2026年版・10-5

基礎-5 国際取引と紛争解決の基礎の一問一答

ビジネス実務法務検定試験®2級「最初に覚える土台知識」から、基礎-5 国際取引と紛争解決の基礎に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問110-5

国際的な契約で、どの国の法律を適用するかは誰が決められるか。

  • ①契約の当事者が選べる
  • ②必ず売主の国の法による
  • ③必ず買主の国の法による
  • ④裁判所が必ず決める
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正解 ①契約の当事者が選べる
解説
法律行為の成立および効力は、当事者がその法律行為の当時に選択した地の法によります(法の適用に関する通則法七条)。これを当事者自治の原則と呼びます。

国境をまたぐ契約では、日本法・相手国法・第三国法のどれで判断されるかによって、契約が有効かどうかも、損害賠償の範囲も変わってきます。そこで、どの国の法律を使うかを当事者が自分たちで決められることにしたのがこの原則です。国際取引の契約書に必ずといってよいほど準拠法条項が置かれるのは、このためです。

選べる法は、契約と関係のある国のものに限られません。当事者が納得すれば、取引に直接の関係がない国の法を選ぶこともできます。中立性を重んじて第三国の法を選ぶ例もあります。

選択は契約の後から変更することもできますが、第三者の権利を害することはできません。
他の選択肢について

・必ず売主の国の法による:そのような画一的な決まりはありません。
・必ず買主の国の法による:これも定められていません。
・裁判所が必ず決める:当事者が選んでいない場合に補う仕組みです。
問210-5

準拠法が選ばれていないとき、どの国の法律によるか。

  • ①契約を結んだ場所の法による
  • ②最も密接な関係がある地の法
  • ③原告が住む国の法律による
  • ④必ず日本の法律による
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正解 ②最も密接な関係がある地の法
解説
当事者が準拠法を選んでいないときは、その法律行為に最も密接な関係がある地の法によります(法の適用に関する通則法八条一項)。

そのうえで、特徴的な給付を行う当事者の常居所地法が、最も密接な関係がある地の法と推定されます(同条二項)。当事者がその給付に関係する事業所を持っている場合は、その事業所の所在地の法です。

特徴的な給付とは、その契約を性格づけている給付のことです。売買であれば、代金の支払はどんな契約にも共通するのに対し、目的物を引き渡す側の給付こそがその契約を売買たらしめています。したがって売主の側が基準になります。

もっとも、これはあくまで推定です。取引の実情から別の地とのつながりが明らかに強ければ、そちらの法によることもあります。争いを避けるため、契約書で準拠法をはっきり定めておくのが実務の基本です。
他の選択肢について

・契約を結んだ場所の法による:締結地を基準とする定めはありません。
・原告が住む国の法律による:原告が誰かで準拠法は変わりません。
・必ず日本の法律による:日本法が当然に適用されるわけではありません。
問310-5

国際的な紛争について、どの国の裁判所が裁判をするかという問題を何と呼ぶか。

  • ①仲裁合意
  • ②準拠法
  • ③国際裁判管轄
  • ④訴訟告知
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正解 ③国際裁判管轄
解説
国際取引で争いが起きたとき、決めなければならないことが二つあります。どこで裁くのかと、どの法律で裁くのかです。

前者を国際裁判管轄といいます。どの国の裁判所に訴えを起こせるか、という問題です。後者が準拠法で、判断の基準となる法律をどの国のものにするか、という問題です。この二つは別のもので、日本の裁判所が、外国の法律にもとづいて判断するということも起こり得ます。

どこで裁判をするかは、当事者にとって大きな意味を持ちます。遠い国での裁判は費用も時間もかかり、言語や手続の違いも負担になるからです。そのため、契約書には準拠法条項とあわせて管轄合意条項が置かれるのがふつうです。

日本では、被告の住所が日本にある場合など、民事訴訟法に管轄の規定が置かれています。
他の選択肢について

・準拠法:どの国の法律を適用するかという問題です。
・仲裁合意:裁判ではなく仲裁で解決すると定める合意です。
・訴訟告知:訴訟の係属を第三者に知らせる手続です。
問410-5

どの国の裁判所で裁判をするかの合意が効力を生じるために必要なものはどれか。

  • ①口頭での明確な合意
  • ②公証人が作成した公正証書
  • ③相手国の裁判所の許可
  • ④書面または電磁的記録
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正解 ④書面または電磁的記録
解説
どの国の裁判所に訴えを起こせるかについての合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関するものであり、かつ書面でしなければ効力を生じません(民事訴訟法三条の七第一項・二項)。その内容を記録した電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされます(同条三項)。

「一定の法律関係に基づく訴えに関し」という条件は、当事者間のあらゆる紛争をまとめて特定の国の裁判所へ集めるような、包括的すぎる合意を認めないためのものです。

書面が求められるのは、管轄の合意が当事者に与える影響が大きいからです。遠い外国の裁判所を指定されれば、事実上、訴えること自体をあきらめざるを得ない場合もあります。そこで、その内容を明確に残させることにしています。

なお、日本の裁判所を除く外国の裁判所だけを指定した合意は、その裁判所が法律上または事実上裁判できない場合には、援用できません。
他の選択肢について

・公証人が作成した公正証書:管轄の合意に公正証書は必要ありません。
・相手国の裁判所の許可:そのような許可の制度はありません。
・口頭での明確な合意:口頭では効力を生じません。
問510-5

仲裁判断にはどのような効力があるか。

  • ①確定判決と同じ効力がある
  • ②当事者を拘束する力はない
  • ③上級の裁判所で争い直せる
  • ④裁判所の認可で効力が生じる
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正解 ①確定判決と同じ効力がある
解説
仲裁判断は、確定判決と同一の効力を有します(仲裁法四五条一項)。当事者がその内容に納得していなくても従わなければならず、不服を申し立てて争い直すことはできません。

仲裁とは、あらかじめ仲裁合意をしたうえで、裁判所ではなく当事者が選んだ仲裁人の判断に従うと約束する紛争解決の方法です。仲裁合意がある紛争について訴えが起こされた場合、裁判所は原則としてその訴えを却下します。

国際取引で仲裁がよく使われるのは、いくつかの利点があるからです。手続が非公開なので営業上の秘密が守られること、その分野に詳しい専門家を仲裁人に選べること、そして一回かぎりで決着するため早く終わることです。

最大の理由は、外国での執行のしやすさにあります。外国の裁判所の判決は承認されないこともありますが、仲裁判断は条約の枠組みで広く執行できます。
他の選択肢について

・当事者を拘束する力はない:確定判決と同じ効力があり、拘束されます。
・上級の裁判所で争い直せる:上訴にあたる手続はありません。
・裁判所の認可で効力が生じる:認可がなくても効力が生じます。
問610-5

外国で下された仲裁判断を他の国でも執行できるようにしている条約はどれか。

  • ①ウィーン売買条約
  • ②ニューヨーク条約
  • ③ハーグ条約
  • ④ベルヌ条約
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正解 ②ニューヨーク条約
解説
外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約、通称ニューヨーク条約(一九五八年採択)には、世界の大多数の国と地域が加わっています。ある国で下された仲裁判断を、他の締約国でも原則として承認し執行できる枠組みを提供するもので、日本も締約国です。

これが国際取引で仲裁が選ばれる最大の理由です。外国の裁判所が出した判決を日本で執行するには、民事訴訟法一一八条の要件(相互の保証があることなど)を満たす必要があり、国によっては承認されないこともあります。相手国で判決が使えなければ、勝っても回収できません。

これに対して仲裁判断なら、条約の枠組みの中で執行が確保されます。相手が海外の企業で、その国に資産がある場合ほど、仲裁を選ぶ意味が大きくなります。

承認・執行が拒まれる場合は、仲裁合意が無効であるときなど、条約が定める限られた事由に絞られています。
他の選択肢について

・ウィーン売買条約:国際的な物品売買契約のルールを定める条約です。
・ハーグ条約:この名で呼ばれる条約は多数あり、仲裁の執行を定めるものではありません。
・ベルヌ条約:著作権の国際的な保護を定める条約です。
問710-5

ウィーン売買条約(CISG)について、正しいものはどれか。

  • ①日本は加わっていない条約だ
  • ②合意で排除することはできない
  • ③合意により適用を排除できる
  • ④個人の買い物にも必ず適用する
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正解 ③合意により適用を排除できる
解説
CISG(国際物品売買契約に関する国際連合条約、ウィーン売買条約)は、異なる国に営業所を持つ当事者の間の物品売買契約について、それらの国がいずれも締約国である場合などに適用されます(同条約一条)。日本では二〇〇九年八月一日に発効しました。

見落とされやすいのが、当事者が何も決めていなくても自動的に適用されるという点です。日本の会社とアメリカの会社が売買契約を結び、準拠法について何も書いていなければ、日本の民法・商法ではなくCISGが適用されます。

一方で、当事者は合意によってその適用を排除できます(同条約六条)。契約書に「本契約にCISGは適用しない」と書いておけばよいのです。内容に不慣れであれば排除する、という実務上の判断もあり得ます。

なお、個人が自分や家庭のために買う取引には適用されません(同条約二条)。
他の選択肢について

・合意で排除することはできない:六条により排除できます。
・日本は加わっていない条約だ:日本は締約国です。
・個人の買い物にも必ず適用する:消費者の取引は対象外です。
問810-5

インコタームズはどのようなものか。

  • ①世界貿易機関が定めた法律だ
  • ②日本の法律で定められた基準だ
  • ③国際連合が定めた条約である
  • ④国際商業会議所が定めた規則
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正解 ④国際商業会議所が定めた規則
解説
インコタームズは、国際商業会議所(ICC)が定めた貿易取引条件の解釈規則です。条約でも法律でもないため当然には適用されず、契約書で「Incoterms 2020のFOB」というように版と条件を特定して引用することで、はじめて契約の内容になります。

FOB・CIF・DDPなど複数の条件が用意されており、それぞれについて、売主と買主のどちらがどこまでの費用を負担するのか、貨物が滅失・損傷したときの危険がどの時点で買主へ移るのかを定めています。

国際取引では、輸送・保険・通関といった手続が多く、どこまでが誰の負担かをその都度書き出すのは大変です。共通の略語にまとめておけば、短い表記で誤解なく合意できます。

注意したいのは、版によって内容が改められる点です。だからこそ、年号まで含めて特定する必要があります。
他の選択肢について

・日本の法律で定められた基準だ:法律ではなく民間団体の規則です。
・国際連合が定めた条約である:条約ではありません。
・世界貿易機関が定めた法律だ:世界貿易機関とは関係がありません。
問910-5

外国為替及び外国貿易法により、規制対象の貨物を輸出するとき許可を出すのは誰か。

  • ①経済産業大臣
  • ②財務大臣
  • ③外務大臣
  • ④国土交通大臣
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正解 ①経済産業大臣
解説
外国為替及び外国貿易法四八条一項は、国際的な平和と安全の維持を妨げるおそれがあるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする、特定の貨物の輸出をしようとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならないと定めています。これが安全保障貿易管理の中心となる規定です。

ねらいは、兵器や、兵器の開発に転用できる技術・製品が、国際的な平和を損なうおそれのある相手に渡るのを防ぐことにあります。対象は武器そのものに限りません。工作機械、高性能な計測器、炭素繊維、特定のソフトウェアなど、民生品として広く使われているものも含まれます。これを軍民両用(デュアルユース)といいます。

貨物だけでなく、技術を外国へ提供する行為も規制の対象です。海外の取引先へのメール送信や、外国人研究者への技術指導も該当し得ます。違反には重い罰則があり、企業には社内の管理体制を整えることが求められます。
他の選択肢について

・財務大臣:外国為替の一部を所管しますが、輸出許可の権限者ではありません。
・外務大臣:この許可を出す立場にはありません。
・国土交通大臣:輸出の許可を所管していません。
問1010-5

調停と仲裁の違いとして正しいものはどれか。

  • ①調停は判断型、仲裁は合意型
  • ②調停は合意型、仲裁は判断型
  • ③どちらも当事者の合意で決まる
  • ④どちらも仲裁人の判断で決まる
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正解 ②調停は合意型、仲裁は判断型
解説
裁判外紛争解決手続(ADR)のうち、あっせん・調停は、第三者が間に入って話し合いを取り持ち、当事者の合意による解決を目指す手続です。合意が成立しなければ解決には至らず、その場合は訴訟などへ進むことになります。

これに対して仲裁は、あらかじめ仲裁合意をしたうえで仲裁人の判断に服する手続です。当事者が内容に納得しなくても、仲裁判断には確定判決と同じ効力が生じます(仲裁法四五条一項)。「調停は合意型、仲裁は判断型」と整理してください。

ADR全体の利点は、訴訟に比べて手続が柔軟で、非公開で進められ、費用と時間を抑えやすいことです。取引先との関係を続けたい場合に、対立を表に出さずに解決できるという面もあります。

法務大臣の認証を受けた事業者による認証ADRでは、手続の間は時効の完成が猶予されます。
他の選択肢について

・調停は判断型、仲裁は合意型:説明が入れ替わっています。
・どちらも当事者の合意で決まる:仲裁は仲裁人の判断で決まります。
・どちらも仲裁人の判断で決まる:調停は合意がなければ解決しません。

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