2026年版・3-7

認知症の医学的基礎知識の一問一答

介護支援専門員試験「保健医療サービスの知識等①(心身の特徴と疾病)」から、認知症の医学的基礎知識に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-7

アルツハイマー型認知症の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①脳の萎縮が徐々に進行し、記憶障害から緩やかに症状が広がっていく。
  • ②脳血管障害を直接の原因とし、階段状に急激に症状が進行する。
  • ③幻視やパーキンソニズムが初期から前面に現れることが最大の特徴である。
  • ④人格変化や常同行動が先行し、記憶障害は目立たないことが多い。
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正解 ①脳の萎縮が徐々に進行し、記憶障害から緩やかに症状が広がっていく。
解説
アルツハイマー型認知症は脳内にアミロイドβなどの異常なたんぱく質が蓄積し、脳が徐々に萎縮していくことで発症する変性疾患で、新しいことを覚えられない記憶障害から始まり、緩やかに見当識障害や判断力の低下へと症状が広がっていく経過をたどることが多い。認知症の中で最も患者数の多いタイプとされる。

他の選択肢が不適切な理由
「脳血管障害を直接の原因とし、階段状に急激に症状が進行する」とする記述は血管性認知症の特徴で、原因も進み方も異なる。「幻視やパーキンソニズムが初期から前面に現れる」とする記述はレビー小体型の特徴であり、この型では見えるはずのないものがはっきり見えることが早い時期から目立つ。「人格変化や常同行動が先行し、記憶障害は目立たない」とする記述は前頭側頭型の特徴で、記憶障害から始まるという経過とは逆である。
問23-7

血管性認知症の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①脳血管障害とは無関係に発症し、症状は緩やかに進行する。
  • ②脳血管障害の発症を契機に、階段状に症状が進行することが多い。
  • ③記憶や判断力を含むあらゆる認知機能が均一に、一様に低下する。
  • ④感情のコントロールに変化が生じることは基本的にない。
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正解 ②脳血管障害の発症を契機に、階段状に症状が進行することが多い。
解説
血管性認知症は脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって脳の一部が損傷を受けることで生じ、新たな血管障害が起こるたびに症状が段階的に悪化する「階段状の進行」を示すことが多い。障害を受けた部位によって、ある能力は保たれ別の能力だけが低下する「まだら認知症」もこの型の特徴とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「脳血管障害とは無関係に発症し、症状は緩やかに進行する」とする記述は、原因という点でも進み方という点でもアルツハイマー型の特徴に近く、この型の成り立ちと合わない。「あらゆる認知機能が均一に、一様に低下する」とする記述も誤りで、損傷を受けた部位に応じて、できることとできないことがはっきり分かれるのがこの型の特徴である。「感情のコントロールに変化が生じることは基本的にない」とする記述も誤りで、些細なことで泣いたり笑ったりする感情の失禁や、意欲の低下がみられやすい。
問33-7

レビー小体型認知症の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①幻視やパーキンソニズムを伴うことはなく、記憶障害のみが主症状となる。
  • ②認知機能の変動はみられず、一定の状態を保ち続けることが特徴である。
  • ③現実にはない人や動物が見える幻視や、パーキンソニズムを伴いやすい。
  • ④発症の原因は脳血管障害に限られ、変性疾患とは分類されない。
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正解 ③現実にはない人や動物が見える幻視や、パーキンソニズムを伴いやすい。
解説
レビー小体型認知症は、脳にレビー小体という異常なたんぱく質が蓄積することで生じる変性疾患で、実際にはいない人や虫などがはっきりと見える具体的な幻視、パーキンソン病に似た筋固縮や小刻み歩行などの症状(パーキンソニズム)、日や時間帯によって認知機能がはっきりしたりぼんやりしたりする認知機能の変動を特徴とする。

他の選択肢が不適切な理由
「幻視やパーキンソニズムを伴うことはなく、記憶障害のみが主症状となる」とする記述は、この型を特徴づける症状をすべて否定するものである。「認知機能の変動はみられず、一定の状態を保ち続ける」とする記述も誤りで、しっかりしている時とぼんやりしている時の差が大きいため、短時間の面接だけでは状態を正しく捉えられないことがある。「発症の原因は脳血管障害に限られ、変性疾患とは分類されない」とする記述も誤りで、異常なたんぱく質がたまることで神経が変性していく病態である。
問43-7

前頭側頭型認知症の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①記憶障害のみが先行し、人格や行動面の変化はほとんどみられにくい。
  • ②幻視や具体的な人物の見間違いが最も特徴的な初期症状である。
  • ③発症年齢は85歳以上に限られており、若年での発症はない。
  • ④人格変化や社会的に不適切な言動、常同的な行動が目立つことがある。
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正解 ④人格変化や社会的に不適切な言動、常同的な行動が目立つことがある。
解説
前頭側頭型認知症は前頭葉や側頭葉が変性することで、他者への配慮を欠いた言動や万引きなどの反社会的行動、決まった時間に同じ行動を繰り返す常同行動といった人格・行動面の変化が初期から目立つことが多い。記憶障害は比較的目立ちにくく、比較的若い年代で発症することもある点が特徴とされる。

他の選択肢が不適切な理由
「記憶障害のみが先行し、人格や行動面の変化はほとんどみられにくい」とする記述はアルツハイマー型に近い経過であり、この型では記憶よりも先に振る舞いが変わる。「幻視や具体的な人物の見間違いが最も特徴的な初期症状」とする記述はレビー小体型の特徴である。「発症年齢は85歳以上に限られており、若年での発症はない」とする記述も誤りで、40歳代から60歳代での発症もみられ、働き盛りの年代で問題行動として現れるため、周囲の理解が得られにくい。
問53-7

認知症の中核症状とBPSD(行動・心理症状)の違いに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①中核症状は脳の障害に直接起因し、BPSDは環境や心理状態の影響も受ける。
  • ②中核症状は環境要因のみで生じ、BPSDは脳の障害に直接起因する症状である。
  • ③中核症状とBPSDはほぼ同じ症状を指す、互換可能な用語である。
  • ④BPSDは認知症の診断がつけば、誰にでも共通して同じ内容で出現する。
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正解 ①中核症状は脳の障害に直接起因し、BPSDは環境や心理状態の影響も受ける。
解説
中核症状は記憶障害や見当識障害、判断力の低下など、脳の器質的な障害によって直接生じる症状で、認知症であれば程度の差はあれ共通してみられる。一方BPSD(行動・心理症状)は徘徊や興奮、妄想、うつ状態などを指し、中核症状を背景としつつ本人の性格や周囲の対応、環境要因の影響を強く受けて出現の程度が変わる点が異なる。

他の選択肢が不適切な理由
「中核症状は環境要因のみで生じ、BPSDは脳の障害に直接起因する」とする記述は、両者の説明をそのまま入れ替えている。「ほぼ同じ症状を指す、互換可能な用語」とする記述も誤りで、両者を区別する意味は、環境や関わり方を変えることで和らげられる部分がどこかをはっきりさせる点にある。「診断がつけば、誰にでも共通して同じ内容で出現する」とする記述も誤りで、出るかどうかも内容も人によって大きく異なり、まったくみられない人もいる。
問63-7

軽度認知障害(MCI)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①日常生活に全面的な介助を要する、認知症の最終段階を指す用語である。
  • ②認知機能の低下はあるが、日常生活は概ね自立している状態を指す。
  • ③認知機能の低下はみられず、健常な状態のみを指す用語である。
  • ④短期間のうちに認知症へ移行するのみで、改善することはない。
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正解 ②認知機能の低下はあるが、日常生活は概ね自立している状態を指す。
解説
軽度認知障害(MCI)は、年齢相応の変化を超えた認知機能の低下がみられるものの、日常生活動作は概ね自立して行える、正常と認知症の中間的な状態を指す。MCIの人の一部は将来認知症に移行するとされる一方、適切な生活習慣の改善などにより健常な状態に戻る例もあり、早期の気づきと対応が重要とされる段階である。

他の選択肢が不適切な理由
「日常生活に全面的な介助を要する、認知症の最終段階」とする記述は、生活が概ね自立しているというこの状態の定義と正反対である。「認知機能の低下はみられず、健常な状態のみを指す」とする記述も誤りで、年齢相応の範囲を超えた低下があることが前提となる。「短期間のうちに認知症へ移行するのみで、改善することはない」とする記述も誤りで、一定の割合は元の状態に戻るとされ、運動や社会参加、生活習慣病の管理に取り組む意義があるのはこのためである。
問73-7

認知症の診断過程に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①血液検査の一項目のみを確認し、他の検査を行わずに確定診断がなされる。
  • ②本人や家族への問診は不要であり、画像検査のみで診断が完結する。
  • ③問診や認知機能検査、画像検査などを組み合わせて総合的に判断される。
  • ④診断には数年単位の経過観察が必要で、短期間の診断は行われない。
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正解 ③問診や認知機能検査、画像検査などを組み合わせて総合的に判断される。
解説
認知症の診断では、本人や家族からの問診による生活状況や症状経過の把握に加え、長谷川式簡易知能評価スケールなどの認知機能検査、頭部CTやMRIといった画像検査、血液検査による他疾患の除外などを組み合わせて総合的に判断される。慢性硬膜下血腫など治療可能な疾患を見逃さないための鑑別も重要な目的の一つである。

他の選択肢が不適切な理由
「血液検査の一項目のみを確認し、他の検査を行わずに確定診断がなされる」とする記述は誤りで、血液検査が担うのは甲状腺の機能低下など、治療できる別の原因を除くという役割である。「本人や家族への問診は不要であり、画像検査のみで診断が完結する」とする記述も誤りで、いつからどのように変わってきたかという生活上の経過は、画像からは決して分からない情報である。「数年単位の経過観察が必要で、短期間の診断は行われない」とする記述も誤りで、治療できる原因を見逃さないためにも、早い段階での受診と評価が重要となる。
問83-7

認知症の治療薬に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①現在使用できる薬剤は根治薬のみであり、進行抑制を目的とする薬剤はない。
  • ②薬物療法は禁忌とされており、非薬物療法のみが行われることになっている。
  • ③全ての認知症治療薬は、認知症のタイプにかかわらず、同じ効果を示す薬剤である。
  • ④コリンエステラーゼ阻害薬などが用いられ、進行を遅らせる目的で使用される。
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正解 ④コリンエステラーゼ阻害薬などが用いられ、進行を遅らせる目的で使用される。
解説
認知症治療薬にはコリンエステラーゼ阻害薬など複数の種類があり、脳内の神経伝達物質の働きを補うことで症状の進行を遅らせる目的で使用されるが、認知症を根本的に治す薬ではない。認知症のタイプによって効果や適応が異なり、薬物療法と並行して回想法などの非薬物療法を組み合わせることも重視されている。

他の選択肢が不適切な理由
「使用できる薬剤は根治薬のみ」とする記述は、失われた神経を元に戻す薬が確立されていないという現状と食い違う。「薬物療法は禁忌とされており、非薬物療法のみが行われる」とする記述も誤りで、両者は組み合わせて用いられるものである。「認知症のタイプにかかわらず、同じ効果を示す」とする記述も誤りで、たとえばレビー小体型では薬に対して過敏に反応しやすいなど、型によって使い方や注意点が異なる。
問93-7

若年性認知症に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①65歳未満で発症する認知症を指し、就労や経済面の課題を伴いやすい。
  • ②75歳以上で発症する認知症のみを指す用語であり、それ以外は該当しない。
  • ③発症しても、その後の就労や家計への影響は限定的にとどまりやすい。
  • ④原因となる疾患はアルツハイマー型認知症のみに厳密に限られる。
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正解 ①65歳未満で発症する認知症を指し、就労や経済面の課題を伴いやすい。
解説
若年性認知症は65歳未満で発症する認知症の総称で、原因疾患はアルツハイマー型、血管性、前頭側頭型など様々である。現役世代での発症となるため、本人の就労継続の困難や収入の減少、子どもの教育・進学への影響など、高齢期発症とは異なる経済的・社会的な課題を抱えやすく、就労支援を含めた対応が求められる。

他の選択肢が不適切な理由
「75歳以上で発症する認知症のみを指す」とする記述は年齢の区切りを取り違えており、若年性という語の意味とも合わない。「就労や家計への影響は限定的にとどまりやすい」とする記述も誤りで、働き手として家計を支えている時期の発症であるため、収入の減少が家族全体に及ぶ点がこの問題の中心である。「原因となる疾患はアルツハイマー型認知症のみに厳密に限られる」とする記述も誤りで、血管性や前頭側頭型など原因は多岐にわたる。
問103-7

認知症の危険因子に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①認知症の発症は遺伝的要因のみで決まり、生活習慣は関与しない。
  • ②難聴や運動不足、社会的孤立などが危険因子として挙げられている。
  • ③危険因子は加齢のみとされており、他の要因が関与することはない。
  • ④運動習慣や社会参加は、認知症の発症リスクとはほとんど無関係である。
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正解 ②難聴や運動不足、社会的孤立などが危険因子として挙げられている。
解説
認知症の発症には加齢や遺伝的要因に加え、難聴、運動不足、社会的孤立、喫煙、高血圧や糖尿病といった生活習慣病、抑うつなど複数の修正可能な危険因子が関わるとされている。これらの要因への対策により発症リスクを一定程度低減できる可能性が示されており、介護予防の取り組みとも密接に関連する。

他の選択肢が不適切な理由
「遺伝的要因のみで決まり、生活習慣は関与しない」「危険因子は加齢のみとされており、他の要因が関与することはない」とする記述は、いずれも自分では変えられない要因だけを挙げるもので、高血圧や糖尿病の管理、禁煙といった取り組みに意味があるという考え方を否定してしまう。「運動習慣や社会参加は、認知症の発症リスクとはほとんど無関係」とする記述も誤りで、体を動かすことと人と関わることは、いずれも危険を下げる側の要因として挙げられている。

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