2026年版・9-1

基礎-1 法律のしくみと全体像の一問一答

ビジネス実務法務検定試験®3級「最初に覚える土台知識」から、基礎-1 法律のしくみと全体像に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問19-1

「六法」と呼ばれる、基本となる6つの法律の組合せはどれか。

  • ①憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法
  • ②憲法・民法・刑法・会社法・行政法・国際法
  • ③民法・商法・会社法・労働基準法・独占禁止法・刑法
  • ④憲法・行政法・民法・刑法・労働法・社会保障法
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正解 ①憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法
解説
「六法」とは、憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法という6つの法律をまとめて呼ぶ、昔からの慣用的な言い方です。

この6つは、国のかたちを定める憲法を頂点に、私人(=国や役所ではない、個人や会社のこと)どうしのルールを定める民法と商法、犯罪と刑罰を定める刑法、そして民事と刑事それぞれの裁判の進め方を定める2つの訴訟法という組合せです。中身のルールを定める法律(実体法)と、その実現の手続を定める法律(手続法)が対になっている点を意識すると整理しやすくなります。
他の選択肢について

・会社法・行政法・国際法を含む組合せ:会社法はかつて商法の一部で、今も重要な法律ですが、六法の数え方には入りません。行政法・国際法はそもそも単一の法律の名前ではなく、複数の法律をまとめた分野の呼び名です。
・労働基準法・独占禁止法を含む組合せ:どちらもビジネス実務法務検定試験®でよく問われる法律ですが、六法という枠には含まれません。憲法が抜けている点でも不適切です。
・労働法・社会保障法を含む組合せ:これらも複数の法律をまとめた分野名であり、個別の法律名を並べる六法の数え方とは性質が異なります。
問29-1

民法が定めている事柄として正しいものはどれか。

  • ①国や役所の組織と権限を定める
  • ②私人どうしの権利義務を定める
  • ③犯罪となる行為と刑罰を定める
  • ④会社の設立と運営の手続を定める
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正解 ②私人どうしの権利義務を定める
解説
民法は、私人(=国や役所ではない、個人や会社などのこと)どうしの間に生じる権利義務について、もっとも一般的なルールを定めた法律です。

売買や賃貸借などの契約、物を支配する権利である所有権、他人に損害を与えたときの賠償、さらに結婚・親子・相続といった家族関係まで、生活と取引の広い範囲を扱います。民法は総則・物権・債権・親族・相続の5編でできており、仕事で結ぶ契約の大半は、まずこの民法の考え方が土台になります。特定の場面に向けた法律(=特別法)があればそちらが先に適用されますが、そこに定めのない部分は民法に戻って考えます。
他の選択肢について

・国や役所の組織と権限:国の統治のしくみを定めるのは憲法や行政に関する法律であり、民法の役割ではありません。
・犯罪となる行為と刑罰:どのような行為が犯罪となり、どの刑罰が科されるかを定めるのは刑法です。
・会社の設立と運営の手続:会社法第1条が、会社の設立・組織・運営・管理はこの法律によると定めています。
問39-1

会社法が主に定めている事項として正しいものはどれか。

  • ①商人の営業や商行為など商事に関する事項
  • ②労働者の賃金や労働時間に関する最低基準
  • ③会社の設立や組織、運営と管理に関する事項
  • ④事業者間の公正な競争を確保するための規制
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正解 ③会社の設立や組織、運営と管理に関する事項
解説
会社法第1条は、会社の設立・組織・運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる、と規定しています。

具体的には、株式会社をつくるときの手続、取締役や株主総会といった機関(=会社の意思を決めたり実行したりする役割を担うしくみのこと)の権限、株式や配当、合併などのルールが中心です。また会社法第3条は「会社は、法人とする」と定めており、会社が代表者個人とは切り離された独立の存在として扱われる根拠にもなっています。会社法は2005年に、それまで商法の中に置かれていた会社に関する規定を独立させてつくられた比較的新しい法律です。
他の選択肢について

・商人の営業や商行為:商法第1条第1項が定める、商法の守備範囲そのものです。会社法はもともとこの商法の一部でした。
・賃金や労働時間の最低基準:労働条件の最低基準を定めるのは労働基準法であり、会社法の内容ではありません。
・公正な競争の確保:カルテルや不公正な取引方法を規制するのは独占禁止法であり、会社の組織を定める会社法とは目的が異なります。
問49-1

日本の法令の効力の上下関係として正しいものはどれか。

  • ①憲法に反する法律も有効である
  • ②政令は法律の委任なく罰則を置ける
  • ③法律と政令では新しい方が優先する
  • ④憲法に反する法律は効力を持たない
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正解 ④憲法に反する法律は効力を持たない
解説
日本国憲法第98条第1項は、この憲法は国の最高法規であって、その条規に反する法律・命令などはその効力を有しない、と定めています。

法令には効力の強さに上下関係があり、上から順に憲法、法律(国会が制定)、政令・省令などの命令(内閣や各省の大臣が制定)、条例(地方公共団体が制定)と並びます。下位の法令は、上位の法令に反する内容を定めることができません。仕事で規制に出会ったとき、それが法律なのか、法律に基づく命令なのかを見分けられると、根拠のたどり方が分かります。
他の選択肢について

・憲法に反する法律も有効:第98条第1項が効力を有しないと明記しているため、改正を待つまでもなく効力は否定されます。
・委任なく政令で罰則:憲法第73条第6号ただし書は、その法律の委任がある場合を除き、政令に罰則を設けることはできないと定めています。
・新しい方が優先:後にできた法令が優先するのは、同じ強さの法令どうしの原則です。法律と政令の間では、常に上位の法律が優先します。
問59-1

政令・省令・条例を定める者の組合せとして正しいものはどれか。

  • ①政令は内閣、省令は各省の大臣、条例は地方公共団体
  • ②政令は国会、省令は内閣、条例は地方公共団体の首長
  • ③政令は各省の大臣、省令は内閣、条例は地方の裁判所
  • ④政令は内閣、省令は国会、条例は地方公共団体の住民
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正解 ①政令は内閣、省令は各省の大臣、条例は地方公共団体
解説
政令は内閣が定める命令、省令は各省の大臣が定める命令、条例は地方公共団体が定めるルールです。

憲法第73条第6号は、内閣が憲法および法律の規定を実施するために政令を制定すると定めています。また地方自治法第14条第1項は、普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができると定めています。国会が定めるのは法律であり、政令や省令は、法律が決めた大枠の中で細かい手続や基準を補う役割を担っています。法律の条文に「政令で定める」「省令で定める」と書かれていたら、その先に実際の数値や様式が置かれている、と読んでいくのが実務での調べ方です。
他の選択肢について

・政令を国会が定めるとする組合せ:国会が制定するのは法律であって政令ではありません。政令と省令の主体も入れ替わっています。
・条例を地方の裁判所が定めるとする組合せ:裁判所は具体的な事件を裁く機関であり、ルールを制定する権限は持ちません。
・省令を国会が定めるとする組合せ:省令は各省の大臣が発する命令です。また条例は住民が直接定めるものではなく、地方公共団体の議会の議決によって制定されるのが原則です。
問69-1

法令の「条」「項」「号」の関係として正しいものはどれか。

  • ①条を列挙で分けたのが号、号の中の段落が項
  • ②条を段落で分けたのが項、項の中の列挙が号
  • ③号が最も大きな単位で、次が条、最後が項
  • ④項も号も、法令全体を通した番号である
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正解 ②条を段落で分けたのが項、項の中の列挙が号
解説
法令は原則として「条」を基本の単位とし、1つの条の中が複数の段落に分かれるとき、その段落の一つひとつを「項」と呼びます。さらに条や項の中で事項を箇条書きのように並べる場合、その一つひとつが「号」です。

大きさの順は、条、項、号となります。条文では、第1項には番号が振られず、第2項以降に「2」「3」と算用数字が付くのが一般的です。号は「一」「二」「三」と漢数字で書かれるため、見た目でも区別できます。この読み方が分かると、e-Gov法令検索(=国が運営する法令の公式データベース)で条文を引くときに、探している規定の位置をすぐ特定できます。
他の選択肢について

・条を列挙で分けたのが号、号の中の段落が項:項と号の説明が入れ替わっています。条を段落で分けたものが項であり、箇条書きで列挙されているものが号です。
・号が最も大きな単位:大きさの順は条、項、号であり、号はいちばん細かい単位です。
・法令全体を通した番号:項も号も、それぞれの条や項の中で振られる番号であり、法令全体の通し番号ではありません。
問79-1

商法と民法のように定めが重なる場合の原則として正しいものはどれか。

  • ①一般法の民法が商法に優先する
  • ②当事者がどちらを使うか選べる
  • ③特別法の商法が民法に優先する
  • ④裁判所が事案ごとに選んで決める
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正解 ③特別法の商法が民法に優先する
解説
特定の人や場面に限って適用される法律(=特別法)は、広く一般に適用される法律(=一般法)に優先します。これを「特別法は一般法に優先する」といいます。

商法第1条第2項は、商事に関して商法に定めがない事項は商慣習に従い、商慣習もないときは民法によると定めています。つまり、商人どうしの取引ではまず商法を見て、そこに答えがなければ商慣習、それでもなければ民法へ、という順で下りていく形です。この考え方は商法と民法に限りません。働く人と会社の間の契約では、民法よりも労働基準法が先に適用されます。どの法律から見るかを間違えないための、基本の道具になる原則です。
他の選択肢について

・民法が優先する:民法は一般法であり、特別法である商法に定めのある事柄は商法が先に適用されます。
・当事者が選べる:どの法律が適用されるかは法律の建て付けで決まり、当事者の選択には委ねられていません。
・裁判所が選んで決める:裁判所は法を解釈して当てはめる立場であり、適用する法律そのものを自由に選ぶわけではありません。
問89-1

民法を構成する編の組合せとして正しいものはどれか。

  • ①総則・物権・債権・商行為・会社
  • ②総則・契約・不法行為・刑罰
  • ③総則・財産・家族
  • ④総則・物権・債権・親族・相続
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正解 ④総則・物権・債権・親族・相続
解説
民法は、第一編・総則、第二編・物権、第三編・債権、第四編・親族、第五編・相続の5編からなります。

総則は民法全体に共通する決まり、物権は物を直接支配する権利(所有権など)、債権は特定の相手に一定の行為を請求できる権利(代金を払え、品物を引き渡せ、など)を扱います。前半の3編が財産に関するルール(=財産法)、後半の親族・相続の2編が家族に関するルール(=家族法)です。この検定で中心に問われるのは、契約や損害賠償を扱う債権編と、その前提となる総則です。条文を引くときも、まずこの5編のどこにある話かを見当づけると探しやすくなります。
他の選択肢について

・商行為・会社を含む:商行為は商法、会社は会社法が扱う領域であり、民法の編ではありません。
・契約・不法行為・刑罰を含む:刑罰を定めるのは刑法です。契約と不法行為は独立した編ではなく、債権編の中に置かれています。
・総則・財産・家族の3編:財産法・家族法という呼び方は5編を性質でくくった通称で、編の名称ではありません。
問99-1

日本における「判例」の説明として正しいものはどれか。

  • ①過去の裁判で示された裁判所の判断
  • ②国会が事件ごとに制定した特別な法律
  • ③裁判所が制定した法律と同じ規範
  • ④当事者が話し合いでまとめた和解
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正解 ①過去の裁判で示された裁判所の判断
解説
判例とは、過去の裁判、とくに最高裁判所が示した法律の解釈や判断のことをいいます。

日本は、あらかじめ文章にした法律を基本とする成文法の国であり、判例そのものは法律ではありません。しかし条文の言葉は抽象的で、そのままでは具体的な場面にどう当てはめるのか分からないことが多くあります。そこで、同じような事案では過去と同じ判断がされるだろうという見通しが立つよう、実務では判例が条文と並ぶ重要な手がかりとして扱われます。契約書のひな型や社内規程も、多くは判例の考え方を踏まえて作られています。条文だけでなく判例まで確認する習慣が、法務の仕事の出発点になります。
他の選択肢について

・国会が制定した特別な法律:判例は裁判所が示した判断であって、国会が制定するものではありません。
・法律と同じ規範:裁判所に法律を制定する権限はなく、判例に法律と同一の効力が与えられているわけでもありません。
・話し合いでまとめた和解:和解は当事者間の合意であり、裁判所が示した法の解釈である判例とは性質が異なります。
問109-1

従業員が不注意で取引先の設備を壊した場合の責任として正しいものはどれか。

  • ①賠償すれば刑事責任は消滅する
  • ②民事責任と刑事責任は別に生じる
  • ③刑事責任がなければ民事責任もない
  • ④刑事裁判が終わるまで賠償できない
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正解 ②民事責任と刑事責任は別に生じる
解説
民事責任と刑事責任は、目的も手続もまったく別の制度です。一つの行為について両方が問題となることも、一方だけが問題となることもあります。

民事責任は、損害を受けた人に生じた不利益を金銭などで埋め合わせるための制度で、当事者どうしの間の問題です。これに対し刑事責任は、社会の秩序を乱した行為に対して国が刑罰を科す制度で、検察官が起訴して裁判が行われます。設備を壊した例でいえば、民法第709条により賠償責任を負う一方、刑法上の器物損壊罪は故意(=わざと壊すこと)が必要なため、不注意にとどまるなら刑事責任は問われない、という結論になり得ます。
他の選択肢について

・賠償すれば刑事責任が消滅:示談や被害弁償は刑の重さを決める事情になりますが、それで刑事責任が消えるわけではありません。
・刑事責任がなければ民事責任もない:刑罰の対象にならない行為でも、過失で他人に損害を与えれば賠償責任を負い得ます。
・刑事裁判が終わるまで賠償できない:民事と刑事は別々の手続で進むため、両方が並行して行われることもあります。

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