2026年版・9-3

基礎-3 契約書・印鑑・書面の基本の一問一答

ビジネス実務法務検定試験®3級「最初に覚える土台知識」から、基礎-3 契約書・印鑑・書面の基本に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問19-3

書面の表題とその効力の関係として正しいものはどれか。

  • ①覚書でも合意があれば契約の効力を持つ
  • ②契約書でなければ裁判の証拠にならない
  • ③覚書は当事者の一方だけを拘束する
  • ④協定書は努力目標を定めたものになる
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正解 ①覚書でも合意があれば契約の効力を持つ
解説
契約が成立するかどうかは、書面の表題ではなく、当事者の意思表示が合致しているかどうかで決まります。

民法第522条第2項は、契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を必要としないと定めています。つまり契約はそもそも口約束でも成立するのであって、書面はその内容を後から証明しやすくするために作るものです。ですから「覚書」「協定書」「確認書」「念書」といった表題であっても、権利義務の内容が定められ双方が合意していれば、契約書と同じ効力を持ちます。実務では、表題が覚書だから軽い約束だと思い込み、内容を確かめずに押印する失敗が起こりがちです。判断は中身で行ってください。
他の選択肢について

・契約書でなければ証拠にならない:表題にかかわらず、当事者の合意を示す書面は証拠になります。
・覚書は一方だけを拘束:誰がどのような義務を負うかは記載された内容で決まり、表題では決まりません。
・協定書は努力目標:努力目標にとどまるかどうかも、表題ではなく各条項の書きぶりで決まります。
問29-3

契約書における「署名」と「記名押印」の説明として正しいものはどれか。

  • ①署名は代理人が書き、記名は本人が書く
  • ②署名は本人の手書き、記名は印刷など
  • ③署名も記名も印刷やゴム印で記載する
  • ④署名も記名も押印を必ず伴っている
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正解 ②署名は本人の手書き、記名は印刷など
解説
署名とは、本人が自分の手で氏名を書くこと(=自署)をいいます。これに対し記名とは、ゴム印・印刷・代筆など、自署以外の方法で氏名を記すことをいいます。

署名は筆跡が本人のものかどうかを確かめられるため、それだけでも本人が関与した証拠になります。一方、記名は誰でも作れてしまうため、それだけでは証拠として弱く、そこで実務では記名に押印を組み合わせた「記名押印」が広く用いられています。民事訴訟法第228条第4項が、私文書は本人またはその代理人の「署名又は押印」があるときは真正に成立したものと推定すると定めているのも、この2つが本人の関与を示す手がかりとして並べられているからです。
他の選択肢について

・署名を代理人が書く:署名は本人自身が書くことを意味します。代筆は記名にあたります。
・どちらも印刷やゴム印:署名は手書きに限られるため、印刷やゴム印は署名にあたりません。
・どちらも押印を伴う:署名は押印がなくても署名として成立します。押印と組み合わせて意味を持つのは記名の方です。
問39-3

私文書に押印がある場合の裁判上の取扱いとして正しいものはどれか。

  • ①本人の押印があれば内容が真実と証明される
  • ②署名がある場合に限り推定の効果が生じる
  • ③本人の押印があれば真正に成立と推定される
  • ④押印があっても推定の効果は生じない
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正解 ③本人の押印があれば真正に成立と推定される
解説
民事訴訟法第228条第4項は、私文書は本人またはその代理人の署名または押印があるときは、真正に成立したものと推定する、と定めています。

ここでいう「真正に成立した」とは、その文書が本人の意思に基づいて作成されたということです。押印が実務でこれほど重視されるのは、この条文があるからです。ただし気をつけたいのは、推定されるのはあくまで文書ができた経緯であって、そこに書かれた中身が事実だと保証されるわけではない、という点です。また条文は「推定する」であって「みなす」ではないため、印鑑を盗まれて押されたといった事情を証明できれば、この取扱いは覆ります。押印は絶対的な効力ではなく、争いになったときの出発点を有利にするものだと理解してください。
他の選択肢について

・内容が真実と証明される:推定されるのは成立の真正であって、記載内容の真実性ではありません。
・署名がある場合に限る:条文は「署名又は押印」と定めており、押印だけでも推定は働きます。
・推定の効果は生じない:同項が明文で推定の効果を定めています。
問49-3

「実印」の説明として正しいものはどれか。

  • ①代表者が日々の決裁に使う登録不要の印
  • ②銀行に届け出て払戻しに用いる印
  • ③法務局が様式を定めて交付する印
  • ④市区町村に登録し証明書を出せる印
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正解 ④市区町村に登録し証明書を出せる印
解説
実印とは、住所地の市区町村に印鑑登録をした印章のことをいいます。

登録がされているため、市区町村が発行する印鑑登録証明書によって、その印影(=紙に押されたはんこの跡)が確かに本人の登録した印章のものだと裏づけることができます。そのため、不動産の売買や自動車の登録など、本人の意思をしっかり確認したい場面で用いられます。「実印と印鑑証明書をご用意ください」と求められるのは、後で「そのはんこは自分のものではない」と争われる余地を減らすためです。なお会社の場合は、法務局に届け出た代表者印がこれに相当する役割を果たし、印鑑証明書の交付を受けられます。
他の選択肢について

・登録不要の印:これは一般に認印と呼ばれるものです。認印にも押印としての意味はありますが、印鑑登録証明書で裏づけることはできません。
・銀行に届け出る印:これは銀行印であり、実印とは別に用意するのが通常です。
・法務局が交付する印:法務局が扱うのは会社の代表者印などの届出と証明であって、印章そのものを交付するわけではありません。
問59-3

契約書に押す「契印」と「割印」の説明として正しいものはどれか。

  • ①契印はページの一体性、割印は複数通の対応
  • ②契印は複数通の対応、割印はページの一体性
  • ③契印も割印も収入印紙を消すために押す
  • ④契印も割印も訂正箇所を示すために押す
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正解 ①契印はページの一体性、割印は複数通の対応
解説
契印は、複数ページからなる契約書のページのつなぎ目や、製本したときのテープにまたがるように押す印で、途中のページを差し替えられていないこと、つまり全体が一体の文書であることを示します。

これに対し割印は、同じ内容の契約書を2通作成した場合などに、2通を少しずらして重ね、両方にまたがるように押す印です。こちらは、その2通が同時に作られた対の文書であることを示します。「契印はページどうしをつなぐ、割印は文書どうしをつなぐ」と覚えると混同しません。どちらも法律で義務づけられたものではありませんが、後から改ざんを疑われないようにするための実務上の工夫として定着しています。
他の選択肢について

・契印と割印が逆:一体性を示すのが契印、複数通の対応を示すのが割印です。
・収入印紙を消すため:これは消印と呼ばれるもので、印紙税法上、貼った印紙を再使用できないようにするために押します。
・訂正箇所を示すため:これは訂正印の役割であり、契印・割印とは目的が異なります。
問69-3

契約書の前文で「株式会社A(以下「甲」という。)」と定める意味はどれか。

  • ①立場が優位な側を甲として示している
  • ②以降の条文で使う呼び名を決めている
  • ③甲が契約の費用をすべて負担する
  • ④甲が紛争時に原告になると定める
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正解 ②以降の条文で使う呼び名を決めている
解説
甲・乙は、契約書の中で当事者を何度も表記する手間を省くための略称にすぎません。前文で誰が甲で誰が乙かを定義し、以降の条文ではその略称を使う、という約束事です。

どちらを甲とするかで権利義務が変わることはなく、権利義務は各条項に書かれた内容だけで決まります。発注者を甲、受注者を乙とする例が多いのは慣行にすぎず、法律上の意味づけはありません。むしろ実務で気をつけたいのは、甲乙が入り組んだ契約書では読み手が取り違えやすいという点です。近年は「売主」「買主」のように役割そのものを略称に用いる契約書も増えています。読むときは、必ず前文に戻って定義を確認する習慣をつけましょう。
他の選択肢について

・優位な側を甲とする:慣行としてそうなることはありますが、法律上そのような意味はありません。
・甲が費用をすべて負担:費用の負担は費用に関する条項で定めるものであり、略称とは関係がありません。
・甲が原告になる:誰が訴えを起こすかは紛争が起きた状況で決まり、略称で決まるものではありません。
問79-3

契約書に必要な収入印紙を貼らなかった場合の取扱いとして正しいものはどれか。

  • ①相手方は契約を取り消せる
  • ②契約は初めから無効になる
  • ③過怠税が課されるが契約は有効
  • ④裁判の証拠として使えなくなる
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正解 ③過怠税が課されるが契約は有効
解説
印紙税法第20条第1項は、印紙税を納めるべき文書の作成者が納付しなかった場合、納めなかった印紙税の額と、その2倍に相当する金額との合計(=もとの税額の3倍)を過怠税として徴収すると定めています。自分から申し出た場合は、同条第2項により1.1倍に軽くなります。

一方で、契約そのものの効力はどうなるでしょうか。民法第522条第2項は、契約の成立には法令に特別の定めがある場合を除き書面などの方式を必要としないと定めています。印紙税法は税金を納めさせるための法律であって、契約の成立の要件を定めたものではありません。したがって、印紙が貼られていなくても契約は有効に成立しています。
他の選択肢について

・初めから無効:印紙は契約の成立の要件ではないため、無効にはなりません。
・相手方が取り消せる:印紙の不貼付を理由に契約を取り消せるという定めはありません。
・証拠として使えない:印紙のない文書も、当事者の合意を示す証拠として使えます。
問89-3

民法上、書面でしなければ効力が生じない契約はどれか。

  • ①売買契約
  • ②賃貸借契約
  • ③委任契約
  • ④保証契約
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正解 ④保証契約
解説
民法第446条第2項は「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」と定めています。

保証とは、主たる債務者(=本来お金を返す人)が返済しないときに、代わりに支払う責任を負うことです。保証人自身は借りたお金を1円も受け取らないのに、大きな債務を背負うことになります。そこで、頼まれて断りきれずその場の口約束で引き受けてしまうことを防ぎ、書面という形式を通じて意思を慎重に確かめさせる趣旨から、書面が効力の要件とされました。なお同条第3項により、その内容を記録した電磁的記録によってされたときも、書面によってされたものとみなされます。契約は原則として口頭でも成立しますが、保証はその重い例外だと押さえてください。
他の選択肢について

・売買契約:申込みと承諾の合致だけで成立する諾成契約であり、書面は成立の要件ではありません。
・賃貸借契約:原則として口頭でも成立します。ただし定期建物賃貸借のように、特別法が書面を求める類型は別にあります。
・委任契約:当事者の合意のみで成立し、書面は要求されていません。
問99-3

公証人が作成する「公正証書」の説明として正しいものはどれか。

  • ①裁判を経ずに強制執行の根拠にできる
  • ②支払を受けるには訴訟が必要になる
  • ③当事者が作り公証役場へ届け出て成立する
  • ④公証人が内容の真実性を調べて作成する
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正解 ①裁判を経ずに強制執行の根拠にできる
解説
民事執行法第22条第5号は、金銭の一定の額の支払などを目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述(=執行認諾文言)が記載されているものを、債務名義の一つとして挙げています。これを執行証書といいます。

債務名義とは、強制執行をしてよいことを公に示す文書です。通常は訴訟で勝訴判決を得なければ強制執行できませんが、執行証書があれば直ちに執行を申し立てられます。金銭の貸し借りや分割払いの合意で公正証書が使われるのは、この強い効力があるからです。作成するのは公証人(=法務大臣が任命する公務員)です。
他の選択肢について

・訴訟が必要になる:執行証書にあたる場合は訴訟を経ずに執行できる点が、公正証書の大きな利点です。
・当事者が作り届け出る:公正証書は公証人が作成する公文書であり、私人が作った書面を届け出てなるものではありません。
・内容の真実性を調べる:公証人は当事者の陳述に基づいて作成するのであって、記載された事実の真偽を調べる制度ではありません。
問109-3

作成済みの契約書の記載を訂正するときの取扱いとして正しいものはどれか。

  • ①修正液で消して正しい内容を書き直す
  • ②訂正箇所に二重線を引き双方が押印する
  • ③契約書とは異なる印を押して訂正する
  • ④申し出た側だけが訂正印を押せば足りる
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正解 ②訂正箇所に二重線を引き双方が押印する
解説
契約書の訂正方法について、法律が様式を定めているわけではありません。しかし実務では、訂正箇所に二重線を引いて元の記載を読める形で残し、正しい内容を書き加え、そこに双方が契約書と同じ印を押す方法が広く用いられています。

この方法をとるのは、誰がどこを訂正し、双方が同意したのかを書面の上に残すためです。後から「勝手に書き換えられた」と争われる余地を小さくできます。なお、あらかじめ欄外に押しておく捨印という慣行もありますが、これは誤字の修正など軽い訂正に備えるもので、内容の変更を無制限に認める趣旨ではありません。悪用の危険もあり、安易に押さない方が安全です。
他の選択肢について

・修正液で消して書き直す:元の記載が読めなくなり、勝手に書き換えたのではないかという疑いを招くため、用いません。
・異なる印を押す:契約書に押したものと同じ印を用いてこそ、同じ当事者が訂正に同意したことを示せます。
・申し出た側だけが押す:一方だけで訂正できるとすると、相手の知らないうちに内容が変わってしまいます。

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