2026年版・3-1

高齢者の身体的・精神的特徴の一問一答

介護支援専門員試験「保健医療サービスの知識等①(心身の特徴と疾病)」から、高齢者の身体的・精神的特徴に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-1

加齢に伴う心身の変化の一般的な特徴として、最も適切なものはどれか。

  • ①加齢により予備能力が低下し、恒常性を維持する調節機能も弱まりやすい。
  • ②心身の変化に個人差はほぼなく、暦年齢が同じなら進行の程度も等しくなる。
  • ③機能低下は全身のあらゆる臓器で、同じ速さと程度で一様に進行する。
  • ④予備能力はむしろ高まり、安静時の検査値のみで老化の程度を把握できる。
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正解 ①加齢により予備能力が低下し、恒常性を維持する調節機能も弱まりやすい。
解説
加齢に伴い各臓器の予備能力(生理的な余力)が低下し、体内環境を一定に保つ恒常性の維持機能が弱まる。そのため平常時は自立していても、感染症や手術などのストレスが加わると急激に状態が悪化しやすい。加齢変化の速さや程度は臓器ごと・個人ごとに差が大きく、暦年齢だけで一律に判断できない点も重要である。

他の選択肢が不適切な理由
「暦年齢が同じなら進行の程度も等しくなる」とする記述は、老化の速さが遺伝や生活習慣、既往症によって大きく異なるという事実に反し、同じ年齢でも自立して外出する人と寝たきりの人がいる現実を説明できない。「同じ速さと程度で一様に進行する」とする記述も誤りで、腎機能や聴力は比較的早く低下する一方、言葉の理解力などは保たれやすい。「予備能力はむしろ高まり」とする記述は向きが逆であり、安静時の検査値が正常でも負荷がかかったときに一気に破綻しやすいのが高齢者の特徴である。
問23-1

加齢による腎機能の変化に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①腎機能は加齢の影響をほとんど受けず、若年者と同じ排泄能力が保たれる。
  • ②糸球体濾過量が低下し、薬物や老廃物の排泄が遅れやすくなる傾向がある。
  • ③尿を濃縮する能力が加齢により高まり、脱水を起こしにくくなる。
  • ④加齢により腎血流量は増加し、薬物の排泄速度はむしろ速くなる。
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正解 ②糸球体濾過量が低下し、薬物や老廃物の排泄が遅れやすくなる傾向がある。
解説
加齢により糸球体濾過量(GFR)が徐々に低下し、薬物や老廃物の排泄が遅延しやすくなる。また尿の濃縮力も低下するため、若年者に比べて脱水を起こしやすい。この変化は血清クレアチニン値だけでは見えにくく、腎機能に応じた薬剤量の調整が必要になる場面が多い。

他の選択肢が不適切な理由
「加齢の影響をほとんど受けず」とする記述は、腎臓の重量やはたらいている糸球体の数そのものが加齢とともに減っていくという事実と合わない。「尿を濃縮する能力が加齢により高まり、脱水を起こしにくくなる」とする記述は向きが逆で、実際には濃縮力の低下に加えてのどの渇きも感じにくくなるため、高齢者は脱水に陥りやすい。「腎血流量は増加し、薬物の排泄速度はむしろ速くなる」とする記述も逆であり、排泄が遅れて薬が体内にたまることこそが、高齢者で副作用が出やすい主な理由である。
問33-1

加齢による肝機能の変化に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①肝臓の代謝機能は加齢の影響を受けず、若年者と同じ速さで分解できる。
  • ②肝血流量が増加するため、薬物の血中濃度はむしろ低下しやすい。
  • ③肝血流量や酵素活性が低下し、薬物の代謝能力が落ちる傾向がある。
  • ④肝細胞の再生能力が加齢とともに高まり、代謝速度は若年者より速くなる。
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正解 ③肝血流量や酵素活性が低下し、薬物の代謝能力が落ちる傾向がある。
解説
加齢に伴い肝血流量や薬物代謝酵素の活性が低下し、薬物を分解・排泄する能力が落ちる傾向がある。このため同じ用量でも血中濃度が高く保たれやすく、副作用が出やすい。腎機能低下と合わせて、高齢者への与薬量調整が重要とされる根拠の一つである。

他の選択肢が不適切な理由
「若年者と同じ速さで分解できる」とする記述は、肝臓を通る血液の量そのものが加齢によって減ることを見落としている。「肝血流量が増加するため、薬物の血中濃度はむしろ低下しやすい」とする記述は向きが逆で、飲んだ薬が肝臓を最初に通る際に分解される割合が減るぶん、血中に多く残りやすくなる。「肝細胞の再生能力が加齢とともに高まり」とする記述も誤りで、再生する力も低下する傾向にあり、薬剤による肝障害からの回復にも時間を要しやすい。
問43-1

老視(老眼)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①角膜の透明度が低下して白く濁ることで、ものが見えにくくなる現象である。
  • ②眼圧が上昇して視神経が障害され、視野が狭くなることで生じる現象である。
  • ③網膜の中心部が変性し、視野の中心がゆがんで見えることで生じる現象である。
  • ④水晶体の弾力性が低下し、近くのものへの調節力が衰えることによって生じる。
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正解 ④水晶体の弾力性が低下し、近くのものへの調節力が衰えることによって生じる。
解説
老視は加齢により水晶体の弾力性が低下し、毛様体筋による調節力が衰えることで近くのものにピントを合わせにくくなる生理的な現象である。白く濁るのは白内障、眼圧上昇による視野狭窄は緑内障、網膜中心部の変性は加齢黄斑変性の説明であり、老視とは区別する必要がある。

他の選択肢が不適切な理由
「角膜の透明度が低下して白く濁る」とする記述は白内障を指しているが、白内障で濁るのは角膜ではなく水晶体であり、その点でも正確ではない。「眼圧が上昇して視神経が障害され、視野が狭くなる」とする記述は緑内障の説明で、進行しても中心部の視力は保たれることが多く、近くだけが見えにくくなる老視とは症状の出方が異なる。「網膜の中心部が変性し、視野の中心がゆがんで見える」とする記述は加齢黄斑変性であり、眼鏡で補える老視と違って治療の対象となる疾患である。
問53-1

加齢性難聴の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①感音性の難聴で、高音域から聴力が低下し始めることが多い。
  • ②伝音性の難聴で、低音域から聴力が低下し始めることが多い。
  • ③外耳道の閉塞が原因であり、耳垢を除去すれば聴力はほぼ回復する。
  • ④片側の耳にのみ急激に起こることが特徴で、両側性になることは少ない。
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正解 ①感音性の難聴で、高音域から聴力が低下し始めることが多い。
解説
加齢性難聴は内耳の有毛細胞などの変性による感音性難聴で、高音域から徐々に聴力が低下し、両側性・進行性に生じることが多い。会話の子音が聞き取りにくくなるため、大声で話すより、低めの声でゆっくりはっきり話しかける配慮がケアの現場では有効とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「伝音性の難聴で、低音域から」とする記述は、音を感じ取る内耳から先の障害である感音性と、鼓膜や耳小骨など音を伝える経路の障害である伝音性とを取り違えており、低下し始める音域についても逆である。「外耳道の閉塞が原因であり、耳垢を除去すれば聴力はほぼ回復する」とする記述は耳垢塞栓の説明で、これは伝音性の難聴にあたり加齢性難聴とは区別される。「片側の耳にのみ急激に起こる」とする記述は突発性難聴の特徴であり、加齢性難聴は両側にゆっくり進むのが一般的である。
問63-1

高齢者の体液に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①体重に占める水分量の割合が増加し、脱水よりも浮腫の方が起こりやすくなる。
  • ②体重に占める水分量の割合が減少し、口渇感も鈍いため脱水を起こしやすい。
  • ③口渇中枢の感受性が高まるため、若年者よりも早く水分不足に気づきやすい。
  • ④腎臓の濃縮力が高まるため、水分摂取量が少なくても尿量は保たれやすい。
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正解 ②体重に占める水分量の割合が減少し、口渇感も鈍いため脱水を起こしやすい。
解説
加齢により体内の総水分量の割合が減少するうえ、口渇中枢の感受性も鈍くなるため、水分不足を自覚しにくく脱水を起こしやすい。腎の尿濃縮力も低下しているため、水分摂取が不足するとさらに脱水が進みやすく、意識的な水分補給の声かけが重要になる。

他の選択肢が不適切な理由
「体重に占める水分量の割合が増加し」とする記述は向きが逆で、筋肉量が減って脂肪の割合が増えることにより、水分をためておける量そのものが少なくなる。「口渇中枢の感受性が高まるため、若年者よりも早く水分不足に気づきやすい」とする記述も逆であり、のどの渇きを感じにくいことこそが高齢者の脱水を見えにくくしている。「腎臓の濃縮力が高まる」とする記述も誤りで、濃縮力の低下により薄い尿が出続けるため、摂取量が足りないと水分の喪失がかえって進む。
問73-1

高齢者の体温調節機能に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①発汗機能が若年者より発達し、暑い環境でも体温を保ちやすくなる。
  • ②熱産生の能力は加齢に伴って高まり、低体温より高体温を起こしやすくなる。
  • ③発汗や血管収縮などの調節機能が低下し、暑さ・寒さの両方に弱くなる。
  • ④皮膚感覚が敏感になり、周囲の温度変化にすぐ気づけるようになる。
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正解 ③発汗や血管収縮などの調節機能が低下し、暑さ・寒さの両方に弱くなる。
解説
加齢により発汗機能や皮膚血管の収縮・拡張による体温調節機能が低下し、暑熱環境での熱中症、寒冷環境での低体温症のいずれも起こしやすくなる。皮膚感覚も鈍くなるため、本人が自覚しないまま体温が変化していることがあり、周囲の温度環境への配慮が必要である。

他の選択肢が不適切な理由
「発汗機能が若年者より発達し」とする記述は逆であり、汗をかきにくくなることが、室内にいても熱中症を起こしやすい理由の一つである。「熱産生の能力は加齢に伴って高まり」とする記述も誤りで、筋肉量の減少によって熱を作る力は落ちるため、寒い時期には低体温症の危険もある。「皮膚感覚が敏感になり」とする記述も逆で、暑さ寒さを感じ取る力が鈍るため、本人が寒さを訴えないまま室温が下がっていることがある。
問83-1

高齢者の疾病における症状の現れ方の特徴として、最も適切なものはどれか。

  • ①どのような疾患でも、若年者と同じ経過と症状で現れることが多い。
  • ②痛みの感覚が鋭くなるため、軽微な異常でも強い症状として自覚しやすい。
  • ③多くの疾患は数分ほどで急速に進行し、緩やかな経過はまれである。
  • ④感染症にかかっても発熱などの典型的な症状が現れにくいことがある。
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正解 ④感染症にかかっても発熱などの典型的な症状が現れにくいことがある。
解説
高齢者は肺炎などの感染症でも発熱が目立たなかったり、腹部の激しい炎症でも強い痛みを訴えなかったりと、症状が非定型的で分かりにくいことが多い。逆に、食欲低下や元気のなさ、失禁など一見疾患と結びつかない変化が病気の初期サインであることも多く、注意深い観察が求められる。

他の選択肢が不適切な理由
「若年者と同じ経過と症状で現れる」とする記述は、複数の病気や服用中の薬の影響が重なって症状の出方が変わるという高齢者の特徴を見落としている。「痛みの感覚が鋭くなる」とする記述は逆で、痛みを感じ取る力はむしろ鈍くなり、腹部の重い炎症や心筋梗塞でも痛みを強く訴えないことがある。「多くの疾患は数分ほどで急速に進行し、緩やかな経過はまれである」とする記述も誤りで、実際には回復が遅れて経過が長引き、そのまま慢性化しやすいのが高齢者に多い経過である。
問93-1

老年症候群の考え方に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①加齢に伴い高齢者に共通して現れやすい、多様な症候の総称である。
  • ②特定の単一疾患のみを指す用語で、生活機能の低下とは関連しない。
  • ③青年期に特有の症候群であり、高齢期に至ると自然に消失していく概念である。
  • ④感染症の重症化のみを指す用語で、転倒や失禁などは含まれない。
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正解 ①加齢に伴い高齢者に共通して現れやすい、多様な症候の総称である。
解説
老年症候群とは、転倒、失禁、めまい、褥瘡、認知機能低下など、加齢に伴って高齢者に共通して現れやすい多様な症候の総称であり、特定の一つの疾患を指す言葉ではない。複数の要因が絡み合って生じ、生活機能やQOLの低下に直結するため、介護支援専門員はその予防と早期発見への配慮が求められる。

他の選択肢が不適切な理由
「特定の単一疾患のみを指す用語で、生活機能の低下とは関連しない」とする記述は誤りで、老年症候群は診断名ではなく症候のまとまりを指す言葉であり、そのほとんどが生活機能の低下に直結する。「青年期に特有の症候群」とする記述は、加齢とともに増えるという言葉の成り立ちそのものと合わない。「感染症の重症化のみを指す用語で、転倒や失禁などは含まれない」とする記述も誤りで、転倒や失禁、褥瘡、低栄養といった介護の現場で日々出会う課題こそが代表例である。
問103-1

高齢者の心理的特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①加齢に伴い喪失体験の影響を受けにくくなり、精神的に安定しやすい。
  • ②配偶者や社会的役割の喪失を経験しやすく、抑うつ傾向が生じやすい。
  • ③社会的な役割を失っても、心理面には変化が生じないことが多い。
  • ④身体機能の低下と心理状態は、互いに独立して変化する別個の現象である。
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正解 ②配偶者や社会的役割の喪失を経験しやすく、抑うつ傾向が生じやすい。
解説
高齢期は配偶者との死別、退職による社会的役割の喪失、身体機能の低下など複数の喪失体験が重なりやすく、これらが誘因となって抑うつ的な気分に陥りやすい時期である。身体面の衰えと心理面の変化は相互に影響し合うため、支援にあたっては身体だけでなく心理・社会的な側面にも目を向ける必要がある。

他の選択肢が不適切な理由
「喪失体験の影響を受けにくくなり、精神的に安定しやすい」とする記述は、高齢期の抑うつが決してまれではなく、身体の不調の訴えという形で現れることも多いという実際と合わない。「社会的な役割を失っても、心理面には変化が生じないことが多い」とする記述も誤りで、役割や人とのつながりを失うことは自分の存在の意味に関わる体験である。「互いに独立して変化する別個の現象である」とする記述も適切ではなく、外出が減れば気分が沈み、気分が沈めばさらに動かなくなるという悪循環が起こりやすい。

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