00Vは3線分として3を掛けた誤りである。
√3が現れるのは、相電圧と線間電圧の間に√3倍の関係があるためで、電圧降下も線間の値に換算する段階で√3が入る。電力損失の計算では3線分として3を掛けるのに対し、電圧降下では√3を使う。この2つの使い分けが最大の混同ポイントである。

他の選択肢が不適切な理由
三相3線式では、電圧降下に√3、電力損失に3という二つの係数を使い分ける。6.00Vは電力損失側の3を電圧降下に持ち込んだ値である。4.00Vは単相2線式の係数2を当てはめた値、2.00Vは電線1本分だけで、係数を掛ける手順そのものが抜けている。求めた値が線間の電圧降下なのか電線1本あたりの値なのかを、毎回確かめたい。
問22-2

三相3線式の低圧配線で、線電流が20A、電線1本当たりの抵抗が0.1Ωである。この配線で生じる全電力損失〔W〕はいくらか。ただし、負荷は平衡しているものとする。

  • ①40W
  • ②69.3W
  • ③120W
  • ④80W
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正解 ③120W
解説
詳細解説
三相3線式では3本の電線それぞれに線電流が流れるため、全電力損失は「3×線電流²×電線1本当たりの抵抗」で求める。
P=3×20²×0.1=3×400×0.1=120〔W〕となる。
40Wは電線1本分だけ、80Wは2本分として計算した誤りである。69.3Wは電圧降下で使う√3を電力損失に持ち込んだ誤りで、これが最も多い間違いである。
電圧降下は√3、電力損失は3と、掛ける数が異なることを必ず区別する。電力損失が電流の2乗に比例するため、力率を改善して電流を減らすことが損失低減に直結する。

他の選択肢が不適切な理由
電力損失は3本の電線それぞれで生じるので、1本分の40Wや2本分として計算した80Wでは足りない。69.3Wは1本分に√3を掛けた形で、電圧降下で使う係数を損失の計算に持ち込んだものである。三相3線式では電圧降下が√3、電力損失が3と係数が異なるので、どちらを求めているのかを式を書く前に確かめたい。損失が電流の2乗に比例する点も見落としやすい。
問32-2

三相3線式の低圧配線を、こう長100m、線電流20Aで施設する。電圧降下を4V以下に抑えたいとき、必要な電線の最小の標準断面積はどれか。ただし、電圧降下は e=30.8×L×I÷(1000×A)〔V〕(Lはこう長〔m〕、Iは電流〔A〕、Aは断面積〔mm²〕)で計算するものとする。

  • ①8mm²
  • ②14mm²
  • ③38mm²
  • ④22mm²
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正解 ④22mm²
解説
詳細解説
略算式を断面積について解くと A≧30.8×L×I÷(1000×e) となる。
A≧30.8×100×20÷(1000×4)=61600÷4000=15.4〔mm²〕である。
電線の標準断面積は 8、14、22、38〔mm²〕と決まった値しかないため、15.4mm²以上で最も細いものを選ぶと22mm²になる。
14mm²では計算値の15.4mm²に届かず電圧降下が4Vを超えてしまう。8mm²はさらに細く不適。38mm²は条件は満たすが必要以上に太く、経済的な選定とはいえない。
実際の設計では、この電圧降下による太さと許容電流による太さの両方を求め、太い方を採用する。

他の選択肢が不適切な理由
略算式から求まる15.4mm²は必要な最小の太さであり、これを下回る8mm²や14mm²では電圧降下が4Vを超えてしまう。38mm²は条件こそ満たすが、標準の太さの中では必要以上に太く、材料費も施工性も不利になる。標準断面積は飛び飛びの値しかないため、計算値以上で最も近い太さを選ぶことになる。実際の設計では許容電流から決まる太さとも比べ、太いほうを採る。
問42-2

三相3線式の低圧配線で、線電流が15A、電線1本当たりの抵抗が0.3Ω、同じくリアクタンスが0.2Ωである。負荷の力率が0.8(遅れ)のとき、線間の電圧降下〔V〕はおよそいくらか。

  • ①9.35V
  • ②7.79V
  • ③12.99V
  • ④5.40V
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正解 ①9.35V
解説
詳細解説
リアクタンスを考慮する場合、三相3線式の線間電圧降下は v=√3×I×(R×cosθ+X×sinθ) で求める。力率0.8(遅れ)のとき sinθ=0.6である。
R×cosθ+X×sinθ=0.3×0.8+0.2×0.6=0.24+0.12=0.36
v=1.732×15×0.36≒9.35〔V〕となる。
7.79Vは抵抗分だけを考えてリアクタンスを無視した値、12.99Vは抵抗とリアクタンスを単純に足し、力率を考えずに√3×15×(0.3+0.2)とした誤り、5.40Vは√3を掛け忘れた誤りである。
力率が悪いほどリアクタンス分の寄与が大きくなり、電圧降下が増える点が実務上の要点である。

他の選択肢が不適切な理由
リアクタンスがある回路では、抵抗分に力率を、リアクタンス分に無効率を掛けて足し合わせる必要がある。7.79Vはリアクタンスを無視した値で、力率が悪いほど実際との差が広がる。12.99Vは抵抗とリアクタンスを単純に足したうえ、力率も無効率も掛けていない値だが、この二つは位相が90°ずれているためそのまま足すことはできない。5.40Vは線間へ換算する√3が抜けている。
問52-2

三相3線式200Vの回路に、消費電力5.2kW、力率0.75(遅れ)の平衡三相負荷が接続されている。このとき線路に流れる線電流〔A〕はおよそいくらか。

  • ①15A
  • ②26A
  • ③20A
  • ④30A
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正解 ③20A
解説
詳細解説
三相電力は P=√3×線間電圧×線電流×力率 で表される。これを線電流について解くと I=P÷(√3×V×cosθ) となる。
I=5200÷(1.732×200×0.75)=5200÷259.8≒20〔A〕である。
15Aは力率を掛け忘れて5200÷(1.732×200)として求めた誤り、26Aは√3も力率も掛けずに5200÷200とした誤り、30Aは線間電圧を100Vと取り違えたうえに力率も掛けなかった誤りである。
力率が悪いほど同じ電力を送るのに必要な電流が大きくなり、電圧降下も電力損失も増える。力率改善が配電設計で重視される理由がここにある。

他の選択肢が不適切な理由
力率は式の分母に入るので、掛け忘れると電流が小さく出る。15Aがその値だが、力率0.75の負荷では力率1のときより電流が大きくなるはずで、向きが逆である。26Aは√3も力率も使わずに電力を電圧で割った値、30Aは線間電圧を100Vと取り違えたうえに力率も掛け忘れた値である。求めた電流を式に戻して5.2kWになるかを確かめれば判別できる。
問62-2

三相3線式の配電線路において、受電端の線間電圧が200V、線路で生じた電圧降下が6Vであった。このときの電圧降下率〔%〕はいくらか。ただし、電圧降下率は受電端電圧を基準として求めるものとする。

  • ①1.5%
  • ②2.9%
  • ③6.0%
  • ④3.0%
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正解 ④3.0%
解説
詳細解説
電圧降下率は、線路で失われた電圧が受電端電圧の何%に当たるかを表す指標で、電圧降下÷受電端電圧×100で求める。
6÷200×100=3.0〔%〕となる。
2.9%は送電端電圧206Vを分母にしてしまった誤りである。1.5%は分母を400Vとした誤り、6.0%は電圧降下の数値をそのまま%として答えた誤りである。
電圧降下率が大きいと、負荷が増えたときに端子電圧が下がりすぎ、照明のちらつきや電動機のトルク不足を招く。設計では幹線と分岐回路のそれぞれについて電圧降下を小さく抑えることが求められる。

他の選択肢が不適切な理由
6.0%は電圧降下の数値をそのまま百分率として書き写した値で、基準となる電圧で割る手順が抜けている。2.9%は送電端の206Vを分母にした値で、受電端を基準とするという本問の指定と合わない。1.5%は分母を400Vとした値である。どの電圧を基準にするかで結果が変わるため、問題文の指定を必ず確かめたい。
問72-2

三相3線式の低圧配線において、負荷電流を変えずに、こう長を2倍にすると同時に電線の断面積も2倍のものに取り替えた。このとき線路の電圧降下はどのように変化するか。

  • ①変わらない
  • ②2倍になる
  • ③2分の1になる
  • ④4倍になる
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正解 ①変わらない
解説
詳細解説
電線の抵抗は R=長さ÷(導電率×断面積)で表され、長さに比例し断面積に反比例する。こう長を2倍にすると抵抗は2倍になるが、断面積も2倍にすると抵抗は2分の1になるため、両者が打ち消し合って抵抗は元のままとなる。
電圧降下は v=√3×電流×抵抗 なので、抵抗が変わらなければ電圧降下も変わらない。
2倍になるという答えは断面積の効果を数え忘れたもの、2分の1になるという答えはこう長の効果を数え忘れたもの、4倍になるという答えは両方を掛け合わせた誤りである。
「長さと太さを同じ割合で増やせば抵抗は不変」という関係は、幹線を延長する際の設計判断でそのまま使える。

他の選択肢が不適切な理由
2倍になるという答えは、断面積を太くした効果を数えていない。2分の1になるという答えは、こう長を延ばした効果を数えていない。4倍になるという答えは、打ち消し合う二つの効果を掛け合わせたものである。抵抗は長さに比例し断面積に反比例するので、両方を同じ割合で増やせば比は1のまま保たれ、電流が同じなら電圧降下も変わらない。
問82-2

三相3線式の配電線路で、同じ電力を同じ電圧で供給しながら、負荷の力率を0.8から1.0に改善した。改善前の電力損失に対する改善後の電力損失の比として正しいものはどれか。ただし、線路の抵抗は変わらないものとする。

  • ①0.8倍
  • ②0.64倍
  • ③1.25倍
  • ④1.56倍
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正解 ②0.64倍
解説
詳細解説
三相電力の式 P=√3×V×I×cosθ から、電力と電圧が一定なら線電流は力率に反比例する。力率が0.8から1.0になると電流は0.8倍に減る。
電力損失は 3×I²×R で電流の2乗に比例するので、損失の比は 0.8²=0.64倍となる。
0.8倍は電流の比をそのまま答えた誤り、1.25倍は力率の比を逆向きにとった誤り、1.56倍はその2乗で、改善後にかえって損失が増えると考えた誤りである。
力率改善により約36%の損失が削減できる計算になる。進相コンデンサを設置する経済的な効果はここから生まれる。

他の選択肢が不適切な理由
損失は電流の2乗に比例するので、電流が0.8倍になっても損失が0.8倍になるわけではない。0.8倍は2乗を取る一手を落とした値である。1.25倍と1.56倍は力率の比を逆向きにとったもので、力率を良くしたのに損失が増えるという結果になり、改善の目的と正反対である。答えが1を下回るかどうかだけでも、この二つは除ける。
問92-2

同じ電力を同じ線間電圧・同じ力率で供給し、しかも線路の電力損失を等しくするという条件のもとで、三相3線式に必要な電線の総量は単相2線式の何倍になるか。ただし、電線の材質とこう長は同じとする。

  • ①2分の1倍
  • ②3分の2倍
  • ③4分の3倍
  • ④4分の1倍
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正解 ③4分の3倍
解説
詳細解説
単相2線式の電流をIとすると、三相3線式の線電流は I÷√3 になる。電力損失を等しくする条件から、単相2線式は 2×I²×R₁、三相3線式は 3×(I÷√3)²×R₃=I²×R₃ となり、両者を等しく置くと R₃=2×R₁ が得られる。
抵抗が2倍ということは断面積が2分の1でよいことを意味する。電線の総量は本数×断面積に比例するので、単相2線式は 2×A、三相3線式は 3×(A÷2)=1.5×A となり、比は1.5÷2=4分の3倍である。
三相3線式は電線が1本多いにもかかわらず総量が少なくて済む。これが送配電に三相が広く使われる理由の一つである。

他の選択肢が不適切な理由
2分の1倍や4分の1倍は、電線が3本必要であることを数えず、断面積の比だけを答えた形にあたる。3分の2倍は本数の比をそのまま逆にとった値で、1本あたりの断面積が2分の1で済むという条件を含んでいない。電線の総量は本数と断面積の積で決まるので、本数が1本増えても1本あたりが細くなればかえって少なくて済む、という二つの効果を必ず両方数える。
問102-2

三相3線式の低圧配線から電力を受けて運転中の三相誘導電動機において、配電線路の1線が断線した。このとき電動機に起こる現象として最も適切なものはどれか。

  • ①単相運転となり巻線が過熱しやすくなる
  • ②回転速度が上がり危険な過電圧が発生する
  • ③直ちに逆回転を始めて機械を破損する
  • ④無負荷となり電流がまったく流れなくなる
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正解 ①単相運転となり巻線が過熱しやすくなる
解説
詳細解説
三相3線式の1線が断線すると、電動機には残る2線から単相の電力だけが供給される状態になる。すでに回転している電動機はそのまま回り続けようとするが、同じ出力を得るために残った巻線に過大な電流が流れ、巻線が過熱して焼損に至る。この現象を欠相運転(単相運転)という。
断線しても回転磁界の速度を決める周波数は変わらないため回転速度が上がることはない。回転方向も維持されるので逆回転もしない。回路が完全に切れるわけではないので電流が流れなくなることもない。
この事故を防ぐため、電動機回路には欠相を検出して回路を開く保護装置を設けるのが基本である。

他の選択肢が不適切な理由
回転速度は電源の周波数と極数で決まるため、1線が切れても速度が上がることはなく、むしろ回転力が落ちてわずかに下がる。回転の向きは残った相の関係で決まり、運転中に自然に反転することはない。残る2線で回路がつながっている以上、電流が流れなくなることもなく、かえって過大な電流が流れる。始動前に欠相していれば、うなり音を出したまま回り出せずに焼損する。

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