2026年版・4-8

実地:廃棄方法と漏えい時の措置(追加品目)の一問一答

毒物劇物取扱者試験「実地(毒物及び劇物の識別及び取扱方法)」から、実地:廃棄方法と漏えい時の措置(追加品目)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験の出題形式は都道府県によって異なりますが、ここでは4択で出題しています。

問14-8

キシレンの廃棄方法として、厚生労働省の「毒物及び劇物の廃棄の方法に関する基準」に示されているものはどれか。

  • ①ケイソウ土等に吸収させ、開放型の焼却炉で少量ずつ焼却する
  • ②水酸化ナトリウム水溶液を加えて、高温加圧下で加水分解する
  • ③多量の水で希釈してから、活性汚泥で分解させて処理をする
  • ④消石灰の水溶液を加えて中和し、生じた沈殿をろ過して除く
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正解 ①ケイソウ土等に吸収させ、開放型の焼却炉で少量ずつ焼却する
解説
廃棄の基準では、キシレンの廃棄方法は燃焼法だけで、「(ア)ケイソウ土等に吸収させて開放型の焼却炉で少量ずつ焼却する」「(イ)焼却炉の火室へ噴霧し焼却する」の2通りが示されています。キシレンは炭素と水素だけからなる引火性の液体なので、燃やせば二酸化炭素と水になります。キシレンは水にほとんど溶けず、酸でも塩基でもない物質で、基準にも希釈や中和による方法は示されていません。トルエンも同じく燃焼法だけが示されている品目です。

他の選択肢が不適切な理由
・水酸化ナトリウムで加水分解:高温加圧下での加水分解(アルカリ法)は、アクリルニトリルなどに示された方法です。キシレンには加水分解される結合がありません。
・多量の水で希釈して活性汚泥:キシレンは水にほとんど溶けないので希釈できず、基準にも活性汚泥法は示されていません(メタノールやフェノールには示されています)。
・消石灰で中和して沈殿:酸でも塩基でもないキシレンは中和されず、沈殿もできません。

覚え方のポイント
「水に溶けない炭化水素の溶剤(トルエン・キシレン)=燃焼法だけ」と覚えます。同じ燃焼法でも、少量ずつ焼くためにケイソウ土(珪藻土)に吸わせるか、焼却炉の火室へ霧状に噴き込むか、という2つのやり方がある点も押さえておきましょう。
問24-8

ぎ酸(劇物に当たる濃度のもの)の廃棄方法に関する次の記述a〜dのうち、厚生労働省の「毒物及び劇物の廃棄の方法に関する基準」に示されているものの組合せを選びなさい。
a 可燃性溶剤とともに、アフターバーナー及びスクラバーを具備した焼却炉の火室に噴霧し焼却する。
b 多量の水酸化ナトリウム水溶液に少しずつ加えて中和した後、多量の水で希釈して活性汚泥で処理する。
c 硫酸第一鉄などの還元剤を加えて還元した後、消石灰を加えて水酸化物として沈殿させる。
d 消石灰の水溶液を加えて中和し、生じた沈殿をろ過して埋立処分する。

  • ①a、c
  • ②b、d
  • ③a、b
  • ④c、d
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正解 ③a、b
解説
廃棄の基準では、ぎ酸の廃棄方法として(1)燃焼法「可燃性溶剤とともにアフターバーナー及びスクラバーを具備した焼却炉の火室に噴霧し焼却する」、(2)活性汚泥法「多量の水酸化ナトリウム水溶液に少しずつ加えて中和した後、多量の水で希釈して活性汚泥で処理する」の2つが示されています。スクラバーの洗浄液には水酸化ナトリウム水溶液を使い、水酸化ナトリウム水溶液と急に混ぜると発熱して酸が飛び散ることがあるので注意する、とされています。ぎ酸は、90%以下を含有するものを除いて劇物です(指定令)。

各記述の正誤
・a 正しい:燃焼法です。ぎ酸は炭素・水素・酸素からなる有機酸なので燃やして処理できます。
・b 正しい:活性汚泥法です。基準では、多量の水酸化ナトリウム水溶液に少しずつ加えて中和してから、多量の水で希釈して活性汚泥で処理するとされています。
・c 誤り:還元剤で還元して水酸化物として沈殿させるのは、重クロム酸塩やクロム酸塩のような六価クロムの化合物に使う還元沈殿法です。
・d 誤り:消石灰で中和して沈殿をろ過し埋め立てるのは、一水素二弗化アンモニウムなど弗素を含む物(弗化カルシウムとして沈殿させる)の沈殿法です。ぎ酸は沈殿をつくりません。

覚え方のポイント
有機の酸・アルコール類(ぎ酸・メタノールなど)は「燃焼法」と「活性汚泥法」の組合せが多い、と押さえます。沈殿法は重金属や弗素など「沈殿させて取り出す元素」がある物に使う方法です。
問34-8

アクリルニトリルの廃棄方法として、厚生労働省の「毒物及び劇物の廃棄の方法に関する基準」に照らして誤っているものはどれか。

  • ①焼却炉の火室へ噴霧して焼却処理する
  • ②還元剤で還元した後、沈殿させてろ過する
  • ③pHを13以上にし、高温加圧下で加水分解する
  • ④活性汚泥(微生物)を用いて処理する
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正解 ②還元剤で還元した後、沈殿させてろ過する
解説
廃棄の基準では、アクリルニトリル(アクリロニトリル)の廃棄方法として、(1)燃焼法「焼却炉の火室へ噴霧し焼却する」、(2)アルカリ法「水酸化ナトリウム水溶液でpHを13以上に調整後、高温加圧下で加水分解する」、(3)活性汚泥法、の3つが示されています。還元して沈殿させる方法はこの品目には示されていないので、これが誤りです。アクリルニトリルは金属を含まない有機化合物なので、沈殿として取り出すものがありません。

他の選択肢が不適切な理由
・焼却炉の火室へ噴霧して焼却:燃焼法として示されている正しい方法です。引火点が約0℃の燃えやすい液体なので、燃焼で処理できます。
・pH13以上で高温加圧下の加水分解:アルカリ法として示されている正しい方法です。シアノ基(−CN)を強いアルカリで加水分解して分解します。
・活性汚泥法:基準に示されている正しい方法です。

覚え方のポイント
アクリルニトリルは「燃焼法・アルカリ法・活性汚泥法」の3つが示された品目です。1品目に複数の正しい方法があることが多いので、「示されていないもの」を選ぶ問題では、その物質に沈殿させる元素(重金属など)があるか、中和される酸・塩基か、と物質の性質から考えると誤りを見抜けます。
問44-8

燐化水素(ホスフィン)を含有する製剤の廃棄方法として、厚生労働省の「毒物及び劇物の廃棄の方法に関する基準」に示されているものはどれか。

  • ①希硫酸の中に吹き込んで吸収させ、中和してから多量の水で希釈する
  • ②多量の水の中に吹き込んで、十分に希釈してから流して処理する
  • ③消石灰と混ぜて固化させ、溶出試験を行ったうえで埋立処分する
  • ④次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合液で酸化分解する
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正解 ④次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合液で酸化分解する
解説
廃棄の基準では、燐化水素(ホスフィン)及びこれを含有する製剤の廃棄方法として、(1)燃焼法「スクラバーを具備した焼却炉の火室へ噴霧し、焼却する」、(2)酸化法「多量の次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液に吹き込んで吸収させ、酸化分解した後、多量の水で希釈して処理する」が示されています。備考には、酸化はアルカリ性で十分に時間をかける必要があること、作業の際は未反応の有毒なガスが出ることがあるので必ず保護具を着用することが書かれています。燐化水素及びこれを含有する製剤は毒物です。

他の選択肢が不適切な理由
・希硫酸に吹き込んで中和:燐化水素は水溶液が酸・塩基として中和される物質ではなく、基準にもこの方法はありません。
・多量の水に吹き込んで希釈:燐化水素は水に溶けにくい有毒な気体で、希釈しても無害にはなりません。基準の方法でもありません。
・消石灰と混ぜて固化・埋立て:固化隔離法は、一酸化鉛などの不溶性の鉛化合物のような重金属の化合物に示される方法で、燐化水素には示されていません。

覚え方のポイント
燐化水素は、燐化亜鉛や燐化アルミニウムが水分や酸と反応したときに出る毒ガスでもあります。燐化亜鉛・燐化アルミニウム製剤の廃棄も「燃焼法」と「次亜塩素酸ナトリウム+水酸化ナトリウムによる酸化法」が示されており、燐化物のグループはどれも同じ組合せと覚えておくと効率的です。
問54-8

クロロホルムが漏えいしたときの措置として、厚生労働省の「毒物及び劇物の運搬事故時における応急措置に関する基準」に照らして誤っているものはどれか。

  • ①風下の人を退避させ、周辺にロープを張って立入りを禁止する
  • ②作業の際は必ず保護具を着用し、風下で作業をしないようにする
  • ③水より軽く水面に広がるので、液の表面を泡で覆って回収する
  • ④回収したあとは、中性洗剤等の分散剤を使い多量の水で洗い流す
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正解 ③水より軽く水面に広がるので、液の表面を泡で覆って回収する
解説
応急措置の基準では、クロロホルムが漏えいしたときは、風下の人を退避させ、周辺にロープを張るなどして立入りを禁止し、作業の際は必ず保護具を着用して風下で作業をしないこと、漏えいした液は土砂等で流れを止めて安全な場所に導き、空容器にできるだけ回収し、そのあとを多量の水で洗い流すこと、洗い流す場合には中性洗剤等の分散剤を使用すること、とされています。クロロホルムは比重約1.49と水より重く、不燃性なので、「水より軽く水面に広がる」「泡で覆う」はいずれも当てはまらず、これが誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
・風下の人の退避とロープによる立入禁止:基準のとおりで正しい措置です。蒸気は空気より重く、低い所にたまります。
・保護具を着用し、風下で作業しない:基準のとおりで正しい措置です。保護具には有機ガス用防毒マスクが挙げられています。
・中性洗剤等の分散剤を使って洗い流す:水に溶けにくいクロロホルムを水に分散させて洗い流すための措置で、基準のとおりです。

覚え方のポイント
泡で表面を覆うのは、キシレンのように水より軽く引火しやすい液体の多量漏えいのときの措置です。クロロホルムは「重い・燃えない・水に溶けにくい」ので、泡ではなく分散剤(中性洗剤)で洗い流す、と対比して覚えましょう。熱で分解するとホスゲンを生じる点にも注意が必要です。
問64-8

次の文の(ア)〜(ウ)に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。「厚生労働省の「毒物及び劇物の廃棄の方法に関する基準」によれば、一水素二弗化アンモニウムは(ア)で、二硫化炭素は(イ)で、過酸化ナトリウムは(ウ)で廃棄することができる。」

  • ①ア 沈殿法 イ 酸化法 ウ 中和法
  • ②ア 燃焼法 イ 酸化法 ウ 希釈法
  • ③ア 沈殿法 イ 還元法 ウ 希釈法
  • ④ア 燃焼法 イ 還元法 ウ 中和法
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正解 ①ア 沈殿法 イ 酸化法 ウ 中和法
解説
廃棄の基準で示されている方法は次のとおりです。一水素二弗化アンモニウムは沈殿法のみで、「水に溶かし、消石灰の水溶液を加えて中和し、沈殿ろ過して埋立処分する」とされ、弗素を水に溶けにくい弗化カルシウムとして取り出します。二硫化炭素は酸化法(次亜塩素酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウムの混合溶液をかき混ぜながら二硫化炭素を滴下して酸化分解する)と燃焼法の2つです。過酸化ナトリウムは中和法のみで、「水に加えて希薄な水溶液とし、酸(希塩酸、希硫酸等)で中和した後、多量の水で希釈して処理する」とされています。

各記述の正誤
・ア:「沈殿法」が正しい。燃焼法は示されておらず、劇物の付着した紙袋等を焼却すると弗化水素ガスが発生するので、洗浄装置のない焼却炉等で焼却しないよう注意されています。
・イ:「酸化法」が正しい。還元法は示されていません(燃焼法は示されていますが、選択肢にはありません)。
・ウ:「中和法」が正しい。過酸化ナトリウムは水と反応して水酸化ナトリウムを生じ強いアルカリ性になるので、酸で中和します。単に水で薄める希釈法は過酸化水素や過酸化尿素に示された方法です。

覚え方のポイント
廃棄法は「その物質が水に入ると何になるか」で考えると選べます。弗素を含む物→カルシウムで沈殿、水と反応してアルカリになる物→酸で中和、燃えやすく酸化されやすい物→燃焼か酸化、という考え方です。
問74-8

液化したシアン化水素がボンベから漏えいしたときの措置として、厚生労働省の「毒物及び劇物の運搬事故時における応急措置に関する基準」に照らして最も適当なものはどれか。

  • ①ボンベを希硫酸の中に容器ごと投入し、ガスを中和させる
  • ②ボンベに消石灰を十分に散布し、ガスを吸収させて放置する
  • ③ボンベを多量の水の中に容器ごと投入し、十分に希釈して流す
  • ④水酸化ナトリウム水溶液に容器ごと入れ、さらに酸化処理する
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正解 ④水酸化ナトリウム水溶液に容器ごと入れ、さらに酸化処理する
解説
応急措置の基準では、シアン化水素が漏えいしたときは、風下の人を退避させ、周辺の立入りを禁止し、保護具を着用して風下で作業しないこととしたうえで、「漏えいしたボンベ等を多量の水酸化ナトリウム水溶液(20W/V%以上)に容器ごと投入してガスを吸収させ、更に酸化剤(次亜塩素酸ナトリウム、さらし粉等)の水溶液で酸化処理を行い、多量の水を用いて洗い流す」とされています。シアン化水素は弱い酸なので、強いアルカリに吸収させてシアン化ナトリウムとして捕まえ、次にシアン化物イオンを酸化して分解する、という2段階の処理です。基準は、pH8ぐらいのアルカリ性では有毒なクロルシアンが発生するので注意する、とも述べています。

他の選択肢が不適切な理由
・希硫酸に投入:酸性の液の中ではシアン化水素が気体のまま出てきてしまい、ガスを吸収できません。
・消石灰を散布して放置:消石灰の散布は塩素などの漏えいに使う措置で、シアン化水素の分解にはなりません。
・多量の水に投入して希釈:シアン化水素は水に任意の割合で混ざりますが、薄めても毒性はなくならず、酸化分解の工程もありません。

覚え方のポイント
シアン化合物の処理は「まずアルカリ性にする→次に酸化剤で分解」の順番が基本で、廃棄の酸化法とも共通です。酸を加えるとシアン化水素ガスが出る、という危険とあわせて覚えましょう。
問84-8

弗化水素酸が漏えいしたときの措置として、厚生労働省の「毒物及び劇物の運搬事故時における応急措置に関する基準」に照らして誤っているものはどれか。

  • ①風下の人を退避させ、必要があれば濡れた手ぬぐいで口と鼻を覆う
  • ②空容器に回収した後、徐々に注水して薄めてから消石灰等で処理する
  • ③漏えいした原液に、直ちに消石灰の粉末を多量に散布して中和する
  • ④発生するガスは、霧状の水をかけて吸収させるようにして処理する
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正解 ③漏えいした原液に、直ちに消石灰の粉末を多量に散布して中和する
解説
応急措置の基準では、弗化水素酸が漏えいしたときは「漏えいした液は土砂等でその流れを止め、安全な場所に導き、できるだけ空容器に回収し、そのあとを徐々に注水してある程度希釈した後、消石灰等の水溶液で処理し、多量の水を用いて洗い流す」とされ、注意事項に「直接中和剤を散布すると発熱し、酸が飛散することがあるので、ある程度希釈してから中和する」と書かれています。したがって、原液にいきなり消石灰の粉末をまく措置は誤りです。

他の選択肢が不適切な理由
・風下の人の退避と濡れた手ぬぐい:基準に「必要があれば水で濡らした手ぬぐい等で口及び鼻を覆う」とあり、正しい措置です。
・回収後に徐々に注水し、薄めてから消石灰等で処理:基準のとおりの手順です。
・発生するガスに霧状の水をかけて吸収:基準のとおりです。弗化水素は水に非常によく溶けるので、霧状の水で吸収できます。この場合、濃厚な廃液が河川等に流れ出ないよう注意します。

覚え方のポイント
濃い酸の漏えいは「回収→薄める→中和」の順番が原則です。弗化水素酸は1〜2%の低濃度でも、皮膚に付着するとその場では異常がなくても数時間後に痛みだすことがあるので、保護具の着用も特に重要です。
問94-8

三酸化二ヒ素(毒物)の粉末が飛散したときの措置として、厚生労働省の「毒物及び劇物の運搬事故時における応急措置に関する基準」に照らして最も適当なものはどれか。

  • ①回収後、硫酸第二鉄等の水溶液をまき、消石灰等で処理する
  • ②回収後、硫酸第一鉄等の還元剤を散布して、還元処理を行う
  • ③回収後、アルカリ性にして、次亜塩素酸塩で酸化処理を行う
  • ④回収後、多量の水で希釈するだけで、そのまま洗い流す
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正解 ①回収後、硫酸第二鉄等の水溶液をまき、消石灰等で処理する
解説
応急措置の基準では、三酸化二ヒ素(法令上の表記は三酸化二砒素)が飛散したときは、周辺の立入りを禁止し、保護具を着用して風下で作業しないこととしたうえで、「飛散したものは空容器にできるだけ回収し、そのあとを硫酸第二鉄等の水溶液を散布し、消石灰、ソーダ灰等の水溶液を用いて処理した後、多量の水を用いて洗い流す」とされています。鉄(III)の塩とアルカリで処理してから洗い流すという手順で、ヒ素をそのまま水で流さないことがポイントです。ヒ素化合物(法令上は砒素化合物)は毒物です。

他の選択肢が不適切な理由
・硫酸第一鉄等の還元剤で還元:重クロム酸カリウムなど六価クロムの化合物が飛散したときの措置です。「第一鉄(還元剤)」と「第二鉄」の取り違えに注意します。
・アルカリ性にして次亜塩素酸塩で酸化:シアン化ナトリウムなどシアン化合物の措置です。
・多量の水で希釈して洗い流すだけ:ヒ素は薄めても毒性がなくならず、河川等に流れ出ると環境を汚染します。

覚え方のポイント
「ヒ素=第二鉄+消石灰」「クロム=第一鉄(還元)」「シアン=アルカリ+次亜塩素酸塩(酸化)」の3つを並べて覚えると、似た選択肢を見分けられます。火災で強く熱せられると酸化ヒ素の有毒な煙霧が出るので、保護具として防じんマスク(火災時は空気呼吸器)が挙げられています。
問104-8

漏えい時の措置に関する次の記述a〜cの正誤の組合せとして、厚生労働省の「毒物及び劇物の運搬事故時における応急措置に関する基準」に照らして正しいものはどれか。
a キシレンが多量に漏えいしたときは、土砂等でその流れを止め、液の表面を泡でおおい、できるだけ空容器に回収する。
b アクリルニトリルが少量漏えいしたときは、乾燥した土砂に吸収させて空容器に回収し、その後を多量の水で十分に希釈して洗い流す。
c キシレンが多量に漏えいしたときは、水によく溶けるので、遠くから多量の水をかけて十分に希釈して洗い流す。

  • ①a誤 b正 c誤
  • ②a正 b正 c誤
  • ③a正 b誤 c正
  • ④a誤 b誤 c正
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正解 ②a正 b正 c誤
解説
応急措置の基準では、キシレンの多量漏えいは「土砂等でその流れを止め、安全な場所に導き、液の表面を泡でおおい、できるだけ空容器に回収する」、アクリルニトリルの少量漏えいは「乾燥した土砂に吸収させて空容器に回収し、その後を多量の水を用いて十分に希釈して洗い流す」とされています。どちらも引火しやすい液体なので、付近の着火源を速やかに取り除くことも共通の措置です。

各記述の正誤
・a 正しい:キシレンは水にほとんど溶けず水に浮くので、泡で表面を覆って蒸気の発生と引火を抑えながら回収します。
・b 正しい:アクリルニトリルの少量漏えいの措置のとおりです。
・c 誤り:キシレンは水にほとんど溶けないので、水で希釈して洗い流すことはできません。「遠くからホース等で多量の水をかけて、濃厚な蒸気が発生しなくなるまで十分に希釈して洗い流す」のは、水に溶けるアクリルニトリルが多量に漏えいしたときの措置です。

覚え方のポイント
引火性の液体でも「水に溶けるか」で措置が分かれます。水に溶けない(キシレン・トルエン)→泡で覆って回収、水に溶ける(アクリルニトリル)→多量の水で希釈、と整理しましょう。いずれの場合も、濃厚な廃液が河川等に流れ出ないよう注意します。

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